戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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今日の横浜北部は朝から晴れております。関西で大災害をもたらした台風一過の次に北海道で震度6強など、改元や大仏建立などが待ったなしの大災害が続いておりますね。


さて、今回は昨夜からアメリカで大きな話題になっているトランプ政権内部のおそらくかなり高位にいると思われる匿名の人物による、トランプ政権内部の様子を説明したNYタイムズ紙に掲載された意見記事です。


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私はトランプ政権内の「レジスタンス」の一員だ

by 政権内の匿名の高官


トランプ大統領は近代の他のどの大統領たちとも異なる問題に直面している。


その問題はFBI特別捜査官による捜査だけではない。トランプのリーダーシップについて国内が大きく分裂しているからでもない。彼の所属する共和党が、大統領を追い落とそうと決意を固めた反対勢力によって、下院での多数派の地位を追い落とされそうだからでもない。


最大のジレンマ――大統領自身はわかっていないようだが――は、トランプ政権内の高官たちの多く人々が、大統領が行おうとしているアジェンダや最悪な意向の一部を懸命に止めようとしているという点だ。


なぜこのようなことを知っているのかって?それは私がその高官の一人だからだ


まずここで明確にしておきたいのは、これは左派の「大衆的なレジスタンス」ではないということだ。われわれは政権に成功してもらいたいと思っているし、その多くの政策はすでにアメリカを安全にしたし、繁栄に導いたと考えている。


ところがわれわれは、自分たちの最初の任務は「国のために尽くすこと」であると考えているし、大統領はわが国にとって有害となる行動を続けていると考えている。


だからこそトランプ政権で任命された高官たちの多くは、民主制度を守りつつ、政権終了時まで、トランプ氏が思いつきで間違った政策を行おうとするのを阻止しようと誓ったのだ。


その根本にある最大の問題は、大統領の「道徳観念の欠如」にある。彼と働いたことのある人間は、彼が何か明確な原則に沿ってものごとを決断するようなタイプの人間ではないことを知っている。


もちろん彼は共和党の人間として選ばれたわけだが、大統領は保守派たちによって長年にわたって支持されてきた理念などにはほとんど親近感を見せていない。その理念とは、自由な思想、自由市場、そして自由な国民である。


もちろん気分が良い時は、これらの理念について公式な場で主張したことがある。ところが気分が乗らないと、それらをあからさまに非難するのだ。


彼は報道陣のことを「国民の敵」であるという考えを大規模に売り込んだわけだが、それに加えて彼は全般的に「自由貿易」や「民主制度」に敵対的な考えを直感的に持っている。


もちろん勘違いしないでいただきたいのは、ほぼ雪崩のように毎日続く政権に対する批判的な報道の中でも、それが見逃しているポジティブな面もあるということだ。トランプ政権は、効果的な規制緩和、歴史的な税制改革、そして米軍の強化など、多くの成果を挙げている。


ところがこれらの成果は、衝動的で敵対的、卑しくて効果のない大統領の指導力(のおかげではなく)にもかかわらず、もたらされたものだ。


ホワイトハウスから各省庁の幹部室に至るまで、政府高官たちは自分たちの大統領の発したコメントや行動に対する疑念や疑問を、個人的には持っている。高官たちのほとんどは、自分たちの仕事を彼の気まぐれから切り離そうと努力している


彼との会談で話題が逸れたり脱線したりすることが常であり、大声で同じことを繰り返すこともあり、彼の衝動的な決断は、中途半端でよくわかっていない、まるで無謀な「逆探知」の必要なものになることが多い。


たった一週間前に決断した大きな政策の決定を覆すような大統領府での会合に激怒したある高級幹部が、最近私に語ったのは、「大統領の毎分ごとに決断を変えるやり方にはあきれてものも言えないよ」ということだった。


ホワイトハウスの内外で土台となって働く「無名の英雄」たちにとって、このような気まぐれな行動はさらに深刻なものとなる。


何人かの補佐官はメディアによって「悪人」とされてきたが、彼らはプライベートでは悪い決断を大統領府の中だけで封じ込めるために(といってもそのいくつか件では明らかに失敗しているが)多大な努力をしてきた。


この混乱した時代において、このような事態はまったく安心のできないものかもしれない。だがアメリカ国民に知っておいていただきいのは、部屋には「大人たち」がいるという事実だ。


われわれは何が起こっているのかをしっかりと把握しているし、ドナルド・トランプが正しくない時でも正しいことをしようと努力している。


その結果が、大統領の権力が二つの路線にわかれているということだ。


たとえば対外政策だ。公の場でも私的な場でも、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩委員長のような「独裁者好き」であることを見せており、その逆に同盟国や似たような価値観を持つ国々との絆にたいしてほどんと評価をしていない。


