日本人の給料はなぜ上がらないのか |
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2021年 12月 27日
今日の横浜駅はまさに「底冷え」という状態でした。天気が良いことがだけが唯一の救いですが。 さて、珍しく日本経済に関する記事の試訳です。ニューヨーク・タイムズ紙の東京支局の書いた記事ですが、話を聞きにいく学者が以前と比べてかなりまともな人選になったという印象があります。 === 40%の減税でも日本の雇用主が賃上げに踏み切れない理由 首相は、長く低迷している賃金を引き上げれば、低迷している経済を活性化させることができると言っている。しかし、企業側はこの計画を非現実的だと言っている 21-12/23 NY Times 吉村正孝はこの2年間、一家が100年以上前に創業したオーダースーツの会社に資金を注ぎ込んできた。工場を整備し、自動在庫管理システムを導入し、ソフトウェアやロボットに取って代わられた従業員を再教育してきた。 しかし日本の首相は、さらに社員に大幅な昇給をさせることを望んでいる。 理由は簡単だ。日本では何十年間も賃金が伸びず、貧富の差が拡大しているからだ。最も手っ取り早い解決策は、吉村氏のような経営者たちに従業員たちに対してもっと給料を払うように促すことである。賃金が上がれば、個人消費が活性化し、低迷している日本経済が上向くと考えられるからだ。 しかし、吉村氏にとっては昇給は非現実的なことだ。賃上げをすることは「本当に致命的」だと、先週、東京の吉村産業の事務所で彼は語った。そして、その考えは彼一人だけのものではない。企業団体や労働組合のリーダーなどは、岸田文雄首相が賃上げをした企業に多額の税額控除を提供するという計画の実現可能性を疑問視している。 本来なら賃金を上げるべきなのに、企業が賃上げに抵抗するのは、この問題がいかに難解であるかを示している。長年にわたる低成長とインフレ率の低迷により、企業には値上げの余地がほとんどない。経済学者によれば、安定した適度なインフレがなければ、企業の利益も労働者の賃金も伸び悩むという。 政府は長い間、景気を刺激して物価を押し上げるために、あらゆる解決策を見つけようとしてきた。金融市場に資金を投入し、借入をほぼ無料にした。しかし、物価が下がるという予想が浸透し、高齢化によって需要が弱まり、グローバル化によって物価が下がっているため、ほとんど効果が出ていない。 新型コロナウイルスは、日本が抱える課題をさらに深刻にした。過去2年間、他の主要国が急速に回復しているにもかかわらず、日本は縮小と拡大の間を行ったり来たりしている。 パンデミックが長引く中、日本政府は消費者に現金を配り、企業にゼロ金利融資を行うなど、さらに大規模な景気刺激策に舵を切った。だがインフレ率はパンデミックによる供給不足とサプライチェーンの混乱によって、他の場所では急上昇しているにもかかわらず、日本ではほとんど動いていない。 賃金案に対する反応は、2ヶ月前に就任した岸田氏にとって不吉な兆候である。岸田氏は、過去2年間の経済的ダメージを回復し、「新しい資本主義」を通じて日本経済を軌道に乗せることを公約していたからだ。 岸田氏の計画は、まだ漠然とした概念である「持続可能な成長を実現し、経済格差を是正するための枠組み」を定義するための第一歩となるものである。 手始めに、首相は雇用主に対して、2022年に4%もの賃上げを行うよう求めている。これに従った企業は、法人税全体の控除額を最大40%増やすことができる。政府は、看護師や子どもや高齢者の世話をする労働者の賃金を来年に3%引き上げると発表している。 岸田氏は21日の記者会見で、「企業が賃金を上げてもいいと思えるような雰囲気を作るために、あらゆる手段を講じることが国にとって不可欠だ」と述べた。賃上げは「コストではない、将来への投資だ」とも述べている。 多くの企業は、賃上げの必要性を認識している一方で、発表されたこの措置が日本の通常の賃金決定プロセスに何らかの影響を与えるかどうかについては疑問視している。 大手企業と労働組合は毎年春に「春闘」と呼ばれる儀式で昇給交渉を行っている。岸田氏の提言に近い結果が出たのははるか以前の1997年であり、この時に労働者は2.9%の昇給を勝ち取っている。 2013年、安倍晋三首相は同様の計画を導入したが、ほとんど成功しなかった。現在、平均賃金は月2,800ドル前後と、20年前とほぼ同じ水準に留まっている。 