戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man

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今日の横浜北部は気温が低めですが、朝からスッキリよく晴れております。

昨日のことですが、あるところで文系の先輩知識人の集まりに参加してきました。とても勉強になりまして、いろいろ知的刺激を受けてきたところです。

今週末のオフ会の発表は個人的にもかなり楽しみ。ご期待下さい。

さて、テクノロジーに関してまたまた面白い記事があったのでその要約を。

「最新機器」というのは、人間の感情とむすびつきやすく、それが「宗教戦争」を起こす原因となっているという興味深い記事です。

政治学や心理学との共通項もありますし、本ブログではおなじみの「恐怖」「利益」「名誉」という三要素に関する話もあります。

これは本ブログで何度も強調している通りです。「テクノロジー」というものには、人間の思想や感情が込められている、ということです。

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テクノロジーに関する罵詈雑言コメントと「宗教戦争」

●ある読者から以下のようなコメントをいただいた。

●「君が今日NYタイムズに載せた記事はくだらないね。ギャラクシーSIIIはダサいし、冷たく感情の感じられない、失敗作だ。単なる次世代携帯というだけで特徴がない。画像はキレイになったけどビジョンはない。昔のあなたの記事はよかったけど、今は僕たちにゴミを勧めているのかい?あなたはクビになって別の人のわかっている人に記事書いてもらいたいです。」

●このようなコメントをいただくのは、テクノロジー系の批評家の仕事のうちの一つだ。舞台や音楽系の批評家も同じようなメールを送りつけられていることは想像に難くない。

●ぶっちゃけ言うと、最近の私のこのようなコメントに対する反応は「好奇心」である。このような読者には一体何が起こっているのだろうか?たんなる大量生産品になぜここまで感情的になれるのだろう?

●上のコメントをくれた読者について少し考えてみよう。

●まずこのコメントをくれた時点で、まだその携帯は発売されていないのだ。つまり彼はそれをまださわって試せるわけがなかったし、コメントのような判断ができるわけがなかったのだ。

●では彼がここまで断罪できる根拠は何だったというのだろう?

●80年代から90年代の最新テクノロジーに関する「宗教戦争」の図式はもっとシンプルだった。アップルとマイクロソフトの二大巨頭しか存在しなかったからである。

●アップル側の人々は、マイクロソフトが発展したのは品質ではなくアイディアを盗んで活用したからという理由で批判していた。逆にマイクロソフト側の人々は、アップルの製品がキザでエリートっぽく、しかもやたら高いことに文句を言っていた。

●しかもそこには「判官贔屓」という要因もまざっており、好きなチームに肩入れして応援するという心理が働いていたのだ。

●もちろんマイクロソフトとアップルの間の憎しみ合いはまだ続いている。私は先日ある製品発表会で同業者のコラムニストと似たような罵詈雑言コメントをもらうことを確認して大笑いしたばかりだ。

●ところが最近はまた新しい「宗教戦争」がはじまった。グーグルvsフェイスブックだ。カメラだとニコンvsキャノン、電子書籍リーダーだとキンドルvsヌックだ。そして今はサムソンだ。

●ではなぜ多くの人が私のような携帯電話のレビューアーの書いた記事にわざわざ自分の時間をつかって大量の罵詈雑言メールを送ってくるのだろうか?

●政治学ではこのような現象に「敵対的メディア認知」(the hostile media effect)というコミュニケーション理論の名前がつけられている。

●これは、あなたがあるトピックに関心をいだいていて、たまたま見たメディアの報道の仕方が自分の見解と異なると、実際にその報道がいくら中立的なものであったとしても「バイアスがかかっている」と感じる現象のことだ。

●この現象は、エレクトロニクス業界だと「恐怖」という強力な感情によって、さらに大きく増幅されるのだ。

●たとえばある製品を購入してしまえば、あなたはすでにこの製品に固定されることになる。ようするにあなたはあるブランドにすでにコミットしてしまったということだ。

●しかもそれが電子書籍リーダーであれカメラであれ、とにかくすでに多くの資金をつぎ込んでいるのだ。

●そうなると誰かが別ブランドの新しい製品を素晴らしいとコメントしたとする・・・これはすでに別の製品を持っている彼らにとっては恐怖以外のなにものでもない

●そうなるとあなたはこのコメンテーターのことを、あたかも自分の製品、そしてあなた自身、そしてあなたの「知性」を酷評したと勘違いしてしまうのだ。なぜなら賞賛した製品はあなたが選んだ製品ではないからだ。

