戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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今日の甲州はよく晴れました。里帰り(?)してます。冬になると日が低くなってまぶしいですね。

今年最後の記事を。リーダーシップについて面白い記事があったので、その要約です。

実はアメフトのネタなんですが、その部分は省いてエッセンスだけ抜き出しております。

=====

●危機には頼りがいのあるリーダーが欲しい

●若いリーダーでも、本当にリーダーシップにあふれている人間は、普通ならクサイと感じられることわざを使っても、なぜか信頼されてしまう。

●この不思議なリーダーシップだが、調べてみると、リーダーに必要なのは「支配力」ではなくて「説得力」である。

●ところがいままでの研究で間違っていたのは、リーダー側ばかりに焦点を当てていた点。

●実はリーダーシップが効くのは、ついていく側がリーダーを信じて協力してやろうと思うかどうかにかかっている。

●では「ついて行く側」が求めているのは何か?ある研究者によると必要なのは以下の四つの

①首尾一貫した態度

②自信、

③決定力、

④明晰さ。

という点だという。

●逆に「ついて行く側」が嫌う点は何かというと、

①短気で怒りやすい。

②気分が安定していない。ムーディーである。

③信頼できない感じがする。

④物事を決められない、決断力がない。

⑤不必要なマイクロ・マネージメントをする。細かすぎる。

⑥権威をやたらと振りかざす、つまりやたらと「威張る」。

という六つの点。

●アメリカのある研究では、機長の性格と乗組員が犯すエラーの数に相関関係があるという研究結果が出ている。

●乗組員が機長にたいして

①同意できる、

②自信をもった態度を見せる、

③感情的にも信頼がおけると感じている

という場合には、そのチームが業務中に冒すエラーが最も少ないという。

●反対にエラーが最も多いのは機長が横柄で敵対的で積極/消極すぎたり独裁的な場合。

●この研究の結論としては、結局のところ「リーダーがついていく側に信頼されているかどうか」だという。信頼されないとすぐに馬鹿にされてしまいアウトとなる。

●そして仕事の結果というのは、最終的には「ついていく側」がつくるものだ。だからリーダーは彼らの信頼を、何がなんでも勝ち取らなければならない。

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当たり前のことですが、これがなかなかむずかしい。

心の安定と「信頼される」ことがカギということですね。
by masa_the_man | 2011-12-31 23:58 | ニュース | Comments(2)
今日の横浜は朝からよく晴れましたが、とにかく寒かったですね。

北朝鮮の分析をやろうとしていたんですが、引っ越しなどを含めて私生活のほうで猛烈に忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

とりあえず金正日死去関連ニュースでいくつかわかっていることだけ簡単に思いつくまま列挙しておきますと、

1、米韓日のどの国の情報機関も、金正日死去をまったく予測できていなかった。中国は発表前に情報入手で動いていた?

2、中国の対応は迅速であり、北朝鮮にたいする発言権が増した(ように思われている)。

3、すべてのサイドが「現状維持」を求めている。

4、前回の一九九四年の時と同じように、意外と権力移行はスムーズである。

5、上の息子二人(正男・正哲)は完全に蚊帳の外

6、軍事的には小規模なミサイル発射実験(?)が行われただけ。

7、北朝鮮国内は落ち着いている。

8、軍は三男を「最高司令官」として歓迎。

9、張成沢が軍服を来て「大将」となっていた。

10、おそらく北朝鮮側の死去のアリバイ(17日夜死亡)は破綻している

などなど。

そんな中、時間がない割に私が報道を読んでいて一番鋭いなぁと思ったのは、FT紙のこの意見記事などをはじめとするものでして、最悪のシナリオとしては

米中が北朝鮮の核兵器の在処をめぐって北朝鮮領内で対立する

というもの。

ここでまたまたウォルツで恐縮なんですが、日本の報道は「ファースト・イメージ」や「セカンド・イメージ」の分析については多くなされておりますし、中には優秀なのもけっこうあると思うんですが、いかんせん「サード・イメージ」的な観点からなされたものは皆無に近いかと。

