今年も残りわずかとなってきました。みなさんいかがお過ごしでしょうか?
私はすでに仕事納めをしましたが、来年のプロジェクトの準備なども始めておりまして、気持ち的にはまったく休まる様子はありません。
以下のメルマガでも書きましたが、今年はとりわけSNSの影響が社会的・政治的に大きなインパクトを持ってきたと感じることが多かったです。
ということで来年も引き続きよろしくお願いします。
2024年12月26日発行 (第8号)━━━━━━━━━━━━━━━━━奥山真司の戦略論から見た世界【無料版】https://guccipost.co.jp/blog/mokuyama/━━━━━━━━━━━━━━━━━無料メルマガをご覧いただきまして、ありがとうございます。■ メルマガ「奥山真司の戦略論から見た世界」のご紹介 https://guccipost.co.jp/blog/mokuyama/?p=8■ メルマガご購読の申込み https://guccipost.co.jp/shop/-------------------------------------
すっかり年末となりました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
今年も例年通り、メルマガや動画サイトを含む各種メディアでは「2024年の振り返り」のような企画がさかんに行われていることはご存知の通りだと思います。
たとえば以下の動画サイトでは「地政学リスク」の調査で有名なユーラシア・グループ社の代表を務めるイアン・ブレマーが、自身の動画サイトで毎年恒例の「今年の10大リスク」について検討しておりますね。
■【動画】A look back at the Top Risks of 2024 | Ian Bremmer's Quick Take(12/22 YouTube)
https://youtu.be/5YI_OKyhcHI?si=WnEYP1Kfk2vpV79a
ブレマーは自分が年頭にポスト(ツィート)したことを振り返りつつ、ウクライナでの停戦の話が濃厚になってきたことや、中東で紛争が続いていること、そして2つの暗殺未遂を乗り越えたトランプ候補が次期大統領に無事に(支持者による暴動などがなく)選出されたことなどを指摘しております。
私自身も印象的だった2024年の出来事はやはりアメリカの大統領選でして、アメリカ国民における政治的分裂が激しく、共和党のトランプ大統領が圧勝とは言えないまでも、早い段階から勝利を収めたという点において暴動などに至らなかったのは本当に良かった、安心した、というのが本音です。
その後、偶然かもしれませんが、私が企画を手伝った『アジア・ファースト』(文春新書)の著者エルブリッジ・コルビーが、1月から発足するトランプ政権で国防次官(政策担当)という大役に内定(発足後に上院の承認が必要なので)したというニュースが出ましたが、少なくともこれで次の政権の不確実性は一つ減ったのではないかと考えております。
コルビーのこの本の概要については、以下のサイトをご覧ください。私の書いた「訳者まえがき」が無料で読めます。
■【書籍】エルブリッジ・A・コルビー『アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略』
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614684
ところが、私が2024年を振り返って、とりわけ自分の専門である戦略・安全保障面でもっとも印象的というか「衝撃的」だったのは、アメリカの大統領選でも中東の危機でも、そしてウクライナでの戦争でもありませんでした。
むしろそれは、今後さらに世界の紛争を激化させる可能性のある「SNSの影響力」というものが、世界政治の分野だけでなく、日本にまで本格的に浸透してきたことの方でした。
SNSといえば、一般的にはフェイスブックやインスタグラム、X(旧ツイッター)やYouTubeということになりますし、かくいう私もそのすべてを使用している人間です。
以前からこれを使用している方々はおわかりだと思いますが、このSNSというのは実にやっかいなものでして、たしかに多くの人々に個人が情報発信する上では非常に有効だとされながら、とりわけフェイスブックやYouTubeでは、個人の思い込みや、組織などが発信するデマや陰謀論の温床になるとして以前から警戒されておりましたし、実際に害も出ております。
また、このSNSを利用して権威主義国家が民主主義国家に対してプロパガンダや、いわゆる「認知戦」をしかけているという話はかなり前から議論されておりまして、たとえばロシアがアメリカなどに積極的にSNSで偽情報を流している話は、例えば以下の訳本でも現地取材を交えて詳しく報告されていました。
■【書籍】ピーター・ポメランツェフ『嘘と拡散の世紀:「われわれ」と「彼ら」の情報戦争』
https://amzn.asia/d/b5tnqnw
このような情報戦を仕掛けられているアメリカが2020年の大統領選で多くの共和党支持者たちを「不正選挙だった」とする陰謀論者に変えてしまったのはみなさんもご存知でしょうが、今年に入ってそのような現象がアメリカだけでなく、他の国々でも見えてきたというのが衝撃的でした。
いくつか例を挙げてみましょう。
たとえば韓国。12月初頭の戒厳令騒ぎは日本でも大きく取り上げられました。最近のニュースでは、暴走したユン大統領の決断の背景には「北朝鮮のハッカーによって韓国の選挙で票の不正な操作があった」とする陰謀論を拡散するYouTuberの言説の影響があったとされています。
■ ネットの主張を大統領が… 韓国 非常戒厳の背景に何が?(12/21 NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241221/k10014673751000.html
広義でいえば、これもSNSによる政治的な影響ですよね。
また、日本ではあまり報道されませんでしたが、ルーマニアでは11月に行われた大統領選挙で、親ロシア派の極右で大学教授のカリン・ジョルジェスク氏がTikTokを中心とした選挙戦でトップ当選したにもかかわらず、この際にロシアからの介入があったとして裁判所が選挙のやり直しになるという騒ぎもありました。これもSNSの影響です。
■ ルーマニアの憲法裁判所、大統領選第1回投票を無効と判断 勝利候補への影響工作が明るみに(12/7 BBC)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cg4zzk1d1nxo
日本国内に目を移しても、たとえば都知事選においてほぼ無名な状態から大躍進して二位につけた安芸高田市元市長であった石丸伸二候補や、斉藤知事解任後の兵庫県知事選を巡る立花孝志氏のYouTubeを使った選挙活動など、いずれもがSNSを積極的に利用した候補が躍進し、既存の大手主流メディアの影響力の弱体化が、政治的にも目に見える結果としてあらわれてきたことが印象的でした。
これは一見すると実に喜ばしい動き(たとえば言論の民主化)のようにも思えますが、私は安全保障的に見ても実に危険な兆候であると考えております。なぜならそれは、以前に読んだことのあるアメリカのある学者の書いた論文で警告されていた内容を知っていたからです。
そこで今回は2年前に書かれたSNSの政治的な悪影響についての議論を以下で紹介しながら、日本がとるべき対策のようなものをそこから考えてみたいと思います。
※ここから先は有料版メルマガで解説します。
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目次は以下のとおりです。
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SNSの影響が本格的になってきた意味
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▼ハイトの論文の紹介
▼分断される親族
▼オススメの本
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