戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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今日の目黒は朝から小雨が降っております。

さて、久しぶりに記事の要約を。オバマ政権の使っている言葉についての議論です。

===

「悪」というラベルづけの問題:ISISを「ガン」と呼んでしまうことのモラル・ハザード
By マイケル・ボイル

●ISISによるアメリカのジャーナリスト、ジェームス・フォーリー氏の「首切り処刑」は、世界中からこの反乱グループとその恐ろしい手段に対する非難を巻き起こしているが、これは当然であろう。

●ところがこれは同時に、911の連続テロの直後のパニック状態の中でアルカイダを示す際に使われた道徳判断を含んだ言葉を復活させることにもつながった。

●ブッシュ前大統領が「テロとの戦争」を「悪を行う者」たちに対するキャンペーンであると表現したことは有名だが、奇妙なことに、オバマ大統領もISISのことを、中東に広がる「21世紀に存在してはいけないガン細胞」であると表現している。

●ジョン・ケリー国務長官もISISのことを「残忍」で「価値の無い悪」であると非難。イギリスのキャメロン首相もこのグループのことを「野蛮である」と呼んでいる。

●もちろんISISがイラクやシリアにおいて無数の人権侵害や、フォーリー氏の処刑のように戦争犯罪のようなことを犯しているのは間違いない。

●少しでも良心のある人間であれば、フォーリー氏に行なわれたことだけでなく、イラクやシリアの一般市民が殺されたりレイプされたり、さらには生き埋めにされたりしていることに対して、激しい嫌悪感を覚えるはずだ。

●ところが「テロとの戦争」の教訓として挙げられることが一つあるとすれば、それは「その道徳的な言葉を使用した人間にその結末を見えなくしてしまう効果がある」ということだ。

●つまりあるグループのことを、ケリー国務長官のように「理解し難い」とか「無政府主義的だ」と言い切ってしまえば、そのグループの戦略的な狙いを見えなくしてしまい、さらなる分析を不可能にしてしまうのだ。このようなレトリックは、敵のことを勘違いして理解させてしまい、大きな失敗につながることもある。

●911事件の後、ブッシュ政権は繰り返し「悪と善」という言葉をアルカイダに対して使っているが、これは逆に相手にとって直接利益になっていた。なぜなら彼らは「自分たちはキリスト教の西洋に対して戦っており、アメリカはイスラム教徒の土地を侵略する意図を持っている」と喧伝していたからだ。

●ブッシュ氏のイスラム過激派に対する「十字軍」は、イラクを占領したこともあって、アルカイダ側の資金集めや人材集めに有利に働き、このグループを十年近くも存続させることになった。

●このような道徳的観念が込められた恐ろしいほどの単純化というのは、ここではとりわけ重要である。なぜならISISは単なる「新しいタイプのアルカイダ」ではないからだ。シリアの内戦から出てきたISISはより洗練され、実際の戦闘にも強く、領土を獲得する効果的なプランを持つ、野心的な組織として登場してきた存在だ。

●カリフ国をつくる夢が単なる誇大妄想に近いアルカイダとは違って、ISISは実際にシリアとイラクの中の大きな領土を占拠しており、自分たちの主張する「イスラム国」の中で社会サービスを行い、イスラム教の律令にもとづく初歩的な司法裁判システムも持っているのだ。

●いいかえれば、ISISは中東全域を制覇したい革命的テロリストのムーブメントというよりは、むしろテーブルに自分たちの席を確保したい、成功した反乱グループなのである。アルカイダのリーダー層が今年の2月にISISを追い出した理由は、まさにこの根本的な戦略や戦術の違いにあるのだ。

ISISを、単なる「アルカイダ式の悪である」として描き出してしまうと、これらの違いや、ISISの戦略や、資金源、支持基盤などの違いから目を外らせることになってしまう

●また、このような道徳的なレトリックは、このようなグループの目的ではなく、彼らの戦術をベースにした定義を行ってしまうという間違いにもつながる。

●たしかにこのグループの行動には衝撃を受けるところはあるが、われわれの目的は常に「敵を知ること」であるべきなのだ。つまり今回のケースでは、特定の戦略的な目標を持った、かなり高度に組織化された反乱グループの実態を知らなければならないのだ。

彼らの実態を知るという部分はとりわけ重要である。なぜなら「悪」という言葉を使って論じてしまうと、この脅威を止めるためであればどのような手段でも許されるということになってしまうという怪しい状態に陥ってしまうからだ。

