戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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中国の新しい戦略

今日の甲州は午前中は激しい雨が降りながら、午後はすっかり晴れて快晴に。

さて、先日のことですが、ウォルトが参考になるブログのエントリーを書いておりましたのでこの要約を。

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China's new strategy

Posted By Stephen M. Walt Monday, April 26, 2010 - 9:27 AM

●過去15年くらい常に話題になっているのは、米中が衝突するかどうか、ということだ。

●たとえばリアリストたちは中国が経済的に力をつけてくれば、米中が安全保障をめぐる争いに出ることが確実であると論じている。

●そしてもう一方の人々(ほぼリベラルたち)は、経済の相互依存状態の実現や、中国がいくつもの国際制度に参加して「社会化」することによってトラブルは避けられるようになると考えている(ビル・クリントンが中国をWTOに参加させた論理はこれだった)。

●そしてもし中国が段々と民主制を採用しはじめるとすれば、「民主制平和理論」が発動して心配することは何もなくなる、という風に議論は続くのだ。

●先週の土曜日にニューヨークタイムズではこのリアリストの視点を支持するような重要な記事が載っていた。この記事では中国が海軍力を急速に発展させており(大国としての地位を表すための古典的なやりかただ)これに見合うようなさらに野望的な戦略を説明していた。

●短期的には中国が海外の原料資源(石油等)へのアクセスを確保する動きに出るのであり、実際的には中国の新しい「遠洋防衛」では(インド洋やペルシャ湾を含む)カギとなる海域に兵力を投射できるだけの能力を得つつも、他国が中国周辺で自由に動き回るのを阻止することが狙われている。

●言うまでもないことだが、これこそがリアリズムの理論の予測していることなのであり、著名なリアリスト(たとえば私の共著者であるジョン・ミアシャイマーなど)たちの何人かはこのような予測が出てくるメカニズムをかなり明確にしている。

●そしてアメリカはこのようなことに驚くべきではない。なぜなら中国が今やっているのはアメリカが19世紀後半に行っていたこととほぼ同じだからだ。もっと具体的にいえば、北京政府は経済を発展させ、それから軍事力を拡大し、地域で支配的な立場を手に入れ、他の大国を周辺地帯から排除するのだ。

●アメリカの場合、まず北米で拡大し(明白な天命)、それから他の大国が西半球に手を出さないようにしている(モンロードクトリン)。

●モンロードクトリンを実行できるまでにはかなりの時間がかかっているが、アメリカは最終的にこれを達成できる力を持っていたのであり、実際に達成している。そしてこのポジションは戦略的にかなりの優位をもたらしたのであり、(近くに大国がいないために)外からの侵攻を心配すせずに自国を守るために労力を割くこと無く、世界中に武力介入できるようにしたのだ。

●もしあなたが中国の戦略家だったら、このようなポジションを狙いたいと思わないだろうか?理想的なのは、東アジアで最強の大国になり、(アメリカのような)他の大国が大きな役割を果たすのを阻止することだ。

●もちろんこの目標を達成するのは簡単ではない。なぜなら中国の周辺には日本、インド、ベトナムなどの強力な隣国があり、多くのアジアの国々はすでにアメリカと緊密な安全保障の関係を結んでいるからだ。

●そこで、この先数十年間に起こることの私の予測をここで行っておきたい。

●私は中国が(ほぼ常に)「やさしく語り」、大きなこん棒を持とうと努力しつづけると思う。もし彼が本当に賢ければ、彼らは周辺国(とアメリカ)に強力なバランシングを起させないように行動するだろう。

●また、中国は自国周辺の海域でアメリカが介入できないようにするだけの軍事力の開発を継続し、最終的には機動投射能力を発展させてわれわれが展開している(ペルシャ湾のような)重要な他の地域での作戦行動を難しくさせるようなことをしてくるはずだ。

●また同時に、彼らはアメリカの伝統的な「影響圏」に浸透して、アメリカがその地域にかかりきりになるようにするはずだ。

●さらに、私は彼らが周辺地域で「分断統治」を行い、いくつかの周辺国にワシントン政府とは距離を置くようにさせるはずだと考えている

●その他にも、北京政府はアメリカがアフガニスタンのような場所で泥沼にはまったり、イランの核兵器開発計画についての紛争、そしてパレスチナのような終わりのない問題で気を散らせ、世界中の反米意識を煽ってアメリカが大きな視点を持てなくなることを大歓迎するはずだ。