つまりこのコメンテーターは「あなたは間違った選択をしました」と自分に対して言っていることになり、無駄金を使ったように感じさせることになるのだ。

●さらには社会的に見られる姿という点においても恐怖を加速させる。アップルの製品は単なる機器ではなく、最近はそのデザインのおかげで「ファッション」になってきたのであり、あなたが持っているものはあなた自身を表すように思えてしまうのだ。

●たとえばマイクロソフトのZuneはデザインの優れた音楽プレイヤーだったが、生産打ち切りになってしまった。その理由は、iPodのほうがかっこよかったし、iPodをもってダンスするシルエットの広告がかっこ良かったからだ。

●逆に人々は、Zuneをもっているおかげで哀れみを感じてもらいたくないのだ。

●ここでまた同じメカニズムが発生する。新しくてよい製品を褒めると、読者には「あなたは選択を間違えた」ということだけでなく、「あなたにはセンスがない」と言っているように聞こえてしまうのだ。

●それはまあよいとしても、ではなぜ電機製品でこういう現象が起こるのだろうか?なぜ朝食のシリアルやレンタカー会社、それに保険会社のブランドの間でこういう戦いは起こらないのだろうか?

●もちろんその答えは、それが日常的に比較検討されないからだ。たとえば朝食用のシリアルについて毎週比較するような記事なんか書かれないのだ。

●ところがネットというのもこの要素の一つに入っている。テクノロジー系の製品が「宗教戦争」で争われる理由は、インターネット自体がテクノロジーにのっとった場だからだ。

●しかもその匿名性のおかげで、ネットでは人前では言えないような過激なことも言えてしまうのだ。

●私はネット上でもっと大人な、落ち着いた議論ができればいいと思っている。どのような携帯を持っていても個人の価値には関係ないことを学んでくれたらなおいい。

●ところがこんなことを言っても、それはまるで「われわれはもっと身体を動かすべきだ」とか「国家はもっと仲良くすべきだ」と言っているようなものだ。ようするにわれわれの「人間の本質」の中には、なかなか変化させることができないものがあるのだ

●そして明らかに最新ガジェットに関する人間の感覚は、その内の一つであろう。

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結論は、戦略学でも中心的なテーマになっている、人間の本質(human nature)の不変性というところに落ち着きました。



by masa_the_man | 2012-06-26 09:49 | Comments(4)

無人機ネタ4連発

今週末にオフ会開催です!

アメリカで無人機を流行らせたのは私です:無人機の自作サイトを作った男が、なぜアメリカ国内でブームになったのかを検証。無人機界ではムーアの法則が加速しているという。

アメリカの撤退を難しくする無人機?:アメリカの海外への武力介入のパターンを歴史的な例から簡単に分析。戦争を政策として使うことが苦手であるという意外な分析から、無人機が逆に世界の紛争地からの介入撤退を難しくしているという興味深い指摘も。

無人機がイスラム世界のオバマの印象を悪化させている:オバマ政権になって大活用されはじめた無人機による攻撃が、オバマのイスラム世界との邂逅を高らかに述べた「カイロ宣言」を台無しにしているという分析。2010年のニューヨークの繁華街タイムズスクエアでのテロ爆破未遂事件のファイサル・シャザードはアメリカの無人機によって親族が殺されたために犯行に及ぼうとしたことは有名。

無人機を使った米国内の監視が政治問題に:ある程度は予測されておりましたが、いよいよ無人機の民間活用が活発になってきたために、米国内では法整備の必要性が議論されてきた。さっそく共和党のロン・ポールがそれを禁止する法案を提出。しかしこの記事の著者は楽観的。

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by masa_the_man | 2012-06-25 08:18 | ニュース | Comments(0)

今日の小ネタ

なぜ中国は崩壊しないのか:①中国の政体は十分成熟したから経済低下にも持ちこたえられる。②人民が求めているのは革命や政権交代ではなくて、改革である。だから問題ない。ハンチントンを効果的に引用している。

