コリン・グレイとロバート・ジャーヴィス |
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2021年 12月 10日
今日の紀尾井町は寒いですが比較的良い天気です。 さて、国際政治学の泰斗、ロバート・ジャーヴィスが亡くなったとのニュースを聞いてショックを受けているのですが、そのジャーヴィスがコリン・グレイの死にあたって専門誌に書いた文章がありましたのでさっそく訳しておきました。 ==== 彼と初めて会った年は正確には覚えていないが、1970年代の半ばか後半だったと思う。アメリカでは、ソ連の軍備増強とSALT交渉を受けて、戦略と軍備管理に関する議論が加熱しており、世間でも、政策界でも、学界でも議論されていた。後者では、コミュニティの規模が小さく、比較的少数の大学出身者がほとんどだったため、近親相姦的な会議が延々と続いていた。私たちの意見は一つにまとまっていたわけではなかったが、どちらかというとハト派が多かったように思う。 そこに、まったく異なる経歴を持ち、まったく異なる意見を持つコリンが加わった。しかし、彼がすぐに受け入れられたのは、多数派の意見に合わせるのではなく、自分の意見を明確に述べ、それを明確な論理と優れた証拠で裏付けることができたからだ。 彼が私やコミュニティの尊敬を集めたのは、対立する議論に公平かつ徹底的に取り組もうとする姿勢や、問題となっている事柄を十分に理解し、関連する事実や考察を理解していたからだ。学術的なコミュニティでは当たり前のことですが、実際にはこのような特性は一般的ではなく、高度に政治的な雰囲気の中で受け入れられたことは、決して小さな功績ではなかった。 コリンとの2回目の継続的な関わりは、私が共同編集者を務めるコーネル大学の安全保障研究シリーズに、軍備管理に関する本(『ハウス・オブ・カード』として出版されたもの)の原稿を提出したときだ。最初の原稿は良かったのだが、もっと手を加えればもっと良くなると感じた。 これは、多くの著者にとって歓迎すべきメッセージではない。特に、自分の主な主張に反対する人からのメッセージはなおさらだ。しかし、コリンはこの挑戦を受け入れるだけでなく、歓迎し、もう一度、細心の注意を払って草稿を見直した。彼は、自分の意見に賛同してくれる人を喜ばせるだけの本では不十分であると考え、反対側の主張を提示して反論し、自分の論理を述べ、さらに証拠を増やしていった。そして、最終的には私を納得させるまでに至ったのだ。これは、彼の学力の高さを示すものである。 彼との3回目の、そして最後の関わりは、1980年代の初めか半ばに彼がコロンビアに来たときだ。当時は、核戦略や米ソ関係についての議論が激化し、みんなが感情的になっていた。個人的にも、知的にも、政治的にも大きな問題があり、多くの議論は冷静さを欠いていた。というのも、聴衆である大学院生たちはリベラル派で、レーガンの政策は危険であり、我々全員が殺されるかもしれないという考えを持っていたからだ。 彼の講演が終わる頃には、彼らを自分の立場に変えたとは言えないが、彼らが考えなければならないことがたくさんあること、そして、軍事的選択肢に裏打ちされた厳しい政策を求める人々が、必ずしも愚かではなく、ましてや悪ではないことを示していたのである。 私が感嘆したのは、彼が敵意のある質問にもしっかりと対応し、反対意見を考えようとする姿勢を見せたことだ。これは演技ではなく、彼の心と性格の一面である。 二極化が進むこの時代に、彼がいなくなるのは非常に残念だ。私は彼を友人と呼べることを光栄に思っている。 ==== この最後のコロンビア大学への最後の訪問については本人から直接聞いたことがありますね。だいぶ激しい論争が繰り広げられたらしく、かなり印象に残っている様子でした。 これを書いたジャーヴィス本人も鬼籍に入られたということで、私が勉強してきた分野の巨人たちが次々と亡くなるのは時代が変わったことを感じます。 (都心ルート上空からの眺め) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜 #
by masa_the_man
| 2021-12-10 15:47
| 戦略学の論文
2021年 12月 07日
今朝の有楽町は曇っておりまして気温も低めです。
