戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man

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大佐の体験:その2

今日のイギリス南部は時々日が射す典型的な曇り時々晴れという天候。昼間はよいのですが、朝夕はかなり冷えこみます。

ここ数日で私の住んでいるところの周辺の街路樹が一斉に落葉をはじめまして、歩道は足の踏み場もないくらい黄色い落ち葉で埋め尽くされております。

さて、大佐の話のつづきを。

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●「火星からきた男」と「金星からきた女」のように、とにかく完全に相手の意図はわからない。

●とにかくこのようにして達成するのが不可能なものが存在するのだが、これをなるべく可能にしようとして我々はさらに階層を作ったり人を投入しようとするのだ。

●たとえばアライド・フォース作戦が終了した78日後には、1400人の飛行機乗りが空軍が行う「エア・タスキング・オーダー」にたずさわっていた。

●ところが私がターゲットを選ぶ作業にあたっていた「ストラテジー・セル」(strategy cell)にはたった十二人しかおらず、ここで上の二つの階層レベル(将軍/大統領)にアドバイスなどを与えていた。

●しかし問題なのは、その上のレベルの人間はわれわれエアマンが受けてきたような訓練を全く受けていないわけで(クラーク将軍は陸軍出身)、作戦に対する理解のレベルも低い。

●それでも彼らが政治を動かすわけなので、彼らに従うしかない。

●アライド・フォース作戦でひとつテクノロジー面で新しいことが導入された。ビデオ会議というやつだ。

●作戦の間、われわれは毎日朝九時に政権のトップレベルと会議を行ったわけだが、それを行った部屋は長方形の長いテーブルがあって、その向こう側にモニターがあり、アメリカ側にも長い長方形のテーブルがあって、そこに大統領や国防長官、それに安全保障アドバイザーなどが映っていた。

●ここでいつも問題が発生した。ウェスリー・クラーク将軍のそばにはすべての部隊情報などを表示したモニターがところ狭しと並べられており、会議の際にこれを見ながら下の細かい動きにまで一々注文をつけてくるのだ。

●しかし彼が「このヘリをここに移動しろ」と指示しても、それを行うには我々が計画を無理矢理変えて、それから約1週間くらいの時間がかかるのだ。

●「いや、それはちょっと・・・」と言っても、彼は「やれ、いますぐやれ」と言ってゆずらない。

●つまりこれは新しいテクノロジーによって、将軍が下の細かい部隊の動きまでマイクロ・マネージできるようになった、ということなのだ。

●一番困ったのは、彼が空爆のターゲットを選定している我々のところまできて、明らかに航空作戦については知らないのに、我々に色々と口出しをしてくることだった。

●この作戦当時、NATOには19カ国の空軍が参加していたのだが、参加国の中でも「攻撃目標」について統一した定義はなかった。これは現在でも問題として残っている。

●そして攻撃目標を選ぶ時には「副次的破壊」などが発生する可能性があるために、国際法に詳しい法律家が絡んでくることがある。

●ところがここでまた問題なのは、当たり前だが、法律家が空軍のターゲット策定などについて無知であることだ。

●こうなるとまた「摩擦」が発生してくるのだ。

●これを克服するためにどうすればいいのかというと、このシステムを逆に利用してしまえばいいのだ。

●たとえば私がユニットレベル(戦術レベル)の作戦を練っていて、絶対に攻撃したい目標があったとした場合は、攻撃できるようなアドバイスを自分が作って戦術アドバイスとして上に申請するのだ。

●つまり、自分が受けたい命令を受けられるように、意図的にアドバイスを作るのだ。具体的には「こうしたほうが作戦がスムーズに行きます」と進言するということだ。

●現在のイラクでもアフガニスタンでも実はまったくこれと同じことが起こっていて、部下は上司に受けたい命令が下されるように、色々と工作をしているのだ。

●ここで興味深いことが起こる。どの階層でも、部下が上司に受けたい命令をつくるために必死に働いている、という姿だ。

●これはまさに「官僚的な問題」なのだ。

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ここまで書いて時間切れです。続きはまた明日。
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by masa_the_man | 2009-10-31 09:16 | 日記 | Comments(13)

