戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man

<   2016年 02月 ( 14 )   > この月の画像一覧

今日の横浜北部は朝から曇っておりまして、時折小雨になるような状態です。

さて、先週の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1456284440)でも解説しましたが、タイム紙のコラムニストがアメリカの「トランプ旋風」に対して、やや冷ややかな視点から興味深いコラムを書いておりましたので、その要約を。

ビジネスマンと政治家には求められるスキルが違うことをよく言い表した、とても優れた記事です。

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なぜビジネス界のスターはダメな政治家になるのか
by ダニエル・フィンケルステイン

16-2/17 The Times

1933年2月1日のことだが、著名な新聞のコラムニストのウォルター・リップマン――彼はアメリカのエスタブリッシュメントの思慮深く健全な代弁者である――は、重要なメッセージを携えて、大統領に選ばれたばかりの人物の待つジョージア州に向かった。

その人物とは、フランクリン・デラノ・ルーズベルトである。彼は世界は金融危機の状況の中で一ヶ月以内に政権を担う予定であり、就任演説に備えているところであった。リップマンはルーズベルトに対して「独裁者なみの権力を握るという気持ちで準備をせよ」とアドバイスしたのだ。状況はそれほど悪化していた。彼は「やや控え目の独裁者になれば、今後の最悪の状況でも対処できる」と述べたのである。

このような言葉は今では少し考えられないところだ。リップマンがジョージア州に向かうたった2日前に、アドルフ・ヒトラーはドイツ首相に就任したばかりだったからだ。同年4月には『独裁大統領』という映画が公開され、その中では大統領が議会を停止して戒厳令を敷くということが行われていたが、これは今から見れば考えられないことである。

ところがこのアイディアをソフトにしたような手段は、政治的に説得力もちつづけ、驚くほど広く潜在的な支持を得ている。これはアメリカだけの話ではなくて、イギリスでも同じである。

たとえばそのアイディアをまとめると「政治家というのは、役に立たない無能で腐敗した個人の烏合の衆であり、自分のカネばかり心配して他人を垣間見ない人間」である。彼らは「本物の仕事」をしたことがなく、何も実行できない、ということになる。したがってわれわれに必要なのは、物事を実現できる人間だということになる。政治の「泡」の世界の中で生きているような人間はそもそも必要ではなく、成功したビジネスマンが必要であり、単なるしゃべりの上手い人間ではなく、勝者、そして実行者が必要だというのだ。

ドナルド・トランプの大統領選の中心にあるのは、まさにこのようなメッセージである。彼のメッセージは、従来の保守派とは違う。彼は「家族計画」を支持しているし、産婦人科での中絶には賛成しているし、イラク戦争におけるブッシュ大統領を批判している。

その代わりに彼が主張しているのは、「政治は失敗した。いまこそビジネスを行うべきである」というものだ。彼は最新刊のCrippled America(未邦訳)の中で「私よりもビジネスのことをわかっている人間はいない」と豪語している。しかも「この混乱した状況は、リーダーシップの中でも最悪の形のものを必要としている」と、まるでリップマンが言ったようなことを述べているのだ。

つまり「アメリカには、常識感覚とビジネス的な洞察を持った人間が必要だ」ということであり、これはトランプ氏が持っている要素だとわれわれは確信できる。なぜなら「私はリッチだ。実際のところマジでリッチだから」である。

従来の候補者たちは政策の詳細を打ち出すのに必死だが、トランプ氏はただ単に他人の実行力のなさに不満を述べるだけである。

たとえば国民皆保険制度の改革についての彼の見解は、「ほとんどのアメリカ人に対して健康保険をリーズナブルな価格で提供するというような複雑な問題に対する私のアプローチは、難しいビジネスの上での問題への対処の仕方と同じだ。つまり世界中で最もこの分野に詳しい人物を集めて一つの部屋に閉じ込めて、最も望ましい方法に合意できるまで考えさせる、というものだ」と述べている。たしかにこれはその通りなのだろう。

共和党が伝統的に訴えてきたメッセージは「政府は大きすぎて、権力を持ちすぎていて、強力すぎる」というものであった。ところがトランプ氏のメッセージは「政府が弱すぎて、役立たずで、使えない」というものだ。政治家は敗者で、彼こそが勝者だ、というのだ。
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(economist.com より)

トランプ氏の無神経さと自己中心的な態度は、たしかに見ものであるが、同時にそれは憂慮すべきものでもある。それでも魅力的なものであることには変わりなく、限界はあるがそれでも強力であり、しかもなかなか収まる気配がない。これには2つの理由がある。

一つは、現在のアメリカの政治に原因がある。長年にわたって大統領府と議会との対立的な関係は決定的となっており、満足した統治ができない状態になっている。アメリカは負債でデフォルトに近づいたり、国際的な協定に合意しづらい状況に陥っている。

言い争いばかりをしている党に対するフラストレーションこそが、トランプ氏に近いような政治的な人物を台頭させる原因となったのだ。イタリアのビジネスマンで首相になったシルヴィオ・ベルルスコーニ氏は、道化でありながら監督でありつつもペテン師という役割を演じていた。ところが彼は有権者たちに政治の霧を取り払う道筋を示したおかげで支持を得たののだ。

しかもベルルスコーニ氏の不適切な行動は、むしろ得票数の増加もつながっている。なぜならそれによって、彼の存在感のほうが彼を追い落とそうとする支配層よりも高まったからだ。彼の法律面でのトラブルは、逆にイタリア政治の複雑にからまった状態を抜けだして勝利を獲得することにつながると思わせてくれたのだ。つまり、彼は「イタリアもベルルスコーニのような存在になれる」と国民に感じさせたのである。

1970年にはイギリスでテッド・ヒースという人物が「ビジネス的な政府」というアイディアを推進して権力を握っていた。彼は「言葉ではなく行動を」と約束し、イギリス産業連盟(=経団連)のトップであり、ビジネスマンとしても成功していた、ジョン・ディヴィスを貿易産業省兼務の筆頭国務大臣につけたのである。

実業界の大物に対する魅力というのは、その国の政治の力が弱まっている時、つまり国民が巨大で顔の見えないグローバル化や機械の自動化などの力に対して、自分たちの無力さを感じた時に強まるものだ。そうなると、「実力のある人間に任せよう」ということになるわけだ。ところがこれは(イギリス独立党の)ナイジェル・ファラージの得意技であることを忘れてはならない。しかも彼が自身の党や唯一の下院議員さえ満足に掌握できないことは言うまでもないだろう。

これらのすべてが、トランプの2番目のアピールにつながる。しかもこれはイギリスの場合にも当てはまるものだ。つまり政治の性質や目的といったものに対する、根本的な勘違いである。

たしかに政治家というものは、議論したり対立したりするものであり、大きな夢を描きつつも妥協を迫られ、後退したりUターンしたりを永遠に繰り返すし、わずかな進歩しかもたらさずに支援者をがっかりさせることもあるし、ある利益団体から常に妨害されたり、別の団体から裏切られることもあるものだ。

ところが政治家の存在意義はそこにある。政治は、対立する多くのアイディアや価値観、そして状況などを平和的に解決するため、そして統治のための、何らかの合意を形成するために存在するのだ

したがって、人々が求めることが阻害されるだけの理由はあるのだ。たしかに政治がものごとの実現を止めてしまうことは多々あるが、それこそがそもそもの目的である場合もある。あえて実行を阻害するような政治体制は、そもそもトップに無謀な行動をさせないようにするためのものでもあるからだ。あまりにも多くの人々にトップをコントロールための権力や手段が分散されている。つまり彼らは命令を受けるのではなく、招き入れられなければならないのである。ビジネス系の人間が政治の世界で失敗することが多いのは、このような状況を理解することができないからである

たとえばジョン・ディヴィスの任命は完全な失敗に終わった。その後に別のビジネスマンが貿易産業省の大臣になったがそれもわずか一年ほどで辞めている。

そして政治家というのは、われわれとほぼ変わらないような存在であるし、そうあるべきである。つまり彼らも、混乱して、野心的で、有望で、親切で、理想主義者的であり、実利的であり、自己中心的であり、虚栄心を持っていて、面倒見がよく、あまりにも楽観的なのだ

地球上で最もリッチで安全で寛容な国々がおしなべて民主主義体制であり、しかもたった今この瞬間に、おそらくこの国々の中で生きることが人類史上最も望ましい状態であるというのは、たしかに「英雄的」なことではないかもしれないが、それでも十分だと言えるだろう。