この現象は日本だけのものではない。ほとんどの先進国で、かつては経済成長と賃金の上昇の間には密接な相関関係があったが、現在は崩れている。米国やEUでは、実質賃金の中央値(実際の購買力)は、パンデミックまでの10年間、経済全体の拡大をはるかに下回るものであった。 この現象の原因については、コンセンサスが得られていない。しかし、多くの経済学者は、グローバル化と技術の進歩により、企業がより少ない労働者でより多くの利益を上げることができるようになった国々において「勝者が最も多くを得る」というダイナミズムが原因だと考えている。 経済学者たちはほぼ逆の問題点を指摘している。それは、日本の生産性の低さは、解雇がほとんど不可能な労働者を大量に抱える企業によって生み出されたものであるという点だ。 このことは、恵みであると同時に呪いでもある。パンデミックの間、日本はアメリカなどの国で見られるような失業率の高騰を避けることができた。だがこれは、終身雇用制の下では、多くの企業が雇用と解雇の柔軟性を制限され、経済状況の変化への対応力を低下させる可能性があることも意味している。 賃金上昇率の低さは、事実上、労働者と資本の間で交わされた妥協の産物である。ゴールドマン・サックスの馬場直彦チーフエコノミストは、「1990年代以降、日本の労働者は賃金の上昇よりも雇用の安定を優先してきた」と指摘する。ただ、企業は労働者に年2回のボーナスを支払っており、その額は企業収益によって大きく変動する可能性がある。 日本企業は利益を守るため、バブル崩壊後の1990年代前半まで日本で一般的だった終身雇用契約を避け、派遣社員やパートタイマーの活用によって正社員を限定する傾向がある。 現在、日本では非正規雇用者が労働力の37%を占め、低賃金で使い捨てにされる労働者が恒常的に存在し、その70%近くが女性である。 非正規雇用者の賃金は低く、その増加は日本の労働組織を弱体化させ、賃金を低下させた。1950年代には、日本の労働者の半数以上が組合に加入していた。1950年代には日本の労働者の半数以上が組合に加入していたが、現在では約17%にとどまっている。特に高齢化社会がもたらす長年の労働力不足が、給与の上昇を妨げている。 岸田氏の計画は、それを発表したタイミングにも問題がある。パンデミックの影響で多くの企業がすでに苦境に立たされており、現在の従業員を雇用し続けるために多額の政府補助金に頼らざるを得ない企業も出てきている。 そして、不採算の問題もある。この10年近く、日本企業の大半は不採算に陥っており、2019年には約65%と2010年以降で最も低い数字となった。これらの企業は、日銀が引き受けた安い資金によって存続してきたが、利益がなければ法人税もかからないため、岸田氏の奨励策の対象にはならない。 東京大学の川口大司教授(経済学)によると、岸田氏の案は実際に最も成功している企業に富を集中させる一方で、中小企業や経営難の企業の従業員にはほとんど支援を提供せず「本当に逆進的な制度になる可能性がある」と指摘する。 首相が企業に賃上げを説得できたとしても、その資金が使われる保証はない。昨年、政府が国民全員に現金を支給した後、消費者は不確実な将来に対するヘッジとして銀行にお金を貯め、日本の家計貯蓄率は過去20年間で最高水準になった。 多くの労働者にとって、賃金を上げるという政治の焦点は見当違いであり、他の職場の問題の方がより緊急性が高い。北海道大学経済学部教授の阿部由紀子氏は「労働市場に存在する最大の問題は、雇用保護や育児、仕事と家庭を両立させるために必要な福利厚生などである可能性が高い」と言う。 紳士服会社の代表である吉村氏は、政府が間違った問題を解決しようとしていることに同意している。たしかに賃金は重要だと考えているが、それにはまず政府が企業を支援する必要があると主張するのだ。「もう少し収入を上げられるような環境を作らないと景気は良くならないですよ」と彼は述べた。 ==== 経済は私の専門ではないのであえて深堀りはしませんが、日本がバブル期から経済政策を間違ってきたことはすでに海外の経済学の教科書にも載っているという話をよく聞きます。 来年こそは景気の良い年にしたいものです。 (空港) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2021-12-27 23:33
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