戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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RMAに関する文献:その2

おそらく一番よくまとまっていて読みやすいのはこれかと。表紙はなんだかオドロオドロしいですが(苦笑
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The Revolution in Military Affairs (Foreign Policy, Security and Strategic Studies) by Elinor C. Sloan
by masa_the_man | 2010-11-25 21:19 | おススメの本 | Comments(2)

RMAに関する文献

Technology and War: Revolutions in Military Affairs (RMAs) and Transformations

Questions:

•What is an RMA? (Or, military transformation)
•Why was RMA the “concept of choice” in the 1990’s?
•Is RMA theory historically plausible?

Texts:

Eliot A. Cohen, “A Revolution in Warfare”, Foreign Affairs (March/April 1996)
Eliot A. Cohen, “Change and Transformation in Military Affairs”, Journal of Strategic Studies (Sept. 2004).
Lawrence Freedman, The Revolution in Strategic Affairs, Adelphi Paper 318 (April 1998)
Colin S Gray, The American Revolution in Military Affairs: An Interim Assessment, Occasional Paper 28 (Joint Staff College) (1997)
Colin S Gray, Strategy for Chaos (2002)
MacGregor Knox and Williamson Murray, eds., The Dynamics of Military Revolution (2001)←邦訳あり
Andrew F Krepinevich, “Cavalry to Computer: The Pattern of Military Revolutions”, The National Interest (Fall 1994)
James C. Kurth, “Clausewitz and the Two Contemporary Military Revolutions: RMA and RAM”, in Bradford A. Lee and Karl F. Walling, eds., Strategic Logic and Political Rationality (2003)
Williamson Murray, “Thinking About Revolutions in Military Affairs, Joint Force Quarterly (Summer 1997)
Joseph S. Nye, Jr. and William A. Owens, “America’s Information Edge”Foreign Affairs(March/April 1996)
Donald H Rumsfeld, “Transforming the Military”, Foreign Affairs (May/June 2002)
US Department of Defense, Military Transformation: A Strategic Approach (Fall 2003) www.oft.osd.mil
by masa_the_man | 2010-11-25 02:52 | おススメの本 | Comments(1)
ハルマゲドン症候群

まだ全く取り組まれてない戦略面での問題というのは、政治的な統治構造を標的にするという具体的な問題よりも、やや難しいものだ。敵の政府を破壊して戦争を終わらせるというオプションを無くしてしまうのは、本当に賢明なことなのだろうか?アメリカが敵のリーダーの潜む掩蔽壕をすべて見つけるという実際にはありえない状況では、誰がソ連との戦争を行い、その目的は何にするのだろうか?大規模な反コントロール攻撃を生き残ったソ連の首脳たちにとってそれほど恐れることはないため、このような標的オプションは本当に脅威となり得るのだろうか?

現在のアメリカの国防コミュニティーでは、アメリカ戦略兵力にとって最も重要な標的はソ連の政治支配構造であると考えられている。ところがこのような標的の選別が抑止、もしくは破壊の限定にとってどれくらい重要なのかについては、まだ何も明らかにされていないのだ。

ソ連の支配構造がどのように機能しているのかについてのアメリカ側の理解も完璧ではない。しかしこれは理論上では「さらなる調査によって解決できるテクニカルな問題」でしかない。それよりも問題の焦点としなければならないのは、ソ連の支配構造を本当に攻撃できるのか、という点だ。

戦略家は「痛みのない紛争」や、現在のアメリカの持つ抑止態勢よりもはるかに優秀な態勢やドクトリンを保証できるものではない。しかし彼らは「本土防衛と組み合わせたアメリカの理知的な攻撃戦略を使えば、犠牲者を二千万人ほどに減らすことができるし、これによってアメリカの戦略的脅威をさらに真実味のあるものにするはずだ」と主張している。