テクノロジーだ、アホ!:インド系若手知識人であるパラグ・カンナによる、国際政治におけるテクノロジーの重要性を論じたもの。とくに中国のケースを中心にして、国力にテクノロジーがどれほど決定的な役割を果たしているのかを検証。

グローバルサイバー暴動に備えよ:本の紹介。色々なハッキングのケースを紹介している。教訓は、パスワードの管理だけじゃ全然だめだということ。かなり有名なサイトも簡単にハッキングされているらしい。ネットは穴だらけであると評者は感じたとのこと。
by masa_the_man | 2012-06-23 21:43 | ニュース | Comments(0)
今週のメルマガを更新しましたのでお知らせします。

今回は一連の原発問題と「コントロール」という概念をひっかけて考えております。

一言でいえば、「動物や囚人になりたくないなら戦略をもて!」ということなんですが・・・批判を巻き起こしそうな内容なのでちょっとビビってます(苦笑

ということで、ご興味のある方はこちらまで。

▼究極のCS戦略:支配して生き残れ!?▼



by masa_the_man | 2012-06-22 18:48 | 日記 | Comments(0)
今日の横浜北部は昼まで雨が激しかったですが、現在は雨もあがっております。

さて、最近なぜか執筆などの間に昔のテレグラム(電信)の発展についての本や論文を読んでおりまして、いくつか興味深いことに気づいたので、メモ代わりにここへ。

インターネットを中心としたITテクノロジーがわれわれの生活を変えつつあるということは、このブログをお読みの皆さんにとってはすでに常識すぎて、もう当然の事実なのかもしれませんが、私が最近気になっているのが、

「新しいコミュニケーション手段の発展が、人間の言葉の使い方に大きな変化を起こした」

という事実。

たとえば最近よく言われているのが、「ネット用語」のような言葉が、とくに若い世代の間で、普段の会話で使われる、いわゆる「口語」の中にかなり浸透してきている、という事実。

このような現象というのは全く新しいものではなく、ラジオやテレビが出てきたときに「大衆化」という形で「流行言葉」のような形で人間の使う言葉に影響を与えてきたということが感覚的にも理解できるかと。

しかし私がテレグラムの歴史に関する本を読んでいて面白いと思ったのは、現在よく言われている「ジャーナリズムの客観性」というものが、19世紀のアメリカにおけるテレグラムの発展によって実現された、という分析。

それによると、テレグラムが発展したことによって、あの広大なアメリカ大陸におけるニュースの地域性というものが失われ、代わりに情報が「物品」(コモディティ)化して、そこで使われる言葉が「科学的なもの」になったというのです。

考えてみれば、司馬遼太郎も明治維新の志士たちは「標準語」というものをもっておらず、互いのヒドい地方なまりを克服するために使っていたのが狂言の言葉だった、みたいなことを書いておりますね。

そしてアメリカの場合は、テレグラムの発展のおかげで「メディアで使われる中立的な言葉」の必要性が高まり、これが現在の「客観的な報道」というジャーナリズムの基礎につながったと。

このように、新しいテクノロジーの登場は人間の社会的な行為を劇的に変化させるのであり、その一つの例が、われわれが使う言葉の変化なのでしょう。

私がお世話になっていたイギリスのある先生は「電話が出てきた時点で人間はサイボーグになった」という主旨のことを言ってました。

ところがもしかすると、人間というのはテレグラムが出てきた時点で、人間の脳と脳の間には電線が介入したという意味で、すでにサイボーグ化が始まっていたと言えるのかも。

そしてインターネットのおかげでわれわれの脳みその間にはコンピューターの介入が当たり前になった今、人間の「サイボーグ化」はますます進んでいると言えますな。



by masa_the_man | 2012-06-22 16:50 | 日記 | Comments(11)

今日の小ネタ

竹島問題が飛び火?:アップルが新しく発表したiPhone用のオペレーションソフトの地図で、韓国側が主張している「独島」が「竹島」と表示されていると問題に。

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*これってアップルとサムスンの特許争いがこっちに飛び火したということ・・・・?