北朝鮮という米中のパワーが衝突する「緩衝地帯」としての立場や、ユーラシア大陸への「橋頭堡」としての価値など、もっとおさえるべき重要な点はいくらでもあるように思えるのですが、どうなんでしょうか。

ということで、今日になって年末まで少し時間が出てきましたので、この辺についてできるかぎり毎日書いていきたいと思ってます。
by masa_the_man | 2011-12-26 22:24 | 日記 | Comments(3)
今日の横浜は朝から快晴でした。

さて、すでにご存知かもしれませんが、昼頃に東アジアの地政学を揺るがす大ニュースが入ってきました。金正日死去のニュースです。

少し昔の記事の要約ですが、今読んでも多くのヒントがあると思いますので、とりあえず再録しておきます。

========

Get Ready for DPRK Collapse

May 12, 2010

六カ国協議はどうやら望み薄であり、政策家たちは今から最悪の事態について準備するべきだ。

●北朝鮮のリーダーである金正日は先週中国へ「非公式訪問」したが、その真意を探るのはそれほど難しいわけではない。

●ほとんどの分析者たちは、彼が自分にとって最も重要なパトロンに会ってさらなる援助を求めたと考えており、そのパトロン側もすこし援助を与える代わりに(だんだんと無意味になりつつある)六カ国協議に復帰するよう求めたと見ている。

●しかし東アジアの平和と安定に寄与する国々にとって、中国の圧力が北朝鮮の核兵器開発計画を阻止するかどうかという点に注目しているのだとしたら、彼らは単に時間を浪費しているだけだ。

●この点における平壌の立場は明瞭だ。「北朝鮮は六カ国協議における取り組みを尊重しないし、核能力も放棄しない」ということだ。

●ところが最近の北朝鮮国内の動きから見ると、核兵器に頼ることは金正日の政権を継続させることには役立ちそうもない。北朝鮮の経済危機は、明らかに政権の正統性(レジティマシー)や耐久性を揺るがしているのだ。

●歴史を振り返ってみると、公然と自国民からカネを取り上げたのは、最も生き残りに必死になった国の政府だけなのだ。

●また、ベテラン分析官たちは平壌政府に対する国民蜂起があったことを報告している。国連によって課せられた制裁や金正日の政権を弱体化させようとするその他の働きかけにより、北朝鮮は国際社会を脅してさらなる経済支援を取り付けることができなくなってしまったのだ。

●さらに重要なのは、典型的な一族独裁制を敷く金正日の政権が、最も困難とされる「権力の譲渡」という問題にもうじき直面するということだ。

●金正日はすこし前に脳卒中を起したほどであり、健康問題がささやかれていると同時に権力の掌握力も弱まっている。彼は27歳の息子である金正雲に後をつがせようと必死になっているのだが、金王朝にとってはあいにくなことにこのプロセスは失敗に終わりそうなのだ。

●たとえば近代の一族独裁制(もちろん伝統的な君主国は除くが)の権力譲渡の状況を見てみると、第一世代の独裁者から次代の息子に権力がうまく移る割合は約25%であり、第三世代の孫に移して権力を固めることができた例は皆無なのだ。

●もちろん金王朝は新たな前例となるのかもしれない。しかし悪化する経済や、うわさされている未経験の継承者と、北朝鮮軍が金正日の死の際にどれだけ信頼できるのかが分からないことなどを考えると、東アジアの周辺国は北朝鮮の急激な崩壊というシナリオに備えるべきである

●北朝鮮が崩壊したとして最も心配なのは、周辺の主要国たちがそのような状況になった時にどうするのかという点について、互いに(公式/非公式にかかわらず)あまり連絡をとりあっていないことだ。

もちろん中国、アメリカ、日本、韓国、そしておそらくロシアなども、ほぼ確実に北朝鮮の急激な崩壊についての対処の仕方については計画しているはずだ。ところが彼らはまとまってどのような反応をするかについては何も準備をしていない。