もしアメリカが標的選別計画を練り、ソ連の政治、官僚、そして軍のリーダーシップを危機に陥れることができる兵器を獲得することができれば、これは一九六〇年代後半のソ連の確証破壊効果についての見方と同じような役割を果たすことになる。ところがアメリカ側の標的を選別する人々は、まだこの標的オプションをどのように組織したらよいのか決めかねているのだ。

対兵力の攻撃的な目標設定、市民防衛、そして弾道ミサイルと防空態勢の組み合わせをつかえば、アメリカは犠牲者を国家の生き残りと復興ができるだけの数に抑えることができるはずだ。具体的な数はいくつかの要因にも左右されるのだが、これらのいくつかはアメリカ側がコントロールできるもの(本土防衛のレベル)であるし、それらのいくつにも影響(ソ連側の攻撃の量と性質)を与えることができるし、それらのいくつかは誰のコントロールや影響を受けないもの(たとえば天候など)なのだ。われわれが唯一確実にできるのは、アメリカの大多数の国民の生き残りをなんとか確保できるような防衛計画と、ソ連側が仕掛けてくるいかなるダメージのレベルでもわざと許しているような防衛計画の、どちらを選ぶかだけなのだ。

アメリカの大統領というのは、たとえソ連が仕掛けてくる攻撃がいくら恐ろしいものであったとしても、アメリカ国民の犠牲者が一億人以上出ることが予測される場合には、「戦略核攻撃を本当に仕掛けてくるかもしれない」とソ連に信じさせながら脅すことはそもそもできないし、また実際に攻撃するべきでもないのだ。抑止が崩壊した場合に合理的な指針をほとんど提供してくれないようなドクトリンと、大統領が明確な政治目的のために行うようなドクトリンの間には、大きな差があるのだ。

現状をふまえて核戦争が起こった場合を考えてみると、やはり「核戦争では戦略が必要だ」ということになる。「核戦争では戦略が必要になる」という可能性を無視することは、抑止が失敗した時に核によるこの世の終焉をわざわざ選ぶことと一緒なのだ。現在のアメリカの抑止態勢は、根本的な欠陥を抱えている。なぜならそれはアメリカの領土を守ることができるようなものではないからだ。

実際のところ、核戦争が全く意味のない些細な出来事であるということにはならない。むしろそれはソ連側が最近獲得したものを強制的に諦めさせるために行われる可能性が高いのだ。したがって、大統領は戦争を終結させるたけでなく、それを有利な条件で終わらせる能力を持たなければならない。

アメリカは必死で戦いを挑んでくるソ連側の指導者たちに対して、「望む結果を得るまでは、我々はいまよりもさらに激しいレベルの暴力が使われる核戦争を戦う能力と決意がある」ということを信じさせる必要があるのだ。戦時に抑止を機能させるためには、戦うもの同士は「よりよい結果はさらなるエスカレーションを通じて得ることが可能かどうか」を冷静に計算しなければならないからだ。

アメリカにとっての適切な抑止態勢とは、ソ連が戦略的な紛争のいかなるレベルにおいても成功できるような見込みを持つことを拒否することだ。そしてそれはソ連を敗北させる期待のできるものでなければならないし、アメリカ側の損害の可能性を限定的にするような、ある程度合理的な可能性をもつものでなければならないのだ。もちろんこのような抑止態勢は「軍拡競争になる」という意見や、ソ連の新たな軍備を促すために「戦略的不安定の原因となる」といって批判されることが多い。ところが一九七〇年代のソ連の行動によってわかったのは、その兵器の開発や配備についての決断はアメリカ側の行動だけによるものではない、ということだ。ソ連の軍備についての西側の理解はたしかに完璧であるとは言えないが、それでもソ連の兵器に関する決定は、軍拡の動きについての単純な「行動・反応」というモデルでは説明できないのだ。さらに言えば、アメリカが残存率の高い戦略兵力を持てば、ソ連側にとって魅力的となるような第一攻撃目標のまとまりを拒否することができるので、戦略的安定性を確保することができるのだ。

