戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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尖閣事案に関連して少し気になったので、以前から集めていた水陸両用作戦に関する文献のリストを作成しておきます。研究にお役立て下さい。

概論/通史

- Sir Julian S. Corbett, Some Principles of Maritime Strategy

-Merrill L. Bartlett (ed.), Assault from the Sea: Essay on the History of Amphibious Warfare

-Jetek A. Isely & Philip Crowl, U.S. Marines and Amphibious War

--Steven T. Ross, American War Plans, 1890-1939

-Alfred Vagts, Landing Operations: Strategy, Psychology, Tactics, Politics from Antiquity to 1945

WW1

-Paul G. Halpern, A Naval History of World War I

-Richard H. Ullman, Intervention and War

-Samuel R. Williamson, The Politics of Grand Strategy: Britain and France Prepare for War, 1904-1914

クリミア戦争

-Winfried Baumgart , The Crimean War 1853-1856

-Andrew Lambert, The Crimean War: British Grand Strategy Against Russia, 1853-56

-Norman Rich, Why the Crimean War?: A Cautionary Tale

-David M. Goldfrank, The Origins of the Crimean War

-Albert Seaton, The Crimean War: A Russian Chronicle

ガリポリ

-Imperial War Museum , Military Operations Gallipoli

-Robert Rhodes James , Gallipoli

-Michael Hickey, Gallipoli

ノルウェイ

-Jack Adams, The Doomed Expedition: Campaign in Norway, 1940

-Maurice Harvey, Scandinavian Misadventure

北アフリカ

-George F. Howe, Northwest Africa

フィンランド

-Waldemar Erfurth , The Last Finnish War

シチリア

-Albert N. Garland, Sicily and the Surrender of Italy

イタリア

-Martin Blumenson, Salerno to Cassino

ノルマンディー

-Gordon A. Harrison , Cross Channel Attack

-Cornelius Ryan, Longest Day: The Classic Epic of D Day (邦訳あり)
by masa_the_man | 2012-09-29 12:58 | 日記 | Comments(3)
今日の横浜北部はよく晴れております。さすがにお盆ですから朝夕だと暑さもだいぶおさまってきた気がするのですが気のせいでしょうか?

さて、昨夜に小規模な勉強会に招かれて講演をしてきたのですが、そこでの印象的なエピソードを一つ。

今回は私がいつも頼まれるような地政学の概論を話すようなものだったのですが、前半の内容は「なぜ日本人は戦略が苦手なのか?」というもの

すでに本ブログをご覧の皆様にはこの辺りの話はけっこう当たり前だと思われるのですが、団塊の世代かそれよりも上の世代の方だと、「日本人には戦略感覚が欠けている」という話に時として異様な反発を感じる人もいるようで、この会場にもそのような人が一人。

このシニアの方は、講演をはじまる前に私が配ったレジメを目にすると、いきなり私に向かって、

日本人が戦略が苦手なんてありえんよ!こんなふざけたこと講義してどうする!

と食ってかかってきました。

この反応には私もちょっとビックリしたわけですが、無事講義を終えて質疑応答の時間になると、当然このシニアの方が私の講義内容を軽く批判するような内容の質問。

曰く、「日本の企業の持っている技術は世界最高水準だ。建築や炭素繊維や原発、加工技術など、抜かれるわけがない!」と論じたわけです。

ところがよくよくその内容を聞いてみると、このシニアの方が言っていることは「日本の産業界の技術力」であって、「戦略」の話ではないのです。

私は「ははぁ、このシニアの方は私の講義の内容をこれっぽっちも理解していないのだなぁ」と実感したわけですが、ではなぜこのような「勘違い」が起こるのでしょうか?

この詳しい理由については、今週日曜日に行われる私の「武器捨て本」の出版記念講演会で、色々な実例や、ゲストの方とのトークの時間で解き明かして行きたいと考えております。

ということで、今週末の講演会ではご参加いただいた方々に、この辺の謎を徹底的にご理解していただくつもりです。ぜひご期待下さい。
by masa_the_man | 2012-09-20 15:59 | 日記 | Comments(11)

学派のまとめ【暫定版】

今日の横浜北部は朝から天気が不安定で、昨晩の雷から雨が降ったり止んだり。

個人的に色々と仕事がたまっておりまして、いよいよ今週日曜日に迫った講演会の準備や、ミアシャイマーCD購入者用の特別レジメを作成中なのですが、今日は前回のエントリーの続きを簡単に。

すでにご存知の通り、私は「尖閣/デモ問題についての“解釈の違い”というエントリーの中で、今回の日中紛争の原因について論じている知識人たちの分析などを俯瞰する意味で、英語圏の「冷戦の原因」についての議論を参考にしつつ、これを主に三つの学派(schools)に分類して考えてみました。

ところがその後の経過を見るにつけ、やはり学派を追加・補足して、より正確なものにアップデートしなければならないと感じました。

ということで、以下がその最新版です。

第一学派:主に中国側にその原因があるとする(相手が悪い)

中国共産党をはじめとする本土系中国の勢力(華人ネットワークも含む?)が、外堀を埋めるような形で段階的に日中間の棚上げ均衡状態を崩して来たという解釈をする。1992年の尖閣国有化宣言、さらには1971年の領有権主張で、すでにそのバランスを一方的に崩してきたという考え。近年の度重なる漁船や監視船の侵入を問題視する。日本の識者の間では圧倒的に少数派。

第二学派:主に日本側にその原因があるとする(自分が悪い)