●よって、アメリカがこれらの問題について中国から協力が得られるとは考えないほうがよい。

●これについては三つの教訓がある。

●第一は、ニューヨーク・タイムズの記事でも明らかなように、現在の中国はアメリカよりもたしかにまだ弱いままでありつづけるであろうし、本物の「競争相手」になるにはまだまだ時間がかかるはずだ。よって、われわれはパニックになる必要はなく、適時に慎重な対応をすればいいだけだ。

●幸運なことに、中国の勃興は現在のアジアにある同盟国と良い関係を継続させることを比較的容易にしてくれるのだ

●第二に、中国の経済成長は数年以内に鈍化する可能性が大きく、これには人口の平均年齢が上がり、中産階級が社会保障を要求する声が高まることが原因となりそうだ。

●このおかげで北京政府は対外と国内の政策の優先順位をつけるという難しい選択をしなければならなくなるのであり、経済力を軍事力に変換したり海外へ展開するスピードが遅くなるかもしれないのだ。

●第三に、そして最も重要なのは、私が上で言ったことは「中国とアメリカが戦争を起すことが不可欠だ」と言っているわけではない、ということだ。

●核抑止のおかげで米中の競争はある程度限定されるだろうし、慎重かつ良識ある外交によって双方の国益の衝突の可能性を制限したり無くしたりできるかも知れないのだ。

●それでも中国が上記したようなコースを進むとすれば、ワシントン政府と北京政府の間でこの先何十年間はかなり激しい安全保障競争が始まることが予測できる。それ以外のことを予測するのは・・・非現実的であろう。

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リアリストの観点から見た今後の米中関係です。ウォルトはかなりミアシャイマー的な議論をしてますね。

ちなみに最後の「非現実的」というところは「リアリストではない」という言葉がかかっているということをお忘れなく。
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(第十章をお読み下さい)
by masa_the_man | 2010-04-29 22:23 | ニュース | Comments(36)
今日の甲州は午前中に雨が降っておりましたが、昼すぎからスッキリと晴れて気温も上がっております。

さて、最近本ブログでは何かと話題のカプランの記事を。

ヨーロッパの地理の影響を分析しております。うーん、地政学です(笑

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For Greece’s Economy, Geography Was Destiny

By ROBERT D. KAPLAN
Stockbridge, Mass.

●ギリシャの財政危機では、経済面の原因ばかりが強調されている。ところがこの危機には誰も今まで指摘しなかった、宿命的な原因がある。それは「地理」だ

●ギリシャというのは歴史的に地中海とバルカン半島というあまり発展していなかった地域の重なったところであり、これが政治的・経済的に大きな意味を持っているのだ。

●ヨーロッパ北部の国々にとって、ギリシャのような国を通貨共同体に取り込むというのは、実はものスゴい大変なことなのだ。多くのドイツ人や他の北ヨーロッパの人々はまさにこれを実感しつつある。

●現在ヨーロッパで経済的な問題を抱えている国々がギリシャ、イタリア、スペイン、そしてポルトガルであるというのは偶然の一致ではない。

●政治的な発明が行われたのはたしかに地中海周辺の地域(アテネの民主制とローマの共和国)であったことはたしかだが、20世紀に活躍したフランスの歴史家フェルナン・ブローデルに言わせれば、この地域は「伝統主義と硬直性」によって定義される。

●この周辺地域の土壌はあまり肥えたものではなかったので、大規模な土地をもつ富めるものが小作を支配することが可能であった。

●このおかげで社会秩序が固まってしまい、中流階級の勃興がヨーロッパの北部よりもかなり遅れてしまい、国家統制や独裁制国家という欠陥が長続きすることになったのだ。その証拠に過去50年間のギリシャの政治は、たった二つの家族(カラマンリス家とパパンドレウ家)によって支配されている。

●現代のヨーロッパの超国家を目指す試みが、地理的に中世にカール大帝が首都をおいていたアーヘン(昔はエクス・ラ・シャペル)を中心に行われていることは偶然ではない。

●なぜならそこはヨーロッパ連合のあるブリュッセルや、オランダにあるハーグとマーストリヒト、そてにフランスのストラスブルグなどから地理的にちょうど中間点となる場所になるからだ。