ところが鋭い記者や専門家たちは気付いているように、政権内のその他の人々は「別路線」で動いており、ロシアのように介入している国を非難して処罰するべきだという意見や、世界中の同盟国たちはライバルとして馬鹿にされるのではなく、友人として手を取り合うべきだという意見まだ存在している。


たとえばロシアについては、大統領自身はイギリスにいた元ロシアのスパイが毒殺されかかった事件に対する報復として、プーチンのあまりにも多いスパイたちを追い出すことに気乗りしない様子である。彼は補佐官たちに対して数週間にわたってロシアとの衝突をやめるように訴えており、アメリカがロシアの悪意ある行動に対して経済制裁を続けることに不満を表明している。ところが彼の安保チームは、経済制裁によってモスクワの責任を追求しなければならないことを知っていたのだ。


これはいわゆる「ディープステイト」の仕業ではない。「安定的な国家」の仕業である


多くの人が目撃している不安定な状況にもかかわらず、閣内には大統領の弾劾に関する複雑な手順を開始する「米国憲法25条」を発動せよという声が早くからあがっていた。ところが憲法に関わる危機を起こそうという人間は誰もいなかったのだ。


したがってわれわれはできる範囲で政権を、それが終わるまで、正しい方向に修正することにかけたのだ。


より大きな懸念としては、トランプ氏が大統領という制度に対して行ったことよりも、むしろわれわれが国家として彼に好きにさせてしまっていることの方が問題だ。われわれは彼と共に落ちてしまったのであり、われわれの言説から礼儀正しさというものが失われることを許してしまったのだ。


故ジョン・マケイン上院議員は、辞世の手紙の中でこれをうまく表現している。すべてのアメリカ国民は彼の言葉に耳を傾けるべきであり、部族主義的な罠にからめとられてはならないし、われわれの共有された価値観とこの偉大な国への愛で団結するという、崇高な狙いを忘れてはならないのだ。


もちろんマケイン上院議員はもういない。ただしわれわれは彼の示してくれた教訓を思い返すことができる。それは、政治における名誉や、国政における対話というもの修復するための道標なのだ。トランプ氏はそのような名誉ある人間をおそれるかもしれないが、われわれそのような人間をこそ尊敬すべきである。


トランプ政権内には、国家を優先することを選んだ人々による「静かな抵抗」が存在している。ところが本物の違いは、政治を越えた一般の市民、つまり党派やレッテルの垣根を越えて「アメリカ人」というアイデンティティーの下に結集する人々によってつくられるはずだ。


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11月に出る予定のボブ・ウッドワードの新刊の内容がさっそくメディアで話題になっておりますが、その内容を裏付けるような、政権内部のカオスぶりが描かれておりますね。


これなども「匿名の人物が書いた」ということで、トランプ支持者たちからは「政権に批判的なNYタイムズ紙の記者が想像で勝手に書いたんだ」批判されそうですが、私は個人的にこれまでの一連の報道などを踏まえてみると、かなり信憑性の高いものであると感じております。


ただし上の記事で言われているような「思いつきで決める子供大統領」と「それ以外の大人の閣僚・スタッフ」という、いわゆる「二つの路線」というものが本当だとすれば、私は逆にこの「子供大統領」を、ある意味では共和党側のスタッフたちがある程度は自分たちのアジェンダのために使う、という部分もあると考えております。


具体的には、大統領が「朝鮮半島での軍事演習をすべてやめる」と言っておきながら、マティス率いるペンタゴンは無駄な演習だけやめて、本当に重要なものはやめないというパターンとか。


上記の記事では、税制改革や規制緩和など、共和党が好む政策は実現しているため、「共和党はトランプ大統領の単なる人質」ではなく、決定的な相違がなければ、互いに利用できるわけです。新しい最高裁判事の指名などはまさにそれですね


何を言いたいかというと、人数で圧倒している共和党の政権内にいる「大人たち」は、「〇〇とハサミは使いよう」と考えて大統領を操作しているフシもありそうだ、ということです。


この著者の身分についての真相は闇の中ですが、数年後にはジョージ・ケナンの「X論文」やウォーターゲート事件のときの「ディープ・スロート」のように、何年か後に「書いたのは自分です」と名乗りを挙げてくることを期待しましょう。



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(オスプレイ)


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by masa_the_man | 2018-09-06 14:22 | 日記 | Comments(0)