さて、最近注目しております新刊を出したばかりのエルブリッジ・コルビーの意見です。 彼は官僚経験が長い人物ですが、アメリカの2018年の国防戦略の策定に関わる過程で当時の国防長官であるジェームズ・マティスと一緒にイギリスに行ってコリン・グレイに話を聞きに行ったときもその同行メンバーでもありましたね。 この人物が最近色々なところに本のプロモーションを兼ねて意見記事を書いているのですが、以下はイギリスの保守系の雑誌に、想定される台湾有事について書いた記事の試訳です。 === 21-11/11 The Spectator 中国が台湾を攻撃したら、アメリカはどのように反応するだろうか?圧倒的とまではいかないまでも、台湾を守るべきだという圧力は相当大きくなるだろう。アメリカは台湾防衛に関して表向きは「戦略的曖昧さ」を公言しているが、アメリカと台湾は多くの点でつながりがあるため、バイデン政権は最近、台湾に対する「確固たる」コミットメントを繰り返し強調している。 北京は自治的に運営されている台湾を明らかに従属させたいと考えている。その一方で、アメリカの信頼性は台湾を守れるかどうかにかかっている。また、台湾は軍事的にも重要である。もし台湾が陥落すれば、日本、韓国、フィリピンの防衛力を著しく低下させ、太平洋の中央部を中国軍に明け渡すことになる。 北京は、厳しい制裁や嫌がらせをしても、台湾が自由を手放すことはないことを知っている。だが同時に、迅速かつ決定的な空と海の侵攻があればそれが可能となることも知っている。中国がこの25年間、台湾を占領するための準備に資源を費やしてきた一方で、アメリカは不用意にも他のことに注意をそらしてきた。そして台湾や日本も防衛を怠ってきた。その結果、侵略された場合に島を助けることが非常に困難となったのだ。しかしまだそれが不可能となったわけではない。 台湾を防衛する上でのワシントンの目標は、中国を包括的に打ち負かすことではなく、むしろ侵略そのものを打ち負かすこと、つまり中国の目的である「台湾の従属を否定すること」にある。アメリカ、台湾、そして戦いに参加しようとするすべてのパートナーたちは、中国の艦隊や航空機に対してあらゆる障害を与えて、侵略行為そのものを阻止することに集中する必要がある。その一例が、機雷や、陸・海・空のさまざまなプラットフォームから発射される対艦・対空ミサイルなどだ。また、防御側は上陸してくる中国軍を排除したり、追い出したりする必要もある。 侵略に対する抵抗が成功した場合、中国は一つの選択肢を迫られることになる。それは、裏目に出る可能性の高い方法で戦争をエスカレートさせようとするか、それとも限定的な敗北を受け入れるかだ。 しかし、このような防御の基準を満たすのはかなり難しい。台湾、そしてアジアの他の同盟国を効果的に防衛するためには、米国は中東、アフリカ、ヨーロッパでの軍事的コミットメントを大幅に削減しなければならない。台湾をはじめとするアジアの同盟国を中国から守り、同時に他の地域でも大きなプレゼンスを発揮するには、米軍には単純に軍事力が不足しているからだ。その他の地域はたしかに重要ではあるが、アジアに比べるとその重要度は低いため、権力の真空地帯となってしまう。 これはアメリカの同盟国であるイギリスなどにとってどのような意味を持つのだろうか。当然ながら、アメリカは台湾が攻撃された場合にはイギリスが支援してくれることを期待している。しかし、極東におけるイギリスの軍事力はたかがしれている程度だ。 その強みが欧州や中東にあることを考えれば、イギリスはNATOの欧州防衛の強化に主導的に協力するのが得策であろう。 台湾をめぐる戦争の際には、イギリスはインドと協力して他の地域の中国軍に対処することができるはずだ。だがイギリスは他の西欧諸国とともに、ロシアとイランがアメリカの台湾への集中を利用するようなチャンスを得られないようにすべきである。 私たちは冷戦後の世界を離れ、新たな大国間の競争の時代にどっぷりと浸かっている。このような状況で戦争の惨禍を避けるための最善の方法は、いかにして紛争を抑止し、そしていざとなったらいかに紛争に勝利するかを慎重に検討することなのだ。 === 他の議論もあわせて考えると、彼の意見は以下の5点ほどにまとめられると思います。 1:大国間競争の時代が来た。ライバルは中国、ロシア、そしてイランである 2:アメリカは世界三大戦略地域おける「中東」と「西欧」は他に任せて「東アジア」に力を集中せよ 3:中国がいざ侵攻してきたら拒否することに注力せよ 4:勢力均衡は(アメリカの)優位がいいに決まっている 5:東アジア各国は大幅な軍備増強をせよ。日本はGDP比で2%といわず10%を目指せ。 ということになります。 とにかくそのやる気と危機感を強く感じられる意見記事でありますが、彼の本やこの意見をめぐって対中戦略について活発な議論が始まったことは個人的には実によろこばしいことだと感じております。 (日本の車窓から) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜 #
by masa_the_man
| 2021-12-07 09:12
| 戦略学の論文
2021年 11月 27日
今日の横浜は快晴でしたがだいぶ寒かったですね。 さて、短めのものですが試訳です。エクセルの自動修正機能が強力すぎて科学の分野でトラブルを起こしているという話です。 ==== 21-9/14 The Economist誌 マイクロソフトのエクセルの自動補正機能の強力さは、以前から一般ユーザーを悩ませてきた。ダッシュで囲まれた数字の羅列は、引き算の指示と誤読されるし、電話番号は先頭のゼロが失われる。クレジットカードの番号は、科学的な表記法で再表現される。 遺伝学者たちは、この問題の特殊なバージョンと格闘している。例えば、「Membrane Associated Ring-ch-type finger 1」、通称「march1」と呼ばれる遺伝子は、しばしば「3月1日」という日付に再エンコードされてしまう。同様のことは、sept1が属するセプチンファミリーの遺伝子や、dec2として知られるBasic Helix-Loop-Helix Family Member e41にも起こる。 この問題は、2004年に初めて注目されたが、2016年にオーストラリアのディーキン大学のマーク・ジーマンによって広く知られるようになった。ジーマン博士は、7月にplos Computational Biology誌に「遺伝子名のエラー:学べなかった教訓」(Gene name errors : Lessons not learned)と題した論文を発表した。 2014年から2020年にかけて発表された16万6,000本のゲノム関連論文を調査した結果、エクセルを使用した論文の数は着実に増加しており、自動修正機能によるエラーに悩まされている割合は30%前後で推移していることが、共著者らによって明らかにされた。 また、他の言語の研究者からも間違いが指摘されている。例えば、ポルトガル語では、ago2(Argonaute risc Catalytic Component 2)がAgosto 2と名前を変えられてしまっている。 オランダ語では、mei1(Meiotic Double-Stranded Break Formation Protein 1)という言葉に問題が出ている。また、1年の最初の月をTammikuuと呼ぶフィンランドの遺伝学者は、tamm41(Mitochondrial Translocator Assembly And Maintenance Protein)が1月の41日としてエンコードされているのを発見した。 このような状況が続いていることは驚きだ。2020年8月、遺伝子名を標準化する委員会は、マイクルソフトというゴリアテに対するダビデを演じていると自覚し、marc、march、septで始まる遺伝子名をmtarc、marchf、septinに改名し、dec1をdelec1と再命名した。他にも問題のある遺伝子名は残っていたが、これは正しい方向への一歩であると広く認められた。 しかしジーマン博士の最新の論文は、ほとんどの研究者がそれを受け入れていないことを示唆している。 このような誤りは、危険というよりはむしろ面白いと思われることが多い。しかし、これはより深い問題を反映している。つまり、スプレッドシートでは、著者や編集者が見つけられないような隠れたエラーが、何年も発見されないままになっているということだ。 これを防ぐために、ジーマン博士は、研究者がエクセルのようなソフトウェアをやめて、科学的な用途を念頭に置いて書かれたオーダーメイドのコードを使うことを勧めている。そのようなプログラムは、誤った自動修正の影響を受けにくく、監査もしやすいからだ。 だが、今回も彼のアドバイスが聞き入れられるかどうかは不明だ。 === これは私の関係する人文系でもたまに「ワード」に関して見受けられるものですね。スペルを自動的に変えられてしまって違う意味になってしまった言葉を論文で見かけたりすることがあります。 エクセルに関する問題としては、自動修正ではありませんが、データの打ち込みのおかげで結論の間違いが指摘されているものもありましたね。 そのために上記の文ではエクセルを使わないようにしようというわけですが、どうもこれは本末転倒。道具側の事情にあわせて、人間が科学で使う名称や略称にも変更というわけですから。 あまり良い例とはいえませんが、それでも「テクノロジーは人間を変える」という一つの例かと。 ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜 #
by masa_the_man
| 2021-11-27 23:37
| カルテク
2021年 11月 25日
今日の渋谷は良く晴れて気温も低めです。 さて、どんどん試訳を続けます。いまから10年前の古い記事ですが、某教育機関で学生に読ませるものとしてはよくまとまっているので訳してみました。 === By ダニエル・スイフト 2011-11/1 NY Times 今から100年前の今日、伊土戦争(1911-12年)において、イタリア人飛行士ジュリオ・ガヴォッティが単葉機から3つの手榴弾をトリポリのすぐ東に位置するアイン・ザラのアラブ・トルコ軍のキャンプに投下した。これが世界初の空爆であった。この時の手榴弾の重さは1個3ポンド(1.5キロ)で、誰も負傷しなかったと思われる。ガヴォッティ中尉は父親に「結果にとても満足して帰還したよ」と書いている。イタリアの新聞はこの出撃を絶賛した。「恐れをなしたトルコ人が逃げ惑った」というのだ。 空襲はこのようにささやかな形で始まり、そこから戦争の一つの型として、規模も想像力も拡大していった。H.G.ウェルズのような大衆小説家は、19世紀後半から飛行船や空飛ぶ機械による戦争を空想していた。 第一次世界大戦が始まると、こうしたSFの世界にあったシーンがが、実際の政策評価の中で繰り返されることになった。軍の計画者たちが「空爆による戦争の勝敗は絶対的かつ即時的なものである」と想定しはじめたからだ。 1914年、ドイツ海軍参謀本部の副長官パウル・ベンケ少将は、ロンドンの官庁街の政府機関の建物が空襲されれば、「住民にパニックを引き起こし、戦争が継続できるかどうかを疑わせることができるかもしれない」と指摘していた。 1915年1月に空襲が始まった。そして終戦までにドイツの飛行船がイギリスに投下した爆弾は6,000発に上り、556人の死者を出した。 1917年にヤン・スマッツ元帥は「敵地を破壊し、産業や人口の中心を大規模に破壊する航空作戦が、戦争の主要な作戦となる日はそう遠くないかもしれない」と予言した。 爆撃は常に戦争を変えるものと約束されていた。1920年代にはアメリカ空軍の生みの親であるビリー・ミッチェルが「継続的な攻撃によって敵の陸軍を疲弊させるという、退屈で費用のかかる方法はもはや無駄となった」と議論した。そして爆撃は「戦争状態の改善と向上」をもたらすに違いないと主張したのである。 航空戦力の最も熱心な推進者は、第一次世界大戦の塹壕戦の記憶に悩まされていた。詩人のウィルフレッド・オーウェンは、「二重に曲がって、袋の下の老いた乞食のように、膝を折って老婆のように咳をして、我々はヘドロの中を罵った」という有名な文章を残している。オーウェンは空兵になりたかったが、他の多くの人々と同様に、フランスの地で兵士として戦死した。「ソンムの戦い」の初日だけで57,000人以上のイギリス兵が犠牲になったのだ。 「あのような戦いほど恐ろしいものはない。戦争をしなければならないとしたら、泥の中よりも空の方がましだ」という考えだ。 1942年5月30日、英国空軍はドイツの都市ケルンに初の1,000機規模の爆撃機による空襲を開始した。その2週間後、爆撃機司令部のアーサー・ハリス司令官は、ウィンストン・チャーチルに手紙を出して、さらに多くの爆撃機部隊の増強を要請した。彼はイギリス軍を「フランドルやフランスの泥沼」での虐殺から守るための唯一の方法がこれだ、と主張したのだ。 1943年1月のカサブランカ会議で、ルーズベルトとチャーチルは共同で爆撃作戦を行うことに合意した。1944年7月から1945年4月までの間に、この英米合同作戦は合計100万トン以上の爆弾をヨーロッパに投下した。 その後も戦争は続き、爆撃も続いた。1950年から1953年の間に、アメリカは63万5千トンの爆弾と、3万2千5百トンのナパームを朝鮮半島に投下した。 歴史家のブルース・カミングスはこう言っている。「朝鮮戦争は、第二次世界大戦中に空軍が唱えていた火炎放射は敵の士気を低下させ、戦争を早期に終結させるという言葉を再現させようとしていたのである」。 そしてこのような希望的観測が、戦略を決定し続けた。 1965年2月13日、ジョンソン大統領は「ローリングサンダー」という爆撃作戦の開始を命じた。