教育勅語の口語訳

そういえば今日(というか日本では昨日)は教育勅語が発布された日でした。

知り合いから以下のような口語訳が送られてきたのですが、なかなかうまく訳してあるなぁと感心した次第なので参考まで。

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 教育勅語の口語文訳

 私は、私たちの祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざして、日本の国をおはじめになったものと信じます。そして、国民は忠孝両全の道を完うして、全国民が心を合わせて努力した結果、今日に至るまで、見事な成果をあげて参りましたことは、もとより日本のすぐれた国柄の賜物といわねばなりませんが、 私は、教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。

 国民の皆さんは、子は親に孝養をつくし、兄弟、姉妹はたがいに力を合わせて助け合い、夫婦は仲むつまじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動をつつしみ、すべての人々に愛の手をさしのべ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人柄をみがき、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また法律や、秩序を守ることはもちろんのこと、非常事態の発生の場合は、真心をささげて、国の平和と、安全に奉仕しなければなりません。そして、これらのことは、善良な国民としての当然のつとめであるばかりでなく、また、私たちの祖先が今日まで身をもって示し残された伝統的美風を、さらにいっそう明らかにすることでも あります。

 このような国民の歩むべき道は、祖先の教訓として、私達子孫の守らなければならないところであると共に、この教えは、昔も今も変わらぬ正しい道であり、また日本ばかりでなく、外国で行っても、まちがいのない道でありますから、私もまた、国民の皆さんとともに、父祖の教えを胸に抱いて、立派な日本人となるように、心から念願するものであります。

明治23年10月30日

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私には人相で人の運のレベルを見る以外にはあまり「特技」と呼べるものはないのですが、なぜか教育勅語の「暗唱」だけはできます(笑

そして明日はハロウィーンです。

怪しいのが多いので、夜になったらあまり外に出ないようにしようかと(苦笑
by masa_the_man | 2009-10-31 05:14 | 日記 | Comments(25)

大佐の体験:その1

今日のイギリス南部は朝から曇り空でして、昼間に少し日も見えたのですが、その後は雨も降らずにずっと曇り空のままでした。それほど寒くはないです。

さて、先日行われた火曜日のランチミーティングで米空軍大佐が話してくれた内容を。

すでにこのブログを昔からご覧の方はご存知でしょうが、私のクラスメートには米英をはじめとする現役の軍人たちが私の先生の元で博士号課程を学びに集結しているわけですが、とくにこの彼のような現役の大佐クラスというのは珍しく、しかもやっているのが「スペースパワーの新しい理論」ということもあり、私たちのコースメイトたちの間でも何かと話題の人物であります。

現役の米軍の将校ということもあり、ロンドンなどにもけっこう講演などに招かれるようで、連日イギリス国内を色々と忙しく飛び回っております。

また、アイルランド系ですからけっこう飲むのが好きで、我々に誘われるとパブに気軽に飲みに行きます。町の彼の行きつけのパブには、彼専用のグラスが置いてあるほど。

さて、今回この彼が話をしてくれたのは99年のコソボ空爆における実体験でありまして、具体的にはウェスリー・クラーク将軍(当時のNATO司令官)の下で彼が何を体験したのか、ということです。

ではいつものようにポイントフォームで。

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●戦略において「オペレーション・レベル」があるかどうかを考えるには、とりあえず歴史を振り返ってみるといい。