日本側のプレイヤーに責任があると見る。石原都知事の都による尖閣購入決定が、日中間の均衡を破って直接的な原因になったと解釈する。石原都知事の決定よりも、マイナーだが野田政権の「国有化」の決定そのものが問題だとする分析もあり。日本の識者及び北京政府/中国メディアでは、圧倒的にこの解釈。海外メディアでも「直近の原因」としてはこの見方を採用するものが増えている傾向あり。

第三学派:主に日中両国にその原因があるとする(両方が悪い)

当然だが日中双方の各プレイヤーが相互作用の結果として、互いに等しく事態を悪化させてきたと解釈。主に海外メディアの見方に多い、極めて客観的なもの。

第四学派:主にアメリカにその原因があるとする(第三国が悪い)

「日中がケンカをすればオスプレイを売り込みたい民主党系ボーイングが利益を得ることになる」と陰謀論的に分析。主にアメリカの軍需産業の利益になるというもの。他にもアメリカが日本企業を中国から追い出し、中国のマーケットを独占することができるというものもある。

●第五学派:主にアメリカと中国の共謀に原因があるとする(第三国と相手が悪い)

これもアメリカの軍需産業の利益をフォーカスするのだが、日本にケンカを売りたい中国共産党(もしくは人民解放軍)幹部の間の思惑が一致した(米中共謀)とする分析。実は裏でアメリカと中国が仲良く日本を挟み撃ちにしようとする構図だと分析。

第六学派:その他の説明。主にユダヤ金融ネットワークやイルミナティ、それにトカゲ系宇宙人(?)に原因があるとする(不可視勢力が悪い)

完全な「陰謀論系」、もしくは検証不可能なもの。

===

以上ですが、この学派の説明については逐次改定していこうと考えております。
by masa_the_man | 2012-09-19 13:15 | 日記 | Comments(4)
今日の横浜北部は晴れているんですが雲が多めで不安定そうな雰囲気が。

さて、尖閣問題に端を発する中国におけるデモや日本の人や資産にたいする破壊・テロ行為が行われておりますが、これをちょっと冷静な目で簡単に分析してみようかと。

まずこの分析を行う前に参考になるのが、「冷戦」の原因についての、英語圏の分析の解釈の違いです。

「なぜ日中間の紛争に冷戦の分析なんだ!」と“違和感”を感じる人もいるかもしれないのでまずお断りしておかなければならないのですが、「冷戦」(the Cold War)というのは、その当時の世界中の知識人を巻き込んで悩ませた大問題であり、その原因(誰がその紛争を始めたのか)については、当然ですが現在でも歴史家の間ではひとつの大きな学問分野として確立されているほど。

そして当時の世界の政治学者たちは、自分たちの頭脳を最大限発揮して考えた末に、かなり単純ではありますが、冷戦の原因については主に三つの解釈があるという結論に至っております。

ではこの冷戦、一般的にはその原因がどこにあると論じられているのかというと、以下の三つの「学派」がそれぞれの原因を主張しております。

まず第一の学派が、「伝統学派」や「オーソドックス学派」と呼ばれるもので、これを支持する人々や学者というのは、基本的にアメリカの公式見解、つまり「ソ連の拡大政策に原因がある」と論じるわけです。

これは、アメリカの立場からすれば「相手(ソ連)が悪い!」というものです。

第二の学派は、「歴史修正史観学派」、もしくは「リヴィジョニスト学派」と呼ばれるもので、彼らは「アメリカの帝国主義的な政策が冷戦の原因になった!」と論じます。

これは別名「ウィスコンシン学派」とも呼ばれていますが、アメリカの立場からしたら「悪いのは自分たちだ!」とするわけで、その背景には60年代のベトナム戦争におけるアメリカの対外政策の失敗への批判があるわけです。この有名どころはウィリアム・アップルマン・ウィリアムズ

日本人は基本的に「反省」している人が大好きなので、当然のように日本でもこの学派の議論を研究している学者はかなりいました。

余談ですが、この学派の理論を使って議論を行ったのが、何を隠そう拙訳のクリストファー・レイン著『幻想の平和』であります。

第三の学派は、「ポスト歴史修正史観学派」、もしくは「ポストリヴィジョニスト学派」と呼ばれ、彼らは「米・ソのどちらか一方だけに冷戦開始の原因を求めるのはどうなのよ?」とツッコミを入れたわけです。いわば「両方悪い」と指摘したわけですね。

この学派の有名な学者といえば、なんといってもジョン・ルイス・ギャディス。彼の邦訳は日本でもけっこう出ていて、日本の研究者の間でも評判がかなり良い。

さて、この三つの学派の言い分をまとめると、

①ソ連に責任がある!
②アメリカに責任がある!
③米ソ両国に責任がある!

という単純な図式になるのですが、実はこの構図、現在の日中間の紛争にもそのまま当てはめて考えることができます。実際にやってみましょうか。これは、

①中国に責任がある!
②日本に責任がある!
③日中両国に責任がある!