「ハルマゲドン症候群」は、あらゆる核戦略の背後に忍び寄っている。これはアメリカに最大二千万人の犠牲者が出るという事情から、「たとえ八千万人以上の人々が生き残ることができても逆に彼らの命を危険にさらすことになってしまう」という考えや、「二億人のアメリカ人が核戦争で生き残れるわけがない」という考えがその底にある。そうなるとこれは「アメリカで二千万人くらいの犠牲が出るのは仕方ないから、それ以外の八千万人以上の危機にさらされる人間を助けるわけにはいかない」という考えや、「二億人のアメリカ人が核戦争で本当に生き残れる可能性」を疑うことにつながりかねない。

無制限の核戦争において二千万人以上の国民の犠牲を生むような核運用ドクトリンを提言するのは、実際のところあまり気持ちのよいものではない。しかしますます強力になりつつあるソ連に対してアメリカが核の脅威で抑止しようと思うのなら、アメリカの国防コミュニティーが国防計画や効率的な戦争を行う計画と「抑止」を切り離して考えるのは無理である。国防や戦争のための計画についての慎重さというのは、抑止を強化するものである。
by masa_the_man | 2010-11-24 01:35 | 戦略学の論文 | Comments(9)

南北朝鮮国境砲撃紛争

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stratfor.comより)
by masa_the_man | 2010-11-23 21:14 | ニュース | Comments(13)
明日発表します。お時間のあるかたはぜひ。

内容は私の周囲に異様に多い筋金入りのクラウゼヴィチアン(クラウゼヴィッツ主義者)たちから聞いた、耳学問による知識をまとめてお伝えするというものです。

何冊かおススメ本もご紹介できればと。

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2010年11月度研究会

日時:11月24日(水) 18:30~20:30

場所:日本学士会館 310号室

最寄駅:地下鉄神保町駅下車3分
(東京メトロ半蔵門線、都営三田線・新宿線)
千代田区神田錦町3-2-28 TEL:03‐3292‐5936

3)講師: 奥山真司氏 (地政学・戦略論研究家)

4)テーマ:「クラウゼヴィッツの"使い方"― ある戦略家の例から考える」

5)参加費: 会員 1,500円、非会員 2,000円
by masa_the_man | 2010-11-23 00:26 | 日記 | Comments(4)
批判的な人からみれば、戦略の効果というのはかなり怪しいものに見える。第一に、あらゆる戦略の半分(つまり敗者ということだが)は、その定義からして失敗するものだ。

第二に、別の半分の戦略の中の多くも成功しない。その中には戦略のおかげではなく、ただ単に有利なパワーを持っていたから勝ったというケースもあるし、戦略が敵対する両者の能力の差を乗り越えるようなケースよりも、たまたま採用された戦略が双方の力を簡単に相殺してしまうような場合もあるのだ。

第三に、戦争に勝っても有利な平和を得ることができなかったり、なんとか納得できるような結果を得ても、実は戦争によって達成しようとしたことが実現できない場合があるのだ。

そもそも戦略の本来の目的は「約束した狙いを達成すること」という点にあることを考えると、これらのケースの場合では戦略そのものの存在が否定されることになってしまう。
by masa_the_man | 2010-11-21 23:04 | 戦略学の論文 | Comments(1)
今日の甲州はまたしてもよく晴れまして、気温は低めでしたが本当によく晴れたすばらしい秋晴れの一日でした。

さて、突然ですが本ブログをご覧のみなさんに一つすごい質問というか、アンケートがあります。それは、

人は(もしくは“あなた”は)何のために生きている?