●このような町のある現代の重要な地帯というのは、旧世界の文明においては海と陸の富が混じり合っていた場所(訳注:つまりリムランド)なのだ。

●(オランダ/ベルギーのような)低地国は大西洋に抜けられるし、川や運河によって富が守られているために貿易を行うには最適であり、このような動きの自由さは政治面での発展にも影響を与えることになったのだ。

●しかもその周辺の土壌は肥えており、背後にある森林が自然の防壁の役割も果たしてきたのだ。古代ヨーロッパは地理的に地中海の支配下にあったのだが、ローマが辺境を失ってからは歴史は北に移動してきたのだ。

●ヨーロッパを苦しめているのは南北問題だけではない。ローマ帝国は四世紀にローマとコンスタンチノープルという風に東西にわかれ、西ローマ帝国はカール大帝の王国とヴァチカンを生み出すことになり、これが西ヨーロッパにつながった。

●ところがビザンティウム(イスタンブール)にあった東ローマ帝国は、主にギリシャ語をつかる正教徒たちが中心であり、1453年にオスマン帝国がコンスタンチノープルを占領してからはイスラム教徒によって占められることになったのだ。

●ユーゴスラヴィアだった場所からルーマニアをわけるカルパチア山脈は、東西ローマ帝国をわける一因となったのであり、これは後に豊なウィーンのハプスブルグ帝国と、貧乏なコンスタンチノープルのトルコの帝国をわけることにもなったのだ。

●そして現在のギリシャは、歴史的にはペリクレスが治めていたアテネというよりも、東ローマ帝国やトルコの専制政治に近いのだ。

●古代ギリシャは地理的な面で恵まれていたのであり、エジプトやメソポタミアのような厳しい制度を持っていた近東からはやや離れていたために、もっと人道的かつソフトな制度を生むことができ、これが西洋諸国につながったという説明がなされるのだ。

●しかし現在のヨーロッパでのギリシャは「オリエント化」の逆側にいる。もちろん彼らはブルガリアやコソボよりははるかに安定していて繁栄しているが、それはそれはソ連式の共産主義の略奪から逃れられたからにすぎない。

●地理と昔の帝国が現在の帝国にどれだけの影響を与えているのかについて理解したければ、共産圏にあった東欧諸国がどうなったかを考えてみればよい。

●プロシアとハプスブルグの伝統を持つポーランド、チェコ、ハンガリーなどは、東ローマ帝国やオスマン・トルコを引き継いだルーマニア、ブルガリア、アルバニア、そしてギリシャなどよりも、経済的にはるかに繁栄しているのだ。

●そして以前ユーゴスラヴィアだった国の中でも、特にハプスブルグの影響を受けているスロヴェニアとクロアチアは、それ意外のトルコの影響を受けたセルビア、コソヴォ、そしてマセドニアよりも上昇している。

●1991年のユーゴスラヴィアの崩壊は、少なくともその最初の部分では東西ローマ帝国の分裂を反映していたのだ。

●ギリシャの財政危機は、ヨーロッパにとってはユーゴスラヴィアの崩壊後の地理的・歴史的な困難の克服以来の最大の挑戦だ。

●冷戦初期のヨーロッパで問題だったのはドイツとフランスの長年の亀裂をいかにするかということだったが、今はカロリング朝とプロシア的ヨーロッパ――つまりブリュッセルとベルリンーーが遠方の地中海とバルカンという辺境をいかに組み込むかという点が問題になっている。

●そしてヨーロッパが「史上初めて外敵から脅威を受けていない」という事実そのものが、逆に内部の自己陶酔(ナルチシズム)の矛盾にむしばまれてしまうことにつながるのだ。

●EUの北にある国々が自分たちだけでギリシャを救済せず、IMFに助けを借りて200億ドルを調達しようとしていること事態が、ヨーロッパ大陸の統一という夢の限界を教えている。

●しかし地理はヨーロッパをわけていると同時に、それをまとめる役割も果たしている。

●たとえば大西洋から黒海までつづく低地は、ヨーロッパを比較的快適に横断することを可能にしてきたのであり、これがヨーロッパの統一感を生み出すことに貢献してきたのだ

●イタリアの学者であるクラウディオ・マグリスは、「ドナウ川はドイツの文化をギリシャ神話の冒険精神から東へと向わせ、それを他の文化と混じり合って変質させたのだ」と熱狂的に語っている。