といいかえることができます。

これを見ていて思うのは、日本の大方の知識人の解釈では、②の「日本に責任がある」というものが圧倒的なような気が

より具体的にいえば、多くの解釈では日本、とくに石原慎太郎が、ワシントンのヘリテージ財団の講演で「尖閣は東京都が買う」と言ってから、日中間にあった「棚上げ論」が崩れ、今回の紛争が始まったとしていることです。

これを問題視する人たちは、石原都知事が「(紛争を起こした)売国奴である」とか「日中間に紛争を起こそうとしたアメリカの傀儡だ!」とかいう過激な解釈まで行います。

その一方で、①の解釈はどうかというと、たとえば「今回の尖閣と竹島問題は、中国が背後にいて東シナ海全般をコントロールしようとしている」というものがありまして、尖閣のみならず竹島も加えて中国が攻勢に出ていると分析します。

またもう一つの①の解釈として、意外に日本の知識人に注目されていないのが、いままでの「棚上げ」の均衡を崩したのが中国側であるというもの。

彼らは石原都知事の購入/野田政権の国有化の問題よりも、1992年に中国が一方的に国有化宣言をしたことが今回の紛争のそもそもの原因であると見ます。しかしこの解釈はネット上でも圧倒的に少数のような気が。

その他にも、現在はデモに関する報道に注目が集まっている関係から、中国のこの秋に行われる権力移行に付随する壮絶な権力争いに原因があるという解釈もかなり増えているような気が。

これも大きな分類でいえば、「中国の国内問題の延長が尖閣にたいする攻勢的な態度だ」という意味で①の「中国に原因がある!」論になるかもしれません。

では③の「ケンカ両成敗」的な解釈をしているのはどこかといえば、やはり紛争当事国ではない海外メディアの論調でしょうか。彼らは自分たちの利権が直接からんでいないために、かなり冷静に見れるという特権があります。

これに付け加えるべき第四の解釈として、上述したように「アメリカに責任がある!」というのもあるのかも知れませんが、これも「アメリカ単独で悪い」と証明するのはかなり無理があるかと。

そのバリエーションで、「米中共謀して、日本をつぶすために尖閣にしかけている」というのもあるかも知れませんが、これなどは第五の学派になる可能性が。

ということで、冷戦の原因についての「学派」の分類を現在の日中紛争に関する日本の知識人の解釈に当てはめてみたわけですが、個人的には歴史解釈として、結局のところは③の「両方に責任がある」というところに落ち着くのではないのかな、と思っております。

「タンゴは一人では踊れない」という意味で。


by masa_the_man | 2012-09-17 11:59 | 日記 | Comments(15)
今日の横浜北部は相変わらず朝から暑いですが、多少雲が出てきてくれたおかげでここ数日よりも過ごしやすい気が。

さて、ちょっと前のものですが、またテクノロジー関係について興味深い記事がありましたので、その要約を。

内容は「シリコンバレーでハードウエア開発がブームになっている」ということでして、これは「ものづくり」が大事な日本にとっては気になるところかと。

「軍事における革命」(RMA)に関する本でトフラー夫妻は、第一次湾岸戦争(イラク戦争)を「完全に3次産業だけで行われた戦争ではなく、2次産業との組み合わせだった」と指摘しておりますが、このようなテクノロジー界における「2.5次産業化」の例を実際に実感させてくれるような良い記事です。

===

シリコンバレーの「ハードウエア・ルネッサンス」
by ニック・ビルトン&ジョン・マーコフ

●近年のシリコンバレーは「シリコン」を忘れているようだった。それは.comやウェブ広告、SNS,
それにスマートフォン向けのアプリばかりをやっている感じだった。

●ところがここ最近は、ハードウエアが新しいソフトウエアとなりつつあるように見える

●このトレンドは二・三年前のフリップビデオの発売からはじまったものであり、サーモスタットの「ネスト」や携帯カメラの「ライトロ」、それにスマートフォンと交信できる腕時計の「ペブル」などの登場によって加速したものだ。

●もちろんこれらのハードウェアはシリコンバレーでは作られていないのだが、そのデザインや製作・試作、それに必要な開発資金などは、この地域の小規模なベンチャー企業によって行われているのだ。

●この変化はなぜ起こったのだろうか?それは新製品の開発・製品化までの一連のコストが下がり、スピードがアップし、それに付随していたリスクが下がったことにある。

●もちろんこれはソフトウェアの重要性が下がったという意味ではない。むしろこれは、ハードウェアがソフトウエアと密接に統合されてきたと言ったほうが正しいのだ。

●アップルが製品デザイナーに教訓として教えたのは、「電子機器は、それ専用の使い勝手をよくするソフトウエアがなければただのゴミである」ということだ。

●そして現在では、すべての製品デザイナーたちがコストの安い3Dプリンターを使ってすぐに試作品を作れるような状況になってきている。これによって海外、とくに中国にある工場で作るよりも速くできるようになったのだ。

●またこのおかげで、製品デザイナーやエンジニアたちはテクノロジー開発をさらにスピードアップできるようになった。

●サンフランシスコにある製品開発会社「ライムラブ」の創設者の一人は「いままで三ヶ月かかっていた開発を、たった一ヶ月でできるようになりました」と説明している。

●「3Dプリンターがあれば使い捨てのような感覚で試作品ができますよ。夜に注文して翌朝受けとり、朝11時に破棄することも可能になったのです」とは彼の弁。

●コンピューター関連機器の製品開発コストの急激な低下は、一九九〇年代後半からシリコンバレーではじまっていた「ソフトウエア主導の開発」というレンドを消滅させ、新しいイノベーションの波を発生させることになったのだ。

●ベンチャー資本家のオサリバン氏は「いまから15年くらい前の世界と比べると、今の世界の変化は劇的ですね。iPhoneのような製品は部品価格を下げる役割を果たしたおかげで、われわれの生活を一変させるような革命的なデバイスを簡単に開発できるようになったのです」と述べている。