●今週に入ってからケリー国務長官はISISのことを「破壊されるべき存在であり、つぶされる運命にある」ということをツイッターに書いていた。ところがアメリカは「悪を行う者」たちに対する戦いによってはじめられた十年以上におよぶ戦争の莫大なコストや評判の欠落からまだ完全には立ち直っていないのだ。

●このような理由から、オバマ政権は何も考えずにISISという「ガン細胞」を「破壊する」というような言葉を、それが本当に意味することを熟慮せずに使わないよう注意すべきである。

●これらの道徳的な言葉によって生まれた戦略の迷走はすでに目立っており、これはすでに人道的災害を阻止するために行なわれた空爆が、段々とISISに対する巻き返しや、さらにはその打倒にまでシフトしてきていることからも見てとれる

●オバマ政権は、フォーリー氏の「処刑」やISISのその他の悪行に対する嫌悪感がそのまま無計画な終わりなき紛争につながらないよう用心しなければならない。

●「善悪」に関する言葉はたしかに敵味方を明確にしてくれるという意味では気休めにはなるが、それが「良い政策」を生み出すことは、絶対とはいわないが、ほとんどないのだ。

===

いい記事ですね。ただしこれを鵜呑みにするのも問題かと。

というのも、政治では「大衆」を動かすためにはある程度の「わかりやすさ」や「単純化」というものが必要であり、実態の細かい分析や相手の正確な理解とのバランスが、それこそ政治の「永遠のテーマ」となっているからであります。

上の記事の分析はたしかに正しいです。

しかしそれだけでは政治の「術」の部分が逆に理解できなくなってしまうという矛盾があることも、われわれは知っておくべきなのかもしれません。

昨日の生放送でこのトピックについて触れております。タイムシフトで見ることができますので、まだご覧になっていない方はぜひ。



奥山真司のアメリカ通信LIVE


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奥山真司のアメリカ通信LIVE

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by masa_the_man | 2014-08-27 12:01 | 日記 | Comments(14)
お知らせです。

本日発売の季刊誌「文藝春秋スペシャル」の中で、私がルトワックにインタビューを行った記事が掲載されております。

本屋にお立ち寄りの際にはぜひご覧ください。

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“世界三大戦略家”が予言、牙をむいた大国の運命
それでも中国は自滅を止められない
エドワード・ルトワック(インタビュー・構成 奥山真司)

ちなみに本インタビューの読みどころや、編集上過激すぎてカットされた部分などについて、今夜9時開始の特番生放送でじっくり語ります。

こちらのほうもぜひお楽しみに。



奥山真司のアメリカ通信LIVE


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by masa_the_man | 2014-08-27 09:58 | 日記 | Comments(1)
今日の甲州は雲が多めですが、朝からなんとなく蒸し暑いです。