マクスウェル・テイラー元帥は、「ゆっくりだが確実に北上する空爆の嵐によって、ハノイ政府に、ハノイ周辺のすべてが破壊されると信じ込ませることができる」と想像した。 たしかに爆弾がこれらの戦争の終結を早めたのかもしれないが、それでも確実なことは分かっていない。しかし、爆弾の投下によって「ベトナム戦争がきれいになった」とか「朝鮮戦争が効率的になった」などと主張する人はいないだろう。 爆弾投下の歴史は、同時に、民間人犠牲者の歴史でもある。爆弾の投下は、他の生命を犠牲にして味方の兵士の命を救うものだからだ。空爆による民間人の死の統計は常に不確かであるが、第二次世界大戦中、連合軍の空襲によってドイツの民間人がおそらく50万人は死亡したと言われている。ローリングサンダー作戦では、18万2千人の北ベトナムの民間人が亡くなったと推定されている。 それにもかかわらず、私たちは爆撃についてのユートピア的な考えに基づいて戦争を形成し続けている。たとえば2011年3月にはNATOの空爆作戦が始まったが、これはフランスの飛行機がベンガジ郊外のリビアの戦車を爆撃し、10月20日にムアンマル・エル・カダフィ大佐が亡くなるまで続いた。アメリカのドローン「プレデター」と、フランスの戦闘機が上空を飛んでいたが、かつての指導者を捕らえたのは地上のリビア軍兵士だった。 空爆は、過去からの逃避として設計された、戦争の一形態である。だが新たな紛争が起こるたびに判明するのは、「コストのかからない勝利」と「クリーンな戦争」を約束してきた空爆の長い歴史に新たなエピソードが加わっているに過ぎない、という点だ。 空軍力で楽になったと思われる紛争の例もあるが、逆に空軍力で複雑化・激化した戦争の例もある。リビアでの紛争は、NATOの空軍力がなければはるかに血なまぐさいものになっていたことは間違いないが、アフガニスタンやパキスタンでの「プレデター」や「リーパー」という無人機による空爆は、反米感情を巻き起こすきっかけとなったのだ。 空爆というのは予測不可能な手段であり、その最大の危険性は「安易に戦える」と勘違いさせることであり、私たちを回避できたかもしれない戦争に引き込むことにある。その意味で、爆撃はテクノロジーへの信頼の象徴であると同時に、私たちが過去に囚われていることの証でもある。 今年(2011年)の夏、NATO軍機がアイン・ザラ(現在のトリポリ郊外)を爆撃した。最初の爆撃から100年たった後、私たちは最初の場所に戻ってきたのだ。 ==== エアパワーの限界点を指摘した、実によくまとめられた議論です。これはリーディングマテリアルとしても使えそう。 主にアメリカからの視点で書かれているわけですが、一つ前のエントリーと共通して見えてくるのは、「政治的に使いやすい」ものが本当に戦略的な効果を発揮するかというと大きな疑問が残る、ということですね。 (台湾が見える中学校) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜 #
by masa_the_man
| 2021-11-25 17:39
| 戦略学の論文
2021年 11月 23日
今日の横浜北部は久しぶりに快晴でした。日々気温が低くなりつつあると実感します。
さて、今日も試訳を載せます。あくまでも試訳なので、誤字脱字、誤訳等はご了承ください。 アフガニスタン撤退を受けたのドローン作戦についてアメリカはやり方を変えるべきだとするテロ専門家のクローニンの意見です。 ==== 21-10/14 フォーリン・アフェアーズ誌 By オードリー・カース・クローニン アメリカ兵はアフガニスタンから撤退したが、米軍と諜報機関はそうではない。ジョー・バイデン大統領が明らかにしたように、米国はアフガニスタンで敵を排除するための無人機攻撃を継続する。 バイデン大統領は8月末に軍の撤退を表明する際に「アフガニスタンやその他の国でテロとの戦いは継続します」と宣言している。「私たちは、無人機を含めた "Over-the-Horizon "と呼ばれる能力を持っており、現地の地上にアメリカ人の兵士がいなくても、テロリストや標的を攻撃することができるからです」というのだ。 バイデン大統領の計画はたしかに論理的であり、必要なものであるとも言えそうだ。アフガニスタンではまだ多くの反米テログループが活動を続けており、地上に軍隊がいなければ、アメリカ政府は潜在的な敵を殺すために武装した無人航空機に頼らざるをえなくなる。 これは悲劇的な皮肉である。無人機による攻撃への依存度を高めることで、アメリカはアフガニスタンでの戦略的敗北で大きな役割を果たした戦術を採用せざるをえないことになるからだ。