という恐ろしくぶっ飛んだもの(笑)これを本エントリーの下にあるコメント欄に書いていただければ幸いです。

なぜこういうことを聞くのかというと、あらゆる戦略というものを考えたときに、私はどうしても究極的に考えつめるとこの問いかけに行き着かざるを得ないと最近つくづく感じているからです。

お答えいたたくみなさんには、ご自分の意見だけでなく、人の意見でもまったくかまいません。また、書き込むときにはいつもと違うハンドル・ネームでも全然かまいません(むしろ違う名前のほうがいいかも?)。

私は別にみなさんの誰が何を言ったのかにはまるっきり興味はないんですが、実験的な質問として色々な意見を知りたいと思っておりますので、どしどしコメントいただければと思います。

ただし私は基本的にみなさんの以下のコメントには返信しませんので、その点だけはご容赦いただければと思います。

もしお答えいただくのでしたら、できれば一言(例:「人生は復讐のためにある!」)でズバリお答えいただければと思います。よろしくお願いします!
by masa_the_man | 2010-11-19 00:00 | 日記 | Comments(99)
批判②: あてずっぽうvs予測

戦略は幻想である。なぜなら計画通りに結果は生まれないからだ。望ましい効果を得ることだけを狙った働きかけも、複雑さと偶発性によって邪魔されてしまうものだ。後から振り返ってみると、当初の計画と戦略の結末の間には原因と結果のつながりがほとんど見られない。ことが起こる前の時点では、問題はリスク(失敗の可能性)の推定にあるように見えるのだが、ことが起こった後で見ると、本当の問題はそもそも推定自体が確実に行えないこと(起こる確率を推定する基準がそもそも不足している点)にあることがわかる。
by masa_the_man | 2010-11-18 23:25 | 戦略学の論文 | Comments(4)
戦略の選択のための「物質的な基準」と「倫理的な基準」を明確にさせておくことは難しい。なぜなら実際にそれを選択せざるを得ないような状況でせめてできるのは、勘や経験による推測によって戦略の成功の確率やそのコストと利益を比較することぐらいであり、それに事実とは反するようなこと(別の選択肢を選んだ場合の結果)を事前に知ることはできないからだ。

多くの人々にとっては、リスクの高い取り組みに対して「国家の名誉」のような主観的な価値観から賛成することは特に簡単である。なぜならそれは物理的な観点からの利益の基準で考えられたものとどれくらい違うのかはっきりしていないからだ。

「物理的な基準」というのは国際政治におけるリアリズムの理論でもっともよく見られるものである。もちろんリアリズムの理論はそれ以外の理論よりも問題や制約というものを分析する上では概して優れているものであるが、それでもそれほど決定的な結論を出してくれるものではない。

リアリズムという理論では、安全保障や富、そしてパワーなどの目的を明確化するものだが、それらを獲得するにはどの戦略が最も効果的なのかというところまでは教えてはくれないのだ。

そうなるとどの戦略が最も効果的なのかを考えるに場合には、どうしても過去を振り返ってみることくらいしかできないことになる。
by masa_the_man | 2010-11-18 00:07 | 戦略学の論文 | Comments(13)
今日の甲州はよく晴れましたが、気温はかなり低め。東京よりも数度低いと感じました。

さて、久々に話題の論文の要約シリーズを。ただし要約というよりも、ほぼ翻訳状態になってしまいました。

ネタは尖閣問題で注目されている中国海軍の「侵略の歴史」についてです。なかなか面白い。

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中国海軍による侵略の歴史

by ラウル・ペドローソ

● 9月7日に日本の海保が船を二回ぶつけてきた中国漁船の乗組員を拘束。その船長には最高三年の実刑の可能性のある罪の疑いがあった。

● この事件は米中両政府の交流は遮断されて、中国側は閣僚級の交流や東シナ海のガス田についての協議の中止、それにレアメタルの輸出禁止をちらつかせ、しかも軍事施設をビデオ撮影していたという四人の日本人を拘留。

● 日本側はこの圧力に負けて9月末に船長を解放した。

● 批評家たちは、この事件が「中国が周辺国に対して侵略的になってきた証拠だ」と指摘。

● しかしこれはなにもつい最近はじまったことではなく、むしろ南シナ海、東シナ海、黄海などでは数十年前から続いている流れの一環にすぎない。

● 海洋の境界を広げ、紛争中の島々や海底資源の主権を主張したり、太平洋の米海軍に対抗しようとする際に、中国は軍事力や脅しを使うことに全くためらいを感じていないのだ。

