戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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フランスの敗北後でも戦い続けることを決めたイギリスの判断というのは二十世紀においてはかなり重大な決断であるため、ここではチャーチルの例をさらに細かく見ていく必要があるだろう。

一九四〇年六月以降にイギリスがドイツから侵攻・占領される(もしくは少なくとも勝ち目のない消耗戦)というリスクを背負いつつ、ヒトラーが「世界の分配」を持ちかけようとした時に講和よりも戦い続けることを選んだのは、あとから考えてみれば当然の決断のように見える。

この賭けは、ソ連かアメリカがドイツを打ち負かす確率が高ければたしかに理解できるものだったのかもしれないが、一九四〇年の時点では、結局のところそれは「起こりそうなこと」というよりも、単なる「希望」でしかなかったのだ。

五月二十六日に当時の英外相ハリファックス卿(Lord Halifax)は「もしわれわれの国家の独立の破壊を求めない講和条件を手に入れることができるのなら、それを飲まないのは愚かなことだ」という発言をしているのだが、これはその当時としてはそれほど問題発言ではなかったのだ。
by masa_the_man | 2010-06-30 06:27 | 戦略学の論文 | Comments(9)
今日のイギリス南部は昨日に引き続いてうだるような暑さでした。それでも日陰に入ればけっこう涼しいのが救いかと。

さて、今日はネットで見つけた写真だけ。帰国前の追い込みでちょっと忙しくしております。

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(abc.comより)
by masa_the_man | 2010-06-29 07:24 | 日記 | Comments(12)
アドルフ・ヒトラー、ウィンストン・チャーチル、そしてダグラス・マッカーサーなどの人物は、全員が必ず一度以上は「賭け」に出ており、成功と失敗を何度か経験している。

ヒトラーは優秀な将軍たちのアドバイスを聞かずに何度か賭けに出ており、一九三〇年代から一九四一年の二つの大失敗、つまりソ連侵攻の開始とアメリカに対する宣戦布告を行うまでは、劇的な勝利を収めているのだ。

チャーチルの霊感は一九一五年のガリポリでの大敗北の原因となったが、イギリスの一九四〇年における成功にも寄与している。

マッカーサーは一九五〇年に米軍のトップたちが感じていた「仁川上陸作戦は大失敗になる」という恐怖を乗り越えて劇的な成功を収めているが、その後の鴨緑江へ進軍の際には自軍を分割して進攻するという「賭け」に出てしまったために失敗を招いている。

後づけで考えてみれば、ほとんどの人はヒトラーが戦略的に愚かであり、チャーチルは優れており、マッカーサーについては見る人の政治的な立場によって極端に評価がわかれることになる。

その選ばれた戦略というのは、このような異なる評価を正当化することができるのだろうか?それとも一般的な判断というのは、このようなリーダーたちの持っていた戦略感覚ではなく、彼らが守ろうとしていた崇高な価値観に左右されるのだろうか?
by masa_the_man | 2010-06-28 06:55 | 戦略学の論文 | Comments(8)
今日のイギリス南部はここ数日と同じくよく晴れまして、こっちの基準だとほぼ真夏日。むし暑くはないのですが、それにしてもかなり気温が上がりました。

ある方に東京の大手の書店に新刊『胎動する地政学』が並んでいるということで写真を送ってもらいましたので、これを貼付けております。どうぞよろしくお願いします。

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イギリス滞在があと一週間ちょっととなりました。そろそろ帰国準備を始めないと。
by masa_the_man | 2010-06-27 04:29 | 日記 | Comments(15)
もしわれわれが望んだとしても、しっかりと確率を踏まえて行動するプレイヤーのモデルを構築するのは容易なことではない。その理由は、「軍事的成功や失敗の確率というものはあらかじめ見越しておくことができない」という事実があるからだ。

このような尊重すべき確率というのは、成功した後では大きく見えるし、失敗した後だとかなり少ないように見える。

しかしその確率があらかじめ計算できるものであったとしても、三〇パーセントの確率の中で勝った戦略家と、四〇パーセントの確率があったのに負けた戦略家についてはどのように考えればよいのだろうか?われわれは前者を「賢い戦略家」、後者を「愚かな戦略家」と呼べばよいのだろうか?それとも両方とも「愚か」、もしくは「正しい」のだろうか?われわれは一体どのような基準を使って、ある成功しなかった戦略の選択を「それでも合理的であった」と判断したり、「ひどい計算間違いだ」としたり、「天才的だ」としたり、「単なる幸運だ」と判断すればよいのだろうか?