●たとえば第二次世界大戦だが、ハインツ・グデーリアンが電撃戦(ブリッツクリーグ)を考案しており、これが現在の我々の言うところの「オペレーションレベル」だ。

●これの全体の流れを指揮していたのは総統(ヒトラー)じゃなくて将軍たちであり、彼らが個別の戦術レベルの戦いの流れを毎日監視して指揮をしていた。

●第一次世界大戦でも例がある。連合国側がはじめてまとまった行動をとれたのは1918年からだが、この時にはじめて「コンポーネント」というコンセプトが出てきた。これは一つの軍が独立で一致した行動をする、というもの。

●空軍で「コンポーネント」を指揮したのがイギリスではトレンチャードで、アメリカはミッチェル。

●ロシアの空軍も第二次世界大戦から独立して一致団結した行動をする必要があると確信。

●ちなみにイギリスはRAFがすでに爆撃部隊などを独立させていたが、アメリカでは空軍はまだユニットレベルで陸軍に従属していた。

●しかしアフリカ北部での失敗のあと、アメリカもこの教訓にならい、独立空軍の創設に動き出す。

●このような経過を見て行くとわかるのが、空軍は空軍のため、陸軍は陸軍のため、そして海軍は海軍のためという「専門化」への欲求である。これがオペレーションレベルでの運用につながる。

●しかしそれと同時に軍を越えた統合運用への必要も出てくるので、オペレーションレベルでは専門化と統合の間でトレードオフの必要もでてくる。

●ここで出てくるのが「摩擦」である。

●戦争において指揮系統が増えると、そのレベルごとに摩擦が発生するのだ。そしてそれはまさに官僚的な弊害によるものもある。

●私は本当の戦争の中で、各階層で摩擦を経験したことがある。

●ユニットのような戦術レベルでエアパーをどう使うかを経験したし、オペレーショナルレベルでは司令官の下でターゲットを実際に選別するという作業も行ったことがある。

●イタリアの(ダムリンという町の?)「ストラテジー・セル」と呼ばれる場所でも働いたことがあるが、皮肉なことにここで行っていたのは実はオペレーショナルレベルの作業だった。

●これを考える上で一番参考になるのが「アライド・フォース作戦」だ。これはセルビアがコソボに進入してアルバニア人を殺害していたいわゆる「コソボ紛争」の時にNATOが行った武装介入だ。

●この時にNATO軍が実力行使として許可されていたのは、エアパワーだけにであった。最高指揮官はウェスリー・クラーク将軍である。

●しかしこの時に空軍は何もできず、実際のターゲティングを行ったのは海軍の作戦プランナーたちだった。

●これはすごいことだ。なぜならこの作戦の最初の一ヶ月は、「陸」の戦闘を、「空」から戦うために、「海」の連中が作戦を作っているという構造だったからだ(笑

●海軍のやつらもできるだけのことはやってくれたと思うが、やはり彼らには限界がある。

●しかし彼らも「戦争の霧」の中でベストを尽くしてくれた。戦っている最中は「ベストを尽くす」ことしかできないのだ。

●インテリジェンスの奴らもベストを尽くしていたが、一番難しいのは、現場にいけない状態で、相手が何を行おうとしているのかという「意図」を知ることだった。

●しかしこれは我々の生活にも当てはまる。彼女とか彼氏がいる人ならわかると思うが、違う人間の「意図」を理解するほど大変なことはないのだ!

(ここで先生が、「異性というのは異国の異文化だからなぁ」と間の手を入れて、一同爆笑)

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ここまで書いて時間切れです。続きはまた明日。
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by masa_the_man | 2009-10-30 08:58 | 日記 | Comments(2)
今日のイギリス南部は朝から曇り空でしたが、夕方になって少し晴れました。

ここ二日間は学校で開催されたセミナーに出っぱなしで色々と忙しく、論文のほうも波に乗ってきたので、ここ数日はブログを集中して書くヒマがありません。

今日の午後はアメリカの軍需関連企業がスポンサーになって開催されたセミナーに参加してきたのですが、テーマは「テクノロジーはCOINとCTにどれだけ重要?」というものでした。

