ドローンを使った戦い方を変えるべき |
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2021年 11月 23日
今日の横浜北部は久しぶりに快晴でした。日々気温が低くなりつつあると実感します。
さて、今日も試訳を載せます。あくまでも試訳なので、誤字脱字、誤訳等はご了承ください。 アフガニスタン撤退を受けたのドローン作戦についてアメリカはやり方を変えるべきだとするテロ専門家のクローニンの意見です。 ==== 21-10/14 フォーリン・アフェアーズ誌 By オードリー・カース・クローニン アメリカ兵はアフガニスタンから撤退したが、米軍と諜報機関はそうではない。ジョー・バイデン大統領が明らかにしたように、米国はアフガニスタンで敵を排除するための無人機攻撃を継続する。 バイデン大統領は8月末に軍の撤退を表明する際に「アフガニスタンやその他の国でテロとの戦いは継続します」と宣言している。「私たちは、無人機を含めた "Over-the-Horizon "と呼ばれる能力を持っており、現地の地上にアメリカ人の兵士がいなくても、テロリストや標的を攻撃することができるからです」というのだ。 バイデン大統領の計画はたしかに論理的であり、必要なものであるとも言えそうだ。アフガニスタンではまだ多くの反米テログループが活動を続けており、地上に軍隊がいなければ、アメリカ政府は潜在的な敵を殺すために武装した無人航空機に頼らざるをえなくなる。 これは悲劇的な皮肉である。無人機による攻撃への依存度を高めることで、アメリカはアフガニスタンでの戦略的敗北で大きな役割を果たした戦術を採用せざるをえないことになるからだ。20年に及ぶアフガニスタンでの戦争において、米国の政策立案者たちは、アフガン国民軍の弱点、アシュラフ・ガーニ大統領の政府の弱点、実行可能な出口戦略の不在などについて考えて取り組むのを先送りするために、ドローン攻撃のような短期的な作戦を用いてきたからだ。 バイデン大統領はこの失敗を引き継いだ。彼の3人の前任者は、いずれも武装した無人機を積極的に使用し、地域的(国際的)な政治的反発を招いた。もし彼がその伝統を引き継ぐならば、バイデンは問題を悪化させるだけだろう。彼はその代わりに、継続的な「人狩り」から脱却し、殺傷力のある無人機を使用するのはテロリストによる攻撃が差し迫っているという明確な証拠がある場合に限定すべきである。 米国は、その意思決定とドローン攻撃の結果について、より透明性を高め、罪のない犠牲者に補償を行うべきである。さもなければ、アメリカは必要のない暴力の連鎖を続けることになる。 無人機は何百人もの罪のない民間人を殺害しており、最近では米国の援助団体で長年働いていたゼマリ・アフマディ氏とその家族9人が犠牲になった。誤爆、特に子供への攻撃は、地元住民を怒らせ、過激派が新たなメンバーを集めることにつながってしまう。 テロリストのリーダーに対する「斬首攻撃」が何年にもわたって行われてきたにもかかわらず、ある試算によると、現在、世界中のイスラム過激派の数は911事件当時の数の4倍以上になっているという。 ▼殺害中毒 2001年10月7日の夜、CIAの無人機プレデター3034号機がウズベキスタンからアフガニスタンに飛来した。ヘルファイア・ミサイルを搭載したこの機体は、カンダハールの屋敷にいたタリバン最高司令官ムラー・オマルを攻撃した。しかしミサイルは外れ、代わりにボディガード数人が死亡した。アメリカのドローンが直接暗殺に使われたのは、このときが初めてだった。 翌月には、CIAのプレデターが40箇所以上のタリバンやアルカイダの標的を攻撃した。ジョージ・W・ブッシュ政権末期には、パキスタンを中心に60回近い無人機による攻撃が行われた。 2001年に制定された「軍事力行使のための権限」(AUMF)に基づき、ブッシュ大統領はこの活動を小規模かつ秘密裏に行っていたが、パキスタンの辺境地域に住む人々はこの活動を知っており、兵器への恐れを抱きはじめていた。 新たに就任したバラク・オバマ大統領は、ドローン作戦の計画を拡大した。2009年から2017年の間に、指定された戦争地域以外での攻撃回数は10倍の563回に増え、少なくとも4人のアメリカ国籍の人間が死亡した。アルカイダの指導者の名前がヒットリストから外れると、兵士や運転手、メッセンジャーが空いた枠を埋めるようになった。 やがて政権は、特定の個人を狙う「パーソナリティ・ストライク」から、全般的なプロファイリングによってターゲットを選定する「シグネチャー・ストライク」へと移行していった。このシステムでは、怪しげな訓練所や邸宅にいる身元不明の軍人年齢の男性らはすべてが対象として狙われることになる。 オバマ大統領は無人機の使用を拡大したが、ブッシュ政権下のシステムよりも規制されたシステムを構築しようとした。 オバマ政権は、ターゲットの選択を厳しく管理した。 パキスタン、ソマリア、イエメンなどに潜むテロリスト容疑者は、「テロの火曜日」と呼ばれる国家安全保障会議を頂点とする省庁間のプロセスによって、アメリカ人に「継続的かつ差し迫った脅威」を与えていると判断される必要がでてきた。