戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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口頭試験までの道のり

今日のイギリス南部は午前中まで厚く曇っていたのですが、午後になってから段々と天気がよくなってきまして、夕方となった現在は雲もだいぶ薄くなって日がさしております。

みなさんもすでにご存知かと思いますが、ウィリアム王子とケイト妃の結婚式が無事行われました。まったく知らなかったのですが、実はこの新しいプリンセスとなるケイト・ミドルトンという人は私の大学のすぐ側にある大きな病院で生まれてたんですね。知りませんでした。

私がいる街には他にも有名なケイトがおりまして、あのタイタニックで有名になったケイト・ウィンスレットがその人物。この人も私が住んでいるすぐそばの女学校にいたとか。

さて、すでにお知らせしたように昨日私は口頭試験になんとか合格したわけですが、今後イギリスで私と同じようなコースに挑戦しようと考えている方のために、とりあえずそこに至るまでの話をここに書いておこうと思います。

まずは論文の提出からなのですが、私は今年の一月七日(金)に、ソフトバインディング(ソフトカバーの冊子)の形にした論文を三つ提出しました。この三つの内訳は、

1、担当指導教官用
2,内部試験官用
3,外部試験官用

となります。この三冊を学校の学部のオフィスではなく、「試験審査室」(the Exam Office)という部屋に提出します。

ここで「提出済」のハンコをもらった三冊がそれぞれ三人の教員に配られるわけですが、口頭試験の際に最も重要になってくるのが、俗に「エクスターナル」(external)と呼ばれる3の外部試験官

実は口頭試験というのは、論文を書いた時の指導教官は立ち会わずに、

2,内部試験官(internal examiner)
3,外部試験官用(external examiner)

の二人が論文を提出した人間(この場合は私のこと)と三人だけで部屋にこもり、2対1の形で非公開討論会を行うわけです。

ちなみにヨーロッパ大陸のほうでは少しやり方が違っていて、どうやらあちらは家族も招待して、学部長なども含んだ大人数の前で公開討論会をするそうですが、イギリスの場合はたった二人の試験官が立ち会うだけ。

そしてこの2と3の人物の人選なんですが、これは基本的に1の指導教官が主導するという形になります。

さらに言えば、2の内部試験官というのは同じ学部の先生から選ばれるわけですから、基本的には

A)指導教官の先生と仲がよく、
B)論文のテーマと比較的近い分野を専門として扱っている

という人物が選ばれることになります。そうなると私の場合を例に考えると、必然的に「地政学や戦略学に理解のある先生」=つまり指導教官の先生の仲間が選ばれることになりますので、どうしても私に味方してくれるような人物が選ばれることになります。

結果的に、私の内部試験官はアメリカ人の若い先生で、地政学について少し触れた本を書いたことのある、私の指導教官の弟子(指導教官の元で博士号を取得)が担当することになりました。これはかなり有利です。

ところが問題は3の外部試験官であり、イギリスの政治学系の博士号論文の口頭試験では、この外部試験官がその論文の合格の成否を最も左右する存在であるとされております。

この人物については、実は生徒のほうが先に指導教官に提案することもできるのですが、私が当初お願いしようとしていた人物の都合がつかず、結果的には私がほとんど知らないイギリスの海軍史の専門の人になったわけです。

この人物は、私の指導教官ではなく、実は学部の博士号コース担当の別の教授が推薦してくれて、私の指導教官もよく知っている、ということで選ばれたわけですが、肝心の私がほとんど知らなかったので色々とリサーチをする必要が出てきました。

とりあえず周りの人に聞いてみると、けっこう評判はよく、人物としても悪いウワサの全く出ない人で、とりあえず信頼はおけそうな感じが。

しかし専門が専門なので、試験当日にはどんな細かいことを聞かれるのかとひやひやしていたというのが正直なところです。

明日はいよいよこの試験当日の様子を詳しく書いてみます。
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(日テレのレポーター)
by masa_the_man | 2011-04-30 03:00 | 日記 | Comments(0)

最終試験に合格しました

今日のイギリス南部はよく晴れておりますが、気温はやや低めです。日差しはかなり強いかと。

簡単におしらせだけ。

先ほどのことですが、実は私が2006年の正月から始めたドクターコースの最終試験を終えて、なんとか無事にパスしました。

この口頭試験に至るまでの詳しい話はのちほどまた書きますので、それまでしばらくお待ちください。

これから友人たちとロンドンまで繰り出して一緒に飯を食ってきます。

とにかく本ブログをご覧のみなさんには本当に色々とお世話になりました。あらためてお礼を言いたいです。

どうもありがとうございました!
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by masa_the_man | 2011-04-29 00:52 | 日記 | Comments(42)

口頭試験に役立つヒント

イギリスで博士号の最終口頭試験を受ける人向けのアドバイス&ヒントについて書かれた資料をもらいましたので、ここにメモ代わりに書いておきます。

【役立つヒント】

1,外部試験官(external examiner)は慎重に選べ!