===

一見するとトランプ批判とも受け取られかねないですし、実際そのようなメッセージを意図しているのかもしれませんが、私はここに政治の複雑さというか、政治家がこなす任務の難しさというか、そこに求められるスキルの特殊性というものを浮き彫りにしてくれる、優れたコラムだと思います。

たしかにビジネスだと会社のトップはかなりの「独裁者」になれますが、政治の場合は国内にそれぞれ言うことを聞かない各種利益団体や見解の違うメディアなどがあって、利害調整が恐ろしく複雑で大変ですから、社内での「独裁者」のようにはなれませんよね。

こういう「政治の複雑性」や「政治家に課せられた任務」を教えてくれるという意味でこのコラムは非常に有益です。政治家、とくに政権を担って指導力を発揮するのって大変なんですよ、ホント。

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by masa_the_man | 2016-02-29 09:22 | Comments(4)
今日の横浜北部は寒いですがよく晴れました。

さて、本日のことですが、夕方近くになって最終原稿の確認をして、めでたく「脱稿」となりました。

思えば去年の10月に来日した本人にいきなり呼びつけられて「本を出すぞ」と言われてから、伊豆の温泉などで6回にわたってインタビューを行い、それを文字起こしして編集して・・・という嵐のような状態の中での仕事でしたが、結果的に非常に良いものができあがったのでは、と考えております。

しかも編集に当たってくれたのが、トッドの一連の本を担当してきた方というのも心強かったです。

折しもコリン・グレイの『現代の戦略』や孫子のCDをつくっていた最中でしたので、西洋と東洋の戦略論の真髄を垣間見えたようで、なかなか味わえないとても贅沢な体験をさせていただいたと感じております。

以下に、本日文春からいただいたチラシを掲載しておきます。「世界最強の戦略家」というのはものすごいキャッチコピーですが、かなりの真実が含まれておりますので、あながち間違ってはいないかと(笑

来月20日の発売です。たった208ページで読みやすくなってます。どうぞご期待ください。

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by masa_the_man | 2016-02-26 23:14 | 日記 | Comments(1)
今日の横浜北部は朝から曇っておりまして、意外に風があってけっこう寒かったです。

さて、昨夜の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1456294080 /https://www.youtube.com/watch?v=ViyfZfnbmBI)でも触れましたが、ジャパン・タイムズ紙に鎌倉在住の日本人と結婚した女性が興味深い意見を投稿しておりましたので、その意見の要約を。

===

人々を教育して日本の地図に卍を残せ

Japan Times 16-2/10

親愛なる日本の住民のみなさんへ

数週間前、日本では地図がメディアの注目を集めました。もちろんそれは日本の領土が外国に占領・獲得・されたからではなく(国境はかわってません)、日本の国土地理院が外国人向けの旅行地図で使う目印を変更すると提案してから小さな論争を巻き起こしたからです、

国土地理院の狙いは地図をわかりやすくするというもので、日本に来たばかりの人々にとっては現在使われている地図の表記法がいま一つわかりにくいものであるから、というのがその理由でしょう。たとえばHといえば普通は病院ですが、日本だとホテルを意味し、Xだと「宝のありか」ではなくて交番のことだからです。

この変更の理由は理解できるものです。たしかに外国で絵葉書を受け取ったとして、〒というマークを見て「あら、郵便局ね!」と喜ぶ人はほとんどいないでしょう。記号を標準化するというのはすばらしいことですが、地図にはその記号が使われているそれぞれの理由というものがあるのです。

ところが変更を提案している人々は、それが日本人か外国人かに関係なく、それほど熱心に「変更しなければならない!」と情熱を感じているわけではないのです。

その中でもとりわけ大きな変更は、寺院を示す記号であるマンジ(卍)を三段の仏塔を表すマークにするというものです。欧州中心史観による第二次世界大戦の歴史を知っている人だったら誰でも痛いほど知っていると思いますが、マンジはナチスのシンボルであるスワスチカ(写真下)によく似ているのです。

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もちろんマンジ自体はすでに千年以上存在しているわけで、ネガティブなイメージに関連付けて考えられたのはその中のたった70年から80年ほどです。また、そこにはいくつかの違いもあります。ナチスのシンボルのほうは菱型になっているのですが、マンジは四角になっています。「カギ十字の向いている方向が違う」と指摘する人もおりますが、日本の仏教では右向きと左向きの両方が存在するのです。

多くのみなさんがご存知の通り、マンジのシンボルはサンスクリットから来ており、ドイツにおけるヒトラーの台頭に使われるようになるまでに、すでにヒンズー教や仏教、それにジャイナ教でも使われており、さらには西洋でもすでに有名なシンボルとなっておりました。

このシンボルは幸福や幸運、それに健康などを表すものであり、日本の仏教でも長い歴史を誇っていて、旅行者用の地図には載らなくなっても日本国内には豊富に存在して残ることになるのです。

この変更のニュースがネットに載り始めた時に、心を痛めたのは私一人だけではないことを知っております。私の場合、すでに西洋側のマンジについての感覚をじっくり考えてきました。一週間前に私は自分のフェイスブックのページに御朱印帳の写真を載せようと思ったのですが、途中でそれをやめました。なぜなら以前は気づかなかったんですが、マンジが私の鮮やかなオレンジ色の御朱印帳の表紙にマンジが書かれていたからです。

もちろん私はそれらがマンジであることを知ってましたし、他の人々もそれをマンジであることに気づくはずだと思ってました。ただそれに気づかない人々、つまりそれをナチスのスワスチカと勘違いする人の場合はどうなんでしょう?

私はそれについて長時間にわたって真剣に考えました。私は写真を掲載しつつ、そこに教育的な宣伝文を書くべきなのでしょうか?それとも私はまだ会ったこともない友人や人々を、そこに説明文を添えたとしても傷つけることになるのでしょうか?それともその写真を見た瞬間にショックを受けて、何も読まずに私のことを「ネオナチのシンパだ」と勘違いすることもあるのでしょうか?

このようなことに悩んだ経験を持つのは私だけではありません。私のある友人は、自国のオーストラリアに帰った時にマンジで彩られたアイテムを持ち帰ったおかげでトラブルに陥ったことがあるからです。よって、私はその危険を知っていたわけです。

日本に来て初めてマンジを見た時に、私はそれがサンスクリット由来のものであることをわずかに知っていたにもかかわらず、一瞬ためらったことを鮮明に覚えています。しかも私は第2次世界大戦のヨーロッパ戦線について歴史について学位を持っておりましたし、9歳の頃から戦争やホロコーストに関する小説などを読む習慣をもっていたおかげで、その辺のことについては色々と知識を持っていたわけです。

正直なところ、私がそれについて萎縮するのを止めるまでけっこう時間がかかりましたし、いまだになんの説明もなしにそれだけを見ると、一瞬たじろぐ自分がいることもたしかなのです。

私の御朱印帳に関していえば、結局その写真をアップすることはやめにしました。それでもその決断が正しかったのか、私はいまだに悩んでいます。

教育(と旅)というのは、いままでの考えを打ち破ることや、新しいことを学ぶことにその肝があるわけで、泡の中に閉じこもっていたらそのようなことは起こりません。今回の場合は、その泡が三つの仏塔になるわけです。

私は自分に怒りを感じておりましたが、フェイスブックにナチスのシンボルに近い写真をアップしてそれに説明を加えるというのはかなり勇気のいることだったのです。

そのような時に、私が閲覧しているニュースのサイトに変更の話が出てきたわけです。私は国土地理院に対する変更停止の嘆願がChange.orgのサイトに上がっているのを見かけ、結局をそれを告知するためにツィッターでリツィートしたわけですが、その時の気持ちは、まだ決心がそこまで固まっていたわけではありませんでした。

それでも私がそれをリツィートしたのは、最初にそのツィートをした人が「教育が重要だ」と書いており、それを私も心の深い部分で同じように感じていたからです。

そういうことなので、日本が時間と資金を費やして地図を変更するまで、そして次の海外旅行者が来て「なんで寺の上にスワスチカがあるの?」と最初の疑問を持つようになるまで、われわれは教育を進めるべきなのです。

これについて書いている記事を広め(検索すれば豊富に出てきます)、嘆願をシェアし、本紙だけでなく様々なリソースを使って議論を始めるべきなのです。

日本に在住のみなさん、われわれはマンジが幸運のシンボルであることを知っております。そして西側における一般的な知識だけでなく、(もしその変更を阻止できれば)日本の旅行のだけでなく、滞在中に実りある知識を得ることにもつながるのです。