●冷戦時代に西側諸国から切り離されていた中欧は、ヨーロッパ大陸の文化の交差点であり、この分断がドイツの統一に及ぼして来たというのは事実である。

●ドイツはたった1100万人しかいないギリシャがヨーロッパの健康状態を測るものであることを理解しなければならない。 なぜならバルカン半島で地中海にアクセスできる場所はかぎられているのであり、しかもそこからブリュッセルとモスクワはほぼ同じ距離にあり、宗教的には「正教」という意味で文化的にロシアに近いのだ。

●これから百年間にはロシアが復活してきて特にソ連時代の東欧の元衛星国に対して圧力を加えるような状態が見込まれるため、ギリシャの政治状態は「ヨーロッパ連合」という大きなプロジェクトが成功するかどうかを測る基準となるのだ。

●救いがあるのは、北ヨーロッパの人々がギリシャをこのまま落ちぶれさせるわけには行かないことを知っていることだ。たしかにギリシャを政治的に東側に流れさせてしまうことは、地理的にも、政治的にも、そして文化的にも、ローマであるかのように振る舞うカール大帝の帝国である大きなヨーロッパとしての希望を失いことになりかねない。

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地理的なところから政治を説くという、まさに「地政学的」な議論以外の何ものでもないですね。

名著『カミング・アナーキー』の頃から安全保障と地政学的な議論を活発にしてきたカプランですが、ここ数年はマッキンダーやスピークマンの名前をあからさまに使うようになってきてます。

そういえば今度うちの学校でカプランのFA誌に載った最新論文である中国の地政学の分析について、うちの先生が学部内で発表をするという知らせがありました。カプランはかなり注目されております。
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by masa_the_man | 2010-04-28 13:26 | ニュース | Comments(12)

週刊朝日

突然ですが、お知らせです。

本日発売の「週刊朝日」の86ページに『悪の論理は世界を動かす!』が小さく紹介されました。

「朝日」なのでどんなことが書かれるのか少々警戒したのですが(苦笑)、とりあえず公平に紹介していただいたのでホッとしております。ありがたいことです。

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by masa_the_man | 2010-04-27 20:16 | 日記 | Comments(6)
今日の甲州は朝から曇りでして、昼あたりから小雨が降ってきました。

さて、先日の学会の大会でスペースパワー論の発表について一言。

つい先日の大会の午前の発表で、スペースパワー論についてよくまとまった優秀な発表がありまして、そこで現代の(とくにアメリカの)スペースパワー論は、以下のように四学派に区別できるとの指摘がありましたので、まずはそれを列記しておきます。

1、聖域学派(the sanctuary school):米政府公式ドクトリン、宇宙の軍事化を警戒
2、生存性・脆弱性学派(the survivability/vulnerability school):宇宙システムへの依存を問題視
3、高地学派(the high ground school):軍備的に優位に立つことを推奨
4、コントロール学派(the control school):制宙権?

これはラプトンという人の分類をもとにしたものであり、発表者の方はこれをもとに分析を展開されており、とても参考になりました。

ところが私がこの発表の分類を見ていて、思い出したのはコースメイトの空軍大佐の新しいスペースパワー理論。というのは、この大佐の理論は上のどの学派にも当てはまらないからです。

私の周辺ではなぜかスペースパワー論をやっている人が多いということはこのブログを長年ごらんのみなさんにはすでにおなじみかと思われますが、とくに一昨年くらいからコースメイトとして一緒に学んでいる例の空軍大佐の考えについて、彼の発表や発言などを聞いていると、

5、宇宙共同開発派

ということになりそうです。どういうことかというと、彼はまずマハンの理論を土台にしつつ、宇宙はたった一国で管理するのではなく、共同開発していくことができる新たなフロンティアだ、という理論を展開しているわけです。

なぜそういう考え方になるのかというと、大佐は『進化する地政学』の中でジョン・スミダが書いている「マハンの“シーパワー論の真意”」にあるように、マハンは実はシーパワーというものを「海上貿易を推進する、国際的に共同管理するべきインフラ」のように考えていた節があり、スペース・パワーもそういった観点から考えるべきだ、ということらしいのです。