● この歴史からわかるのは、もしアメリカが太平洋西部の沿岸地方を北京政府の支配下に落ちることを防ぎたいというのならば、彼らはいずれ中国側の影響圏の拡大に毅然とした態度をとらざるをえないことになる、ということだ。

● 中国が最も侵略的なのは南シナ海であり、ここではいくつもの紛争を起こしている。

● たとえば1974年にはアメリカがベトナム戦争から撤退する隙をついて中国は(南ベトナムが支配していた)パラセル諸島に侵攻しており、今日まで非合法的な支配を続けている。

● 長年にわたって中国はこの諸島に軍事駐留を続けており、南シナ海での作戦に使われる航空基地や情報監視施設を建設している。

● ベトナムに対する中国の侵略はその後も続いており、たとえば2005年1月には中国側の軍艦がベトナム領内で操業していた漁船の乗組員9名を射殺している。2009年には17隻のベトナムの漁船を拿捕し、乗組員を合計210名も拘束している。

● 2010年4月には南シナ海全域にたいして漁業資源の保護を理由に、一方的に操業停止を宣言している。

● ベトナム側はこの海域で何百年間も操業してきた歴史をもっており、ハノイ政府はこの宣言を「中国の深刻な主権侵害だ」と受け止めている。

● 中国側も経済制裁に出ており、BPやエクソンモービルに対して「もし南シナ海でベトナムとの合弁事業を続ければ中国本土でのビジネスチャンスを失うことになるぞ」と警告している。

● 中国はベトナムだけでなく、たとえば1995年にはフィリピンの(パラワン海峡という戦略的に重要なシーレーン上にある)ミスチーフ岩礁を占拠している。

●フィリピン側の撤退要求にもかかわらず、中国はこの岩礁に軍事施設を不法に建設しており、ここにある中国海軍はマラッカ海峡やシンガポール海峡からフィリピンや北東アジアににらみを効かせることができるようになっている。

● 中国側の艦船や航空機は、南シナ海を通過しているアメリカの船や飛行機に対して何度も妨害行為を行っている。

● 最も知られた事件は2001年4月に起こった、中国側のF-8戦闘機とアメリカのEP-8監視機が衝突して中国側の空港に緊急着陸したことだ。乗組員は2週間以上拘束されている。

● 2009年3月には中国の政府の船3隻と商船2隻とが海南島75海里ほどの南シナ海にいた調査船インペッカブルを脅しており、緊急停船させている。またそれから数ヶ月後には中国側の2隻の漁船が似たような形でアメリカのヴィクトリアスを妨害している。

● 北京政府はどうやら民間の船を近づけさせて沿岸の海に近づけさせないようにする、いわゆる拒否戦略を使っているようだ。そして北京政府はアメリカ側の中国海洋政策についての発言内容について、かなり敏感になっている。

● 2010年7月に中国は南シナ海で史上最大スケールでの軍事演習を行っており、これには三つの管区のすべての船が参加している。

● この演習は、ヒラリー国務長官がASEANの地域フォーラムで「アメリカの国益は、航行の自由や、アジアの“海洋コモンズ”へのオープンなアクセス、そして南シナ海の国際法の遵守にある」という発言の後に行われたものである事実は重要だ。

● 北京政府は明らかに南シナ海を自国の地政学的碁盤の重要な一角を占める場所であると考えている。その証拠に、今年の三月に北京政府は南シナ海を中国にとっての「核心的利益」であると宣言しており、しかもこの名称は、いままでチベットや新僵、それに台湾などにしか使われたことがない

● 北京政府の東シナ海に対する政策の底にあるのは台湾である。彼らは台湾を自国であると主張しているだけでなく、「台湾海峡を通過する外国の船と飛行機に関する法制度を決定する権限」についての法案を通過させている。ところがこれはこの海峡の船や飛行機の通過を許す、国際的な海洋法に違反している。

