プーチンの狙いはウクライナへの軍事侵攻? |
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2022年 02月 08日
今日の恵比寿駅の上空は曇っていましたが昼過ぎに晴れてきました。それにしても相変わらず寒いですね。 さて、欧州政治の専門家で「アフターヨーロッパ」でも有名なブルガリア出身のクラステフが今回のウクライナ案件について興味深い視点を提供しておりましたのでその試訳を。 === By イワン・クラステフ 22-2/3 NYタイムズ もちろんこの話はジョークだ。だがこれは、ウクライナ情勢をめぐる米欧間の認識の不一致を端的にとらえている。米国と、先週の水曜日に東欧への米軍配備を正式に承認したバイデン大統領にとって、プーチン大統領率いるロシアの侵攻は「明確な可能性」である。 ところが欧州にとってはそこまでではない。ドイツのある上級外交官は、この見解の違いを、以下のように要約している。「米国はプーチンが本格的な戦争を仕掛けてくると考えているが、欧州はプーチンがハッタリをしかけているだけだと見ている」。 この見解の違いは、当然といえば当然かもしれない。結局のところ、西ヨーロッパの一般市民にとって「本格的な戦争」とは、エイリアンが侵攻してくるような事態と同じくらい想定外のものだからだ。西ヨーロッパでは何十年にもわたり平和が続いており、ロシアの石油とガスに深く依存していることもあって、当局者たちは「ロシアの攻撃的な動きは策略に違いない」と考えているのだ。 しかし、このようなロシアに融和的な欧州の傾向は、当初警戒していたウクライナ当局者が今では欧州と同じ見解を持つようになったことを説明できない。先週のことだが、ウクライナのゼレンスキー大統領は戦争の脅威を軽視し、状況は「危険だが、あいまいだ」と示唆している。自国の国境のすぐ向こう側で13万のロシア軍に脅かされている国としては実に驚くべき評価なのだ。その背景には何があるのだろうか? その答えは驚くべきものであり、逆説的ですらある。ヨーロッパ人とウクライナ人たちがロシアのウクライナへの大規模な侵攻に懐疑的なのは、彼らがプーチン氏に対してアメリカ人よりも温和な見方をしているからではない。実態はその逆であり、彼らはプーチンをより悪意のある存在として見ているからである。「クレムリンは戦争をやろうとしているわけではない」というのがその理由だ。 つまり彼らは今回の軍備増強は「西側諸国を不安定にするために考案された広範な戦術だ」と考えているのだ。ヨーロッパにとって「戦争の脅威」は「戦争そのもの」よりも破壊的になる可能性があるからだ。 米国と欧州諸国は、プーチン氏が望んでいることについては意見が一致している。クレムリンは冷戦後の秩序を破壊し、1990年代からの象徴的な脱却を望んでいるのである。 もしそれが実現すれば、ポストソビエト空間におけるロシアの勢力圏を認め、西欧の価値の普遍性を否定する、新たな欧州安全保障のアーキテクチャーが誕生することになる。つまりプーチン氏のゴールは「ソ連邦の復活」ではなく、自分のイメージする「歴史的なロシアの回復」である。 ワシントンやブリュッセルには、このメッセージは伝わっている。大西洋の両岸の一般的な合意は「クレムリンが次に何をするかはわからないが、じっとしていられない」というものだ。ロシアが単純に引き下がることはないだろう。 しかし、アメリカ人は「プーチンがその壮大な野望を実現するためにウクライナでの熱い戦争を必要としている」と考える傾向がある一方で、ヨーロッパ人やウクライナ人たちは「プーチンにとって役に立つのは、国境での部隊のプレゼンス、エネルギーの流れの武器化、そしてサイバー攻撃のようなハイブリッド戦略だ」と考えているようなのだ。 これには根拠がまったくないわけではない。ロシアがウクライナに侵攻すれば、逆説的ではあるが、現在のヨーロッパの秩序が保たれる可能性があるからだ。NATOは積極的に対応し、厳しい制裁を加え、断固として結束して行動せざるをえなくなってしまうからだ。プーチンは対立を激化させることで、敵対者たちをまとめてしまうのである。 ところが手出しをしなければ、それとは逆の効果を生み出すことになる。なぜなら侵攻を伴わない最大限の圧力は、NATOを分裂させて麻痺させることになるかもしれないからだ。 そのわかりやすい例がドイツだ。今回の危機が起こる前のドイツは、ヨーロッパにおけるアメリカの最も近い同盟国であり、モスクワとの特別な関係を誇り、東・中欧にとって最も重要なパートナーであった。しかし現在のワシントンでは、ドイツがロシアに本気で立ち向かおうとしているのかを疑問視する声が上がっており、ベルリンとモスクワの関係は急速に悪化し、東欧の多くの人々はドイツが自分たちの支援に消極的であることに苛立ちを覚えている。 プーチンが実際に侵攻するかどうかを明らかにすることなくこのまま瀬戸際外交を続けるとすれば、ドイツが陥る苦境は今後の状況を占う上で一つのヒントになる。 それでもドイツを取り巻く世界は変化している(ウォールストリートジャーナル紙のドイツ特派員、ボジャン・パンスフスキーは「ドイツは、駅が火事になっても停車し続けている列車のようだ」と私に語ってくれた)。 今日、地政学的な面での強みは「どれだけの経済力を行使できるか」ではなく「どれだけの痛みに耐えられるか」によって決定される。なぜなら冷戦時代とは異なり、敵は鉄のカーテンの向こう側にいる存在ではなく、貿易の相手国であり、ガスを買っている国であり、ハイテク製品を輸出している相手国なのだ。ソフトパワーはレジリエンスに取って代わられたのだ。 これはヨーロッパにとって問題だ。もしプーチンの戦略の成否が「欧米社会がエネルギー価格の高騰や情報操作、政情不安といった圧力に長期にわたって耐えられるかどうか」で決まるとすれば、彼は有利な立場にあるといえる。 現状では、このような問題に対処するヨーロッパの備えは著しく不足している。欧州全体の焦点とすべきなのは、このような状況を、軍事力への投資、エネルギーの多様化、社会的結束の強化を通じて改善することだ。 欧州の人々が「ロシアのウクライナ侵攻は不可避というわけではない」と考えるのには一理あるし、それが最も可能性の高いシナリオではないと考えるのも決して間違ってはいないのかもしれない。だが、レジリエンス(回復力)への備えを無視できると考えてはいけない。 ロシアのことわざに、以下のようなものがある。「クマをダンスに誘ったら、その終わりを決めるのはあなたではない。決めるのはクマだ」 ==== アメリカと欧州(そしてウクライナ)の間の見識の違いについてうまい説明ができている意見記事です。 ただしここでの問題は、もしこのような分析が正しかったとしても、政策担当者はロシアが軍事侵攻をしてくる可能性を否定せず、その脅威を額面通りに受け取って備えなければならない、という点ですね。 それにして最後のことわざは「クマ(ロシア)が決定権をもっている」ということでしょうか。21世紀型の政治になれきっていると、19世紀型の世界観を持っているロシアにいいようにやられてしまう、という警告とも言えますが。 ということで繰り返しになりますが、さらに大きな米中関係などについては最新の音声レポートも作成しましたので、ご興味のある方はこちらもぜひ。 さらに「インド太平洋戦略の地政学」も発売となりました。よろしくお願いします。 ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2022-02-08 14:03
| 戦略学の論文
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