結論から先に言えば「重要だ」という当たり前の答えになるわけですが、その結論をゲストスピーカーにいかに答えてもらうのか、という点がこのようなセミナーの醍醐味なわけで。

まずゲストを簡単に説明しますと、イギリス陸軍のパラシュート部隊出身の方が一人目のスピーカーで、もう一人はイスラエルに住む防衛コンサルタントをしている人でした。

これを私の先生が司会をしながら話を進めるのですが、一人目の方はイギリス陸軍の特殊部隊なんかで実戦経験もある人みたいで、フォークランドから北アイルランド、そしてアフガニスタンまで、どちらかというと特殊部隊関連の任務に従事していたことが多く、その実体験を元に、かなりリアルな話をしてくれました。

もう一人のスピーカーは、なぜか特殊部隊関連の小説を書いたこともある珍しい経歴の若い人だったんですが、正規戦と非対称戦のような概念の違い自体が混乱の元であるとして、「戦争は戦争だ」というかなり割り切ったクラウゼヴィチアンの人でした。

これについては今日もまた時間がないので、詳しい話はまたいずれ。

明日は火曜日のランチミーティングで米空軍大佐が話してくれた、実体験にもとづく興味深い話を書きます。
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(町の中心部の様子)
by masa_the_man | 2009-10-29 08:21 | 日記 | Comments(2)

軽く報告

今日のイギリス南部はよく晴れまして、かなり過ごしやすい一日でした。気温もあがって寒さはそれほど感じませんでした。

さて、恒例の火曜日のランチミーティングに行ってきたのですが、今回の内容はとくに面白かった!

さきほどまで学校近くのパブでコースメイトたちと語っていたので今日はその内容を書いているヒマはないのですが、簡単に報告しますと、今回は米空軍の大佐が自分の実体験をネタにして、「オペレーション・レベルの存在」について語ってくれました。

実は彼はコソボの時に空軍の作戦作成担当者でして、NATO指揮官であったウェスリー・クラーク将軍のもとでいかに苦労したのか、詳しいエピソードを色々と紹介してくれました。

その後には別枠で私の先生の研究発表があり、「冷戦の起源」などについて一時間ほどしゃべったのですが、これもなかなか刺激的。

しかしなんといってもパブで若い先生などを中心に、英米独日伊のメンバーで語ったことのほうがかなり勉強になりました。

明日も午後から軍需産業がスポンサーとなったCOINとCTについてのセミナーが開催されるので、その報告もいずれまとめてここに書きます。

まずは簡単な報告まで。
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by masa_the_man | 2009-10-28 10:00 | 日記 | Comments(2)

反テクノロジー派の流れ

今日のイギリス南部は朝からスッキリ晴れておりましたが、夜になっていきなり小雨が。もう朝はコートなしではツラい季節になってきました。

黙々と論文を書いている毎日なのですが、先日図書館に調べものに行ったついでにテクノロジー関連の哲学の本を少し読んで面白かったので、メモ代わりにここに少し。

社会科学系の学問だとおそらく共通しているのでしょうが、一つの概念(たとえば私の場合は「地政学」)が出てくると、それを研究していく過程で、かならずそれに反対する学派が出てきます。

たとえば地政学(というか古典地政学)の場合は、「批判地政学」や「反地政学」というのがそれに当たるわけですが、テクノロジーの哲学の場合もまさにそれでして、テクノロジーの社会的な影響について研究していると、そもそもテクノロジーに反対する思想や勢力も出てくるわけです。

テクノロジー研究の場合、この反対派はけっこう昔からおりまして、たとえば図書館で読んだ本の中には、なんとこれはあのジャン・ジャック・ルソーから始まった、みたいなことが書かれておりました。

たしかにルソーといえば「自然に帰れ」的なことを申しておりましたが、彼の生きた時代は産業革命の始まる前の18世紀後半ですから、彼が何に対して「自然に帰れ」と言っていたのかというと、一つは「文明」や「科学」というものが人間のモラルや社会に対して悪影響だ、ということみたいなのです。