●結果として、多くの重要な問題については何も答えが出ていない。

●たとえば、「もし中国が“人道支援”という名目で北朝鮮に戦闘部隊を派兵したら、米韓はどのように対処すればいいのか」という疑問がある。おそらく北京政府は何百万人もの北朝鮮からの難民が中国に流れ込み始めた時点でそのようなことを行う可能性が非常に高いのだ。

●また、「核物質を確保するためにはどの国が率先してやるべきなのか?」「米韓軍が38度線を越えた場合、中国はどのように反応するだろうか?」「金正日亡き後の平壌政府には、誰が手を差し伸べるべきなのだろうか?」「朝鮮半島が統一された後の集合的安全保障の仕組みはどのようなものになるのだろうか?」という疑問がある。

●これらについてはアメリカ、中国、日本、そして韓国の政府関係者たちにとってはあまりにもデリケートであるために、議論することをためらわれるような問題だと思われている。

●その結果、これらの難しい問題について考えている人は少なく、さらには北朝鮮崩壊後の米中の紛争についての解決法や、金王朝後の恒久的な平和状態をいかに構築していこうかという問題について考える人はいないのだ。

●この不安定な地域における主要国間の信頼感が欠如していることを考えれば、政府関係者がいきなり心を入れ替えてこのようなことを論じ始めるとは到底思えない。

●その代わりにやるべきなのは、元政府関係者や学者、そして政策専門家たちの間でよく構成された非公式な議論やシナリオ計画の作成などであり、これが最初の一歩となるかも知れない。いずれにせよ、このような非公式な努力が、最も重要で破壊的となる可能性のある問題をわれわれが議論するためのきっかけとなることは間違いない。

●金正日を扱っている中国にとっては、そのような穏やかな提案でさえ忌み嫌うべきものだ。そして彼らはこのような提案を徹底的に否定するだろう。

●それでも彼らはただ単に体調の悪そうな金正日の写真を見ながら「そろそろプランBを考えるべきじゃないの?」ということを思うだけなのだ。

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数日以内に私の見解などをここに書いてみようかと。
by masa_the_man | 2011-12-19 18:28 | ニュース | Comments(9)

留学記の講演会を計画中

昨日の横浜は雨っぽく、いまいちスッキリしませんでした。

さて、最近計画していることを一つ。

本ブログも開設してから七年以上が経つわけですが、修士からはじまって博士号をとるまでの「留学日記」のような感じになっておりまして、一度この体験のエッセンスをまとめたものを発表しようと考えておりました。

具体的にはこれからイギリスでドクター(やマスター)をとろうと考えている人々に、私の体験のエッセンスや情報などをお伝えして、それを日本の今後のために活かしてもらおうというものです。

この計画の原案自体はオフ会によく来てくれている人のアドバイスなのですが、たしかに講演会やオフ会などでも「これからどこの大学に、どう留学すれば・・・?」という質問を聞くことが多いので、潜在的に需要はあるのかなぁと思っていた次第です。

もちろん私はすでに卒業してしまったので、お伝えする情報は「最新のもの」というわけではないですが、私の個人的な体験が、あとにつづく若い(もしくは年上の方の)皆さんのお役に立てればなぁと思う次第です。

来年の2月か3月あたりに開催を予定しております。ご期待下さい。
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(よい子はマネしちゃダメ、ゼッタイ)
by masa_the_man | 2011-12-15 00:45 | 日記 | Comments(2)
お知らせです。

オフ会で臨時販売していた横綱論の「小冊子版」ですが、多少余りが出ましたので、またご希望の方に販売させていただきます。まだの方はこのチャンスにぜひ!

リーダーに必要な「運」とは何か?そしてそれを上げる方法論は存在するのか?