2,外部試験官の思想や前提を調査しておくこと。できれば論文の中にその試験官の論文から引用すること。

3,論文に付箋をつけて、いつでも引用可能にしておくこと。本番に向けてディベートのスキルを磨いておくこと。

4,当日は、①しっかり正装する、②自信を見せる、③リラックスせよ。あわてるな。

5,聞かれるであろう質問をあらかじめ考えておけ。とくに自分の論文の中で「最もオリジナルな部分」と「最も成功したところ」のようなセールスポイントをすぐ言えるようにしておくこと。

6,受身になるな。弱点を認めるのは良いが、それは本当に必要なところだけ。必要以上に議論で勝とうとしないこと。試験官も感情をもった人間であることを忘れないこと。

7,質問されて頭が空っぽになったら素直にそう言うこと。質問の意味をしっかり考えること。答える時は時間をかけてじっくり考えても全然OK。

8,小さなことにこだわるな。あまりに細かすぎる質問の場合はユーモアで返すことも重要。

9,修正箇所を指摘されたら、それをしっかりメモしておくこと。

10,柔軟に対処せよ。相手と自分の関係は本番にどうなるかわからないので、あらかじめ知ることはできない。本番中に態度をどんどん修正して行け。

【試験官がよくする質問】

1,そもそもこの論文を書こうとしたきっかけや理由は?

2,この論文の主な狙いは?どのような質問に答えようとしている?どのような仮説がある?

3,この論文はこの学問の分野にどのような貢献をするもの?論文の特徴は?

4,自分が使った方法論についてコメントし、それを正当化せよ。

5,この論文を書いているうちに発見した一番重要なことは?

6,この論文を書いているうちに当初と考えは変わった?

7,もしもう一度最初から書くとしたらどこを修正する?


以上
by masa_the_man | 2011-04-27 05:25 | ためになる情報 | Comments(4)

アメリカのインフレ

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(msnbc.comより)
by masa_the_man | 2011-04-22 20:37 | ニュース | Comments(1)
今週の日曜日に開催される戦略研究学会 第9回大会のご案内です。

本ブログのレギュラーの方も発表される予定です。

■日 時    2011年4月24日(日) 9時30分〜17時00分
■会 場    明治大学 駿河台キャンパス リバティタワー12階
■共通テーマ  戦略的視点からの日中関係
参加申込は 添付PDFファイルの「申込書」で 4月14日 までにお願いします

■プログラム
〈基調講演〉
 戸部良一氏 (国際日本文化研究センター教授)
「戦略研究と歴史研究の対話—戦前日本の対中国戦略をめぐって」
〈研究発表〉4会場12名
 佐々木智則 (防衛省防衛政策局調査課)「中国は日本の防衛政策をどう見ているか」
 山影 統 (敬愛大学国際学部・非)「冷戦後の中国の対欧州外交」
 斎藤 良 (防衛研究所研究部)「中国の軍事戦略の現状と東シナ海」
 亀山伸正 (創価大学・院)「中国の東アジア地域外交」
 田口 勉 (軍事技術コンサルタント)「米海空軍の新たな中国対処構想について」
 土屋貴裕 (防衛大学校・安保研)「中国のエネルギー資源をめぐる「走出去」戦略」
 平松純一 (拓殖大学・院)「情報力と現在の米国の情報戦略」
 加藤博章 (防衛大学校・安保研)「冷戦下における自衛隊の海外派遣計画」
 山代勝彦 (法政大学・院)「ネオ・クラシカルリアリズムとコンストラクテイブのコンフリクト」
 池上重輔 (早稲田大学准教授)「ブルーオーシャン戦略と日本の保険業界」
 税所哲郎 (群馬大学教授)「ベトナムにおける産業クラスター戦略に関する考察」
 岩瀧敏昭 (明治大学ビジネスイノベーション研究所)・華芳 (三井住友銀行)「中国におけるカード戦略」

〈シンポジウム〉
「中国の安全保障戦略」
 飯田将史氏 (防衛研究所第6研究室主任研究官)
 杉浦康之氏 (防衛研究所第6研究室教官)
 井上一郎氏 (関西学院大学総合政策学部准教授
コメンテーター/神保 謙氏 (慶應義塾大学総合政策学部准教授)
 司会/間宮茂樹氏 (京都産業大学文化学部教授)

〈特別講演〉
 高原明生氏 (東京大学法学部教授)
  「胡錦濤政権の外交政策と日米中関係」
by masa_the_man | 2011-04-20 15:11 | Comments(0)
今日の甲州はやや曇りがちでして、気温もすこし落ち着いた感じ。朝夕の寒暖の差が激しいこの盆地ではちょっと暑いからといって薄着で出かけると帰りが寒い。

さて、すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、コントロールの感覚と陰謀論の関係について書くのを忘れていたのでここでまとめて書いておきます。