これが「ロマン主義」(romanticism)ですな。

で、これがドイツに行くとカントになり、ここで数学や物理学によって解明される「理性」に対する「超越的な理性」みたいな概念が出てきて、イギリスに来ると詩人のワーズワースみたいになって、いずれも「反テクノロジー」の源流となったみたいですね。

これが進化して南アフリカのヤン・スマッツから出てきた「ホーリズム」(全体論)などにつながるわけですが、これらを大きくみると(社会)科学の「還元主義」に対する挑戦とも言えるとか。

産業革命が出てくるとさらにこのテクノロジーに対する反発や自然に対するあこがれが強まっていき、まずは機械に仕事を奪われた「ラッダイト」(Luddites)という機械破壊運動を起こす人々が出てきたわけで。

と面白くなってここまで読んでしまったのですが、時間もないので続きはまた今度。

明日はミーティングなのでまたその報告を書きます。
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(近所のアニメショップ?)
by masa_the_man | 2009-10-27 08:14 | 日記 | Comments(13)
今日のイギリス南部は朝から曇り空でしたが、午後からすっかり晴れました。

昨日の夜からサマータイム終了でして、今日から時計を一時間戻しての「冬時間」での生活が始まりました。こうなると日が短く感じられていよいよ冬の到来を感じるわけですが。

さて、日本のメディアではあまり報道されていないアフガニスタン関連のものを少し。

マックス・ブートと言えばネオコン派の中でも特に安全保障関連につよいコラムニストでありまして、著書には(あまり評判はよくないですが)RMAに関する本も出しているCFRの上級研究員であります。

この人が最近ペトレイアス将軍の招きでアフガニスタンに10日間ほど取材旅行に行ってきたらしいのですが、この時の体験を元にしてNYタイムズに「マクリスタル案万歳論」を書いておりました。

もしかしたらすでに日本のメディアでも紹介されているかも知れませんが、とりあえずまたポイントフォームで以下に書き出しておきます。

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There is no substitute for ground troops

By MAX BOOT
Published: October 21, 2009

●「この戦争が勝てないという人にこの話を聞いてもらいたいですね。対暴動(COIN)で勝つとはこういうことなんです」

●海兵隊のウィリアム・マコーロフ中佐はアフガニスタン南部で戦略的に重要なヘルマンド川盆地にある貧しい地域にあるナワという町を歩きながらこう語ってくれた。

●彼が指揮する海兵隊の部隊はこの町に1000人以上駐留しており、今年の六月に来たときはタリバンと戦闘を行い、二週間戦って2人の犠牲者と70人の負傷者を出しているが、結局はタリバンを追い出した。

●それ以降は400人のアフガン兵士と100人のアフガン警察を使ってナワの町の周辺に「安全バブル」を確立することに成功した。

●マコーロフ中佐がこの町に来たときは町の状態はヒドいものだったが、現在のナワは栄えており、70軒の店がオープンして、町はトラックや歩行者がひっきりなしに往来するようになり、ヘルマンド州では考えられないことだが、町を防弾チョッキ無しで歩けるくらいなのだ。