数々の哲学・宗教・思想・セルフヘルプ本などを読み込んだところから浮かび上がってきたエッセンスを凝縮した謎の「横綱論」と、そこから編み出された「運を上げる方法」を簡潔にまとめたパンフレット、好評発売中。

小冊子版:

本ブログ左側にあります私のGメールのアドレスまで「横綱論2(もしくは1&2):小冊子希望」というタイトルと共に、

●氏名
●住所

をお書き込みの上、お申し込み下さい。

ただし小冊子版は数に限り(残り5冊ほど)があるため、売り切れ次第ご案内を停止させていただきます。ご容赦下さい。


引き続き好評の電子版ですが、申し込み先は以下の通りです。お気軽にぜひ。

電子版:

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by masa_the_man | 2011-12-12 00:45 | 日記 | Comments(6)

昨日のオフ会

昨日の横浜・東京はよく晴れました。冬にこんなに晴れる大都市は世界にも稀なのではないでしょうか。

さて、昨日のオフ会には多くの方々にまたご参加いただき本当にありがとうございました。

例のごとく内容が濃かったと同時に、私も個人的に非常に勉強になりました。

次回は新年開けて1月8日(日)の開催予定です。

テーマはまだ確定しているわけではないのですが、またまた興味深いものをご用意させていただくつもりですのでぜひよろしくお願いします。
by masa_the_man | 2011-12-12 00:38 | 日記 | Comments(6)
昨日の山田氏の発表に触発されたというわけではないのですが、最近とても面白い記事を見つけましたのでその要約を。

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●元アナーキストのカナダ人のP氏、彼は若かりし頃、両親に「警察はいらない、政府機関が逆に社会問題の元凶だ」と主張。

●ところが彼の住んでいた平和なモントリオールで、一九六九年一〇月一七日に暴動や放火や盗みや殺人が大量に発生。原因は警察や消防員をはじめとする公務員がストに入ったから。

●これをきっかけに、P氏は人間の性質そのものに興味をいだき、まずは言語、そして次に進化心理学(evolutionary psychology)を提唱するようになった。

●彼の主張は、人間の精神面での機能(感情、ものごとの決定判断、そして画像認識など)というのは自然淘汰によってつくられてきたものだ、というもの。

●彼は「若い頃から教育すれば人間はいくらでもつくりかえられる」とする社会エンジニアなどには真っ向から反対。理由は進化のプロセスの中でわれわれの心の中に残るものを無視しているから。

●彼の新刊本では、人間の最も根源的な性質である「暴力」について議論。

●この本の中で、彼は数千年間を経て人間の暴力の頻度(殺人件数、戦争の犠牲者数など)は劇的に落ちたと指摘している。

●一般的な進化心理学の原理からすれば、人間の本質にはすでに古代からの暴力の傾向が備わっていることになるために逆に反証になるのでは、と思える。

●ところがP氏は「人間の脳は環境によってかなり広範囲に反応を変えることができる」と論じている。

●きっかけは彼自身の元々の専門である言語だ。不規則動詞の研究をしている際に、彼は人間の脳の中に言語について二つの機能を発見した。単語帳のような記憶装置の部分と、要素をいろいろと構成して意味をつくりあげる部分である。

●彼はここから「言語には生物学的なルーツがある」と確信。結論としては、「言語は自然淘汰の際につくりあげられてきたものである」となる。

●この主張が認められ、彼は学者としても成功したが、最新刊では暴力の発生率を歴史ごとに図式化して並べており、たとえば一四〇〇年頃のイギリスでは、殺人発生率が現在のそれよりも100倍多かったという。

●彼は二〇〇六年に「あなたが人類の未来に楽観的な理由は?」というテーマでエッセイを書くように頼まれたときに「暴力の低下です」と論じたら注目を浴びた。

●それに賛同する研究結果が世界中から集まるようになり、彼はこれについて本をかかねばならないと思ったらしい。その結果が今回の新刊だ。

●人間の暴力が減り始めたのは、数千年前に最初に国家が誕生した時からだという。それ以来、その率は落ち続けているというのが事実らしい。

●もちろん20世紀には両大戦で大量の人が死んだが、それでも彼は自身の議論の反証にはならないという。その二つの戦いは例外的な事件だから、というのが彼の弁。

●人間の暴力が減ってきたのは「歴史」と人間の「進化する心」が相乗効果を上げているからだとか。

●「人間の本質というのは複雑ですね。暴力に向かう傾向もありながら、共感や協力、自制への傾向もあります」とはP氏の談。

●そしてどの傾向が強まるのかは、実はその時々の「社会環境」によって決定されるのであり、古代の社会では国家がなかったために暴力の傾向が強かったが、文明が台頭してきて社会のルールも変わってくると、暴力が減少しはじめたのだ。