さて、非常にたくさんの方からご応募いただいた10月発売予定のカプラン本のタイトルの候補ですが、先ほどで募集を締め切りました。

本当にありがとうございました。

参考までに、ご応募いただいたタイトルを以下に記しておきます。ご参考まで。

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『混乱を呼ぶアジア ~中国といかに向き合うか~』

「崩れる東南アジア -不安定になるシーレーン-」

「東南アジアが太平洋を脅かす」

「南シナ海の危機 -失われる太平洋の安定-」

「東南アジアに横たわる難問 -不安定化する南シナ海・太平洋-」

「揺れる南シナ海、荒れる太平洋 -東南アジアの安全保障を読み解く-」

「激動のアジア〜石油の来る海」

「策謀の海域〜石油の通り道を囲む国々」

「南シナ海の地政学-アジアの危機と中国の覇権の行方」

「人道主義者の海(でも暮らしの理想と現実)」

「中国の棍棒外交-我々はどう備えるべきか」

「中国の夢 - 中華思想と中華帝国」

「中華帝国と主権国家群

「南シナ海の巨龍」

「暴れまわる巨龍」

「黄禍から謳歌へ」

「中国の野望とアジアの難問」

「中国を包囲せよ-南シナ海の今-」

「台風とサイクロンー南シナ海とインド洋の荒波」

「台頭する中国 混乱するアジア」

「アジアの大釜 ― 南シナ海浪高し」

「煮えたぎる海 ― 中華帝国の海洋進出」

「平和の終わり ― 波乱の東アジア」

「アジアという名の蟲毒 ― 喰らいあう毒蟲たち」

「波間の鼎 ― 豊かな海と貧しい心」

「南シナ海と中国のモンロー主義」

「わかりやすい南シナ海問題入門」

「荒れ始めたアジアの海」

「沸騰するアジア」

「沸騰する南シナ海」

「百家争鳴の南シナ海」

「南シナ海の熱源」

「アジアの海洋学〜中国と南シナ海の危機〜」

「海洋アジアのリスク〜対立する中国と東南アジア〜」

「戦略的地政学で読む南シナ海」

「アジアの純真 -支那のパンダをどれでも全部並べて」

「アジアの覇権:南シナ海と太平洋の守護者は誰に?」

「南シナ海ー日中、米中衝突を読み解く」

「中国と南シナ海:ヘゲモンへの挑戦」

「中国”もう、なにも怖くない。”」

「ドキッ!キケンだらけの南シナ海。 ポロリもあるよ!」

「太平の海と南シナ海の終焉-中国の野望といかに対峙すべきか」

「韜光養晦の終焉―南シナ海を北京の湖に変えようとする中国の野望」

「南シナ海は中国のカリブ海か―北京のサラミ戦略に対峙するアジア海洋諸国」

「荒れ狂う南シナ海:これからの舵とりについて考える。」

「騒乱のアジア・南シナ海で今何が起きているのか?」

「海洋覇権を目論む中国と苦悩する周辺諸国」

「海洋戦国策-南シナ海編」

「南シナ海における”決定の本質”」

「南シナ海、覇権の攻防」

「中国の海洋政策と周辺国の政治対策」

「沸騰するアジア」

「沸騰するアジアー南シナ海と泰平の世の終わり」

「沸騰するアジアの海ー南シナ海と泰平の世の終わり」

『南シナ海は「北京の湖」であるー沸騰するアジアの海と泰平の世の終わり』

「南シナ海深層激流」

「南シナ海深層海流」

「緊張の南シナ海」

「南シナ海の興亡」

「南シナ海覇権ゲーム」

「南沙覇権遊戯」

『暗闘の南シナ海-中国vsアジア』

『環太平洋戦争』(注:某小説シリーズそのままです)