実際彼はスミダと何度か話をしたことがあるらしく、「マハンの名字の本当の呼び方はメイハンだ」ということを聞いたのも、マハン研究を徹底的にやったスミダからこの大佐が聞いたことなんですね。

まず大佐はゲーム理論における「長期的にゲームを行っていくと、互いに協力したほうが良い」ということが言えるという辺りから話をはじめます。

で、次に「マハンの本当のシーパワー論」を持ち出して、結論としてスペースパワーには国際共同開発をしてインフラを充実させることが大切だ、という話をするのです。

そういう意味で、日本がJAXAなどを通じて積極的に国際的な宇宙開発を進めているのは彼の中でとても嬉しいことらしく、彼はしきりに私に向って「日本はいい仕事しているなぁ」と言ってきます。

そうなると単なるリベラルかと思いきや、実際に話を聞いてみるとかなりリアリスト。とくに「宇宙のゴミ」を排出している中国に対してはかなり警戒している様子が。

こうなると本当に彼の理論が「スペース・パワー理論」なのかはわからなくなってきますが、軍人による意外と楽観的な理論、という意味ではけっこう興味深いかと。
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by masa_the_man | 2010-04-27 12:16 | 日記 | Comments(22)

ドイツ地政学の五箇条

今日の甲州はよく晴れまして、ぽかぽかと暖かい春の一日でした。まだ朝晩はけっこう冷えるので(とくにこっちは寒暖の差が激しいので)警戒が必要ですが。

さて、ひさびさに地政学の理論に関するネタを。

ドイツ地政学についてまとめて書かれたものはあまりないのですが、ある本の中でよくまとまったものがありましたで以下に記しておきます。

ドイツ地政学(とくにハウスホーファー)の理論で、最も重要なアサンプション/概念は・・・

1、レーベンスラウム(生存圏)

2、アウタルキー(自給自足経済)

3、パンリージョン(統合地域論)

4、ランド・パワーvsシーパワー(陸と海の戦いの歴史)

5、ダイナミックなフロンティア(国境ではなく、動く辺境)

ということになります。

人によってはまとめかたが違うんですが、まあとりあえずこの五つでだいたいカバーできるかと。

それにしても我が国はいよいよ正念場になってきましたね。パワーのバランスが崩れるというのはこういうことを言うんですな。
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(これはリジョン違い)
by masa_the_man | 2010-04-26 21:16 | 日記 | Comments(15)

学会参加してきました

今日の東京はすっかり晴れまして、気温もけっこう上がった感じです。久々に春の陽気でした。

さて、本日は東京で行われた学会に出席してきました。

実は今回自分の発表があったのですが、私以外の人々の発表を聞いてみると、かなり緻密なレジュメを書いていることを発見して、やや後悔(苦笑

私はどちらかというと細かいレジュメや原稿などを書かない方がスムースにしゃべれる性格なもので、他の発表者の方々の細かいレジュメを見て圧倒されてしまいました。

といってもいまさらどうしようもないので、たった1ページだけにまとめたものを皆さんにお配りさせていただいたのですが、あれだけで良かったのかどうか。

個人的に面白かったのはスペースパワー論の発表でして、まさか自分の知人の名前があれほど出てくるとはビックリ。空軍大佐から聞いてはいたんですが、スペースパワーの理論を研究している人の世界はやはり異様に狭いようです。

しかしなんといっても一番楽しかったのは、なぜかアメリカ人が混じって行われた、会の後の新宿の居酒屋での打ち上げ。(?)

ここではアメリカの政治の話が出てきたり、そのアメリカ人の彼の「日本の選挙の宣伝カーみたいなのがアメリカの町を走ったら銃で撃たれるぞ!」みたいな話が出て来て大盛り上がり(笑

全体的に非常に知的好奇心をかき立てられまして、論文を一本書いて投稿してみようかという気になりました。あ、もちろん自分のコースの論文のほうを書くのが先なんですけどね(苦笑

いよいよオフ会まで残り一週間となりました。まだお席はありますのでぜひ!
by masa_the_man | 2010-04-25 00:34 | 日記 | Comments(17)
今日の甲州は朝から曇っており、昼過ぎから雨が降りました。