だからこそ、日本の文化の伝統の将来や、日本への訪問者のためにも、その事実を広めなければならないのです。

===

こういう議論は本来は日本人がやらなきゃいけないものですね。卍を残すべき理由を筋道立てて論理的に、ということです。

ただしここから逆に見えてくるのが、やはりナチスのシンボルマークに対する強烈なマイナスイメージですね。ここまで浸透していると逆に説得して教育するのは困難であるという気が。
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by masa_the_man | 2016-02-24 23:33 | 日記 | Comments(3)
今日の横浜北部はよく晴れて気温も上がりました。まるで春でしたが油断は禁物です。

さて、前回の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1455881590/https://www.youtube.com/watch?v=qZKPDyBBAXw)でも解説した、カーナビというテクノロジーが人間の脳や能力に劣化を引き起こしているとする記事の要約です。

この結論なんですが、暗い話かと思いきや、ちょっと話を拡大しながらも、意外に味のある終わり方をしていて、思わず「うまい!」と言ってしまう書き方です。

===

カーナビを信じるな?
By グレッグ・ミルナー
16-2/11 NY Times

今月のはじめにアメリカ人のノエル・サンティラン氏は、アイスランドに旅行にでかけた。空港からすぐ近くの首都レイキャビクのホテルまでレンタカーを借りたのだが、その際にカーナビを頼りに運転を始めた

数時間がたち、しかも400キロほど走った後、彼は北極圏のすぐ側のシグルフィヨルズルという北部の漁村に到着した。サンティラン氏はニュージャージー出身の28歳の販売マネージャーだが、アイスランドのメディアがこの小旅行を取り上げてから、同国内で思わぬ有名人となってしまった、

ただしカーナビの指示に従ったサンティラン氏を、われわれは単純に責めることはできない。シグルフィヨルズルという街にはLaugarvegurという名前の道があるのだが、これは彼がネットのホテル予約サイトから正確にコピペした、ホテルのあるレイキャビクの大通りの名前と同じだったからだ。

ここでの本当の問題は、なぜ彼は道路の標識を無視して、アイスランドの首都から離れる方向に走り続けたのかということだ。NYタイムズ紙によれば、サンティラン氏は長旅となったフライトのおかげで非常に疲れており、「カーナビに全幅の信頼をおいた」というのだ。

この「全幅の信頼」というのは、カーナビによって引き起こされる災難の原因を、被害者が説明する際によく使う言葉だ

たとえばオーストラリアでは、ノースストラドブローク島に行こうとして車ごと太平洋に落ちてしまった日本人旅行者がいたが、彼は「カーナビが道だと言い張るのでそれに従ったまでですよ」と証言している。イギリスのウェストヨークシャーの男性は、自分のBMWで悪路を走って崖から落ちそうになったが、警察に対して「カーナビがその小道を車が通れる道だと言い続けていたからです」と述べている。

おそらく最も有名なのは、ベルギーの女性が車で2時間以内の場所をカーナビに打ち込んだあとに、2日間走りつづけてクロアチアに到着してしまったという実話であろう。これらのエピソードは、完全な「嘲笑の対象」とはいかないまでも、それを聞いた人々に一様に「信じられない」という反応を引き起こすものだ。

スウェーデンのあるカップルが、イタリアのカプリ島に行こうとしてカーナビの指示に従って車を走らせて、最終的にカルピという街に到着した時に、イタリアの観光省の高官は「カプリは島です。彼らは橋をわたったり船に乗らなかったことを不思議に思わなかったのでしょうか?」とBBCの取材にドライに答えている。

NYのあるブログ・サイトでは、一人のドライバーがカーナビを盲信してリバーサイド・パークの階段から落ちそうになったハプニング報告されているが、このエントリーの小見出しは「GPS脳がドライバーを誤らせた」というものだった。

これだけだったらまだマシだが、悲劇につながるものもある。インディアナ州では去年「閉鎖中」の標識があるにもかかわらず、カーナビに従ってそれを無視して、橋から転落してしまったカップルの話があった。カリフォルニアの国立公園デスバレーの僻地では、カーナビに従って廃路を通って行方不明になるケースが後を絶たないが、パークレンジャーたちの間ではこれがあまりにも頻繁に起こるために「GPSによる死」と名付けられているほどだ。

去年10月には旅行者の夫婦がブラジルで撃ち殺されたが、これはカーナビに従ったために麻薬取引が行われているヤバイ通りに迷い込んでしまったためだ。

ところがこのような話を聞いて、あなたは「自分ならそんなアホなことをしない」と言い切れるだろうか?われわれのほとんどはよく知らない地域を運転する際にカーナビを使って面倒くさい道案内という作業を行わせている。

カーナビが普及しはじめたのはここ10年ほどだが、カーナビと人間の関係についての実証的な実験では、すでにわれわれが直感的に知っていたことを裏付けるような結果が出ている。

たとえばコーネル大学の研究者たちは、カーナビを使っているドライバーたちの行動を分析して、彼らが環境から「分離」していることを発見しており、「カーナビは必要とされる注意力のほとんどを消去してしまった」という結論を出している。

目的地へ到達するためのデバイスとしてのカーナビの歴史は、意外に古い。車が登場した頃から人間は自動航行システムを開発しようとしており、20世紀初頭には「ジョーンズ・ライブマップ・メーター」や「チャドウィック・ロード・ガイド」のような製品が、ハンドルやオドメーターを運転者に連携させることによって方向を指示するようなシステムを使っていた。60〜70年代には日本とアメリカで道路上のセンサーを使った交通誘導システムが実験されていたほどだ。

つまりわれわれは車を改革、つまりわれわれに「世界を見るための運搬手段」から、「世界をわれわれに見せてくれるマシーン」にしようとしてきたとも言えるのだ。

その結果としてもたらされたのが、われわれの「認知地図」(cognitive map: 1984年にカリフォルニア州立大学バークレー校の心理学教授エドワード・トールマンが有名にした言葉だ)の減少の可能性である。

トールマンは画期的な論文の中で、ネズミと迷路を使ったいくつかの実験の結果を報告しており、ネズミは2つの地点だけの空間関係を認知した単純な「進路要図」(strip map)だけでなく、迷路全体を含む包括的な「認知地図」を構成する能力を持っていると論じたのだ。

ではカーナビが普及した社会は、われわれ人間の「認知地図」を徐々に弱めるものなのだろうか?フライブルグ大学のジュリア・フランケンスティン教授によれば、カーナビの危険性は「あまりにも便利になるために、逆にわれわれが情報を記憶したり加工したりする必要に迫られることがなくなり、考えたり決定したりしなくてもよくなる点にある」という。

「われわれはAからZの地点までの道を見ることができるが、その間の目印となるものには目をくれなくなる」というのだ。これを言い換えれば、「これほど少ない情報から認知地図を発展させるのは、まるで音楽一曲を、たった数種類の音だけで表現するようなもの」なのだ。

つまりカーナビはわれわれの世界全体についての理解を「進路要図」のレベルのものだけにとどめてしまうのだ。

そして実際のところ、人間の「認知地図」が劣化する証拠は存在する。広く知られることになった2006年の研究によれば、ロンドンのタクシー運転手の複雑な空間認識を司る脳の領域は、普通の人の量よりも広いのだが、退職したタクシー運転手の同じ脳の領域は、以前ほど使われなくなったためにそのサイズが減少していることが確認されたというのだ。

その論文の共同研究者の一人であるヒューゴ・スピアーズ教授は「カーナビだけ使っている人は、いくら道路を走っていても、おそらく空間認識に使う脳の一部が減るはずです」と教えてくれた。

トールマンにとって「認知地図」という概念は、たくさんの現象に応用できる流動的なメタファーであり、それをネズミに応用したのだ。そして彼らと同じように、科学者は迷路の中を走って「進路要図」を包括的な地図につくりかえていき、彼曰く「偉大な神が与えたわれわれ人間界という迷路」についてのより正確なモデルを構築しているというのである。

彼は、その人間界という迷路の中に「追放された侵害」の例を無数に見た。たとえば「黒人のせいにする南部の貧しい白人」や「その他の学部の教授たちを批判する心理学者たち」や「ロシアを批判するアメリカ人とわれわれを批判するロシア人」などである。これらはある一定の「進路要図」の理解のレベルにあると言えるのであり、大きな図を見ることのない視野の狭い見方なのだ。

彼は「天と心理学は一体何ができるというのだろうか?私の唯一の答えは、理性の良さ、つまり広い認知地図の必要性を説くことなのだ」と書いている。カーナビは世界を「進路要図」で描くひとつの手段であるが、迷路の中を走るときにわれわれ自身を車という覆いの中に引きこもらせてしまう。

ただし今後、カーナビが(たとえアクシデントによるものであろうと)広い視点をわれわれに与えてくれた場合には、感謝すべきなのかもしれない

サンティラン氏のアクシデント的な旅に対する反応は、極めて正しいものであった。シグルフィヨルズルに到着して車を降りた時に、彼はその風景に感動して、そこに数日間滞在しようと決心したからだ。急がなくてもレイキャビクは彼を待ってくれているはずだ。

===

実に様々なことを教えてくれる、いい記事ですね。

私はここから「自分の頭で決断して考えること」の重要性を学んだような気がしましたが、「リスクをとって痛い思いをしても視界が広がる」という意味では悪くはない、という風にも言えますね。

とにかくいざという時のために、私は自分の中に眠る「動物的感覚」というものをしっかりと維持しておきたいと感じました。

そしてこれは個人だけでなく、組織や国家にも同じことが言える・・・というのはやや拡大解釈でしょうか?