『南シナ海がモメるのはどう考えても中国が悪い!』 

『嵐の予感-南シナ海そして太平洋へ』

『覇王の海-南シナ海そして太平洋』

『史上最大! 太平洋横断ウルトラクイズ』

『海洋騒乱節』

『海のカーテン-海洋活動の源泉』

『南シナ海に平和を求めるのは間違っているだろうか』

『海洋これくしょん -海これ-』

『第二次太平洋戦争』

『覇龍の難問-南シナ海そして太平洋』

『海を継ぐもの-南シナ海の優しくない巨人』

『沈没する中国: なぜ海洋勢力になれないのか 』

『屠龍の国々-南シナ海そして太平洋』

「カプらんの南シナ海見聞録〜いま世界で一番アツい海〜
地政学的おすすめスポットガイド付き」

「憤怒の海 南シナ海波高し」

「南シナ海をめぐる新たな火種~忍び寄る不安定時代の到来」

「アジア海洋戦争~南シナ海をめぐる攻防とその行きつく先」

「南シナ海の焔(ほむら)~海洋資源と覇権をめぐる攻防」

「策謀の海~南シナ海とアジア諸国の行く末」

「策謀うずまく南シナ海~海洋地政学が予見するアジアの未来」

「新たな火種~南シナ海をめぐる攻防」

「アジア諸国の命運を握る海、南シナ海」

「アメリカから太平洋を奪う方法」

『南シナ海は「北京の湖」であるー沸騰するアジアの地中海と泰平の世の終わり』

『獅子の目覚め』

「荒れ狂うモンスーン-南シナ海の危機-」

「アジア交易の終焉-海洋覇権の行方-」

「東南アジアの権謀術数 ー 南シナ海が熱い!」

「南シナ海を俯瞰する ー 各国の思惑」

「南シナ海の為政者達 ー 21世紀の火薬庫」

「櫓から南シナ海を見てみよう ー 真の勝者は?」

「対立・同盟・戦略 ー 東南アジアの絶妙なバランス」

「南シナ海の勝者 ー 地政学は運命なのか」

「龍vs狐たち ー アジアの海の覇者」

「東南アジアの為政者達 ー 恐怖 陰謀 宣伝の攻防」

「俯瞰するアジア ー 不安定な南シナ海」

「アジアのリアリスト ー 中国、ベトナム、フィリピン、台湾、シンガポール」

「恐怖の一手 ー 東南アジアのプレイヤー達」

「南シナ海に映る火種 -太平洋の不安定化-」

「南シナ海を照らす火種 -太平洋の不安定化-」

「南シナ海を取り巻く火種 -太平洋の不安定化-」

「アジアの海の十字路、南シナ海」

「地政学 中国の海」

「南シナ海の覇権-夢・利益・恐怖・現実」

「中国強権統治の行方ー南シナ海から見る」

「上から目線の南シナ海入門」

「南シナ海の地政学〜まだ最悪の時ではない〜」

「あめの海に 雲の波立ち〜南シナ海の現場から」

「南海のさざ波の中で〜南シナ海の地政学」

「南シナ海の鳩を食らうもの」

「ゆく道・くる道〜南シナ海の安全保障」

「今南シナ海が熱い!〜地政学の見地から」

「アジアの大釜 動乱の南シナ海」

「アジアの大鍋 南シナ海発 動乱の時代」

「焦点!!南シナ海を争う国々」

「新たなバワーゲーム~南シナ海争覇~」

「アジアのガラ戦 -アジアは今、戦略がガラパゴス?!-」

「均衡できないアジア・風雲急を告げ続ける南シナ海」

「第二次大東亜戦争の足音」

「アジアのこれからを読もう -政治と軍事の生の声から-」

「あなたはこの先、どう読みますか? -アジアの難問と南シナ問題、政治も軍事も生の声を聴いてきました-」

「アジア国家 〜 断頭台への行進」

「薄氷を踏むアジア世界」

「アジアの未来 悪魔のシナリオ」

「リベラルアーツで読み解くアジアの未来(世紀)」

「嵐の時代へ 南シナ海と太平洋」

「悲惨な時代の始まり 南シナ海と太平洋」

「沸騰するアジア:地獄の釜が開く南シナ海と太平洋」

「進撃の中国 ~自由の海~」

「今、南シナ海で何が起きているのか」

「アジアの憂鬱~挑発される太平洋の秩序~」

「南シナ海の憂鬱~太平洋の覇権争いの行方~」

「今、南シナ海が熱い

「南シナ海問題を読み解く

「日米は、アジアの海に秩序をつくれるか

「南シナ海の暗闘」

「中国との暗闘を読み解くー南シナ海を例として」

「アジアの難問:現代のモーゼの十戒」

「水の上の平和
~南シナ海は複雑怪奇では済まされない~」

「地政学の南シナ海」

「暴走する南シナ海」

「俯瞰する南シナ海」

「20xx年の南シナ海」

「なぜ今、南シナ海なのか」

「中国が飲み込む南シナ海」

「誰が南シナ海を殺すのか」

「中国の野望:南シナ海掌握するから次は本気で太平洋取りに行くんでヨロシク」

「世界を中国人で埋め尽くすアルよ!」

「日本人)日本は法治国家です」

「中国人)中国は放置国アルよ」

「アジアの地中海ー南シナ海と中国の覇権主義」

「アジアの地中海ー南シナ海とシーレーンの危機」

「南シナ海から崩れる、パックスアメリカーナの崩壊と中国の覇権主義」

「チャイニーズ・スープ、南シナ海と太平洋」

「南シナ海の地政学」

「激動の南シナ海」

「風雲急を告げる南シナ海」

「南進する中国〜南シナ海の地政学〜」

「中国の南進〜南シナ海の地政学〜」

「アジアの苦悩: 侵されるアジアの海」

「変化する南シナ海のバランス、崩れる平和」

「崩壊した南シナ海の安定、突きつけられた難問」

「龍が南シナ海を席巻するー崩れ去った安定」

「龍の猛威ー食い止める東南アジア」

「中国が南シナ海で猛威をふるう」

「崩れ去った南シナ海の安定ーぶつかる野心」

「ロバート・カプランと奥山真司の南シナ海講座」

「21世紀アジアの宿題」

「なぜアジアは海から終わるのか!?」

「アジア危機!シーパワーの地政学」

「ASEANに忍び寄る危機 ーそれは海からやってくる」

「東アジアの平和の終わり」

「南シナ海から太平洋まで」