明日は学会で発表があるのですが、レジメ作りはさっさと終えて、今は次に出る本のゲラ直しをしております。なかなか終わらないので出版社に迷惑かけっぱなしですが(苦笑

さて、今日はアメリカのネオコン系のシンクタンクであるAEIの研究員による「真珠の首飾り」戦略のネタを。

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China and the Lost Pearls

By Michael Mazza


●日本と韓国にとって過去十年間は厳しいものだった。北朝鮮はミサイルを発射して核開発計画を実行し、中共陸軍は急速に近代化し、中国海軍は積極的な動きを始めたからだ。

●これはアメリカの同盟国である彼らにとって冷戦終結後の最大の脅威だが、この事態はさらに悪化するだろう。

●中国のある会社は日本海に面した北朝鮮の羅津港の桟橋を再建しており、まずは今後10年間借用するらしい。

●このニュースのおかげで中国海軍がいずれここに海軍基地を建設するのではないかという憶測を生んでいる。なぜならこの港はすでに北朝鮮の海軍が使っているからだ。これは日本と韓国にとっては頭の痛いところだ。

●もちろんこれは時期尚早だという見方もある。なぜならこれは単なる商業面での約束であり、閉鎖的な北朝鮮が外国に基地をつくらせるわけがないからだ。

●たしかに北朝鮮は自国の主権を必死に守ろうとしているが、アメリカからの攻撃を(非合理的に)非常に恐れているし、国際的な経済制裁を受けている中では中国に頼って生きるしかないのだ。

●そういえば金正日の父の日成は、朝鮮戦争のときに何万人もの中国兵を朝鮮半島に迎え入れたことがある。そうなると中国の投資を受け入れつつ、アメリカ軍の攻撃の抑止のために中国海軍の小さな基地ができることぐらい何でもないはずだ。

●羅津港はたしかに商業的なものかも知れないが、中国の他の港に関する取り決めーースリランカのハンバントータ港、バングラディッシュのチッタゴンなどーーは戦略的ではないと指摘する人は少ない。

●実際のところ、中国のインド洋ベンガル湾やアラブ海で商業港湾施設の建設は、いわゆる「真珠の首飾り」戦略の一環であると考えられている。

●この戦略によって、中国は海南島からペルシャ湾へと西側に存在する、世界で最も混雑している海上交通路(SLOCs)への影響力を広げることを狙っている。

●これを分析している人々の間では、中国がこれらの商業的な取り決めと同時に、水面下で軍事的な取り決めも行っていると考えている。たとえば中国はすでにビルマのココ島とパキスタンのグワダル港に監視施設を設置しているのだ。

●インド洋周辺ではこの戦略はインドを封じ込め、エネルギーの安全を確保し、海上交通路をコントロールするものであるように見えるのだ。

●しかし中国が北朝鮮の羅津港に建設する港湾施設に関するニュースは、「真珠の首飾り」戦略を再評価する必要があることをあらためて教えてくれる。

●第一に、中国は南シナ海のほぼすべての島々の領有を主張しており、領有が争われている西沙諸島の永興島にすでに軍事施設を建設している。

●第二に、台中関係が改善しているとはいえ、北京政府はいまでも(必要ならば武力を使ってでも)台湾を「再統合する」という姿勢を崩していない。

●第三に、中国は日本の支配下にある尖閣諸島の領有の主張をしており、この海域への中国海軍の侵入は過去十年間で増加している。

●そして今度は日本海にある北朝鮮の港に(いまのところは商業的なものだけだが)アクセスすることができるようになったのだ。

●もし南シナ海、東シナ海、そして日本海に散在する「離れた真珠」を、海南島から中東までつながるものとつなげることができれば、「真珠の首飾り」はアジア本土を囲んでいるように見える。

●もし中国が上記した領土を全て「再生」させることができることになれば、アジアの最も混雑した海上交通路を監視してコントロールできるようになる。

●これはつまり日本と韓国を封じ込めることになるし、アメリカのアジアへのアクセスを阻止し、太平洋へと直接アクセスできることになる

●これが本当に中国の戦略であったとしても、これを実現できるにはまだ時間がかかる。台湾はまだ北京の軍門に下ったわけではないし、尖閣諸島は解決からはほど遠いからだ。

●しかし中国の軍備増強は順調に進んでいるし、アメリカの太平洋地域における軍事的優位は下降しているため、北京は紛争を(必要とあらば)力で解決する能力を持ち始めているのだ。