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(アイスランド観光協会のHPからシグルフィヨルズルの風景)

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by masa_the_man | 2016-02-19 21:55 | 日記 | Comments(3)
今日の横浜北部は朝晴れておりましたが、昼になっていきなり曇り始めました。

さて、昨日の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1455674540/https://www.youtube.com/watch?v=biFeQKfm68o)でも触れた、特殊部隊のトピックについての元記事を要約しました。とても興味深いものです。

===

特殊部隊の時代へようこそ
By マット・ギャラガー

16-1/30 NY Times

数ヶ月前のことだが、私は妻と共にまだそれほど親しくなかった夫婦と夕食を共にした。そこで向こうの奥さんが私のイラクの経験について聞いてきた。私は現地で四年間、機甲部隊を指揮した経験があるからだ。

私は砂漠や部族政治、それに毎日直面する対反乱作戦の困難を語り始めたのたが、突然その旦那が話に割って入ってきて「特殊部隊にいるような超人的な兵士のことについて教えてくださいよ」と言ってきたのである。GIジョーではなくて「アメリカン・スナイパー」に出てくるような兵士の存在を知りたいというのだ。

彼のように聞いてくる人間は少なくない。特殊部隊についてのウワサはアメリカ国民の想像力を掻き立てるものであり、実際にこれが国民の戦争について知ろうとするきっかけとなっていることは否定できないからだ。

映画から本に至るまで、特殊部隊というのはその静かでプロフェッショナル、そして禁欲的でタフなイメージで、近年とても人気のある存在だ。暗闇の中で秘密の任務を遂行し、敵が暗視ゴーグルの中に浮かび上がってくるようなイメージはかなり単純化されたものだが、このような複雑な時代だからこそ、われわれは自分たちの英雄を浄化した形でとらえたがっているのかもしれない。

ところが特殊部隊の時代というのは、ハリウッド映画で生み出されているような大衆文化的なファンタジーを超えたものである。なぜならそれは、われわれの軍事戦略の重要な一角を占めるようになってきているからだ。

〜〜〜

先月のことだが、ホワイトハウスはアメリカ中央軍司令官にジョセフ・ヴォーテル将軍を推薦することを発表した。中央軍は中東や中央アジアの20カ国において展開される軍事作戦の指揮をしており、その20カ国にはイラク、イラン、イエメン、シリア、そしてサウジアラビアなど、われわれのいわゆる「地政学紛争」の温床が含まれるのだ。

このヴォーテル将軍は、2014年からアメリカ特殊部軍のトップを務めていた人物である。彼の中央軍司令選出は前例にないことであった。それまでは伝統的な経歴を持つ将軍たちがほぼ常にその任務についてきたからだ。軍事専門家たちは、この人事こそがオバマ政権の特殊部隊への信頼および依存のあらわれだとして評価している。

アメリカ特殊作戦軍(Socom)は、デルタ・フォース、ネイビー・シールズ、グリーンベレー、アーミー・レンジャーなど、アメリカのすべての特殊作戦部隊を統合指揮しており、隊員たちは2015年におよそ139の国々、つまり地球上の約7割の国々に派遣されている。その任務のほとんどは友好国の部隊の指揮訓練にあるが、その中のいくつかにはもちろん実際の戦闘も含まれる。

去年の12月にカーター国防長官は、下院の公聴会でISのトップを狙った襲撃をイラクで行うために「遠征的ターゲティング部隊」を送り込むと宣言している。この部隊は、すでに現地でアドバイザーやトレイナーとして活躍している、およそ3500名の部隊と合流することになる。

オバマ大統領は、この地域で「何もしない」ことと「地上部隊を派兵しないという約束をやぶらない」という間のバランスを取ろうと必死なように思える。もちろん明らかに部隊は「派兵」されているわけだが、ホワイトハウスの高官たちは最近の本紙の報道にもあったように、部隊の戦闘任務をごまかすための「言語学的なこじつけ」を行っているのである。

米軍全体は削減傾向にある中で、特殊部隊の人員の採用は増え続けている。アメリカには現在およそ7万人の特殊部隊の隊員がおり、これには兵士だけでなく、文官、州兵、そして予備役の中の人間も含まれる。

しかもこの数は2001年の4万5600人、2011年の6万1400人から増えている。それでも当時の特殊部隊軍の司令官であったウィリアム・マクレイヴン提督は、2014年に下院でたび重なる派兵によって「特殊部隊は疲弊し続けている」と述べている。それに対応する形で、米軍は昨年だけで新たに5000名もの特殊部隊の隊員を募集することを決定しているのだ。

政治的な面から言えば、この政策は効いている。特殊部隊の持つ秘密性のおかげで、われわれの戦争の重い人的コストもメディアの注目を集めていない。ところがそのおかげで、軍に関心のない国民はわれわれの国の名の下に行われている軍事的な暴力とさらに意識が乖離してしまうのだ。

この政策のおかげで、われわれは永続的に戦争を行うことができるようになってしまい、今日に至っては、それに対する関心も理解も低下し、将来はこれがさらに低下することになると予測されるのだ。

〜〜〜

特殊部隊というのは「特効薬」ではない。アメリカの警察のSWAT(特殊火器戦術部隊)が毎日街をパトロールしている警官がいないとその目的を果たせないのと同じように、その部隊も真空状態の中では効果を発揮することができないのだ。

多くの軍事専門家たちはわれわれの「対テロ」アプローチを「救急ばんそうこう」と比較して考えている。つまり、効果はあるが、その効果には明確な終わりがないのだ。

そして最近の経験から言えるのは、特殊部隊への頼りすぎは悲劇につながるということだ。1993年のソマリアでは、特殊部隊によって問題を一気に解決できるように見えたのだが、モガディシュでの戦闘が始まってしまったのだ。イラン大使館の人質事件を解決しようとした1980年の「イーグル・クロー」作戦も同様の結果となってしまった。前者はアメリカが短期的に国際介入を控えることにつながり、後者はアメリカ特殊作戦軍の創設に直接つながったのである。

古代ローマの近衛兵の「ポスト・モダン版」のような形で、われわれの特殊部隊の司令官たちはアメリカ国民の意志のために動いているわけではない。もちろん連邦議会は特殊部隊の財布を握っているのだが、個別の任務についての決定は彼らの合意を必要としないのである。それを行うのは、圧倒的に各部隊の司令官たちなのだ。

オバマ大統領はそれらの使用について慎重な姿勢を見せてきたわけだが、次の大統領はそれほど慎重ではない可能性が高い

ドラマチックな幻想を振り払って考えてみれば、特殊部隊というのは、国籍を明かさずに遠隔地に送り込まれる練度の高い戦闘部隊として機能するものだ。彼らはその機能においては最高の存在である。

ところがこのような戦略は、武力紛争の再発を保証するようなものであり、この決断の重要性から考えると、これはただ単に選ばれた少数の人間たちではなく、すべての国民が真剣に考えるべき問題なのだ。

〜〜〜

私自身が体験した特殊部隊についての経験は複雑なものだ。海外で彼らと接したことがあるが、ポジティブな経験は少なかった。イラクにおけるいわゆる「サージ」の一環として、私の率いた偵察小隊はバグダッド北部の郊外の町を1年3ヶ月ほど対反乱作戦の任務(これは軍の上層部の想定しているものとは矛盾することが多かったが)のためにパトロールしている。