●この点を証明するために、オサリバン氏は小規模な九社のベンチャー企業の幹部を連れて中国まで行き、111日間にわたって各会社が新製品を製造できるまで指導している。

●オサリバン氏は自分のサンフランシスコにある投資会社を「ハクセルレーター」と名付け、六月にそのシステムから出てきた新製品を発表している。

●その一つが「シャカ」という会社がつくった帆船用の風速計であり、キンドラという製品は女性の排卵日を知らせるiPhone用のアクセサリーを作った。ビリボットというプロジェクトはオープンソースの低価格のロボットをつくるものだ。

●このようなシリコンバレーに見られるdot.comやウェブサービスやSNSからの撤退傾向は、実際はこの地域のルーツへの回帰とも言える。

●なぜならシリコンバレーは一九三〇年代後半に電子機器のデザインの中心地としてはじまったのであり、これはヒューレット&パッカード(HP)がディズニー映画の「ファンタジア」のために音源発信器を作った頃である。

●一九七〇年代初期にはセミコンダクターの会社が乱立したおかげで「シリコンバレー」という名前がついた。七〇年代半ばにはコンピューターを趣味とした人間たちが集まり、そこから生まれてきたのがアップルである。

今日のシリコンバレーにおけるハードウェア関連のベンチャー企業で最も成功しているものは元アップル社員ばかりであり、彼らは自分たちの手でハードとソフトを両方一緒に手がけたいと考えている人ばかりだ。ここにアップルのDNAが受け継がれている。

●iPodとiPhoneをデザインしたチームを率いたトニー・ファデルは、最近になってNestという会社を立ち上げたのだが、これは美しいデザインの家庭用スマート・サーモスタットをつくっている。

●最初の四代のiPhoneをデザインしたヒューゴ・フィエネスはエレクトリック・インプという会社を立ち上げたが、これは家庭にある日常品をインターネットにつなげようと計画している。

●そしてグーグルのAndroidを率いているアンディー・ルービンは、その前はアップルのエンジニアとして働いた後に起業を手がけていた。そしてAndroidというソフトウエアはスマートフォンにしっかりと統合されたものであるが、これは結局アップルのiPhoneのライバルとなったわけだ。

●ハードウエア企業でブルートゥース関連のスピーカーやヘッドフォンを製作している「ジャウボーン」社の社長であるホサイン・ラーマン氏は、アップルが最近のハードウエアの新興企業の考え方のスタンダードに与えた影響は大きく、「アップルのおかげでハードルが上がりました」と言っている。

●しかし彼が警告するのは、「たしかにアイディアを製品にするコストは下がりましたが、それでもサプライチェインやマーケティング、それに配送等に関してはスケールを小さくするのは難しいです」ということだ。

●だが配送などはテクノロジーによってシンプル化されている。たとえばEbayやアマゾン、それにグーグルのマーケットプレイスなどは、誰でもウェブ上に店を展開して行商するのを可能にしはじめているのだ、

●ハードウェア関連の起業が盛り上がりを見せるなか、ニューヨークとシリコンバレーの起業家たちはベンチャーキャピタルの投資を呼び込もうと狙っており、その動きも活発化している。

●ある起業家は「ハードウェアの開発にとって一番の障害だったのは資金です。ところが消費者側の意欲の盛り上がりと開発コストの低下のおかげでベンチャーキャピタリストたちもハードウェアの開発に財布のヒモを緩めつつあります」と言っている。

●アンドロイドを使ってゲームを製作する会社や上述したペブルなどは、最近8億円から10億円規模の資金を提供されたばかりだ。

●このようなコスト低下の象徴は、名刺サイズの超小型PCであるラズベリー・パイだ。たった25ドルであり、これは最近のものでもブレイクスルー並みのイノヴェーションであると言われてバカ売れしている。

●マーケットの分析をするケヴィン・ヤップ氏は、「人々はこれを使って新しいデザインをマーケットにより素早く送り届けることができるようになります」と言っている。

●スチュアート・ブランド氏は、ソフトウエアというのは情報と同じように「自由になりたがっているのです」と述べており、オサリバン氏は「ハードウエアはソフトウエアと同じくらい低価格になったのです」と言っている。

===

つくづく実感するのが、戦略の階層のトップにある「デザイン」(世界観)と、その底辺にある「技術」が、まるで統合作戦のように結びついてきているという実態ですね。

いままでは「ハードのみ」もしくは「ソフトのみ」という形で開発が行われていたのが、いまやテクノロジーの発展によるコスト低下、そしてアップルの成功で、ソフトとハードの「統合」による開発が進んできているということでしょうか。
by masa_the_man | 2012-09-15 12:48 | ニュース | Comments(6)
今日の横浜北部は朝からスッキリ晴れております。朝夕はだいぶ過ごしやすくなりましたが、それでも昼はまだ真夏ですね。

さて、あと10日に迫った新刊「世界を変えたいなら一度武器を捨ててしまおう」の出版記念講演会についてのご案内を。

ここ数年の日本をとりまく対外環境の厳しさについては、本ブログをご覧のみなさんにはすでに重々感じられていることと思います。

北朝鮮の拉致問題、韓国との竹島などをめぐる外交交渉の頓挫、中国との尖閣諸島に関する領土/領海問題、ロシアとの北方領土問題、そして米軍のオスプレイ問題など。

一見これらの問題はそれぞれ個別のケースであるように感じられますが、私が見る限り、これらに共通している日本側の問題点がいくつかあります。

そのうちの一つが、日本のエリート(および知識人)たちに決定的に欠けている「戦略思考」ではないかと私は考えております。

もちろんビジネス書などでは戦略思考の前提となる「論理思考」を鍛えるような本が多く出されており、最新の雑誌では「論理力の強化法」のような特集が組まれているほど。

ところがこのような「論理思考」を強化しても、私は一般的な日本人が、とくに外国の個人や企業などを相手に「戦略的な思考」や「交渉力」を手に入れることは困難だと考えております。