●「真珠の首飾り」戦略を拡大解釈してみると、中国はやはり拡大的かつ重商主義的、そしてよく言われるような「平和的発展」にはあまり興味がないことが見えてくる。

●この枠組みの中で考えてみると、北京政府の台湾、尖閣諸島、そして南シナ海についての計画はナショナリズムや資源ではなく、むしろそれは自国の沿岸の防衛と太平洋の支配という、国家安全保障的な面での利益がその底にある。

●われわれは日本海における中国の活動をしっかりと監視していく必要がある。中国海軍の羅津港におけるいかなる活動も、これからの十年間を以前のものよりも厳しいものにするかも知れないからだ。
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by masa_the_man | 2010-04-23 22:20 | ニュース | Comments(28)
今日の甲州は朝からどしゃぶり状態でして、夕方になってようやくやみました。けっこう冷え込みまして、私の周囲にも体調の悪い人がちらほら。

さて、ひさしぶりに北極海ネタです。ロシアの動きについてFTに記事が上がっておりましたので、いつものようにポイントフォームで。

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What Moscow wants in the Arctic

By Charles Emmerson

Published: April 15 2010 22:03 | Last updated: April 15 2010 22:03

●2007年にロシアが北極海の底にロシアの旗を立てたが、先週にも1949年のソ連時代の業績をたたえてパラシュートを降下させると発表して周辺関係国を不安に陥れている。

●これについてカナダの外相は「ロシアのプロパガンダは意味がない」と強気の発言をしており、最近の北極周辺の「主権主張ツアー」でカナダのほうがロシアのようなスタントではなくしっかりと実のある行動をしていると述べている。

●ロシアの行動がどう映ったかわからないが、とにかくこの地域に決定的な影響を与えるのはロシアであり、彼らの権益は歴史や地政学、そして気候変動や資源への欲望によって形作られているのだ。

●第一に、シベリアと北極海は「戦略的深さ」を持つ砦(1812年と1941年で証明された)か発射台(とくに冷戦時代のソ連の原潜のもの)という役割をもっている。

●ロシアの北極海周辺の人口の多さは、ソ連時代に軍事産業を北に配置したからであり、ムルマンスクなどはカナダの北極圏全体に住む人の三倍の人口をもつのだ。

●最近のロシアのアイスランドとの親密な関係づくりは地政学的な考えによるところが大きい。

●第二に、北極を通ってヨーロッパからアジアへと抜ける道を開拓することは長年の目標である。ここが開通すれば、北部が開発されてロシアの地政学的な弱さ(西と東の分離)を克服することができるのだ。1905年の日本海海戦での敗北はロシアに苦い教訓を与えている。

●ロシアの「北東航路」はカナダの「北西航路」よりもかなり先に開通する見通しであるし、ロシアの国営海運会社であるソフコムフロート(Sovcomflot)はこの夏に白海から日本へ石油を運搬する計画を立てているのだ。

●第三に、ロシアの石油やガスなどの炭化水素エネルギーの生産(対外的な影響力と国内の安定性に極めて重要)は、すでにある油田などでの生産が落ち始めるために北極周辺へとフォーカスがシフトするのだ。

●イギリスを含むヨーロッパ自身もいずれは北極海のガスに頼ることになるのであり、メドベージェフ大統領も北極海は2020年までに資源面で最も重要な戦略的地域になると発言していて、現在その地域を調査してデータを集めているのは領土と資源の確保のためである。

●ところがロシアの北極海へのアプローチの仕方は「文化」という面からも理解できる。

●たとえばロシアは記念などについてのお祭り騒ぎが好きであり、たしかに北極に最初に空挺部隊を降下させ、そこに飛行機を最初に着陸させたのもソ連である。

●また、ロシアは世界のどの国よりも調査船を持っているし、老朽化したとはいえ、砕氷船の数は世界一だ。

●このような事実は意外と重要だ。ロシア以外にはほとんど知られていないが、北極探検の歴史というのはロシア国民の考えかたにかなり浸透しているからだ。

●たとえばアメリカの北極圏の冒険について書いたアメリカの作家ジャック・ロンドンはソ連時代の最も有名な作家の一人だった。

●たしかにロシアの北極海へのアプローチは警戒すべきだ。しかし彼らもNATOのような組織や北極圏にある他の国に対して外交を展開していかなければならないのだ。

●もちろん国連の海洋法(アメリカは参加してない)は北極海の各国の領土の主張を解決はしてくれないが、それでもどの国が領土を持っているのかについてのひとつの目安とはなる。