「太平洋が太平でなくなる日-南シナ海と西太平洋問題を考える」

「波乱を呼ぶアジア ー中国の横暴と苦悩する世界ー」

「南シナ海が中国の内海になる日」

「南シナ海が騒がしくなったわけ ~中国がいなくても衝突は起きる~」

「南シナ海争奪戦 ~各国が譲れない理由~」

「誰も譲れない南シナ海 ~各国当局がみせた本音と歴史、そして未来~」

「これから起こる南シナ海争奪戦 ~勝者は中国?それとも…~」

「南シナ海は大荒れ」

「どうなる南シナ海 ~襲いかかる中国、そのとき各国は?~」

「分けあえない南シナ海 ~中国だけじゃない、周辺国の思惑と見通し~」

「炎上する南シナ海」

「パクスアメリカーナの終焉~南シナ海から始まる動乱の時代」

「平和の終焉:中国の「牛の舌」が、南シナ海に緊張を与える」

「平和の終焉:中国の「牛の舌」に、南シナ海が震撼する」

「中国の政治・東アジアの緊張」

「カプランが描く南シナ海の未来」

「カプランの地政学入門:南シナ海編」

「中国の断末魔が、南シナ海を震撼させる」

「揺るぎない時代の終わり-太平洋新秩序を阻止せよ」

「南シナ海は天気晴朗なれども波高し」

「挑戦者の台頭-アジア太平洋は新たな君臨者を望むか」

「海洋アジア戦線・異状あり」

「海洋アジアは燃えてるか」

「オレたち花のアジア組」(副題:やられたら漁船で倍返し)

「黙海に死すアジア」

===

以上です。本当にありがとうございました!
by masa_the_man | 2014-08-25 12:25 | 日記 | Comments(2)
今日の御殿場は朝からすっかり晴れて真夏日でした。

またしても久々の更新です。ゲラ修正の仕事がたまっておりまして、自分のブログさえ見るヒマがないのはどうしたことか。

さて、今回は一昨日から一泊二日で御殿場に行ってきた話を。といっても旅行ではなく、某A省の招きによるセミナーです。

参加者は私のような人間を含めて、大学教授から他省の官僚、そしてジャーナリストまで、なかなか多種多様な陣容でした。

まずは朝8時半に市ヶ谷に集合して、9時前にバスに乗り込んで一路御殿場へ。

途中で渋滞があったのですが、なんとかギリギリで総火演の予行演習の後半部分を見学できました。
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朝方の天候は微妙だったようですが、F-2戦闘機も飛来して盛り上げておりました。

この後にすぐにセミナー会場へと移動。そこで昼飯を食べてからセミナーに入りました。テーマは大きく分けて2つありまして、火力と国際活動について。
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このようなスライドと関係者の発表を聞く途中で、国際活動教育隊の研修を見学。ここではPKOやイラクのような場での国際活動の準備のためにどのようなことをやっているのかを実際に見せてもらいました。
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地雷の展示もありました。
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個人的に興味深かったのは、基地にデモ隊が来た状況を実際に再現して訓練しているシーンを見せてもらったところです。これはイラクでのケースが相当役に立っていると思いました。
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以下は現地でも実際に使っているコマツ製の軽装甲機動車の展示。付属しているワイヤーカッターの説明を聞いた時は、戦場の現実を感じました。
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一連の訓練展示の後は識者によるパネルディスカッションなどがありまして、会場から活発な意見や質問が出されました。
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この後には懇親会を兼ねた夕食会となりまして、その後に就寝。翌朝に希望者だけが最新式の10式戦車の試乗会に参加しました。
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写真ばかり並べてみましたが、最後に私が感じたことなどを簡単にポイントフォームを。

●国際活動に面に活路を見出しているのはよく実感できたが、個人的に気になるのは「戦力」としてのランドパワー。

●これから「統合」という要素がますます増えてくるはずだが、アメリカ式に分散化やネットワーク化がどこまで進むのかがカギになると感じた。

●ワイリーの第四原則、つまり「戦争における究極の決定権はその場に立ち、銃を持っている兵士が持つ」は相変わらず正しいことを実感。

●10式の乗り心地はとてもスムーズ。乗り始めはキャタピラの凸凹が気になるが、スピードが出てくるとソフトな印象。未舗装の道ではとにかくサスが効いていると感じた。

●イラクでの教訓は、作戦地域では「空弾倉」という概念事態が存在しないことだとか。

まだまだ書きたいことがあるのですが、今回はとりあえずこれくらいで。

※24日にタイトル応募を締め切ります。まだのかたはぜひ!




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by masa_the_man | 2014-08-23 01:08 | 日記 | Comments(0)
今日の横浜北部は朝から曇りでありまして、暑さは一段落ですが相変わらず湿気で汗が出ます。台風は来ないんですかね?