2008年前半に、われわれはある農場で行われた特殊部隊の急襲の後処理をするために呼ばれた。部族の長は自分の二人の部下が「ヘリコプターに乗った別のアメリカ人たち」に間違って連行されていったと主張していた。その部族の長によれば、「別のアメリカ人」たちはその二人が兄弟であり、イラクのアルカイダのメンバーだと言っていたというのだ。

その農場でのわれわれの任務は、その男たちの家族に対してなぜ彼らが連行されたのか、そしてなぜ家が破壊され、メッカの方向を示すプラカードが壁からはがされ、急襲の合間に撃ち殺された彼らの飼い犬の死骸の前で彼らの子どもたちからの異様な視線さらされることであった。

〜〜〜

私は冒頭で紹介した夕食の席で、この話を相手夫婦には教えなかった。その代わりに私は2011年にワシントン州のタコマに行って「別のアメリカ人」たちを取材した時の話をした。

当時の私は退役したての作家になろうとしていた人間であった。大学時代の友人がレンジャー部隊に所属しており、彼らがアフガニスタンから帰ってきたばかりだったので、常に戦いの中にいる若者の姿を本の中で描いてみたいと考えて取材を申し込んだのだ。

この米陸軍の特殊部隊であるレンジャー部隊は、2002年にプロフットボールをやめて従軍したパット・ティルマンが参加したことで有名だが、ここは一種の「実験場」であり、多くの若い兵士を集めていた。

彼らは空港を奪取するための軽歩兵の精鋭部隊として構成されていたにもかかわらず、その役割を変化させつつあった。それは殺害・捕獲用の急襲がその任務となりつつあったのだ。

彼らは特殊作戦の世界における「フルバック」のような、暴力とパワーを発揮するための存在になっており、これは映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれているようなものだ。この映画の中のレンジャー部隊の幹部は、ひるむ部下に対して「われわれはゴール前の最後の5ヤードで必要とされる存在だ!」と述べていた。

私のタコマでの滞在は、レンジャー部隊の広報に現場取材を申し込んで失敗することで費やされてしまった。タコマの夜は、前線から帰ってきたばかりで次の派兵に備えようとしている、若いレンジャー部隊の集まるバーで過ごした。彼らが教えてくれたのは、3ヶ月から半年ほど派遣され、それと同じ期間をアメリカに帰ってきて過ごすという派兵サイクルで、これを何度も繰り返すというものであった。

米陸軍士官学校で英語を教えているエリザベス・サメット女史は、このような若者のことを「戦争通勤者」と呼んでいるほどだ。タコマでこの現状を見ている彼らの妻や子供たちの中には、それを「中毒」であると言い表している。もしこれが本当であり、しかもこれに当てはまるケースが少ないようであれば(実際私は少ないと見ているが)、これにはそれなりの理由がある。

私が会った多くのレンジャーたちは「ヴァンパイアのほうが派兵されている時のオレたちよりも光を見ているぞ」と冗談を言っていた。彼らについての見方は、私が現役の頃とは違ってきた。なぜなら彼らが終わりなき状態を楽しんでいるように思えてきたからだ

われわれがイラクで目撃したように、彼らは問題解決のために戦っていたわけではなかったし、その地の平和は彼らの目標ではなかったのだ。むしろ彼らの狙いは、米国本土に戻って休息することにあったのだ。もちろん私はそのような世界観には同意しなかったが、それでもそれはよく理解できた。

~~~

先週のスーパーボウルが開催された日曜日に、友人と私は昔の部下たちと一緒にテレビで試合を観戦した。彼らのほとんどはすでに退役後の生活に慣れており、妻と赤ん坊のおむつの取り換えを行ったり、昔の戦場で経験した話を交わしていた。

大人たちは試合を観戦している合間に子供たちは自分たちの背丈もあるほどの大きさのおもちゃの銃を抱えて走り回っていた。彼らの遊びは「カウボーイ対インディアン」ではなくて「レンジャー対レンジャー」であった。みんなが自分の父親のようになりたかったようであり、誰もアルカイダのジハード主義者の役をやりたがっていなかった。

2011年に私がバーに招き入れた若いレンジャーは、おそらくすでに立派な軍曹になっているはずだ。そして当時会った軍曹たちは、すでにレンジャー中隊全体を指揮していたり、デルタ・フォースのようなより秘匿性の高い部隊に移動している。

彼らは自分の国に知られない無名の存在のまま活動しているのであり、この理由は、単にペンタゴンのボスの望みというだけでなく、われわれアメリカ国民こそがそのような存在を望んでいるからだ

これはまさに「別のアメリカ人」である。

===

政治の道具としての軍隊という部分が強調されておりますが、とりわけオバマ政権では中東からの撤退とあいまって「使いやすい存在」になっているわけですね。

とてもクラウゼヴィッツ的というか、考えさせられる記事でした。


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by masa_the_man | 2016-02-17 13:13 | 日記 | Comments(0)

新報道2001に出演します

お知らせです。

2月14日(日)の朝07:30〜08:55の報道番組である「新報道2001」(フジテレビ系)にVTRで出演することになりました。

VTRだけの出演なので、先ほどお台場のフジテレビ本社ですでに収録は終えてきたわけですが、おそらく私の出番はほんの数分程度だと思っております。

まさか私のようなヤバイ学問をやっている人間が地上波の番組に出れるとは思いませんでしたが、ご興味のある方はぜひご覧ください。

以下は番組の説明です。

====

2月14日(日) 7:30~8:55
新報道2001
北ミサイル発射の衝撃各国のホンネと戦略▽アベノミクス正念場…円高株安で暮らしは?

放送内容詳細
14日の「新報道2001」。北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルを発射してから1週間。日本は独自の制裁を決定したが、中国は制裁に慎重で、日米韓との温度差は埋まらない。中国の北朝鮮に対する本音は何なのか。また、米東海岸に到達可能とみられるミサイルの開発に、米国はどう対応するのか。韓国・ロシアも含め、朝鮮半島をめぐる各国の思惑と今後の戦略を読み解く。一方、日銀が史上初の「マイナス金利」政策に踏み切ったが、市場では、急激な円高進行や株価下落で動揺が続いている。アベノミクスに逆風の吹く中、日本経済は、そして、私たちの暮らしはどうなるのか、議論する。出演は、萩生田光一内閣官房副長官、拓殖大学特任教授・武貞秀士氏、拓殖大学客員教授・石平氏、日本総合研究所理事長・高橋進氏、日本総合研究所主席研究員・藻谷浩介氏、予備校講師・茂木誠氏。


以上です。

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by masa_the_man | 2016-02-13 21:37 | 日記 | Comments(1)

傷つきやすい中国の人民

今日の横浜北部はまたしてもよく晴れております。

さて、前回の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1455102138)でも触れた、イギリスのエコノミスト誌による、中国人民の「傷つきやすい感情」について調べてみたという内容の、皮肉のスパイスが良く効いた記事の要約です。

===

可哀想な中国:あんなに巨大でとんでもなく傷つきやすい
16-2/6 The Economist

●今年の1月のことだが、スウェーデン人のピーター・ダーリン氏が北京で逮捕された後にテレビで「私は中国人民の気持ちを傷つけてしまいました」と公開で「告白」をしている。

●この告白にはいくつかの不穏な側面がある。それは、北京で法律事務所を運営していたダーリン氏(彼は後に国外追放となった)に圧力がかけられていたことも含まれる。ただ、北京政府はなぜこのような言葉を彼に言わせたのだろうか?

●もちろん中国以外の国、とりわけ独裁的な国も、その国民の感情の状態について怒りを表すのを好む場合が多い。ところが中国はこのような「正義の怒り」を表現することにかけては世界をリードする存在だ。

●香港大学の中国メディアセンターのディヴィッド・バンダルスキーは、中国共産党の代弁機関である人民日報に書かれた「中国の人民の気持ちを傷つけた」という言葉を調査し、それが1959年から143回使われたことを突き詰めている。この言葉は、この年にインドとの国境紛争の時に共産党がインドを非難する際に使われたのが最初である。

●それ以降で最も中国にこの言葉で非難を受けた国は、51回で日本が1位、そして35回のアメリカが2位だ。

●ところがその言葉を受ける国は、何も隣国やライバル国である必要はない。小さなカリブ海に浮かぶ島国であるセントルシアは、2007年に台湾と国交を回復したおかげで、中国の13億人の気持ちを傷つけることになったのだ。ただし中国人のうちの何人がこの国の名前を聞いたことがあるのかについては不明である。

●他にも例はある。1970年代に毛沢東に対して無礼を働いたアルバニアや、1982年にテニス選手がアメリカに亡命した時、そして1999年のベルグラードの中国大使館に対する誤爆事件でも、中国人民の気持ちは傷ついたのだ。

●ところがこの調査によって判明したのは、中国の人民はとくに以下の3つのことによって傷つくということだ。一つは台湾に対して友好的な態度をとること(28回)、もう一つはチベットの苦境に同情を示すこと(12回)、そして第二次世界大戦の結果を受け容れないこと(日本によって多数回)である。

●奇妙なことに、 中国の人権侵害についての不満の表明はほとんど無視されており、人民日報はこれに関する問題で「傷ついた」と表記したのは、たった2回だけである。

●人民の怒りというのは、それが本物かどうかはさておき、極めて「使える」ツールである。なぜならこれによって、中国共産党は他国の国内問題への不介入の原則を無視することができることになるからだ。たとえば中国共産党は、日本の政治家たちが戦犯を含む人々が祀られている靖国神社を参拝すると非難するのだが、党自身は人民たちに自ら感情を表現させることはほとんどないのだ。

●ところが彼らは「人民の自発的な感情表現は党の支配体制に対する脅威である」と考えており、その支配体制を失うことは本当に傷つくはずだからだ。

===

中国の偉大な人民は傷つきやすいんですね。優しく扱わないとダメ、ということです。

この記事が本当であれば、一番中国の人民が傷つくのは、

日本の首相が靖国神社にダライ・ラマを呼んで、台湾の独立を話合う

ということになるんでしょうか。たしかにこれだと人民はボロボロに・・・・


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by masa_the_man | 2016-02-11 12:30 | 日記 | Comments(3)
今日の横浜北部はまたしても快晴ですが、寒さはだいぶ和らぎました。

さて、昨日の放送(http://www.nicovideo.jp/watch/1455072557/http://www.nicovideo.jp/watch/1455072319)でも20分ほどかけて長々と紹介した通り、ウォルトがブログで今回のアメリカの大統領選挙で当選しそうな5大候補の対外政策をそれぞれ比較しておりまして、なかなか参考になります。よってその記事の要約を。

===

五大候補者たちと、2016年の対外政策の悲しむべき状態
by スティーブン・ウォルト

「今年の大統領選挙はアメリカの対外政策にとってどのような意味を持つことになるだろうか?」私はこの質問に答えることを避けてきたのだが、その理由は今回の選挙戦全般に落胆しているからだ。これはドナルド・トランプという存在だけでなく、その選挙戦に多額の資金と一年以上の時間をつぎ込んで新しいリーダーを選び、メディアが意識調査の結果や討論会に一喜一憂しているからである。

他の先進国ではこのようなことは行われていない。たとえばカナダはその歴史で最長の選挙戦が行われたが、それでも78日間である。羨ましいことだ。正直なところ、私は本当に必要になるまでこのどんちゃん騒ぎに加わりたいとは思っていなかったのだ。

私がこの文章を書いている時点で、アイオワ州の有権者たちはこのホワイトハウスへのすでに長期化した選挙戦にとっての最初の一票を投じている。みなさんがこれをお読みの頃はすでに結果が出ているだろうし、アメリカ全土の意志を反映することのない農業中心の州のごく一部の有権者たちの票が一体何を意味するのかについて多くのことが山のように書かれているはずだ。

それでも現在までに判明していることはいくつかある。それは、ベン・カーソン、マーティン・オメイリー、クリス・クリスティー、ランド・ポール、カーリー・フィオリナ、そしてジェブ・ブッシュは次の大統領にはならないということであり、ニューヨーク・タイムズ紙が最近ジョン・ケーシックを共和党側の候補として支持を表明したが、これは彼の予備選での勝利にはつながらないということだ。

では、残りの候補者たちについてわれわれが知っているのは一体どのようなことであり、彼らがもし大統領に選ばれた場合に、どのような対外政策がとられることになると予測できるのだろうか?