無人機の使用をフロイト式に精神分析すると?:無人機を使った空爆における罪悪感を、使う側の人間たち(主にアメリカの政府高官)がどのようにとらえているのかを、フロイトの精神分析の手法を使って簡単に解説。これから無人機使用への要求は世界各国でどんどん高まると分析。

●【書評】チューブ:初期のインターネットの歴史から、インターネットの地理的な重要性を検証している。データセンターやネットの接続における「ハブ」問題を分析している。面白そうだ。
by masa_the_man | 2012-06-21 08:24 | 日記 | Comments(0)
今朝の横浜北部は、風は止みましたが曇り空に戻っております。昨日の蒸し暑さはないですね。

さて、昨夜のことですが、久々にクラウゼヴィッツ学会の月例研究会に参加してきましたのでその簡単な報告を。

何度かここでも告知している通り、私の所属するクラウゼヴィッツ学会というのは毎月一度研究発表があって、年に一回大きな大会をやる、というのがパターンになっているのですが、最近は私自身も忙しくて、告知をしている身ながら月例の研究会に出席できないというパターンが続いておりました。

ところが昨日はちょうど都合がついたので久々に出席したらなかなか興味深い発表が。

テーマはクラウゼヴィッツのいわゆる「三位一体」論なのですが、これについて長年研究しているクリストファー・バスフォードというアメリカの国防大学教授の論文を分析するというもの。

この論文の著者のバスフォードなんですが、世界的にも有名なClausewitz.comというサイトの編集者でありまして、もちろんこのサイトは私がイギリスで戦略学のコースをにいたときも必見サイトのひとつとして生徒たちの間では有名でした。

このバスフォードなんですが、このクラウゼヴィッツの「三位一体」論――戦争には暴力/感情、偶然/確率、合理性という三つの要素が存在するというメカニズムの説明ーーを非常に重視しておりまして、今回の発表で分析されたのもこの「三位一体」(参考文献はこちら)。

詳細は省きますが、今回の発表でますます明らかになったのは、クラウゼヴィッツを単なる19世紀の戦争だけを見ていた「近代戦争」についての論者でしかなく、彼の戦争観は最近のテロ戦争や小規模戦争/対暴動などのような非国家戦争には当てはまらないとする、クレフェルトに代表される議論の怪しさかと。

文献や訳語の比較などもあり、非常に知的好奇心をそそられる面白い発表でした

次回の発表は私が行います。

自分の専門ではないRMA/情報戦争とクラウゼヴィッツの関係についてですが、テクノロジーの発展との絡みで面白い分析ができればなぁと考えております。
by masa_the_man | 2012-06-20 23:53 | 日記 | Comments(0)

積極的に休憩をとれ!

今日の横浜北部は朝から曇っております。しかし蒸し暑いですね。夜には台風接近らしいですが・・・

さて、仕事というか、人間の能率に関する記事で面白いものがありましたのでその要約を。

個人的にも時間と能率の問題は自分の仕事に直接関わってきますので、非常に興味あります。

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仕事場でボケ〜としてしまったら積極的に休憩をとれ!

●自分のオフィス関連の仕事の生産性を上げたい場合、とにかく長時間取り組めばなんとかなると思ってはいませんか?

●しかしこれは大きなマチガイ。

●最近の研究で証明されつつあるのが、集中力を使う仕事の場合、休憩を定期的にとることによって生産性と創造性が上がるというもの。

●また、同じように結果が出ているのは、休憩をとらないとストレスと疲労がたまるということ。

●トロント大学のトロウガコス教授によれば、人間の集中力というのは筋肉と一緒だということ。つまりある一定の時間を使用したら疲れてしまうので、適度な休みが必要なのだ。

●ただし休憩というのは、とりすぎると、なんだか後ろめたい感じがする。仕事中にリラックスするというのは、自分の時間に給料を払っている人に対してなんだか申し訳ない気がするからだ。

●ところがこの「後ろめたい気持ちを感じる」ということこそが大事だ、とその教授は言う。

●仕事をしている人というのは、仕事や仕事場から離れて内的なエネルギーを再充電する必要があるのだ。これには散歩や別の部屋で本を読む事、それにランチブレイクなどが有効だ。こうすることによって精神と肉体面を充電できるからだ。