●さらに携帯のようなコミュニケーション機器が人々の間に広まると、悪いアイディアが攻撃されて駆逐される速度がはやまることになる。

●もちろん暴力が減少しつつあるのは事実だが、それが増加する可能性があることも否定できないという。しかし減少している原因を理解できれば、人類は平和を推進できるという。

●最近の本では「“平和のためには正義を求めよ”というのは間違いだ」と論じるものがあるが、これはP氏は正しいと考える。しかし彼の場合は「平和を求めるなら平和になれ」のほうが良いという。

●もしかすると一番正しいのは「平和を求めるのなら心理学を理解せよ」ということになるのかもしれない。
by masa_the_man | 2011-12-12 00:31 | 日記 | Comments(7)

戦略の十五箇条

今日の横浜は快晴です。それにしても寒いですな。

明日はオフ会なんですが、これはお世辞でもなんでもなくて、個人的にとても楽しみなレクチャーばかり。期待大です。

さて、砲艦外交についての記事をまとめるつもりだったのですが、それよりも簡潔で興味深い記事がありましたので、まずはそちらを。

アメリカのある機関のモノグラフの中の結論の部分に、(軍事)戦略を考える上での15か条というものがありましたので、そのまとめです。

=====

戦略の想定と前提

1,戦略は、積極的に促す性質のものであり、しかも予期的なものだが、予言に役立つわけではない。

2,戦略は、「政策」(ポリシー)に従属しているものである。

3,戦略は、環境の性質に従属しているものである。

4,戦略は、包括的な視点を持つものである。

5,戦略は「安全保障のジレンマ」を戦略担当者やその他のアクターたちの間に発生させる。

6、戦略では、「何を達成すべき」で、それが「なぜ達成されるべきなのか」という基盤の上に立つものでなければならない。

7,戦略は、そもそも人間が行うものである。

8,戦略には「摩擦」がつきものである。

9,戦略は、「根本的な目的」と「根本的な原因」に焦点を当てるものだ。

10、戦略は、「階層的」なものだ。

11、戦略は、時間というものとの「共生的」な関係性の中に存在している。

12、戦略は、累積的なものだ。

13、効率は、効果に従属するものだ

14、戦略は、「追求される目標」、その追求のために使われる「手段」、そしてそれに使えるだけの「資源」(リソース)の間の、適度な関係やバランスを教えるものだ。

15、戦略に「リスク」はつきものである。

======

いかがでしょうか。

それぞれいかにも当然のもののように思えますが、いざ実行できるかというと難しいわけです。

また、戦略というものの不可思議な性質の一端を見せているものかと。
by masa_the_man | 2011-12-10 12:37 | 日記 | Comments(0)

飲み会のメモ

昨日の横浜はよく晴れまして、朝からすっきり洗濯日和でした。

さて、昨夜の東京での飲み会で聞いた話を簡単にメモだけ。

●ワシントンに四年間滞在して取材してわかった事実は、日本の政策に関して三つのキャンプがあること。それは、

①実務家
②ネゴシエーター
③学者・戦略家

●取材してネタになるのは短期的な政策などを決定する①や②であり、彼らがたしかに対日政策を動かしている人々であることは間違いない。

●ところが取材をしていてもなんとなくモヤモヤしていたのは、もっと奥のほうに大きな方針を決めている人々がいるのでは、ということ。

●帰国してわかったのが、③の存在だ。実は彼らの考えが一番大きな影響力を持っているのだが、これに気づいている日本人はほとんどいない。

●ただし日本の一般のマスコミやジャーナリストたちが彼らを取材してもつまらないと感じるようだ。具体性にかける話になりやすいので、ネタになりづらいからだ。

●ところが向こうの大学の授業を受けてみてわかったのが、このような理論を扱う学者や戦略家たちのすごさである。一度彼らの授業を受けてみると、大きな枠で見ることができるようになるのでがぜん面白くなる。