さて、今夜の生放送(見逃した方もタイムシフトで見れます)の参考のために、とても興味深い記事の要約を。

内容は軍事トンネルの歴史を振り返りながら、なぜイスラエルがガザのトンネルを必死で潰そうとしていたのかを探るものです。

スコットランドの大学の歴史の先生による記事ですが、目の付け所が面白いですね。

===

眼下の敵:なぜハマスのトンネルはそれほどまでイスラエルを恐怖を与えているのか
byジェラード・ディグルート

●ルイス・カレロ・ブランコ提督は予測可能性の典型的な例であり、この予測可能性が彼を殺した。カレロ・ブランコ氏はスペインの首相であり、フランシスコ・フランコに後継者として指名されていた。彼はマドリッドにある教会で毎日同じ時間に行われるミサに参加していた。

●1973年にETA(バスク祖国と自由)の中の小規模な武装集団は、5ヶ月間にわたって提督が毎日通うこの教会の通りの側の地下のアパートの部屋を、学生として身分を偽って借りている。

●彼らは175ポンドの火薬をこの通りの地下にトンネルを掘って埋め込み、同年12月20日にブランコ氏の車が上に来たところで爆破している。プランコ氏の車は爆発で5階建ての家の屋根の高さまで吹き飛び、後継者としての夢はここで潰えてしまった。

●トンネルというのは古代から続く戦時の問題、つまり「防御の固い敵をどのように攻撃すればいいか」という問題を解決するためのシンプルな方法である。

●ガザに対する攻撃を正当化するために、イスラエル政府はハマスの武装グループが数十もの「テロ・トンネル」をイスラエル領内に向かって掘っているというシナリオを公開し、彼らがキブツやイスラエル軍の拠点を爆破しようとしているというストーリーを発信している。

●このようなシナリオはたしかに強力だ。悪魔が地獄からやってくるようなイメージによって、トンネルは不快な恐怖感を引き起こすものだからだ

●もしターゲット側がイスラエルのように強固な守りを固めている場合は、攻撃する側は地上の戦場を横切って交戦するのはむずかしくなる。

●ところがトンネルというのは交戦の瞬間まで味方の姿を隠してくれる作用を持っているために、労力という面ではたしかに大変ではあるが、かなり安価な代替案を提供することになる。

●ハマスの政治機関のあるメンバーが最近誇らしげに語っていたのは、トンネルがパレスチナにとって戦争を有利にしてくれたということであった。彼によれば「われわれがイスラエルを侵攻する番なのです。彼らはわれわれを侵攻してませんから」という。このような結論はもちろん誇張したものだが、それでもトンネルは大きく感情的な反応を呼び起こすものだ。

●2000年以上の戦いの歴史において、トンネルというのは戦場の結末よりも、むしろ戦闘員(攻撃側・防御側の双方の)の心理面で重要な役割を果たしてきたといえるのかもしれない。

●たとえば1世紀頃のゲルマン人部隊はローマとオープンな戦場では戦えないことを悟り、トンネルによってつなげられた隠れた塹壕を掘り、これによって彼らはまだ占領されていないようにみえる土地でローマ側を待ちぶせすることができるようになったのだ。

●ローマ側はこのやり方に恐れをなすようになったのだが、それに対する効果的な対処法を見つけることができなかった。そしてこれは今日のイスラエルが直面している問題でもあるのだ。

●その数世紀後の256年にはササン朝ペルシャ軍が、現在のシリアにあるデュラ・ユーロポスのローマ側の砦を攻略することができず、代わりに壁の下にトンネルを掘っている。

●これに危機感をおぼえたローマ側は、ペルシャ側のトンネルに入り込むための対抗するトンネルを掘っているのだが、ペルシャ側は硫黄を混ぜた不快なガスをトンネル内に充満させており、これは歴史上知られている最初の化学兵器の使用となった。ローマ側の兵士は窒息死し、砦も最終的に陥落した。

●第一次世界大戦の時は、イギリスの炭鉱労働者たちがトンネルの専門会社に雇われており、ここでは西部戦線での塹壕戦を突破することを期待されていた。

●彼らの最も有名な行動は、メシヌにドイツが築いていた塹壕の地下に22本のトンネルを掘ったことだ。このうちの19本は1917年の6月7日に爆破され、約1万のドイツ兵を殺害した。ところが戦略的なインパクトは小さかった。この爆破でできた巨大なクレーターのおかげで、イギリス側は逆にここを越えて進撃することができなくなってしまったからだ。