●つまり頭が働かなくなってきたら外に散歩に出かけろ、ということだ。

「休憩をとらない」というのは、会社と社員の両方にとっても互いに不幸なことである。

●この教授は「脳の働きが最低になる前に休憩をとれ」とアドバイスする。この脳の働きの低下の症状として現れるのは、ボケっとしたり夢想したりすることだ。

●しかし休憩をとったあとに、精神的に集中した、いわゆる「ゾーン」に入った場合には、また休憩をとらなくてもいいのだろうか?教授は、そのような場合には休憩をとる必要はないと言う。

●長時間集中して働くことに精神的な充実感を覚えることがあるので、もちろんやれる場合は続けて働いても良い。

●ただし一つだけ覚えておかなければならないのは、あなたを最も精神的につかれさせてしまうのが、長時間の集中を自ら強いるような行為だ。

●しかし教授は同時にあまり頻繁に休憩をとりすぎるのも、単なる仕事の遅延につながるだけだからダメだとも注意している。何ごとも極端はよくないのであり、適度なバランスが重要だということだ。

●ただ一般的に言って、社員というのは――とくに身体を動かすような――休憩をあまりとっていない。とくに座りっぱなしというのは健康に問題を抱える確率が高まることは指摘されている。

●「人間の身体は基本的に動くように設計されているんです」とは医師であるレヴァイン氏。彼は立って会議するのではなく、むしろ歩いて会議しろと勧めているほど

●また、レヴァイン氏は昼寝の提唱者だ。

●もちろん仕事場で昼寝をするのは印象がよくない。しかし昼寝が生産性を上げることは証明されている事実だ。

●しかしこれには個人差があるので、みんなそれぞれ様々なやり方を組み合わせるべきである。

●しかし人間一般言えるのは以下のようなことだ。

●まず十五分間だけ極度に集中して、それを休憩で区切る。これを一日中に何度か行うということだ。この理由は、人間の考え方のプロセスというのは継続性がないからだ、とはレヴァイン氏。

●長時間やっても、それは質の良い結果をもたらすわけではない。まず優先すべきは効率よく生産的な仕事を行うことのほうなのだ。

●そしてそのためには頻繁な休憩が有効だという。

●また、休憩というのは「天才のひらめき」を与えてくれる点で非常に価値のあるものだという。アインシュタインは自転車に乗っているときに相対性理論をひらめいたと言われている。

●レヴァイン氏によれば、実際は逆で、休憩時間を中断するために仕事をするようにしなければならないというのだ。たしかにこれは皆の支持を集めそうだ。

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まあ当たり前といえば当たり前の結論なんですが、それでも日本の会社なんかだったら休憩を積極的にとったり、ましてや昼寝をとるなんてのは難しいですよね。

私は自分の身体で実験したのですが、翻訳でも本を書く時でも、連続して集中作業できるのは一時間半くらいで、作業前後に腹が減った時に脳を活発にさせるのに一番良いのは、お菓子でもジュースでもなくて、果物だというもの。

しかし今回面白かったのは、ミーティングや会議を歩きながら行えという提案でしょうか。メモをとるのは大変かもしれませんが、脳みそが活性化されるという意味では一理ありそうな。




by masa_the_man | 2012-06-19 09:23 | 日記 | Comments(10)
告知が遅れましたが、メルマガを更新しましたのでお知らせします。

今回は先日参加してきたスティーブン・ウォルトの日本での講演会に参加してきた感想にからめて、日本人が苦手な思考法について考えております。

まあ結局のところは「国際政治や自分の状況をリアルに考えよう」ということなんですが、その「リアルに考える」という作業にはひとつ重要なステップが必要になる、ということを説明しております。

ということで、興味のある方はこちらまで!