それはなぜなのか?その理由については小生の新刊である「世界を変えたいなら一度武器を捨ててしまおう」に少し書いたわけですが、まだ書ききれなかったことがたくさんあります。

それらについてはいずれ将来に本などでも書いていこうと考えておりますが、その根本的な部分を、今月に23日(日)の講演会でたっぷりとお話させていただこうと考えております。

今回の講演会ですが、表のテーマはもちろん出版記念講演会なのですが、実質的な裏テーマは「戦略的な考え方を身につける方法」というものです。

「本の中で方法論を批判しておきながら、お前こそ何だ」というご批判はさておき、新刊の「武器捨て本」をより効果的に活用していただくために、私はある一つの簡単かつ効果的な方法論を参加者のみなさんにシェアしたいと考えております。

さらに、今回はいつも私がやっている講演会とはやや志向を変えまして、前半は私の話、そして後半は実際に戦略的な思考を活用されている、ある経営者の方に「ゲスト講演者」として参加してもらい、一種のシンポジウム形式にして、みなさんに戦略思考をわかりやすく身につけていただく、という流れで行こうと思っております。

しかも後半には参加されたみなさんに、個人的に「アウトプット」していただく機会も設けてあります。(ただしこれは書いたことをみんなの前で発表していただくという意味ではなく、ただ自分で紙に書き込む作業を行っていただくだけ、ということです)

すでに以前に私の講演会にご参加いただいた方々には今回の講演会については優先的にご案内させていただきましたが、今日から初参加の方々にもご案内を開始しました。

「もっと戦略的に考えられるようになりたい!」「ビジネスや恋愛(?)で成功するためのヒントが欲しい!」「自分を人間的に成長させるためのヒントが欲しい!」

というかたは、ぜひこの際に新刊「世界を変えたいなら一度武器を捨ててしまおう」の出版記念講演会にご参加してみてはいかがでしょうか?

参加申し込みに関してはこのフォームからお願いします。

以上、告知でした。
by masa_the_man | 2012-09-13 11:49 | ためになる情報 | Comments(6)
今日の横浜北部は相変わらず昼間が真夏日です。洗濯物には最高かと。

さて、久しぶりに記事の要約です。今回は心理学に関するものですが、これはビジネスなどにかなり応用が効くものかと。

たとえば以下に出てくる鏡の例などは、ビジネスマンや経営者向けのセミナーなどではよく使われる例ですね。私も自分の新刊に似たような例を書きました。

これも「手先」や「技術」による絶対的な数値の改善ではなく、あくまでも人間の心理をうまく使ったシステム的な「抽象度の高い解決法」ということでヒントになるものです。

===

なぜ「行列で待つ」のは拷問なのか

by アレックス・ストーン

●数年前のことだが、ヒューストン空港の幹部が、利用者からの多くのクレームに直面して困ったことがある。

●それは、「飛行機からの荷物を受け取るテーブルのところでやたらと待たされる」という利用客からの不満だった。

●これに対応するために、この幹部たちは部下に支持して係員の数を増やし、その業界の平均待ち時間である8分台を実現することができた。めでたしめでたしである。

●ところが不満についてのクレームは続いた。

●不思議に思った空港の幹部たちは、まず現場を見ることにした。そこで彼らが発見したのは、乗客たちが到着ゲートから歩いて1分、そして荷物受け取りのターンテーブルのところで7分待つということだった。

●これをいいかえれば、乗客はその8分間の約88%を、荷物を待つことに費やしていることになったのだ。

●そこで空港は新しいやり方を試すことにした。荷物の待ち時間を減らす代わりに、到着ゲートをメインターミナルから離し、しかも荷物の出てくるターンテーブルを最も遠いところにしたのである。

●これによって乗客は以前と比べて荷物を受け取るために6分以上歩く羽目になったのだが、クレームの発生はほぼゼロになった。

●この話はある一般的な原則についてのヒントをわれわれに教えてくれている。それは「待たされた」という感覚は、その対象が荷物であれ買い物であれ、その時間の「長さ」によって決まってくるということだ。

●「待つこと」の研究では世界的権威と言われているマサチューセッツ工科大学のリチャード・ラーソンによれば、「人間にとっては、待っている統計的な時間よりも、待っている時の心理状態のほうが重要なのです」と語っている。

●人間は何かをやっている時間(荷物を受け取りに向かうために歩いている時間)よりも、何もせずに待っている時間(ターンテーブルで荷物を待っている時間)を長く感じるものであり、これに関する研究が示しているのは、人間は平均して、ただ待っているだけの時間の長さを、実際にかかった時間よりも36%長く感じるということだ。

エレベーターの隣に鏡が備え付けられている理由はここにある。

●このアイディアは第二次大戦後の建築ラッシュの時に生まれたのだが、これは高層ビルが建設されるにつれてエレベーターの待ち時間が長いという不満が出てくるようになったときに考案されたのだ。

