「中国・カレドニア友好協会」はそのような役割を果たしており、現地で統一戦線活動を展開している。 同協会の前会長であるカリーヌ・シャン・セイ・ファンは、独立主導派のリーダーであり、「その前の二人のリーダーも同協会の重要なメンバー」であることに注目すべきであろう。一般的に、中国の「ディアスポラとその代表的な組織、少なくともその一部は、一部の独立派関係者と極めて親しい」。カリーヌ・シャン・セイ・ファンは、住民投票の1年前の2017年10月に、在仏中国大使を同島に招聘している。大使は家族や何人かの顧問と一緒に同国で一週間を過ごした。「彼らは皆に会い、我々が何を必要としているかを尋ねた:観光や養殖など、関心を持てるものなら何でも提供すると言っていた」と国会議員のフィリップ・ゴメスは回想している。
もう一つの例が沖縄だ。日本には強い国民アイデンティティがあり、島国根性さえある。しかし沖縄は、第二次世界大戦中に日本軍によって琉球列島全体と同様に住民が虐待されたため、例外的な場所となっている。国民は「日本」というテーマで分裂している。親中感情は、中国との貿易で利益を得ている住民の存在によって蔓延して維持されている。北京にとって、これは付け入ることのできる「弱点」であると同時に「戦略的なチャンス」でもある。この島々のロケーションは、太平洋諸島の第ニ列島線へのアクセスを確保するのに好都合なのだ。この島々にいる日本人とアメリカ人の両方を邪魔することができれば、まさに「一石二鳥」となる。
沖縄は、米軍基地の存在を敵視する土着の独立派運動もすでに存在するため、こうした工作には好都合な場所となっている。2018年10月の知事選で玉城デニー氏(長年アメリカのプレゼンスに反対してきた)が当選したことからもわかるように、島の大多数は反東京、反中央政府である。それゆえ、沖縄県は一部部隊(海軍、空軍)の退去を主張している。将来、沖縄が一方的に独立を宣言するリスクを日本政府は重く受け止めている。
それと同時に「中国は外交、偽情報、米軍基地近くの島北部への投資を通じてこの目的を奨励している」。2013年、環球時報は日米同盟から自国を守ろうとする北京が、沖縄の琉球列島の独立回復を求める勢力を潜在的に育成し、そうすることによって日本の一体性を脅かすことになるとすでに警告を発していた。
2016年12月、日本の公安調査庁は、中国の大学やシンクタンクが沖縄の独立派活動家とつながりを育もうとしていることを明らかにした。一方、中国の報道機関は、沖縄における日本の主権を疑問視する記事を定期的に掲載している。細谷雄一教授によれば、北京は「沖縄の独立と米軍撤去を推進するために沖縄の世論に影響を与えている」という。
また、中国と沖縄の経済的な結びつきも強まっている。天然資源が豊富で、米軍施設もある沖縄の北部地域には、中国の投資家が投資している。また、近年、沖縄への中国人観光客は大幅に増加しており、中国の都市と沖縄の間に姉妹都市関係が結ばれる例も増えている。
中国政府は、旧琉球王室のメンバーにも積極的に働きかけをおこなっている。たとえば2018年には、最後の琉球王の曾孫である尚衞(しょう まもる)が中国を訪問した。 同年3月、尚衞は22人の代表団を率いて福建省を訪れ、4日間の「ルーツ探し」ツアーを行った(同時に、沖縄と中国の歴史的なつながりを探る会議も開催された)。 北京は、中国の研究者やシンクタンク(社会科学院)と、沖縄の独立派の活動家たちとの関係も進展させている。彼らを中国に招待してイメージアップし、彼らに発言の場を与えているのだ。
また、独立派や在沖米軍基地反対派は、憲法9条改正(戦争放棄)や自衛力強化に反対する左翼・平和主義活動家と合流している。したがって北京はこれらの運動も支援しており、日本の軍事的発展を阻害・抑制することで中国の思惑にうまく合致させている。とりわけ日中和解を目指す仏教団体である「創価学会」と、その政党である「公明党」がそれに当てはまる。
結果として、例えば日本の左翼活動家や平和主義者が、沖縄の米軍基地に反対する中国語の記事を共有することは日常茶飯事になっている。
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スペルの間違いなどはありましたが、よく調べて書かれているという印象です。
日本ではこの手のレポートは公的機関からは出てきそうもないですね。
ということで、繰り返しになりますが、さらに大きな米中関係などについては
最新の音声レポートも作成しましたので、ご興味のある方はこちらの方もぜひ。
(塩山)
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