軍事に実際に関わる人間や、それを分析する人間の間では、「どれくらいのリスクまでが許容範囲なのか」という完全に根本的な疑問について、全員が納得できるような答えは何も出されていないのだ。
by masa_the_man | 2010-06-26 08:13 | 戦略学の論文 | Comments(0)
歴史を振り返ってみると、われわれは「名誉」と「地位」の先の頂点に「王朝」のような存在を連想してきた。しかしナショナリズムの存在が示しているように、現代の民主的で工業化/脱工業化した国家にとっても「名誉」や「地位」というのは同じように重要なものだ。

心理学を使った最近のナショナリズムについての研究では、人々は「自分の価値を高めてくれる」という理由から、ある集団に参加したり、その集団と自分を同一視することへの強い欲求をはっきり示すと言われている。

しかし本書ではここからさらに踏み込んでおり、「国や国家とある程度の一体感を持つ人々は、国の勝利を我が事のように感じる事で自尊心の高まりを感じ、国が挫折するときには同じように傷つき、屈辱すら感じる」ということが主張されている。

これと同じようなことはスポーツチームでも見ることができるのであり、ここでの所属感覚も同じように強いものがある。たとえば今日のドイツでは、国旗をもったり掲げたりする人はほとんど見かけないのだが、シーズン中の週末ともなればドイツの鉄道はチームのシャツを着て、自慢げにチームの旗を持ち、チームソングを歌うファンであふれかえるのだ。

国に対する愛とチームに対する愛が混じり合うことになるのが、サッカーのワールドカップだ。イングランドのファンは自分たちの代表チームがドイツ代表と対戦するとき、ドイツがワールドカップでイングランドに通算一勝しているのに対してイギリスが二つの世界大戦に勝っていることをドイツ人に思い出させるために、いつも「二勝一敗だ!」(two to one)と叫ぶのだ。彼らはひざを曲げずに脚を高く上げて歩き、審判に「ジークハイル」と叫び、鼻の下に指をつけてヒトラーの口ひげのマネをする。


by masa_the_man | 2010-06-25 06:06 | 日記 | Comments(4)

マクリスタルの実績は?



この解説者は「マクリスタル自身は何もやっていない」と手厳しいですね。アフガニスタン兵の給料を上げたくらいということですが。

これが東アジアの政治にどう影響してくるのか大変に興味のあるところです。ベトナム後の東アジアの歴史を振り返る必要があるかもしれません。まあそれでも「全く同じことが起こる」というわけではないですが、参考にはなりそうな。
by masa_the_man | 2010-06-24 07:49 | ニュース | Comments(2)
戦略的に賢明であると判断されるリスクの量はどれくらいなのだろうか?

これは後から振り返って考えることができないために、「計算されたリスク」と「暗闇で銃を撃つ」という二つのことを区別することは困難となってしまうのだ。

判断が「後付けの知識」に毒されることは多く、これは「単なる幸運」が戦略面での「先見の明」であると勘違いされてしまうことと一緒だ。

それでは「まともな戦略家」というのは一体どのような人間であるべきなのだろう?確率を考えて行動する者か、それとも無謀な賭けをする者のどちらであろうか?
by masa_the_man | 2010-06-24 07:41 | 戦略学の論文 | Comments(6)
目次をご紹介するのを忘れておりました。今週末までには大手書店に並ぶかもしれません。よろしくお願いします。

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●「逃れられない地理」
by コリン・グレイ(Colin S. Gray)

 解説
 地政学という強力な分析法
 地政学の理論とアプローチ
 地理と戦略の関係
 地政学理論の三つの特徴

●「帆船時代における天候、地理、そして海軍力」
byニコラス・ロジャー(Nicholas A. M. Rodger)

 解説
▼航海術を左右する地理的条件
▼航海に必要なさまざまな計測法
▼航路はどのように決められたのか
▼イギリス海峡という難所
▼まとめ:なぜイギリスは成功したのか

●「地理と戦争の関係について」
byウィリアムソン・マーレー(Williamson Murray)

 解説
 地理と戦争:戦術レベルでの枠組み
 地理と戦争:作戦レベルでの枠組み
 地理と戦争:戦略と政治レベル
 まとめ

●「ドイツ地政学 ハウスホーファー、ヒトラー、そしてレーベンスラウム」
byホルガー・ハーウィッグ(Holger H. Herwig)

 解説
 地政学の起源
 ハウスホーファーの経歴
 ハウスホーファーとヒトラー
 ハウスホーファーとナチス
 因果応報

●「ロシアの地政学における事実と幻想」
by ジョン・エリクソン(John Erickson)

 解説
▼縮小した地政戦略的空間
▼国家安全保障への地政学的アプローチ
▼隣接地域を含む「戦略的安定」概念
▼東方拡大するNATOとの駆け引き
▼「再統合」の意味
▼まとめ
 
●訳者解説 「地政学における「コントロール」という思想」
 
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全六章です。250ページ前後くらいになるかと。

個人的にはロジャーの帆船に関するものが新鮮で勉強になりました。さすがと思ったのは、やはりマーレーさんのものでしょうか。彼の戦史に関する知識は段違いです。
by masa_the_man | 2010-06-23 06:21 | 日記 | Comments(19)

お金を払って兵站・後方



米政府で責任のなすりつけ合いが始まったとのことです。
by masa_the_man | 2010-06-23 05:48 | ニュース | Comments(2)