●これはヒューストンの空港のパターンと同じである。何かをやっている時に人間は待ち時間を短く感じるのだ。

鏡があれば、人はその前で髪を整えたり、気になる隣の異性をチラ見したりすることができる。そして実際に鏡をつけてみると、クレームは一夜にして消滅してしまったのだ。

●レジを何もせずに待つ時間のおかげで、スーパーマーケットは年間55億ドルも稼ぎ出しているのだ。週刊誌やガムがおいてある棚が、この待つ時間の苦悩をやわらげているのだ。

●われわれの待ち時間にたいする「期待」も、待ち時間の経験についての感想を左右することになる。待ち時間が不確実な場合は待つストレスも増加し、その反対に確定した待ち時間を知ることは「待つ」という恐怖をやわらげてくれるのだ。

●さらにその待ち時間が予期しているのよりも早い場合は、われわれの気分は高まるものだ。

●この点については行列の心理学をマスターしているとして世界的に有名なディズニーランドの例がわかりやすい。

●たとえばスペースマウンテンに乗ろうとした客にたいして、ディズニーランド側は常に待ち時間を長めに表示している。これによってはじめて乗る客は、「待ち時間よりも早く乗れた!」と思って得した気分になるのだ。

●これはなかなか強力な手段だ。なぜならわれわれの待ち時間についての記憶は、ジフ・カーモンと(プロスペクト理論で有名な)ダニエル・カーネマンの二人の共同研究によれば、その待った時間の最後の瞬間によって記憶されるからだ。

●長い待ち時間も、たとえば最後に行列が素早く動いたりすると、あとから振り返ってその待ち時間の大半が悲惨なものであったとしても良い記憶として残るものであり、その反対に最後の瞬間がネガティブなものになると、その待ち時間全体がそれほど悲惨ではなくても悪い記憶として残るという。

●他にもカーモンとカーネマンの両教授は、われわれが列の動きの早さよりも列の長さのほうに気を取られるということを指摘している。実験では同じ待ち時間だと、列の動きの遅くても短い方を選ぶことが判明している。

●ディズニーランドがビルの周りに並ばせて蛇行させることによって列の長さを隠すのはこの理由からだ。

●しかしわれわれの待ち時間についての気分について最大の影響を与えるのは、われわれの「公平さ」についての感覚であろう。

●普遍的にわれわれが感じる基準というのは、やはり「人々は順番に並ぶべきだ」というものだ。これを逸脱するものであれば、最悪の場合はいざこざに発展するのだ。

●先月メリーランド州の郵便局である客が別の客に列を割って入ったと勘違いされて刺されるという事件があったが、ラーソン教授はこのような歓迎せざる侵害行為のことを「抜かし」や「飛ばし」と呼んでいる。

●公平さへの要求は、単なる自己中心的な利益だけではない。行列というのは他の社会システムと同様に、個人を越えた暗黙の了解に基づく規範によって規定されているのだ。

●ある研究では、U2のコンサートのチケットを購入するために列をなしているファンたちが、自分の列の後ろで行われている「抜かし」や「飛ばし」についても憤りを感じるという。

●いくつかの研究が示しているのは、ファーストフードの店で多くの人々が、しっかり並んで順番ごとにオーダーできる列であれば、2倍の時間がかかっても数列のものよりも1列だけのものに並ぶほうを選ぶ、ということだ。

●スーパーのレジに並んだ経験をもつ人だったらわかると思うが、列がたくさんある行列のシステムは並ぶ順番に不公平を感じることが多い。したがって、隣の列が自分よりも早く動いているのを見て悔しがることになる。

●ところが面白いことに、隣の列が自分の列よりも遅い場合は心理的につらいのだが、自分の列が速い場合はそれほど気持ちに変化はないのだ。

●実際のところ、並べる列が多いケースの場合、客は遅い列でも並び続けるものであり、速い列に固執することはない。

●また「公平さ」というのは、その行列の長さがわれわれが待った後に与えられるサービスや製品の価値と一致していなければならないという感覚にも影響を与えるものだ。

●つまり、その価値が高ければ高いほど、われわれも待つことに意欲を燃やすからだ。

●したがって、スーパーにある「特急ライン」(購入アイテム数の少ない人向けのレジ)というのは順番という規範の観点から考えれば「違反」なのだが、これは「子供がおやつをたった一つ買うために、アイテム山積みの老人の後ろに並んで待つ必要はない」という前提にのっとったものなのだ。

●アメリカ人は年間300億時間ほど待つことに時間を裂いているという。

●そしてそのコストのほとんどは感情的なものだ。つまり、ストレス、飽きること、時間を失ってしまったことについてのぬぐい去れない感情などだ。

●しかも人が残り少ない休暇で最も避けたいと思うのは、何もできずに時間を浪費することなのだ。

●もちろんわれわれは列というものを生活から消滅させることはできないが、「待つ」ということについての心理学を知ることは、われわれの日常生活における不可避の遅れをまだ耐えうるものに変えることができる可能性がある。

●そしてそれらのすべてに効果がなかったら、本を持って行くべきだ

===

こういう記事は本当に興味深いですね。応用が効くという点で素晴らしいものかと。

しかし日本人は真面目なので、「待ち時間も、歩く距離も同時に短くする」という解決法に集中しそうな気が・・・。上記のように「もう少しユルくやる」という視点は意外に重要かもしれませんな。
by masa_the_man | 2012-09-11 15:41 | 日記 | Comments(5)
今日の横浜北部は朝からなんとか晴れております。朝晩はようやく涼しくなりましたが、まだ日中は暑いですな。