●この町で海兵隊は運河を清掃したり橋をかけたり学校を作ったりしている。

●いまではタリバンが道に地雷をしかけると、逆に地元の人が米軍に忠告してくれるほどだ。

●このナワのような町で成功している秘訣は、米軍の兵士の数を増やしたことにある。

●アフガニスタンに駐留する米軍兵士の数は、2008年で3万2千人から6万8千人に増えている。

●これによって僻地の駐屯地の防御が強化されることになり、たとえばナワには海兵隊の部隊が来る前にはたった40人の英軍の兵士がいただけだ。

●いままでのような少ない数の兵士では、イラクやマレー半島で成功した、地元住民を中心においたCOINを行うことは不可能だったのだ。

●たとえばいままでのNATO軍はこれを行うことができず、彼らが去るとすぐにタリバンがやってきて「芝刈り」をしてしまうという状態が続いていた。

●ところが現在は(場所は少ないが)clear, hold, and build 戦略という戦略が行える。

●アフガニスタンに駐留している兵士の総数(連合軍10万2千/アフガン人17万5千)はイラクのそれ(連合軍17万4千/イラク軍43万)に比べて遥かに少ない。

●マクリスタル将軍が4万人の増派を求めたのはまさにこの理由からであり、しかもこれは最低限必要な数、ということを忘れてはならない。

●米国政府や議会の人間の中には今の数でも十分やっていけると考えている人もいるかも知れないが、彼らはひとつ重大なことを忘れている。それは自分たちが仕掛けるか、それとも敵に仕掛けられるか、という戦争の掟だ。

●ここ数年はタリバンが盛り返している。もし大統領がマクリスタル将軍の要望を拒否してしまうと、タリバン側を勇気づけるメッセージを送ることになり、逆に米軍側に協力していたアフガニスタンを裏切ることになる。

●しかしそれを受け入れることになれば、こちら側に勢いをもたらすことになる。

●私は今回の現地取材の間にアフガニスタンの選挙で混乱している現場を見たが、みんなが忘れているのは、アフガニスタンの腐敗政治という問題も米軍が兵士を増派すれば解決できるという点だ。

●私が実際に見聞きしたことでわかったのは、彼らのそばでしっかりと見守っていればアフガニスタンの人々もうまくやれる、ということだ。

●カブールの南のバラキ・バラクという町に駐留しているトム・グケイセン中佐の部隊は、このアフガニスタンとアメリカの共同作戦の最前線のすぐそばにある町の周辺に緩衝地帯をつくった。

●その町の内部で彼らは「極端な立て直し」を行っており、国務省による支援金の助けを借りて地元政府の権威を強化している。

●「アフガニスタン人のそばにしっかりついてないと、彼らはすぐに地獄行きだ」とある米軍兵士が教えてくれた。ところが逆にアメリカ側がそばでしっかりついていればアフガニスタン人は劇的に状況を改善できる可能性を見せているのだ。ナワやバラキ・バラクがこの典型だ。

●アフガニスタンの統治が上手くいっていないという事実は、むしろ撤退論よりも増派論に使われるべき証拠なのだ。

●オバマ大統領がアフガニスタンの状況を改善してタリバンを押し返し、アルカイダが9/11事件をもう一度起こすことを防ぐことができるのは、(兵士と民間人の両方を)増派するということだけなのだ。

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典型的な増派論ですね。

そういえば数日前の火曜日のミーティングで話題になっておりましたが、戦略家として有名なエドワード・ルトワックは、先週のイギリスの文芸誌(TLS)にキルカレンの新刊について書評を書いておりまして、「アフガニスタンみたいな国益にに全く影響を与えない地域からは完全に手を引け」という完全撤退論を主張しておりました。

ちなみにルトワックはここでキルカレンの本の書評を書いていたはずなんですが、この書評の中ではこの本の題名と内容に一言も触れていなかったみたいです(笑
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(近所の風景)
by masa_the_man | 2009-10-26 06:21 | 日記 | Comments(20)
ナチス関連の用語について以下の英文があるのですが、訳語をどうすればいいのか悩んでおります。

the SS-Sturmbann I, 1. SS-Standarte Munich

これを私は

「(ミュンヘンに駐屯している)ナチス親衛隊第一連隊の第一中隊」

としようと思っているのですがいかがでしょうか?皆さんのお知恵を貸して下さい。
by masa_the_man | 2009-10-25 00:24 | 日記 | Comments(17)
今日のイギリス南部は朝から曇りがちでして、あらためて秋の深まりを感じます。