▼リアリズムとは、"大人"になるということ?!▼



by masa_the_man | 2012-06-18 13:46 | 日記 | Comments(4)
今日の横浜北部は「梅雨の晴れ間」ということで、かなり気温も高く、実にスッキリとした初夏の一日を味わえました。

さて、久しぶりに本のご紹介。しかも今回は翻訳本です。

専門家の予測はサルにも劣る
by ダン・ガードナー(訳:川添節子)
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題名からもズバリとわかるように、この本は人間の予測、とくに「専門家」の予測がいかに当たらないものであるか説明しております。

しかし原著者はただ単にその道の専門家たちの過去の失敗例を列挙するだけでなく、なぜ彼らが間違いつづけるのかというところまで踏み込んで、その理由を、最新の心理学や行動経済学の研究結果などによって説明しております。

失敗例として「やり玉」に挙っているのは、トインビーからジャック・アタリ、ラビ・バトラ、ハーマン・カーン、ロバート・ライシュ、ジョン・メイナード・ケインズ、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ、アーサー・ラッファー、ピーター・シフ、ダニエル・ベル、レスター・サロー、ポール・エーリック、リチャード・フォーク、アルヴィン・トフラー、ポール・クルーグマンなど、知る人ぞ知る有名専門家ばかり。

ただし本書の本質は、彼らが必ず予測を間違えてしまう心理学的なメカニズムの分析を行いつつも、「カオス理論」などから未来予測の難しさを説明しつつ、その「予言者」たちの対応の間違った後の態度の取り方、そしてそれに対してわれわれがどのように対処すればいいのかまで、かなり深く、しかし軽快な筆運びで論じております。

本書の白眉は、おそらく心理学者のフィリップ・テトロックの専門家たちの数々の未来予測を長期にわたって追跡した調査結果を引用しているところであり、また興味深いのは、80年代末から90年代にかけてアメリカで吹き荒れた「日本脅威論」などをネタに、いかに専門家たちがことごとく間違ってきたのかを論じているところでしょう。

また、いくら間違ったことを言っても「断言している」という理由から信じられてしまう謎を進化心理学の面から説明していることや、聴衆を説得するにはデータではなく「自信を持っているように見えることのほうが重要」という指摘は、意外ですがなかなか説得力のあるもの。

個人的にとくに感慨深かったのは、ジョン・ルイス・ギャディスの有名なIR理論の批判論文(というかそれをまとめた本)の議論を引用しながら、冷戦の終結を予測できなかった「専門家」たちに触れつつ、

専門家は専門家であるがゆえに、逆に豊富な知識と情報を持っているから間違いやすい

という逆説的な結論を導き出している点でしょうか。

「グループシンク」の同調圧力や、無意識かつ非合理的に判断する脳の機能を説明している他にも、人は不確実性が増えた時に非合理的だが断言的な予測(占いを含む)を知りたがる傾向がある、ということを述べていた点や、戦略学的には以下のような、

●残念なことに、情報量を増やしても、問題解決には役に立たない。むしろ、情報を追加すると説明しやすくなり、たくさんのデータを持つことで、ますますないものが見えるようになる傾向がある。コンピュータを加えると、状況はさらに悪化する

という、まるで「軍事における革命」(RMA)の推進者たちへの強烈な反証ともいえるような議論を紹介していることです。

また、経営戦略ではよく使われる「ハリネズミvsキツネ」という思考法の対立や、究極的には「人間の判断力」というむずかしい問題にも取り組んでおり、まさにクラウゼヴィッツの「戦争の本質」論(戦争の気候、摩擦、人間の関与云々)にも似たような言説がどんどん出てきます。

そのクラウゼヴィッツの「戦争観」に関連したことでいえば、原著者は以下のように、

●自分の環境を全くコントロールできなくなると、人はストレスにさらされ、病気になり、早死にする・・・このように「コントロール」とは人間にとって基本的な心理的欲求なのであり、コントロールなくして暮らすことは文字通り「拷問」にもなりうる。

という、私が以前ここで述べた「原発とコントロールの感覚」というエントリーに密接に関係している話がでてきます。

最近のいわゆる「専門家」たち(これには本ブログの著者も含む←苦笑)の予測の怪しさに常々疑問を持っている全ての人々に自信をもってオススメできる、とても素晴らしい本です。

ただし唯一残念だと思ったのは、本文の一番最後の行に書かれている下ネタの意味を、訳者の方が全くわかっていなかったことでしょうか(笑



by masa_the_man | 2012-06-14 20:00 | おススメの本 | Comments(4)