さて、数日前のエントリーにたくさんの方々からご意見をお寄せいただいたわけですが、それに引き続き私が感じていることについてコメントを。

「違和感がある」と同じくらい私が「違和感を感じている」のが、「いかがなものか」というコメント。

もちろんこれは、日本語で「反対だ」とストレートに言うとカドが立つので、そうしないために反意を柔らかく表現した婉曲表現ということになりますし、これが日本の豊かな文化から出てきた言葉というのも理解できます。

ところが豊かな文化の婉曲表現である「いかがなものか」というのは、実際は「反対だ」という意味であることには変わりなく、両方とも言い方は違うが、極端に言えば相手の意見や分析を100パーセント否定しているととられるという意味では同じことになりがち。

日本人はあまり議論をするという習慣を持っていないせいか、ニュアンスの程度がなんであれ、たとえば意見が50パーセントだけ否定されただけでも、なにやら全人格まで否定されたと勘違いしてしまい、建設的な議論ができなくなってしまうという点が見受けられます。

というか、そもそも建設的な議論をしようという前提があるのか怪しい、と言われてしまえばそれまでなのですが・・・

じゃあどうすればいいのかと言うと、私は

「あなたの意見にはここまでは同意、でもそこから先のかくかくしかじかについては違う見解です」

と言って、あえて「同意する点」と「同意しない点」を明確にし、その理由を相手にしっかり説明するやり方が良いのかと考えております。

こうすると、相手の意見を100パーセント否定したわけではないので「対人攻撃」と受け取られる確率は減ります。

ところがその反対に、「いかがなものか」という発言は、表面的には言葉のエッジを柔らかくしておきながら、どこを否定しているのかハッキリ説明していないために、逆にそれを聞いた側としてはすべての意見を否定されたような微妙な「違和感」だけが残ってしまうわけです。

よって、自分と相手の意見を尊重しつつ、どこから何が違うのかとハッキリ説明するのは(日常会話では別としても)外国人とのビジネスの交渉などでは決定的に重要かと。

ただしこのやり方が日本で受けいられるかどうかは別問題で、私はこの点についてはかなり悲観的です。なぜなら日本にはやはり「議論をする」という文化がほとんど根付いていないからです。

もちろん日本人が日本国内でこのまま「いかがなものか」を使い続けてもいいわけですが、これにはメリット/デメリットが。

まずメリットというのは、日本人同士でものごとを穏便かつ平和裡に解決するための手段として引き続き使えるという点。

逆にそのデメリットですが、たとえば「いかがなものか」という曖昧かつ全否定のニュアンスを含む言葉を十分な注意せずに日常的に使ってしまうと、それに慣れきってしまい、論理的に考えて説明することができなくなってしまう点です。

この弊害のケースが、前回のエントリーで説明した、Jリーグ創成時の日本人監督の悲劇かと。

そして現在のように日本人が国内外を問わず外国人と接する機会が多くなってくると、彼らと対処する際に「ここまで説明しなくてもわかってくれるはず」という知的な甘えをもつために、逆に彼らから「無能」と思われてしまうケースが増えてくるのです。

もちろん別に「無能と思われてもいい」「別に理解されなくてもいい」というのなら、これもありなのでしょうが、このような曖昧な言葉使いが結果的には日本にとっての「国益の損失」につながっている、というのは言い過ぎでしょうか?

私はこのような態度が、いまの竹島問題や尖閣問題にダイレクトにつながっていると考えております。

つまり相手にこちらの事情をハッキリとわかってもらえるまで説明をクドクド(ましてや声を張り上げて)するのはヤボだよ、という日本国内だけで通じる論理は、海の向こうから来た人間たちと対処する際にはネガティブな方向に作用してしまうということです。

ところが彼らは日本人とは違うOSを持っているわけですから、こちらの立場をしっかりとわかりやすく(時には大声で)説明しないと何もわかってくれません。日本人がこの事実を理解できないままだと、待ち受けているのは悲劇か喜劇です。

いいかえれば、日本人側の外国人にたいする「想定」が甘いわけで、それはとりもなおさず日本人が「うちらの国の深い文化や習慣を言葉で説明できるわけねぇだろ」と慢心していたために、最近になって「無能な外国人」にわかりやすく相手に説明してこなかったツケが回ってきたとも言えます。

私も諸外国に比べて日本のほうが高い文化を持っているという点については全く否定しませんし、むしろ大賛成なのですが、それを相手に向かって「論理的に説明する」という形で発信できていないと、いくら高い文化を持っていても単なる「宝の持ち腐れ」です。

さらにまずいのは、その「豊かな文化」の便利さに甘んじて、しっかりと説明/発信しないという文化が(私も含めて)日本のメディアや知識人などに浸透してしまっているという点です。

私は新刊の『武器捨て本』の中で「日本人は実は一神教の信者だ」という主旨のことを書きましたが、それは日本人にはどこかで「俺たちのほうが真理に近い」と思って、そこに甘えている構造があると疑っているからです。

これを踏まえての私の提案が、まずはメディアに出てくる知識人が、このような「文化の豊かな日本人にだけ通用するような曖昧言葉」を使うのはやめて、多少クドいと思われても、しっかりと筋道立てて論理的に説明することを始めよう、というものです。

しかもこの提案は、このエントリーを書いている私への自戒も含めてということです。

そのような習慣がついてくれば、私は日本人もまだまだ世界で勝負できると考えております。なぜなら日本人には諸外国にはない「豊かな文化」を持っているわけですから。

すでに告知済みの9月23日(日)に開催予定の新刊の出版記念講演会では、この辺についても少し突っ込んだ議論をしてみたいと考えております。
by masa_the_man | 2012-09-08 13:34 | 日記 | Comments(32)
今日の横浜北部は朝から晴れております。朝晩は過ごしやすくなってきましたが、今日は暑くなるとか。