●このような例から、通常戦におけるトンネルの効果には限界があることがわかっている。トンネルの建設には時間がかかるし、包囲戦のような動きのない戦いにしか使えない。その狭さからそこを通れる兵士の数にも制限があるため、攻撃の規模にも限界が出てくる。

●もちろん北朝鮮は20本ほどのトンネルを掘っており、それぞれが非武装地帯の地下をソウルの攻撃のために1時間で1万人の兵士を通すことができると言われている。それでもこのようなネットワークは、トンネルの存在が相手に知られてしまえばおしまいなのだ。出口が見つかってしまえば、簡単な対処によって大虐殺も可能だ。

トンネルの価値は、小規模な反乱軍が大規模で強力な正規軍に対抗するような、非対称戦の場合に増加する。ユダヤ地区のバル・コクバの乱(132-136年)ではユダヤの反乱側はローマ側に奇襲をしかけるためにトンネルを使ったのだが、この時の狙いは相手に恐怖を植えつけて士気を落とさせることにあった。

●アメリカ人もベトナムでこれとほぼ同じ事態に陥っている。この戦争で米軍が直面した最大の問題は敵との戦いではなく、敵をいかに見つけるかのほうであった。ベトコン側は「クチの地下道」のような広大なトンネルを造って隠れており、突然現れて奇襲をしかけては消えるということを行っていた。

●「クチの地下道」は全長が320キロ以上あり、数千人の兵士を長期間にわたって収容できた。この施設には弾薬庫から宿舎、会議室、さらには病院や映画館まであった

●イスラエル側が恐れているのは、まさにこのトンネルが反乱側に与える潜在性にある。地下に潜む敵は見えない存在として実像よりも恐ろしく感じられ、実際に相手が行ってくることよりも、むしろいつでもどこでも出現してくるという恐怖によって士気に影響を与えるのだ。したがって、トンネルというのは恐怖を運ぶ「媒介」なのである。

●2006年にハマスの戦闘員たちはイスラエル軍の基地を攻撃する際にトンネルを使っている。短距離で対戦車砲を集中的に浴びせてイスラエルの兵士を2人殺した後に、彼らは19歳のジラッド・シャリットという兵士を誘拐している。

●この一連の作戦は6分以内に終了したのだが、その影響は今日まで続いている。シャリットは5年間ハマス側に捕らわれており、1000人のパレスチナ側の囚人と引き換えに解放されている。ハマスはこのような作戦をもう一度成功させようとしているのだ。

●先週の月曜日にはトンネルから出てきたイスラエル軍の制服を来た10人のハマス兵士が、ニルアムのキブツのたった200メートルの地点から襲撃している。ハマス側の兵士は全員死亡したが、イスラエル兵士を四人殺害している。

●ニルアムで起こった事件に関して、地域の緊急担当委員は「ここまでトンネルが掘られているとは全く思いませんでした。ものごとの見方が変わりました」と述べている。

●この担当委員の嘆きは、トンネル戦の重要な一面を含んでいる。トンネルは反乱側に交戦のルールを変える大きなチャンスを与えてくれるのであり、相手はこのトンネルの脅威に対抗しなければならなくなるのだ。

テクノロジー面で優位に立つ側も、少なくとも一時的にはトンネルを掘った側の原始的な世界で戦わなければならなくなり、その際には自分の優位を使えなくなってしまう。しかも反乱側はトンネル内部の構造をすべて知っており、敵側はその知識を知らないために、そのトンネルに入っても不安におののくことになる。

●ベトナムのトンネルに対処するためにアメリカがとった行動は「トンネル・ネズミ」という兵士を潜り込ませることであった。これは米軍が兵士に課した任務としては最悪のものであると言っていい。毒虫や蛇のいう暗くて狭いトンネルに潜り込ませるのだ。敵はそこら中にいてワナが仕掛けられている中を進むのである。

●トンネルはテクノロジーや物量などではるかに優越する敵に対して、反乱側を地下に隠すことによって戦いの助けとなるものだ。アフガニスタンやパキスタンやイエメンでイスラム系の過激主義者たちがアメリカの無人機からの攻撃に対してトンネルを作っていると見られている理由もここにある。

●トンネルに対抗するためのハイテクな解決法はまだ微妙だ。このため、米軍は「トンネル・ネズミ」を復活させるという不愉快な可能性を考えているという。

●ところがトンネルの最大の特徴は、それがプロパガンダ面での潜在力を持っていることだ。たしかに「トンネルがイスラエル・パレスチナ紛争の流れを変えた」という考えはナンセンスである。ところがこれがナンセンスであるからこそ、パレスチナ側は自信を深めている。トンネルは団結と戦いを表す効果的なシンボルとなっているのだ。