●そしてこの大きな枠組の視点こそがアメリカの政策の方向性を決めているのであり、それを担っているのが③の学者や戦略家と呼ばれる人たちである。

●アンドリュー・マーシャルは③と①を結ぶ役割を果たしている。あまり結論を言わない。

●ワシントンに駐在中の日本のマスコミや官僚たちは、あまりにも具体性のある政策ばかりの話に気をとられすぎだ。たしかにマイクロ・マネージメントの部分をやらせると彼らはすごいが、マクロには関心がないし、そもそも勉強していない。

●これはやはり日本が「帝国」ではないからかも。必要性がないというのはコワい。

以上です。

日曜日はオフ会です。蔵書(英語のものが多い)の処分セールしますのでご興味のある方はぜひご参加を検討下さい。
by masa_the_man | 2011-12-08 00:53 | 日記 | Comments(2)
今日の横浜はくもり空で、朝からかなり冷え込みました。冬ですね、これは。

さて、すでに告知した通り、本日は午後からあのジェレミー・ブラックの講演を聞いてまいりました。

ブラック教授といえば、戦略学や軍事史を英語圏で勉強したことがある人なら必ず読んだことがある、現代トップレベルの軍事史家であります。

もともと幅広い時間の概念と文化を越えた幅広い知識をつかって縦横無尽に議論を展開することに定評があり、得意の軍事史の他、世界史や外交史、それに地理や地図と政治の関係(そして地政学)など、実に多くの分野に関する本を書いております(私のオススメの本はRethinking Military HistoryとGeopolitics)。

本人の口から聞いて驚いたのですが、彼の出版した本はすでに百冊を越えているとか。もちろんネタがかなりかぶっているものがあるので、全体的なクオリティーの劣化が心配されるところですが、本人はそれにもめげずに今も非常に生産的です。

今回の講演内容ですが、私が思ったよりも面白いもので、唯一残念だったのは日本語訳が挟まるために、どうしても発表のスピードが落ちてしまうという点だけ。ただしそれを差し引いても、かなり知的刺激を受ける興味深い内容でした。

講演のタイトルは「戦争の未来像」ということで、今後21世紀の戦争はどのようになっていくのかを推測するというもの。

まずブラック教授は今後の戦争を「国内紛争型」と「国家間戦争型」に二つわけ、優秀な学者として当然のように定義にこだわります。それは戦争を「大規模な組織化された暴力」とするということです。

そこから人口問題に言及し、過去12年間で地球の総人口が10億人も増えたことや、今世紀末までにこのペースでいけば100億人越えること、そしてこれが前代未聞であるため、過去の考察の枠組みはちょっと当てはめにくいと論じていきます。

とくに人口の増加が顕著なのはラテンアメリカやアフリカ、それにアジアの国々であり、これらの地域の大都市は「スーパーシティ」と呼ばれるように、大規模な移民が流入することに。ところがこういう都市にはインフラが満足に設備されていないので、政府もコントロールできません。

ここで問題なのは食糧であり、村などでは農業をやって自給自足できるものの、スーパーシティでは何も作れないために外(国)から食糧を輸入することが当然になってきます。これが満足にできないと、都市部では暴動が発生する原因に。