さて、久々に私のコメント的なことを書きます。

昨夜もTwitterのほうで書いたのですが、最近「違和感がある」というコメントが気になってしかたがない。

この言葉はもちろん以前からよく使われていたのですが、とくにネット上では去年の原発事故あたりを境にして「誰々さんのコメントに違和感がある」という形でよく使われております。

しかも日本では立派な新聞やテレビに出ているコメンテーターまでがこのような「違和感がある」とコメントしていて、私もそれについて「違和感」なくスルーしておりました。

ところが最近になって、このコメントが非常にマズいものであることに気づいたのです。

ご存知のように、私は去年までイギリスに留学していたわけですが、それまでは向こうの人間と議論などをする時は、「違和感がある」という言葉など使ったことがないですし、実際そのようなことを議論で使う人間もおりません。

ところがなぜか日本ではそれなりに知性がある人でも「違和感がある」と堂々とメディアで言っても許される傾向があるわけです。これは非常に問題。

というのも、この「違和感がある」というコメントというのは、向こうでは単なる感情を表現しただけの言葉であり、まったく論理的だとみなされないからです。

では論理的で知性の高い人物は議論の時にどうすればいいのかというと、「なぜ違和感があるのか」を説明しなければならないわけです。そしてそれを説明できなければ、単なる「無能」と見なされてしまいます。

「それはお前だけの思い込みだろ」という人もいるかも知れないので、日本人でおなじく留学をしたことのある先輩ということで、現在日本サッカー協会の副会長をしている田嶋幸三氏が私と同じようなことをある雑誌のインタビューでコメントしております。

彼はドイツにコーチ留学した経験をもち、Jリーグでコーチの養成プログラムを手がけた経験をもっているのですが、リーグの創成時に日本人監督が次々と自信を失ってやめていく様子を間近で見ていたそうです。

で、その辞めてしまった日本人監督たちにその理由を聞きにいくと、ある一つの共通項が浮かび上がってきたとか。以下が田嶋氏の実際のコメント。

===

当時、ジーコやリネカーといった外国の有名選手がたくさんいたのですが、彼らから「監督はなぜあの場面であの選手を代えたのか」「この練習は何のためにやるのか」といった質問が出たわけです。しかし多くの日本人監督は答えられなかった。

(中略)

Jリーグの前身のサッカーは企業スポーツでした。監督、コーチと選手は上司と部下の関係で、そんなことを聞いてくる選手なんて一人もいなかった。ですから突然「どうして交代させたのか?」と尋ねられても答えられませんよ。

答えられない監督に対し「この人は無能なんじゃないか」と。口には出さなくても伝わるんですよね。それで、いたたまれなくなって自分で辞表を出すというケースが多かったんですよね。

===

これはどういうことかというと、それまでの日本のサッカーには「自分の頭で論理的に判断して説明する」という文化や習慣が、指導者であるコーチたちにまで根付いていなかったということなんですな。

これに気づいた田嶋氏は、サッカーを教える前にやらなければならない教育としてディベート能力を含むエリート教育を導入して「JFAアカデミー福島」を創設。その後の若手の世界的な活躍はご存知の通り。

ところがこのような話はサッカーだけではありません。海外で働く一般的な日本人が向こうの人間と議論をする場合にも同じで、「論理的に説明できない人物は無能」というのは、いわば世界の常識なわけです。

ところが日本国内の知識人たちには、なぜか「違和感がある」というコメントでも許されるという甘い文化が。

もちろん「なぜ違和感があるのか」という説明をくどくどするというのは、「男は黙ってサッポロビール」という文化がある日本では「理屈っぽい」と敬遠されることになります。

ところが世界ではいかにクドイと思われても、首尾一貫した矛盾のない(と聞こえる)説明をすることのほうが「理屈っぽい」と敬遠されることよりも極めて大切になってくるわけです。

こういうことを言うと、「お前は違和感を否定するのか」と言われそうですが、もちろん私は「違和感」を感じることは重要だと思っております

そこにある現象があって、そこに違和感を感じる感受性というものは大事で、それを私は否定しているわけではありませんし、むしろそれを積極的に持つべきだとおもっております。

しかし問題なのはそこから先です。われわれはその「違和感」を、言葉を使って論理的に説明しないといけないからです。

これからグローバル化して一般の日本人が外国人たちと渡り合っていかなければならないことになると、「違和感がある」という単なる感情の文学的表現だけではダメで、それをうまく説明する能力も必要になってくるわけです。

ましてやメディアに出てくるような知識人が「違和感ある」とか言って平気な状況というのは、ある意味で知性を否定していることに。これは外から見れば「論理的に説明できない無能な人間だ」となってしまうわけです。

ということで、これは日本語で議論をすることに慣れつつある自分にとっても深刻な問題かと。気をつけようと思いました。
by masa_the_man | 2012-09-05 09:32 | 日記 | Comments(67)
お知らせです。

きたる9月23日(日)の午後に、都内某所で私の新刊『世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう』の出版記念講演会を開催します!

詳細はのちほどお知らせしますが、なぜこの本を書いたのか、なぜ日本人は戦略が理解できないのか、そして「成功本」の格付けなど、盛りだくさんの内容で語ります。

取り急ぎお知らせまで!
by masa_the_man | 2012-09-03 00:30 | ためになる情報 | Comments(2)