私がここで主張したいことの要点だけいえば、

人間は「自分たち」がコントロールできていると感じるものには恐怖を感じないが、自分たちのグループに属さない外部の"奴ら”にコントロールされていると感じると、恐怖や怒りを感じる傾向がある


ということです。しかもこの「奴ら」というところが、エリートや金持ちになると、それが陰謀論につながりやすいわけです。

ここで重要なのは、この「奴ら」という人々が、自分たちとは違う異質な「他者」であればあるほど恐怖感(と怒り)が増してくる、という点です。これが極端な方向に振れて、思い込みが激しくなると「陰謀論」の出来上がり。

最近の例に当てはめて考えてみますと、東電の幹部なんかがこれに当てはまるかと。

彼らは(われわれ一般人である自分たちとは違う)「金持ち」であり、しかも「高学歴」の「エリート」であるのにもかかわらず、「原子力という特殊なテクノロジー」という一般人には手の届かない(つまりコントロールできない)ものを扱っていながら、彼ら自身もそのテクノロジーをコントロールできていないという点が、原発に対する恐怖や怒りを起こすわけです。

この「コントロールできない奴ら」が極端に行きつくと、ユダヤ/イルミナティによる陰謀論などになってしまうわけですが、私が知っている限りで究極のものは、アヌンナキとかいうトカゲだか恐竜みたいな化物に世界は支配されているという陰謀論。

さすがにこれをはじめて聞いたときには笑いましたが(笑。

このアヌンナキ説(?)が教えている重要な点は、そこで想定されている「奴ら」が、まさにわれわれ人間のコントロールが及ばない、最も異質な「他者」である、という点かと。

つまりわれわれ一般人とは異なる、とても異質な「奴ら」がわれわれをコントロールしているという世界観がカギになってくるわけで、基本的にユダヤ人に対する差別なども、この「異質性」に端を発するものですね。

ちょっと話は変わりますが、これを逆に考えてみますと、いわゆる「成功者」と呼ばれる人々は、われわれ一般人よりも人生で起こる現象を「コントロールできている」と感じる割合が多いために、自分自身でも「成功者である」と感じるの割合が高まるのかと。

もちろんそうは言っても彼らは自分の身に起こる全ての現象をはコントロールできないのですが、彼ら自身では「ある程度はまあコントロールできているなぁ」と感じているようですし、実際にも(たとえば会社の社長などになることによって)コントロールできている物事の度合いはかなり多いのかも知れません。

そしてこのように「コントロールできている」と感じることができている人間というのは、どうやら「安心」や「自信」を身につけることができるようであり、いわゆる成功者と呼ばれる人たちが自信に満ち溢れているように見えるのは、彼らが全てではないにしても、かなりの部分を「コントロールできている」と実感して、安心できている(ように見える)からに他ならないのではないかと。

国際政治における安全保障学や戦略学や地政学も、究極的には国家がどこまで「コントロールできている」という感覚を得ることができるのか、という問題に帰結するわけで、これをいいかえると、安全保障(security)とは「コントロールの感覚」によって左右される、きわめて心理学的なものであることがお分かりいただけるかと思います。

さらに話題を広げると、これが宗教の場合では、この「コントロールの感覚」を逆に自分を超越した究極の存在(神など)に預けて、そこから心理的な平和を得ようとするパターンも出てくるのです。

つまり、自分が自分の運命をコントロールするのは大変だから「神様お願いね!」ということでしょう。いいかえると、自分の人生を自分でコントロールせずに神様にコントロールしてもらい、自分はただそれに従うだけという考えになります。

要するにこれで何が言いたかったのかというと、あらゆる人間活動の根底には、「コントロールの感覚」が決定的に重要であり、それが悪く振れると恨みや恐怖をベースにした陰謀論、自分がコントロールをできているという考えに向かうと成功者の思想、そしてそれを逆にコントロールの感覚を放棄して安心感を得ようとするのが宗教の信徒の思想、という風に変化するということです。

もちろんこれをお読みのみなさんが、自分の人生をどこまでコントロールできていると考えているのかは人それぞれだと思いますが、とにかくあらゆる政治問題にはこの「コントロールの感覚」というものが非常に大きな作用を及ぼすものである、ということだけは理解していただきたいのです。


奥山真司の地政学講座 全10回

by masa_the_man | 2011-04-18 19:33 | 日記 | Comments(18)
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by masa_the_man | 2011-04-13 22:30 | 日記 | Comments(0)

次回のオフ会の日程

今日の甲州はなんとか晴れました。もう桃の花がチラホラ咲いております。

ひとつだけ簡単にご連絡を。

来月の本ブログのオフ会ですが、日程が決定しましたので先にここでお知らせしておきます。

次回は

5月8日(日)13:00〜17:00

です。応募方法などは来週にまたここで詳しくお知らせします。よろしくお願いします。
by masa_the_man | 2011-04-09 00:36 | 日記 | Comments(2)