また、都市部での暴動は人間の生活に必要な物資の不足、つまり①燃料、②食糧、③水の順番で、暴動の発生する時間が早まるとのこと。水不足は暴動に直結しやすいんですね。

ちなみにイギリスでは三日間スーパーに物資が搬入されなかったらロンドンのような都市部では暴動が起こるという試算があるとか。

で、世界的に(地下水などを含む)水は減り続けておりますし、脱塩処理も燃料を使うために長期的な解決法にはなりません。

食糧は遺伝子組換え作物などで生産量は上がっておりますが、これも先進国がかかわっているところだけであり、貧乏な国はそれほど恩恵を受けないかもしれない。

燃料も世界的に人口が増えて需要が高まっているため、人口が減っている(日本を含む)先進国もその不足の影響を受けざるをえない。

そしてこの三つの不足は、インフラの弱い途上国の都市部で顕著に現れることになります。

こういう風に考えていくと、世界の中での「普通の国」のスタンダードをわれわれは変えなければならない。それには「日本」や「アメリカ」という国を基準にするのではなくて、たとえばマダガスカルのような国が「普通の国」であることに気づくわけです。

では今後はこのマダガスカルのような「世界の普通の国」は全体的にどうなっていくのかというと、そのモデルとしてラテンアメリカ諸国が考えられます。

まずラテンアメリカの国々は、1940年代から「国と国の戦争」というのはほとんどなく、どちらかといえば平和的。

ところがコスタリカを除けば、その地域の国々はまさに「軍事国家」だらけなのであり、しかも彼らは資源争いがうまくいかないために、軍事政権に頼らざるを得なくなり国内政治に介入、という傾向があるわけです。

アメリカでは国内政治に正規の軍隊が介入したのは1865年以降は一度もなく、60年代の黒人の暴動の鎮圧にも使われたのは州兵のみ。ところがインドなどはカシミール地方などで国内向けに積極的に軍隊を投入している。

では軍隊の役割はどうなるのかというと、もともと軍というのは「抑止」と「直接行使」による問題解決のためのものだったのだが、教授個人としては「アウトプット(出力)」と「アウトカム(結果)」の二つの概念が有効だと思っているとのこと。「アウトプット」は軍事的成功のことであり、「アウトカム」は要求を実際に飲ませること。

そして21世紀の戦争は「アウトカム」を狙うものが多くなり、タスク(任務)とリソース(国家資源)の間に緊張感が生まれ、テクノロジーが重要性を増す。

マダガスカルやブラジルのような国は先端技術はいらないが、先進国はますます必要になってくるのであり、極端までいけば兵士のクローン化というところまで行き着くかも。

将来の戦争については米国の軍事組織ごとにも想定が違っており、海軍は中国との戦争を考えて武器の先端化を考えているが、陸軍のほうはメキシコとの国境のほうの介入を考えている。

結論として、参考になるのはイギリス軍高官たちが提出した最近のレポート。2018年から2036年までの世界像を予測していたが、2018年の世界はいまとほとんど変わらないが、2036年のほうはアメリカが支配的ではなくなり、(イギリス、そして日本にとって)たんなる同盟関係をつくるのに必要な一国という立場(オフショア・バランサー?)になり、日本は戦略文化をもっと軍事に寛容になっていくと見られる。

また、国内の騒乱と国家間の紛争の両方が出てくるため、この介入のバランスが大切である。

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以上、なんとなくまとめてみました。内容のエッセンスを一言で言えば、「ちょっと見方を変えましょう」ものであり、人口増加をかなり心配している様子でした。

また、戦争は合理的というよりもアクシデント的に始まり、軍隊は未来の戦争に準備することができないため、つねに想定されるシナリオと共に、不確実なシナリオも考えておくべき、ということも質疑応答のコーナーで述べておりました。

トリビア的に面白かったのは、歴史的に「大砲」は軍事史の中でももっとも低い評価を受けてきたということ。その参考例として、彼は両大戦でもっとも人間を殺傷したのは大砲という兵器であったことを指摘しております。

ということで非常に参考になりました。こんなチャンスは二度とないかもしれませんが、ブラック教授自身は「呼んでくれればまた日本に来たい!」と、日本をえらく気に入った様子でした。

来年あたりに防研はかなりのビッグネームを招待予定とか。楽しみです。
by masa_the_man | 2011-12-02 23:37 | 日記 | Comments(1)