~~~

▼ヒラリー・クリントン
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(公式HPより)
まず最初に最もわかりやすい例から行ってみよう。ヒラリー・クリントン候補の対外政策についての考えはたまに揺らぐことがあるが(たとえばTPPについての便乗的な否定的見解など)、その根本的なところはすでに明確であり、知られすぎているとも言えるほどだ。

彼女は元大統領夫人であるだけでなく、上院議員を2度も務めた人間だが、何よりもありがたいことに国務長官を4年も務めている。彼女の対外政策アドバイザーたちは知識も経験もある信頼度の高い対外政策のプロたちによって占められている。つまり彼女とそのアドバイザーたちは、対外政策において斬新な政策をとるとは到底思えないわけであり、この事実こそが、選挙後の変化をおそれる外国政府にとっての安心材料だ。

クリントンの対外政策はオバマ大統領のものとほとんど同じに見えるだろうが、タカ派な面は決定的に強まるはずだ。上院議員時代の彼女は繰り返し軍事力の行使を賛成(イラクも含む)したし、国務長官としてはアフガニスタンへの増派(サージ)や無謀なカダフィ大佐の排除も支持している。ウクライナにおけるロシアの強力な反応に対応できなかったのは、彼女が率いていた国務省だったのであり、もし彼女のアドバイスが受けいられていれば、今日のアメリカはシリアでさらに深い泥沼にはまっていただろう。

したがって、クリントン政権にも問題はあるだろうが、あなたが対外政策で大きな変化を望んでおらず、政府の動かし方をよく知っている対外政策チームを望んでいるのであれば、彼女は候補者として最適であろう。

最も心配なのは、クリントンと彼女のアドバイザーたちが、冷戦後から追求しているいつもの「リベラル覇権」の戦略を真剣に行おうとしていることだ。この世界観では、アメリカのリーダーシップは「かけがえのないもの」となっており、アメリカ政府が直せない国際的な問題は一つもないことになり、他国も国益を追求していることや、アメリカが影響力を行使するのを快く思っていない国があることを忘れることが多くなるのだ。

アメリカ人には「グローバルなリーダーシップ」を自分たちが生まれながら持った権利だと考えたがる傾向があるが、93年以降のアメリカの歴史を見てみると、よくてもその結果は半々といったところだ。現在の世界は、リベラルの覇権が頂点に達していた1990年代の頃とは非常に異なっており、アメリカの古いやり方はもうそれほど通用しなくなってきている。

もしあなたが中東、欧州、アジア、そしてアフリカの問題に対して、言い古された真理ではなく本物の創造性が必要だと考えるのであれば、クリントン候補のベテランアドバイザーたちは望ましい候補とはいえないだろう。

▼ドナルド・トランプ 
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(公式HPより)
ドレズナーの考えとはおそらく違って、ドナルド・トランプはリアリストたちにとって好ましい候補ではない。トランプはリアリストではなく、土着主義の外国人嫌いであり、攻撃的な大言壮語を吐くことによって人気を得ただけで、リアリストたちが支持できるような存在ではない。

リアリズムは明確な戦略の必要性を強調し、敵をいたずらに増やすことを警戒し、強力な国家でも他国と協力せざるを得ないし、複雑な問題には単純な解決法はほとんどないことを認識している。リアリストはたしかにトランプ候補のように企業からの利得の分配には懸念を抱いているが、私が知る限り、リアリストで比較的オープンな貿易環境に反対する人はいないし、中国に対して高い関税をかけるのを賛成したり、移民排斥のために高い壁を建設するのを支持する人もいない。

また、リアリストはトランプ氏が行っているようなイスラム教非難はアメリカの国益にとって有害となっていることや、ISのような集団にとって逆に得になっていることを理解しているのだ。

リアリズムは競争的な世界における「能力の高さ」を重視しており、何度も破産を経験し、マーケットにおけるリターンが常に少ない投資しかできていないビジネスマンに大国の対外政策の管理を任せるのは危険であると考えているのだ。

ただし本当に心配なのは、トランプの対外政策が一体どのようなものになるのか誰も知らない、という点にある。われわれはこの分野で彼が誰にアドバイスを受けているのかを知らないし(というかそもそも誰にも受けていないかもしれない)、彼がどのような本を読んでいるのか知らないし、彼が現代の外交というものを理解しているのか、そして本物の戦争はどのように行われているのかを知らないのだ。

もちろん彼が共和党の候補者となれば、多くの対外政策の専門家たちがワシントンでの職を求めて彼のもとに集合することは目に見えている。しかしわれわれは彼が誰を採用するのか知る由もないのだ。彼は「本当に素晴らしい人々」を選ぶと言ってはいるのだが、その採用基準は一体どのようなものになるというのだろうか?