● 1990年代半ばに中国は台湾沖で何度も軍事演習を行っており、これは台湾の独立や1996年3月の大統領選の動きを牽制するものだった。

● また、中国はここ十年間で黄海におけるアメリカのプレゼンスに対して大きく反応している。2001年には江滬III級のフリゲート艦が、国際法にのっとって黄海で調査活動を行っていた米海軍のボウディッチと対峙しており、中国の経済排他海域から出るように要求している。2009年にもまた同じく黄海で航行していたアメリカの調査船を妨害している。

● 2010年7月には中国は黄海における米韓軍事演習(これは同年3月の北朝鮮の「天安」撃沈事件に対抗して行われたもの)に抗議している。この際に北京政府は空母ジョージワシントンがこの演習に参加したことを批判しており、空母を黄海に派遣することは中国の安全保障に対する脅威である言っている(ところがその前年に事件がなかったときにもジョージワシントンは参加しているのだ)。

● 結局のところ、米海軍は空母ジョージワシントンを演習に派遣しなかったのだが、これは中国側の沿岸地域に外部の勢力を近づけさせないよう拒否するという戦略にとっては外交的な勝利となった。

●しかも中国側はアメリカ側に関係なく、黄海内で実弾演習まで行っている。それから今日まで、ジョージワシントンは黄海に戻ってこれていない。

● このような「宥和政策」は、非生産的であるだけでなく、米海軍の能力の不必要な安売りである。

● 民主党ヴァージニア州選出のジム・ウェッブ上院議員が分析するように、南シナ海における「中国が持つパワーの増大」に対抗できるのはアメリカだけだ。

● ところが今日まで、アメリカ側のこの状態に対する取り組みは「ほんのわずか」としか言えない。ワシントン政府は「航行の自由」の重要性については何度も発言しているのだが、アメリカの意志を見せつけるようなことは何一つ行っていないのだ。

● もしアメリカが「太平洋における中国の拡大しつつある支配状態に対抗する」と再び宣言するのであれば、この地域での海軍のプレゼンスを増加させなければならないし、その地域の友好国にたいして、言葉ではなくその行動によって支持を示さなければならないのだ。中国のことわざにあるように、「しゃべっているだけでは米はつくれない」のだ。

● これはつまり、ワシントン政府は経済排他海域(EEZ)における調査船活動の中止を求める中国側の要求に屈してはならない、ということである。

● また、米海軍は黄海に空母をなるべく早い時期に復帰させなければならない。これをしなければ、アメリカが朝鮮半島で演習を行う際に、中国側の抗議の声はますます大きくなるからだ。

●他にも、米海軍は中国側とのいわゆる「海上事件協定」を結んではならない。このような協定は結果として中国海軍の威信を強化し、米海軍と同等の力を持つもののように見せてしまうからである。

● アメリカはインドネシアとベトナムと協力して、南シナ海における中国側のU字型に広がる主権の主張にたいして異議を唱えるべきだ。そして同時に、パラセル諸島やミスチーフ岩礁付近などのように、中国によって占領されている海域に軍艦を派遣し、海軍のプレゼンスを上げるべきであろう。

● また、ワシントン政府は日本の尖閣諸島の主権を認め、日米安保が適用されることを公式に宣言するべきだ。そしてフィリピンのスカーボロー砂州やカラヤーン諸島群にも、同様の措置をとるべきであろう。

● その他にも、アメリカは中国沿岸の沖合で目立つような諜報/調査活動を行わなければならないし、黄海で毎年行っている空母を含んだ演習も行うべきなのだ。

● もちろんこれらのいくつかの措置に対して、北京政府は当然のように激しい反応をするだろうし、レアアース禁輸などを含む経済制裁を行うと脅しにかかってくるはずだ。

● しかし今のような宥和政策をこれ以上続ければ事態はどんどん悪くなるばかりであり、北京政府の太平洋における経済・軍事面での支配状態を強化してしまうだけである。
by masa_the_man | 2010-11-17 01:16 | 日記 | Comments(11)