20年に及ぶアフガニスタンでの戦争において、米国の政策立案者たちは、アフガン国民軍の弱点、アシュラフ・ガーニ大統領の政府の弱点、実行可能な出口戦略の不在などについて考えて取り組むのを先送りするために、ドローン攻撃のような短期的な作戦を用いてきたからだ。 バイデン大統領はこの失敗を引き継いだ。彼の3人の前任者は、いずれも武装した無人機を積極的に使用し、地域的(国際的)な政治的反発を招いた。もし彼がその伝統を引き継ぐならば、バイデンは問題を悪化させるだけだろう。彼はその代わりに、継続的な「人狩り」から脱却し、殺傷力のある無人機を使用するのはテロリストによる攻撃が差し迫っているという明確な証拠がある場合に限定すべきである。 米国は、その意思決定とドローン攻撃の結果について、より透明性を高め、罪のない犠牲者に補償を行うべきである。さもなければ、アメリカは必要のない暴力の連鎖を続けることになる。 無人機は何百人もの罪のない民間人を殺害しており、最近では米国の援助団体で長年働いていたゼマリ・アフマディ氏とその家族9人が犠牲になった。誤爆、特に子供への攻撃は、地元住民を怒らせ、過激派が新たなメンバーを集めることにつながってしまう。 テロリストのリーダーに対する「斬首攻撃」が何年にもわたって行われてきたにもかかわらず、ある試算によると、現在、世界中のイスラム過激派の数は911事件当時の数の4倍以上になっているという。 ▼殺害中毒 2001年10月7日の夜、CIAの無人機プレデター3034号機がウズベキスタンからアフガニスタンに飛来した。ヘルファイア・ミサイルを搭載したこの機体は、カンダハールの屋敷にいたタリバン最高司令官ムラー・オマルを攻撃した。しかしミサイルは外れ、代わりにボディガード数人が死亡した。アメリカのドローンが直接暗殺に使われたのは、このときが初めてだった。 翌月には、CIAのプレデターが40箇所以上のタリバンやアルカイダの標的を攻撃した。ジョージ・W・ブッシュ政権末期には、パキスタンを中心に60回近い無人機による攻撃が行われた。 2001年に制定された「軍事力行使のための権限」(AUMF)に基づき、ブッシュ大統領はこの活動を小規模かつ秘密裏に行っていたが、パキスタンの辺境地域に住む人々はこの活動を知っており、兵器への恐れを抱きはじめていた。 新たに就任したバラク・オバマ大統領は、ドローン作戦の計画を拡大した。2009年から2017年の間に、指定された戦争地域以外での攻撃回数は10倍の563回に増え、少なくとも4人のアメリカ国籍の人間が死亡した。アルカイダの指導者の名前がヒットリストから外れると、兵士や運転手、メッセンジャーが空いた枠を埋めるようになった。 やがて政権は、特定の個人を狙う「パーソナリティ・ストライク」から、全般的なプロファイリングによってターゲットを選定する「シグネチャー・ストライク」へと移行していった。このシステムでは、怪しげな訓練所や邸宅にいる身元不明の軍人年齢の男性らはすべてが対象として狙われることになる。 オバマ大統領は無人機の使用を拡大したが、ブッシュ政権下のシステムよりも規制されたシステムを構築しようとした。 オバマ政権は、ターゲットの選択を厳しく管理した。 パキスタン、ソマリア、イエメンなどに潜むテロリスト容疑者は、「テロの火曜日」と呼ばれる国家安全保障会議を頂点とする省庁間のプロセスによって、アメリカ人に「継続的かつ差し迫った脅威」を与えていると判断される必要がでてきた。政権は、世論の圧力が高まりに屈して攻撃データを公開した。そこでは戦闘地域以外でのドローンの使用が増えたことで、2009年から2017年の間に推定606人の無実の人が亡くなったことが判明している。 大統領に就任したドナルド・トランプは、ドローンによる攻撃のペースをさらに上げた。彼はオバマ政権時代の規制を一掃し、ターゲットの決定をCIAの工作員や軍の司令官に委ねたのだ。 トランプ政権は、特に民間人の成人男性を殺害する際の基準を下げ、差し迫ったテロ攻撃との関連性がより希薄な場合でも攻撃を許可するような規則を密かに通達した。 トランプ大統領は、民間人が犠牲になった事例を調査して賠償金を提供することを各機関に義務づけたオバマ政権後期の画期的な大統領令を撤回した。司令官たちは、テロ組織の末端の戦闘員に対する一方的な空爆の回数を増やし、米国が直接関与していない紛争でもパートナー軍を保護する攻撃を命じた。 トランプ政権は、2020年の最初の6カ月間にソマリアだけで40回の無人機攻撃を行ったが、これはブッシュ政権とオバマ政権の16年間にソマリアで行われた合計41回の攻撃と比肩しうるものだ。 