●「クチの地下道」が教えているのはまさにこれだ。トンネルはその建設の難しさから、これがベトコンの覚悟を表しているとも言えるのだ。ベトナム政府がこのトンネルを観光施設として熱心に推進しようとしているのは、それが愛国的な戦いのシンボルとなったからだ。

●ところがプロパガンダというのは「諸刃の剣」である。イスラエル側にとって、トンネルは自分たちが戦いのさなかにあることを示す効果的な手段である。人間は見えないものを最も恐れるからだ。そしてこの場合、地下から迫ってくる恐怖というのは、実際の脅威よりも数倍の大きさの反応を呼び起こすものである。

●トンネルはガザでのバランス・オブ・パワーを変化させる新たな脅威となるのだろうか?おそらくそれはないだろう。実際の歴史でも、トンネルを使う戦術によって戦争の流れが変わった例を見つけるのは難しい。トンネル戦というのは他に手段が無くなったために使われるような、必死の戦術でしかないからだ。

●ところがトンネルというのは、恐怖を巻き起こすという意味では常に効果的であった。国際的な非難を避けたいイスラエルがここまでガザのトンネルを必死で潰そうとしているのは、まさにこの恐怖にあるのだ。

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トンネルの戦略的(というか戦術的)な意味を語っているという意味で、これはとても興味深いものですね。

イスラエルが「恐怖」からこのトンネルつぶしを行っているということを指摘している意味でも、この記事の価値は高いかと。



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by masa_the_man | 2014-08-09 17:45 | 日記 | Comments(7)
今日の横浜北部は相変わらずの真夏日でした。やや曇りがちだったのですが、圧倒的な湿度で屋外では汗が吹き出ました。本当に久しぶりの更新です。

さて、すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、次に出す訳書が決定しましたのでお知らせします。一昨日にとりあえず最初の訳稿を完成させました。

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Asia's Cauldron: The South China Sea and the End of a Stable Pacific
by Robert D. Kaplan

原著者は私が以前訳した『インド洋圏が、世界を動かす』でもおなじみのロバート・カプランでして、タイトルを直訳すると『アジアの難問:南シナ海と安定的な太平洋の終焉』となります。

今回は出版があの講談社で、順調に行けば発売は10月半ばだそうです。これはミアシャイマーの改訂版の出版と重なりそうです。

日本語版のタイトルはどうなるか全く未定ですが・・・・。

カプランは高級月刊誌「アトランティック」の外交・安全保障担当ジャーナリストでありまして、最近はストラトフォーの主席地政学分析官としても有名です。

以前から紛争地に行って質の高いルポタージュを書くことで知られている人物でして、『バルカンの亡霊たち』などはクリントン政権の対外政策に影響を与えたと言われているほど。

今回も私が以前訳した『インド洋圏が・・・』と全く同じスタンスで、今熱い注目を集める南シナ海周辺の国々に行き、現地の政府高官や軍関係者などから取材をしているわけですが、単なるルポタージュじだけでなく、そこから歴史的な経緯まで踏み込んでいるために、内容もなかなか味わい深いものとなっております。

ちなみに今回彼が取材に行った国は、

・ベトナム
・マレーシア
・シンガポール
・フィリピン
・台湾
・中国(北京)

ということで、最近の紛争が活発になっている地域をかなりカバーしております。

しかもミアシャイマーや古典地政学の理論なども押さえている「上から目線」での分析がとても参考になります。

なぜかアマゾンの原著のレビューでは「深みがない」とか書いている人がおりますが、ミルやバーリンなどを引用した第五章など、どうして「深みがない」と言い切れるのか不思議でなりません(まあ尖閣のあたりの記述が浅いのは仕方ないにしても)。

最初のベトナムの遺跡の話は「なんじゃこりゃ」となりますが、一番最後のマレーシアのところでうまく話がつながっており、よく構成も考えられているという印象です。

個人的には潜水艦に関するネタがかなりカバーされていたのが好印象でした。

また、個人的に最も印象的だったのは台湾の章ですかね。東京で故宮博物院展が開催されていることもあって、実にタイムリーなところがありました。フィリピンに対するけなしぶりも笑えましたが(苦笑

面白い本です。ぜひご期待ください。

明日の夜はお盆前の生放送です。よろしくお願いします。



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by masa_the_man | 2014-08-08 20:28 | 日記 | Comments(2)