●先月メドベージェフ大統領は「ロシアの資源探査のアクセスや北極海の開発を制限しようとする行動」に大して警告を発している。しかしこれはロシアがいままでの条約をすべて拒否するというわけではないのだ。

●もちろん状況はかわるかも知れない。たとえばノルウェイの外相は数週間前にカナダで開催された北極周辺国の会議(アメリカの国務省長官が初参加したが)において、「ロシアはまだ信頼に足るような、予測可能な動きをする安定的な国家ではない」と発言している。

●つまりロシアが他国がすでに主張している領土に文句をつけてきたりする可能性はある。それでもロシアは来週モスクワで北極圏についての会議を開催するのだ。

●石油の豊富なバレンツ海において、ロシアとノルウェイはかなり激しい意見の対立をかかえている。

●つまりここで確実なのは、ロシアの北極海での活動は当分ニュースとして報道され続けるということだ。大切なのは、われわれはそれを正しく解釈するようにしなければならないということだ。

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この「日本に石油を運ぶ」という部分がとても気になります。日本側の受け皿はどの会社???
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by masa_the_man | 2010-04-22 22:58 | 北極海の地政学 | Comments(13)
今日の甲州はよく晴れまして、気温もぐんぐん上昇。完全に初夏の陽気でした。

昨日でとりあえず三連続の講演ツアー(?)を終えてまた山梨に帰ってきました。こういう風に田舎と都会を往復する生活はなかなかいいもんです。イギリスの場合は完全に「田舎だけ」という感じですから(苦笑

さて、普天間基地問題に関しての今日の党首対決で、自民党の谷垣さんが珍しく「地政学」という言葉を連発しておりましたので、この発言の部分をメモ代わりに引用しておきます。

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在沖縄米海兵隊「地政学的な位置が重要」

(中略)

谷垣氏「あのー、沖縄海兵隊の持っている意味について、ずいぶん今のご理解はですね、偏った理解といいますか、中途半端なご理解だと私は考えます。あのー、沖縄の海兵隊、海兵隊の任務はですね、海外有事の際に真っ先に、その、駆けつけて、そして非戦闘員の救出であるとか、あるいは活動拠点を確保する。こういう任務を負っている。ですから、普天間へリ部隊がこの中核に、この極東においてあるわけでありまして、極東、つまり、フィリピン以北、それから朝鮮半島、それから台湾海峡、そういったところでの要するに抑止力の中心を担っているのは、この沖縄の普天間のヘリ部隊なんですよ。地政学的な、地政学的な位置が、だから重要なんです。そのことをご理解かどうかということを問うたわけです」

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上の発言に関して、同じヤフーの記事は以下のような記事へのリンクを掲載。

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在沖縄米海兵隊は「普天間のヘリコプター部隊は移設後も、一体運用する地上部隊と飛行時間で20分以内の近接距離に配置する必要がある」との軍事上の見解を明らかにした

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とありますね。つまりこれは「地政学の三位一体」で分析すると、

天= 「地域の抑止効果を考える米軍」vs「基地を完全な邪魔者と考える民主党政権」

地= 普天間という「客観的に存在する地理」

人= ヘリの航続距離を考えた「20分」という時間(距離&テクノロジー)
 
という図式が見えますね。

そしてこの両者は、全く同じ「地」の話をしているにもかかわらず、この民主党政権幹部と米(軍)側の「地理観」=「天」がまったく合致していない部分にあるわけで(苦笑)

もちろん「人」であるテクノロジーを向上(ヘリの航続距離を高めるなど)でもある程度は「地」を越えられるのかも知れませんが、肝心なのはそこまでヘリの航続距離を(コスト&技術の面から)伸ばせないという点ですな。

つまりここでは「地」と「人」の両方が定数になっていて(普通は「地」だけですが)、「天」が変数になっているわけです。民主党政権側はこの「人」の部分もよくわかっていないような。

それに「そこにいるからよい」というプレゼンスの問題もありますし・・・・
by masa_the_man | 2010-04-21 23:05 | 日記 | Comments(21)
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(Korea Timesより)
by masa_the_man | 2010-04-20 11:31 | ニュース | Comments(6)