バイデンが大統領就任後に行った最初の国家安全保障上の措置の一つは、ドローンのプロセスに対するホワイトハウスのコントロールを復活させることであり、米軍や諜報機関が攻撃を行う際の新しいルールを提示することだった。 2021年の最初の半年間は、ドローンによる攻撃は行われなかった。しかし、ジェイク・サリバン国家安全保障アドバイザーは、新しい手続きは「暫定的なガイダンス」であると述べており、省庁間の完全なレビューは継続的に延期されている。 その一方で、バイデン政権は証拠能力の基準を引き上げる恒久的な指針をまだ出しておらず、米アフリカ軍は2021年7月末にソマリアで行われた、バイデン政権の無人機による最初の攻撃を「友軍のために行った集団的自衛行為だ」として正当化している。 ▼一歩進んで二歩下がる ドローン攻撃は、たしかにテロとの戦いには役立っている。海外の反乱分子を殺害することで、アルカイダやイスラム国(ISIS)などの指導者たちを空洞化させたことは間違いない。また、武装勢力の移動能力を阻害し、彼らの遠隔地での作戦を計画する能力を低下させた。機密解除されたデータがなければ、どれだけ多くの差し迫った攻撃が阻止されたかを正確に知ることはできないが、標的攻撃によって実際にアメリカ人の命が救われている。 しかし米国のドローンの配備方法は、その有用性を損なっている。オバマ政権下での斬首攻撃は、アルカイダをフランチャイズモデルへと分散させ、他の地域の紛争におけるスンニ派過激派の役割を増大させ、新たな組織を生み出すことにつながった。20年前と比べて、世界のテロ組織の数は増えている。 これらのグループは、ドローンを回避するために都市部に留まり、民間人とより密接に共存するなどの戦術を共有している。9.11事件以降、米国のテロ対策の主な目的は、世界的なテロネットワークを排除し、戦闘員の数を減らし、一般市民から切り離すことだった。しかし、米国は無人機キャンペーンにもかかわらず、あるいはそのせいもあってか、これらの目標を達成できていない。 今後、アフガニスタンで無人機が過去20年間よりも戦略的に成功すると確信できるような根拠はない。今後は米軍が目標を正確に特定して命中させることはさらに困難になるだろう。バイデン政権の当初の計画は「ガーニの許可を得てから攻撃を行う」というものだったが、ガーニが国外に逃亡し、政権が急速に崩壊したことで、それが不可能になった。 「トルコ軍が残って情報を提供する」という計画も、タリバンが彼らに撤退を迫ったことで頓挫してしまった。また、ドローンによる攻撃で誰を殺しすのかを特定したり、もしくは攻撃後に誰を殺したのかを正確に把握するために必要な情報を収集するための簡単な方法もない。 これは、米国が現場にいてもしばしば誤った標的を攻撃していたことを考えると懸念すべきことだ。例えば、8月29日にアフマディと彼の大人の家族2人、子供7人が誤って殺害された事件を考えてみよう。IS-Kの自爆テロで米軍兵士13人とアフガニスタン人170人が殺害された数日後に行われたこの攻撃は、最悪の反発を招いた。 アフマディは、避難民に食事を提供したり、大きな水の容器を持ち込んだりしていたが、オペレーターはそれを爆弾と勘違いした。作戦を指揮していたアメリカ軍の司令官は、標的が誰であるかを知らなかったにもかかわらず、この攻撃が非戦闘員に害を与えない「合理的な確実性」というアメリカの基準を満たしていると判断したと言われている。 ドローンによる攻撃が行われたとき、数千人の米軍兵士たちはまだ地上におり、米国防総省のジョン・カービー報道官によると、攻撃はカブール空港から行われたという。バイデンは、このドローン攻撃が大失敗だったことが明らかになる前に、この攻撃を「理想的なモデル」として挙げていた。 「我々はISIS-Kを遠隔操作で攻撃したが、それはISIS-Kが我々の軍人13人と何十人もの罪のないアフガニスタン人を殺害した数日後のことだった」と、バイデンは攻撃の2日後の演説で宣言したが、これは米国の「オーバー・ザ・ホライズン」能力を誇示した直後のことだった。 米国が現地に部隊を駐留させているときに、危険で目につきやすい状況でこのような重大なターゲティングでの誤りを犯したのであれば、米国の撤退後のドローンキャンペーンを楽観視することはできないだろう。 ▼清く中止せよ アーマディの悲劇を受けて、ホワイトハウスがドローンの使用方法を劇的に変えるかどうかは不明だ。これまでのところ、ホワイトハウスはさまざまなシグナルを発している。