さて、久々にニュースの解説的なものを。

トマス・バーネットと言えば、アメリカの大戦略や地政学に多少の関心のある人々の間ではけっこう有名な人物であり、2000年代に入ってから『ペンタゴンの新しい地図』(邦題は『戦争はなぜ必要か』)という本でアメリカの国防コミュニティーにセンセーションを巻き起こしております。

この本(と論文)の中で彼が論じていたことをものすごく単純に言えば、

「冷戦後のアメリカは、世界をグローバル化させるために色々なところで紛争に介入していた」

ということです。

ところがここで彼が面白いのは、このようなこれまでの現状を踏まえて、

「だから我々はグローバル化を大戦略の中心として、むしろ積極的に進めなければならない!」

と論じているのです。

ところがこのようなアイディアはかなり昔からアメリカに存在しており、その代表的なものが「門戸開放政策」(Open-door Policy)ですね。

彼はこのような(アメリカによる)「グローバル化推進派=門戸開放派」なわけですが、こうなるともちろん中国に対してG2(チャイメリカ?)のような提案をしたがるわけです。

その彼が中国に関する面白い記事を書いておりましたので、いつものようにポイントフォームで要点を紹介。

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The New Rules: Seeing China’s Present Through America’s Past

Thomas P.M. Barnett

●アメリカの中には現在の中国の勃興を恐れている人がいるが、たしかにこれは理解できる。

●中国こそが我々に金を貸してくれているのだし、アメリカ中にあふれるあらゆる商品の底には「メード・インチャイナ」と書かれている。

●二十年前の日本のように、今われわれは中国を恐れているのだ。

●つまりわれわれには世界経済のトップに立っているという感覚がなく、「アメリカの時代」ではなく他の誰かの「時代」であると感じているのだ。

●ところがおよそ百年前に、イギリスの人々がアメリカに対して同じようなことを感じていた。アメリカはイギリスにとって「勃興する中国」だったのだ。

●アメリカ人が自国に中国製品があふれていると感じているように、百年前のイギリス人も自国にアメリカ製品があふれていると感じていた。

●ある有名なセオドア・ルーズヴェルトの伝記の中には以下のようなことが書かれている。

●「現在のイギリスの雑誌の広告を見ると、普通のイギリス人はインガーソルの目覚まし時計で起きて、ジレットの剃刀でヒゲをそり、ヴァセリンのトニックで髪を整え・・・・」

●つまり現在の中国のように、この当時のアメリカはあらゆるものを海外に輸出していたのだ。

●この当時のアメリカは生産力は高かったが自国での消費量が少なかったため、残りを積極的に海外に輸出するしかなかったのだ。

●結果として貿易黒字が拡大し、海外からの直接投資がウォール街に資本を呼び込むことになったのだが、これは現在上海の株式市場で起こっていることと同じだ。

●現在のアメリカは「中国に買われてしまう」ということを心配しているが、当時のアメリカの資産家であるアンドリュー・カーネギーも「イギリスを買って、ついでに彼らの借金を帳消しにすることもできる」と計算していたのだ。

●現在は「チャイナ・プライス」があるが、百年前はイギリスで「アメリカン・プライス」があったのだ。

●これをわれわれがどのように達成したのかというと、環境におかまいなく経済効率最優先で労働基準などほとんど考慮せずに生産性を上げたからだ。

●実際にこの頃のアメリカの労働/住居環境などをみていくとひどいものがある。

●百年前にシカゴで生まれた赤ん坊は5歳になるまでに半数が死亡。

●一九一一年のシカゴ大火災の後で決められた法案では、子供に週54時間以上働かせることを禁止する決定がはじめてなされた。

●一九世紀最後の十年間は、アメリカの歴史上で最も収入格差が広がっていた時期。

●そのような酷い状態であったため、19世紀後半にはアメリカで社会改革運動が生まれて広がることになった。

●この時期に改革派の指導者や「マック・レイカーズ」と呼ばれるようなジャーナリズムも増え、そのおかげでアメリカに新しい「ルール」が出現し、国の統一性がはかられるようになったのだ。

