アメリカは真珠湾攻撃前夜の状態にある |
「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!
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2021年 12月 23日
今日の渋谷は快晴で実に寒くなっております。 さて、ニューヨーク・タイムズ紙は日本のネットでは「米国の左翼の牙城」といったステレオタイプで解説されることが多いですが、コラムニストの中にはバランスをとるために保守派がおりまして、そのうちの一人のブレット・スティーブンスです。 彼は「保守派」と言ってもどちらかといえば「ネオコン」(neoconservative)なのですが、真珠湾攻撃から80周年と現在の国際政治の緊張状態をつなげるようなコラムを書いており、アメリカの一つの世界観のようなものがよく表現されておりましたので今回はその試訳を。 ==== By ブレット・スティーブンス 21-12/7 80年という節目の年に、真珠湾攻撃への世間の関心が薄いのは実に残念なことだ。私たちは、日本から攻撃される前の時代と不気味なほど似たような時代を生きている。さらに、将来同じような大惨事を予期したり回避したりするのに役立つ、奇襲への対処能力を失いつつあるのだ。 1つ目の類似点は、米国が3つの領域で攻撃的な領土計画を持つ手ごわい敵に直面しているということだ。前回は ヨーロッパではドイツ、アジアでは日本、そして地中海とアフリカではイタリアという敵だった。今回は バイデン政権に反抗してウクライナに侵攻する可能性のあるロシア、台湾を占領したり必要とあらば戦争で米国を倒すための軍備を着々と備えつつある中国、そしてレバノン、シリア、イラクの一部、ガザ、イエメンを顧客国や冊封国に変え、核保有国に近づいているイランという存在だ。 2つ目の類似点は、いずれの場合も、争いの中心には単なる領土問題ではなく、イデオロギー闘争があるということだ。ロシア、中国、イランは「リベラルな国際秩序」という概念を根本的に否定している。彼らは政治的な理想としての民主主義や人権を否定している。彼らは西洋社会において、個人の自由が道徳的退廃と集団的犠牲の能力の低下につながっているとみなしている。彼らは非自由主義的権威主義(ウィンストン・チャーチルの言葉を借りれば「倒錯した科学の光によって、より邪悪になり、おそらくより長引く」もの)が、過去の遺物ではなく未来の姿であると考えているのである。 3つ目の類似点は、彼らが直接攻撃しようとしている対象の力が比較的弱いということだ。たとえば台湾は軍事予算の増額を計画しているが、現在の国防費は国内総生産のわずか2%である。ウクライナは、独立以来30年にわたる腐敗と無能は言うに及ばず、ロシアの支援を受けた分離主義者との長年にわたる低強度の紛争によって疲弊している。イランは「アラブの春」後の混乱とアメリカの中東からの撤退に乗じて、ハマス、ヒズボラ、フーシ派といった代理勢力を武装化・強化した。 4つ目の類似点は、1930年代のイギリス、フランス、アメリカと同じように、現在のアメリカが優柔不断で傷ついた内向的な大国であり、脅威を受けている国々の安全を保証する存在であり続けたいかどうかの確信を持てていないという点だ。1935年、イタリアがアビシニア(その後のエチオピア)に侵攻する直前、イギリスの週刊誌『パンチ』は、独裁者の侵略に直面した西洋の弱い対応を風刺詩で嘲笑した。 私たちはあなた方に戦ってほしいとは思っていない しかし、もし本気なのであれば、 我々はおそらく共同覚書を発表して、 あなた方への軽い不支持を示唆する これを、現在採用されている、あるいは検討されている、敵国を罰するためのいくつかのアイデアと比較してみてほしい。中国に対しては、アメリカは北京で開催される冬季オリンピックに選手を派遣するが、外交官は派遣しない予定だ。ロシアに対しては、バイデン政権は「ロシアのオリガルヒがVISAやMastercardのクレジットカードを使えないようにする」ことを検討している、とNYタイムズ紙は報じている。イランに対しては、イランの核開発プログラムに関する外交が失敗した場合に「他の手段」を使う用意があると警告している。もしこの警告ががアメリカが20年近く使ってきた外交慣用句でなかったとすれば、実に不吉な響きを持つものだ。 5つ目の類似点は、軍事バランスがますます欧米に不利な状態にシフトしていることである。米国は、第二次世界大戦前に英国が最大の海軍を、フランスが巨大な陸軍を持っていたように、今でも世界で最も強力かつ技術的に洗練された軍隊を持っているかもしれない。しかし、台湾をめぐる戦争でアメリカが中国に対して決定的な力を発揮することは難しいだろう。中国は、核兵器の増強によって米国本土を危険にさらしながら、台湾を素早く獲得しようとするだろう。米国防総省はまた、膨大な数の「そこそこ」なプラットフォームに戦力を分散させるのではなく、空母のような高価で脆弱な少数のプラットフォームに火力を集中させるという過ちを犯している。 言い換えれば、米軍はある意味で「巨大な真珠湾」と化しているのだ。つまり、堂々たる大きさだが実用性に乏しい戦艦の列が、安全だと思われていた港に自己満足的に停泊しているという状態だ。 このような歴史的なアナロジー(類推)は穴だらけだと突っ込みたい読者はたくさんいるだろう。たしかにプーチンは革命的な独裁者かもしれないが、ヒトラーではない。中国は70年以上にわたって台湾との統一を模索してきたが、それでも「大東亜共栄圏」を求めるとは限らない。また、イランの政権は悪意を持っているにせよ、せいぜい「二流」の大国でしかない。 それでもこのような「似ていない点」が私たちに有利に働くわけではない。フランクリン・ルーズベルトやウィンストン・チャーチルは、党派を超えて国民の信頼を得ることができる偉大なリーダーであった。だがジョー・バイデンやボリス・ジョンソンはそうではない。真珠湾攻撃の後、アメリカ人はルーズベルトの言葉を借りれば、「絶対的な勝利のために勝ち抜く」ことを決意している。 では現在のわれわれはそのような状態にあるだろうか?西側諸国は、ひどい不測の事態に奇跡的に対応できることを証明し、「西側諸国は軟弱である」と不用意に想像していた敵に対して壊滅的な代償を課した。だが今の私たちは、そのような存在であり続けているだろうか?それとも真珠湾攻撃のように、私たちはそのような過去をすっかり忘れてしまったのだろうか? ==== 歴史のアナロジーを使って「現在は真珠湾攻撃前夜だ、準備せよ」という煽りにも近い意見ですが、保守派のグローバリストの感情的な部分を真珠湾攻撃にからめてうまく表現した簡潔で優れたコラムだと思います。 ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2021-12-23 12:20
| 戦略学の論文
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