トランプ候補の言葉とは裏腹に、アメリカの大統領というのは国際的な取引を自ら担当して交渉するわけではない。よって、トランプ政権というのはまだ全く謎の存在なのであり、私はそのような壮大な社会実験に参加したいとは思っていない

▼テッド・クルーズ
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(公式HPより)
自ら所属する党にこれほど嫌われ、しかも上院では共和党だけでなく民主党の議員にさえ嫌われている候補についてどうコメントすればいいのだろう?もしクルーズ政権になれば、ブッシュ前大統領式の「単独行動主義」はクウェイカー派の人々のような平和主義的なものに映るはずだ。

ウィンストン・チャーチルがジョン・フォスター・ダレスについて評したように、クルーズは「自分の陶器の店を運んでいる闘牛」のようなものであろう。もしあなたが「オバマ大統領が世界で最も人気のある大統領である」という現状に不満であれば、クルーズは確実にその問題を解決してくれるはずだ。不思議なのは、キリスト教徒らしくない「怒り」を体現している人間が、なぜここまで福音派の人々に支持を得ているのかということである

クルーズの選対本部では対外政策の優先順位は高くないが、この点については他の共和党の候補者たちのオバマ政権の「弱腰」や国防の強化、それに移民政策への反対などと、あまり変わりはない。

クルーズは政権についたらイランとの核合意をすぐに破棄すると約束しているが、これは彼がイランの核計画が再開されることや、その合意を支持した国々を裏切ることも厭わないということだ。おそらく彼はイランに対して絨毯爆撃をしかければすべてが解決すると考えているのだろうが(もちろん解決するわけがないが)、もしトランプが「何をするかわからないので心配な存在」であるとすれば、クルーズは「何をするのかわかりやすいという意味で心配な存在」である。

クルーズの主張で一つだけ興味深いのは、彼が国家建設を嫌っていてシリアの反政府勢力に武器を渡すのに反対していることだ。ここにわずかな希望が見えるが、これは彼の世界に対する戦闘的なアプローチとは咬み合わない部分だ。

そしてトランプと同様に、われわれはクルーズが安全保障・対外政策の官僚を動かすために誰を雇うのかを知らないのだ。彼の主要対外政策アドバイザーは美術史の学位を持っている人物なので、少なくともわれわれはクルーズが大統領に選ばれた暁には「彩り」のある対外政策を期待することができるだろう。

▼バーニー・サンダース
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(公式HPより)
たしかに彼は2003年にイラク侵攻に反対したという意味で素晴らしい判断力を見せているが、サンダースの選挙運動において争点となっているのは対外政策ではない

ただし彼は単なる平和主義のハト派ではなく、F-35のような武器開発には同意したし、何度も軍事力の使用については賛成している。ところがアジア、アフリカ、難民危機、そして対ロシアなど、対外政策で具体的に何をするかはまだ謎のままだ。

ある意味で、サンダースの選挙戦は1992年のビル・クリントンの時と奇妙なほど似ている部分がある。ブッシュ(父)は第一次湾岸戦争で勝利をおさめ、しかも共産主義体制の崩壊の後処理を管理できたために対外政策で力を発揮できたわけであるが、クリントンが出てきてアメリカ国民に対して「経済だアホ」と言って本当に重要なことを見失っていると暗示したのだ。

ただし、クリントンはウォール街とグローバル化を賞賛しつつも、サンダースは大企業のエリートたちが自分たちの利益のためにシステムをつくりかえていて、その残りクズだけをそれ以外のアメリカに分配していると考えているのだ。このようなことから、彼が民主党の上層部を緊張させ、金融産業で働く気のない若いアメリカ人たちが吸い寄せられるのはよくわかる。

サンダースにとって対外政策というのは、主に「補足」程度の意味しかない。彼は理想主義的な対外政策の実現のために多額の資金をばらまいたりするようなことはないし、アメリカに直接脅威を与えてこないような国とわざわざ戦うこともないだろう。これは賢明な姿勢だ。

ところがそれ以外の対外政策の大きな問題について、彼がどのような方針を持っていて、それに対してどのような手段で対応しようとするのかは謎である。彼の独特のカリスマとこれまでの予想外の成功にもかかわらず、彼がそれをわれわれに見せてくれるチャンスはないだろうと私は見ている

▼マルコ・ルビオ
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(公式HPより)
もしイラク侵攻は素晴らしいアイディアであり、世界をコントロールするには少しのやる気と勇ましいスローガンが必要なだけだと考えているのなら、ルビオはあなたにとっての最適な候補である。

マルコ・ルビオの政治キャリアは強固なネオコンの信念を持った支援者たち(ポール・シンガー、ノーマン・ブラマン、そしてシェルドン・エイデルソン)によって支えられてきており、ブッシュ政権でアメリカを大災害に導いた「新しいアメリカの世紀プロジェクト」(PNAC)の周辺の人々にアドバイスを受けているという報告もある。ルビオの選挙用のホームページを開けてみると、「新しいアメリカの世紀への準備はできているか?」という驚くほど時代遅れの言葉が最初に現れるのだ。どこかで聞いたことがある言葉ではないか?

したがって、ルビオの対外政策の政策案が昔のウィークリー・スタンダード誌の記事のような調子で書かれていたり、ニューヨーク・タイムズ紙のネオコンであるディビッド・ブルックスがルビオの良さを売り込むコラムを続けているのは驚くべきことではないのだ。

私は、ネオコンたちがルビオを気に入ったのはブッシュやペイリン候補の時と同じで、自分たちの思い通りに操れる無知な人形であり、彼らの極端な世界観に引き込むことができると考えたからではないかと疑っている。もちろんジェブ・ブッシュにも自分の兄に仕えたネオコンのアドバイザーが何人かついているが、彼の選挙戦はうまく行っていないし、すでに信頼の落ちたPNACの世界観を完全に受け入れてくれるのはルビオだけのように見えるのだ。

ルビオはアメリカが劇的に弱体化していると考えており(まだ世界一の経済大国であり、国防費も以下の10数カ国を合わせたものよりも多いのだが)、この低下を止めて「アメリカの強さ」を復興させることを約束している。ところが彼は、減税と同時に「ワシントンの浪費」を統制したいらしい。つまり彼は、共和党がレーガン以来使っている怪しい矛盾した選挙公約を掲げているということだ。

ルビオは自由の推進には積極的であると言いながら(テロ対策から自由の制限を認める)「愛国法」を好み、国家安全保障局があなたの携帯電話をのぞき見するのを許そうとしている。また、彼はわれわれが直面している最大の脅威がイラン(経済規模はアメリカの12分の1で国防費はそれ以下だ)であると考えているようであり、中東における過激主義に対する解決法は「過激なイスラム教」と呼ぶことであるとしているようなのだ。しかもそれ以外の彼の対IS政策はオバマのものとほとんど変わらない

また、彼は中国との強い経済的結びつきを維持することを約束しながら、その人権侵害には意見を述べつつ、TPP合意(これもオバマ政権の成果だ)を履行し、中国のサイバー攻撃をやめさせることを宣言している。そしてここで唯一欠けているのは、このような矛盾した目標をどのように実現するのかという手法についての話である。