●現在の中国は、まさにこの頃のアメリカと全く同じような道のりを歩んでいる。

●もちろん彼らには我々と違った弱点(一党独裁)があり、この発展のプロセスで失敗するかも知れないが、アメリカにはこれを支援する必要がある。

●この中国の現状をみるにつけ、ひとつ参考になる本がある。ポール・ミドラーによる“Poorly Made in China”という本だ。

●著者のミドラーは中国に長年住んでおり、西洋の企業が中国側と輸出品を取引する際のコンサルタントをしている。

●この本の中で、彼は中国のビジネス環境のひどさを詳細に語っている。

●注意していただきたいのは、私は中国が工業化することによって西洋諸国のように劇的に変身すると信じているわけではないということだ。なぜならわれわれもそれほど急激に変身できたわけではないし、彼らもまずは何よりも収入を必要としているのだ。

●ミドラーが紹介している面白いエピソードは、中国の工場で作業員の安全がまったく考慮されず、とにかく環境コスト度外視で作業をしている現場を見たときである。

●現場の薬品の臭いはひどかったのだが、中国人の工場長は「君たち外国人は中国に来て公害を非難するが、オレには意味がわからん。なぜって、オレにはこの工場のヒドい臭いがカネの臭いに感じられるからさ」

●ミドラーが指摘しているように、中国人は製品のコストを下げるためだったら何でもやる覚悟だ。そしてアメリカ側で輸入している業者もこれをよくわかっている。

●そしてアメリカ側の消費者も安い製品を買えるおかげで得をしているし、何億人もの中国人も1909年頃のアメリカ人と同じ「アメリカン・ドリーム」を実現しつつある。

●そしてこの中国の状態は、まさにアメリカが百年前に世界から仕事を奪い、不正コピーを作っていたという点で一緒なのだ。

●ミドラーはこの本を、アメリカが90年代の時点でもっと速く中国に投資をはじめていればよかったのに、というコメントで締めくくっている。

●しかしミドラーに見られるように、我々も自分たちの国の過去の姿を知らなすぎるのだ。

●グローバル市場が安い労働力を求めるかぎり、中国が外国の圧力に負けて自国の工場の労働環境を改善しようとすることはないだろう。

●そのような改善要求は中国人自身が起こさなければならないのだが、現在はそのような要求が頻発する暴動という形で起こっており、これが大きな運動となるのは時間の問題だ。

●このような新しい状況になったときにアメリカがおぼえておかなければならないのは、アメリカが勃興する時に作り上げた「ソフト・パワー」である「ルール」なのだ。

●世界最古で最も成功している「多国籍経済構造」をもつアメリカは、グローバル化というゲームでも最先端を行っている。

●だからこそ我々にはあとに続く国が、このような困難をうまく乗り切って行けるように支援していく責任があるのだ。

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つまり彼は「現在の中国は、百年前のアメリカの姿そのものだ!」と言いたいわけですね。

それにしても彼は中国の文化や歴史というものに対する歴史がやや甘いような。まあ自分の子供を中国から養子にもらっているくらいですから客観的に見れないところはあると思うのですが。
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(キャンパス内の様子)
by masa_the_man | 2009-10-23 03:59 | ニュース | Comments(43)

酔っぱらい

こっちのテレビで紹介されてました。下らないですが、笑えます(笑



この動画についての視聴者のコメントがまた面白く、「これを見たら人間という種はそろそろ絶滅だと感じたぜ・・・」というのもありました(笑

それにしても朝の十一時前なのにすでにこんな酔っぱらっていて、しかもビールを買いに来ているというのはスゴい。あ〜腹が痛い。

お互いに飲み過ぎには注意しましょう。
by masa_the_man | 2009-10-22 04:36 | 日記 | Comments(10)