CIA長官のウィリアム・バーンズは、IS-Kのような共通の敵を攻撃する許可を得るために、パキスタンやタリバンとも協議しているし、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンに無人機を駐留させることについても議論を進めている。 また、カザフスタン、タジスタン、ウズベキスタンなどでもドローンの拠点化が検討されている。政権は、トランプ大統領の政策とオバマ大統領の政策のハイブリッドで、ドローンの標的ルールを各国の事情に合わせて調整する方向で動いているようだ。例えば、アフガニスタンやソマリアでは現地の司令官は自由にドローン攻撃を行うことができるが、それ以上の地域ではホワイトハウスの許可を得なければならないというものだ。 このようなハイブリッドなアプローチは、トランプ政権時代の最悪の行き過ぎを抑えることはできても、根本的な問題を解決することはできない。バイデン政権が本当に「テロとの戦い」という失敗した政策と決別したいのであれば、無人機の使用を劇的に減らすべきだ。 バイデン政権はまず、オバマ大統領が行ってきた「シグネチャー・ストライク」をやめ、すでに知られていて存在が確認されているターゲットのみを攻撃することから始めるべきだ。アメリカは知らない人を殺すのをやめなければならない。 もしそれを行う場合でも、アメリカ人に差し迫った被害があるという明確な証拠が必要だ。攻撃は、その国の事情に詳しくて政治的背景を見極めることができる現地の米国大使が承認すべきである(それに加えてそのすべての隣国は独自にドローンを持っている)。 アフガニスタンでは、米国は現地の確かな情報源や、中国、パキスタン、ロシア、さらにはイランなどの地域的な関係者と秘密裏に協力するべきである。彼らも自国のすぐ隣にテロリストがいる状態を嫌うからだ。 さらにバイデン大統領は、攻撃の地理的範囲を限定すべきだ。米国は、チャド、リビア、マリ、ニジェールなどの地域で殺傷力のある無人機を使用しているが、これらの地域では、米国本土やアメリカの同盟国に対して武力を行使する能力がない。このような状況が変わらない限り、バイデン氏はこれらの国での無人機攻撃を中止すべきだ。 米軍と情報機関は、民間人の死傷者数を明らかにし、その透明性を高める努力をしなければならない。ドローン攻撃に関する情報を公表し、矛盾が生じた場合には調査して説明するよう各機関に指示したオバマ政権の2016年の指針を復活させるべきだ。 また、ドローン攻撃が失敗した場合、米国政府は賠償金を支払うべきである。(アフガニスタンではタリバンによる占領後に駐留している国連アフガニスタン支援団と連携する必要がある) 。バイデンは、アフマディの家族に、連邦政府の費用で再定住と支援を受ける機会を与えることで、このプロセスを始めることができる。中央司令部の責任者であるフランク・マッケンジー海兵隊大将は、すでに謝罪し、米国は賠償を検討していると述べている。 バイデンは、アフガニスタン撤退に関するスピーチの中で「過去20年間、わが国を導いてきた外交政策のページをめくるにあたり、私たちは過ちから学ばなければなりません」とアメリカ国民に向けて語った。 この言葉を実現するためには、ただ軍を撤退させるだけでは十分ではない。政権は、延々と続く無人機による攻撃を止めなければならない。無人機による攻撃は、あまりにも多くの民間人を殺し、米軍や情報機関を多くの戦いに巻き込み、アメリカ人を守るためにはほとんど貢献していないからだ。 ==== 無人機というエアパワーの一部は使用者側には犠牲者がほとんどでないため「政治的」なコストがかからず、言葉は微妙ですがいわば「クリーン」というか「綺麗な戦い方」ができるために使いやすく、戦術的にも効果があるわけですが、かえってそれが「戦略的」に逆効果になっている事実を指摘している点がこの論文のポイントですね。 リベラルな社会であるアメリカも、実際には中東やアフリカなどで現在も現実的な「汚い戦争」を戦わなければならないわけですが、それを「クリーンな戦争」として社会的に受け入れられるもの、もしくは「見えないもの」として隠せることは、その倫理的な部分も含めて、本来ならば連邦議会などで徹底的に議論しなければならない議題ですね。 (最西端の碑) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜 #
by masa_the_man
| 2021-11-23 23:42
| 戦略学の論文
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