まとめると、ルビオ政権になれば、アメリカはネオコンの悲劇的な実験から何も学ばなかったことを証明することになる。もし11月に彼が選ばれるようなことになれば、アメリカは歴史が与えた罰を受けることになるだろう。

~~~

ここまでお読みになったみなさんは、私が今年の大統領選をどれほど悲観しているのかがおわかりいただけると思う。

ただし良い知らせがある。それは、どの大統領も自分だけで対外政策を遂行するわけではないということだ。そして選挙中に彼らが言ったことは政権に入ってから行うこととかなり異なることが多いのである。たとえば2000年に大統領選を戦っていたジョージ・W・ブッシュは「つつましい」対外政策を約束しており、その前のクリントン政権を「国家建設」をやりすぎであると批判していた。ところが911事件後の彼の政策は、選挙中に示されたものとは正反対だったのである。

同様に、多くの人々はオバマ大統領が左翼的な対外政策(MoveOn.orgによる大戦略)を実行すると考えていたが、無人機を多く使用するようになり、グアンタナモ収容所は閉鎖せず、特殊部隊を活用し、アフガニスタンでの戦いを激化させ、2012年にミット・ロムニーが右から批判することを不可能にしてしまったのだ。

さらにいえば、次の大統領が誰になろうとも、彼もしくは彼女は、国家安全保障関係の官僚たちから選挙中に言いふらしていたお伽話と実際の世界の現実は違うということをさかんに聞かされることになる。

オバマ大統領は、政権を担当し始める前にそのような集中ブリーフィングを受けさせられており、トランプのようなエゴの強い人間でも、経験豊富な官僚たちの説明には耳を傾けざるを得なくなるはずだ。そしてトランプやクルーズが納得しなくても、その馬鹿げた政策の追求に対して、官僚組織はその決定を遅めたり妨害したり阻害したり弱めたりするような手段をいくつも持っているのだ。

そうなると「そもそも選挙をする意味があるのか」という疑問も出てくるのだが、もちろん意味はある。アメリカはいまだに世界最強の国であり、ホワイトハウスの執務室に座る人物は、それが誰であれ自分が指名した人々に対して、そして自分が決定した案件について大きな影響力を持つのである。

そして今回の選挙を考えた時に私を最も悲しませるのは、新たな聡明なリーダーが出てきて現在のわれわれの直面している問題に対して明晰な解決法を示して興奮させられるのではなく、対外政策のエスタブリッシュメントの人々に様々な候補者たちの最悪の思いつきをなんとか抑えこんで欲しいと願うだけの自分になってしまっていることなのだ。

2016年の大統領選へようこそ!残りはあと10ヶ月だけだ。

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結局最後は「官僚組織の力に押し切られてそんなに過激なものにはならないのでは?」というところは確かにそのとおりですね。

ウォルトの目論見とは違ってサンダースがニューハンプシャー州の民主党の予備選で勝ちましたが、まだ先はわかりませんね。




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by masa_the_man | 2016-02-10 11:53 | 日記 | Comments(1)
今日の横浜北部はまたしても朝からよく晴れてますが、寒さがキツイです。

さて、お知らせです。

本日発売の週刊ダイヤモンドの「地政学超入門」の特集記事の中で、私のインタビューによって構成された記事が掲載されておりますのでそのご紹介を。
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もちろんトップは作家の佐藤優さんのインタビュー記事による地政学解説なのですが、私が記者さんから取材を受けてできた記事はそのすぐあとの二番目の記事です。

残念ながら私の名前は一度しか出てこないのですが(苦笑)、なぜか「戦略の階層」も取り上げられております。

駅の売店などで大々的に売られておりますのでぜひ。
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by masa_the_man | 2016-02-08 12:06 | おススメの本 | Comments(2)
今日の横浜北部は曇るかとおもいきやけっこうスッキリ晴れました。明日からまた冷え込むみたいですが。

さて、連日のリアリスト関連の話をさらに進めます。今回はタフツ大学フレッチャースクールの変人、ダニエル・ドレズナーによるリアリスト論です。

彼はもともと経済制裁関連の分野で有名ですが、日本では『ゾンビ襲来: 国際政治理論で、その日に備える』というゾンビ映画を元にした国際関係論の入門書が翻訳されてますね。

このドレズナー、ウォルトのようなリアリストたちに向かって「トランプにアドバイスするチャンスだぞ!」と書いております。その要約を。

===

リアリストたちはトランプ支持?
by ダニエル・ドレズナー

●ここ数週間に私のコラムでは、アメリカの対外政策についての学者のリアリストたちやドナルド・トランプの姿勢について少々手厳しい批判をしている。

●私は、リアリストたちが対外政策への影響力の少なさを嘆きすぎであると論じ、トランプ側は明確な対外政策アドバイザーがいないのにもかかわらず嘆きすぎだと論じてきたが、先週末にブルームバーグのコラムニストがトランプの対外政策チームについて報告しはじめてから、この二つの問題が関係していることが明らかになってきた。

●この報告によれば、トランプはたしかに何人かの対外政策分野の人間と話をしたようである。その人物は、ハーバード大卒の歴史家であるダニエル・パイプス、イスラエルの国連大使であるダニー・ディトン、そしてアメリカ国防情報局元局長のマイケル・フリンなどだ。

●余談だが、この記事では、トランプの政策アドバイザーであるサム・クロヴィスがトランプとまったく同じような口調で語っていることがわかったことも面白い。

●とにかくここで重要なのは、トランプと彼のアドバイザーたちが自らを「冷酷なリアリスト」と考えている、ということだ。

●たしかにトランプの狭い「国益」という定義には、民主制の推進や人道介入、虐殺から人々を保護する責任、そして海外での人権推進などは含まれない。トランプはもちろん経済関与が長期的に政治の自由化につながると考えているのだが、アメリカ政府が人命や血税を使ってまで他国のシステムを変えようとしてはいけないと考えているのだ。

●政策アドバイザーのクロヴィスによれば「これは長期戦であり、短期戦ではない」というのだ。彼はネオコンを「侵攻してイラク崩壊の三週間後に立憲民主制度の国をつくれると勘違いしていた」と非難している。

●トランプの選対本部の人間は、このアプローチを実際的で現実的なものであると考えているようだ。古典的なリアリストたちのように、トランプは国際機関や非国家アクターではなく、国家や政府と交渉しようと考えているのだ。アドバイザーたちによれば、だからこそ彼は絶対的な権力を行使している強力な国家のリーダーたちを賞賛しているように見えるというのだ。

●トランプは、プーチンをはじめとする独裁者たちが、ビジネスにおけるCEOたちと同じように組織のために戦っていると見なしているのだ。

これはジョン・ミアシャイマーやスティーブン・ウォルト、それにバリー・ポーゼンのような尊敬されるリアリストの学者たちにも賛同してもらえるような考えではないだろうか?もし彼らが知的に正直であれば、それに賛同するはずだ。

●トランプのチームはアメリカの対外政策において、リアリストたちの好むような感覚を共有している。それは①海外でアメリカの人命と血税を使用することに慎重であること、②他国を「パワーとして定義される利益を最大化しようとする、合理的で統一されたアクター」と想定すること、③アメリカの価値観を輸出することに対して慎重なこと、そして④ネオコンの世界に対するアプローチに対する深い軽蔑心、である。

トム・ライトの記事のおかげで、トランプ候補が⑤大国政治における「相対的パワーの獲得」という感覚を強く持っていることを匂わせていることが判明しているが、これもリアリストのチェックリストにかなうものだ。そしてトランプの発言の多くも、アメリカのこの理論に対する態度と近いものだ。

●ここで学者のリアリストたちに対する私の疑問が出てくる。リアリズムが脇に追いやられているとする数々の批判はあるが、今回の共和党の大統領候補のトップを走っているトランプ候補は、発展途上のリアリストなのだ

●彼は明らかにマルコ・ルビオやヒラリー・クリントンなどよりもはるかに「リアリスト」的である。ところが彼がどこまで政策的にリアリズムに本腰なのかはわからない。よって、これはリアリストたちにとって自分のアイディアを売り込み、公的にトランプ支持を表明する最高のタイミングではないだろうか?

●もちろん彼は完璧なリアリストではないが、そのような候補者はそもそもこの世に初めから存在しない(これは完璧なネオコンやリベラル国際主義者が存在しないのと一緒だ)。たしかに彼は何度も議論を呼ぶようなことを言明しているが、学者のリアリストたちも議論を呼ぶコメントを表明することについては負けていないほどだ。

もしリアリストたちがアメリカの対外政策を本気で実践しようと思っているのであれば、トランプ候補ほどアドバイスするのに最適な候補はいないだろう。

●私の情報によれば、学者のリアリストたちはトランプに対して秘密裏にアドバイスしている。だがこの本質は、アイディアの売り込みや、権力に対して正直に進言するという問題でもある。

●アメリカ国民、とりわけ共和党の国民たちは、アメリカの国家安全保障について憂慮している。彼らには、トランプの発言が実際に有効な対外政策の世界観にどれほど沿ったものなのかを知る権利があるのだ。

●「自分たちの影響力が少ない」と考えている学派にとって、これは自分たちの理論の厳密かつ冷酷なロジックを情緒的な言葉を発する生身の大統領候補と結びけたり、国家や対外政策のコミュニティの双方においてその候補者に対する否定的な意識を減らすこともできるかもしれないのだ。

●これは対外政策の分野においてリアリズムが脚光をあびるチャンスである。このチャンスを学者のリアリストたちがどう活かすかが見ものである。

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うーん、これってどうなんでしょうかね。トランプみたいにアクの強い候補にアドバイスするのは学者的にもダメージが大きいのでは。

ドレズナーもそれをわかってて、あえて挑発的に書いている部分もあるのかと(苦笑

引き続きこの話題については本ブログで追いかけてみたいと思います。

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by masa_the_man | 2016-02-05 18:56 | 日記 | Comments(2)