政権は、世論の圧力が高まりに屈して攻撃データを公開した。そこでは戦闘地域以外でのドローンの使用が増えたことで、2009年から2017年の間に推定606人の無実の人が亡くなったことが判明している。 大統領に就任したドナルド・トランプは、ドローンによる攻撃のペースをさらに上げた。彼はオバマ政権時代の規制を一掃し、ターゲットの決定をCIAの工作員や軍の司令官に委ねたのだ。 トランプ政権は、特に民間人の成人男性を殺害する際の基準を下げ、差し迫ったテロ攻撃との関連性がより希薄な場合でも攻撃を許可するような規則を密かに通達した。 トランプ大統領は、民間人が犠牲になった事例を調査して賠償金を提供することを各機関に義務づけたオバマ政権後期の画期的な大統領令を撤回した。司令官たちは、テロ組織の末端の戦闘員に対する一方的な空爆の回数を増やし、米国が直接関与していない紛争でもパートナー軍を保護する攻撃を命じた。 トランプ政権は、2020年の最初の6カ月間にソマリアだけで40回の無人機攻撃を行ったが、これはブッシュ政権とオバマ政権の16年間にソマリアで行われた合計41回の攻撃と比肩しうるものだ。 バイデンが大統領就任後に行った最初の国家安全保障上の措置の一つは、ドローンのプロセスに対するホワイトハウスのコントロールを復活させることであり、米軍や諜報機関が攻撃を行う際の新しいルールを提示することだった。 2021年の最初の半年間は、ドローンによる攻撃は行われなかった。しかし、ジェイク・サリバン国家安全保障アドバイザーは、新しい手続きは「暫定的なガイダンス」であると述べており、省庁間の完全なレビューは継続的に延期されている。 その一方で、バイデン政権は証拠能力の基準を引き上げる恒久的な指針をまだ出しておらず、米アフリカ軍は2021年7月末にソマリアで行われた、バイデン政権の無人機による最初の攻撃を「友軍のために行った集団的自衛行為だ」として正当化している。 ▼一歩進んで二歩下がる ドローン攻撃は、たしかにテロとの戦いには役立っている。海外の反乱分子を殺害することで、アルカイダやイスラム国(ISIS)などの指導者たちを空洞化させたことは間違いない。また、武装勢力の移動能力を阻害し、彼らの遠隔地での作戦を計画する能力を低下させた。機密解除されたデータがなければ、どれだけ多くの差し迫った攻撃が阻止されたかを正確に知ることはできないが、標的攻撃によって実際にアメリカ人の命が救われている。 しかし米国のドローンの配備方法は、その有用性を損なっている。オバマ政権下での斬首攻撃は、アルカイダをフランチャイズモデルへと分散させ、他の地域の紛争におけるスンニ派過激派の役割を増大させ、新たな組織を生み出すことにつながった。20年前と比べて、世界のテロ組織の数は増えている。 これらのグループは、ドローンを回避するために都市部に留まり、民間人とより密接に共存するなどの戦術を共有している。9.11事件以降、米国のテロ対策の主な目的は、世界的なテロネットワークを排除し、戦闘員の数を減らし、一般市民から切り離すことだった。しかし、米国は無人機キャンペーンにもかかわらず、あるいはそのせいもあってか、これらの目標を達成できていない。 今後、アフガニスタンで無人機が過去20年間よりも戦略的に成功すると確信できるような根拠はない。今後は米軍が目標を正確に特定して命中させることはさらに困難になるだろう。バイデン政権の当初の計画は「ガーニの許可を得てから攻撃を行う」というものだったが、ガーニが国外に逃亡し、政権が急速に崩壊したことで、それが不可能になった。 「トルコ軍が残って情報を提供する」という計画も、タリバンが彼らに撤退を迫ったことで頓挫してしまった。また、ドローンによる攻撃で誰を殺しすのかを特定したり、もしくは攻撃後に誰を殺したのかを正確に把握するために必要な情報を収集するための簡単な方法もない。 これは、米国が現場にいてもしばしば誤った標的を攻撃していたことを考えると懸念すべきことだ。例えば、8月29日にアフマディと彼の大人の家族2人、子供7人が誤って殺害された事件を考えてみよう。IS-Kの自爆テロで米軍兵士13人とアフガニスタン人170人が殺害された数日後に行われたこの攻撃は、最悪の反発を招いた。 アフマディは、避難民に食事を提供したり、大きな水の容器を持ち込んだりしていたが、オペレーターはそれを爆弾と勘違いした。作戦を指揮していたアメリカ軍の司令官は、標的が誰であるかを知らなかったにもかかわらず、この攻撃が非戦闘員に害を与えない「合理的な確実性」というアメリカの基準を満たしていると判断したと言われている。 ドローンによる攻撃が行われたとき、数千人の米軍兵士たちはまだ地上におり、米国防総省のジョン・カービー報道官によると、攻撃はカブール空港から行われたという。バイデンは、このドローン攻撃が大失敗だったことが明らかになる前に、この攻撃を「理想的なモデル」として挙げていた。 「我々はISIS-Kを遠隔操作で攻撃したが、それはISIS-Kが我々の軍人13人と何十人もの罪のないアフガニスタン人を殺害した数日後のことだった」と、バイデンは攻撃の2日後の演説で宣言したが、これは米国の「オーバー・ザ・ホライズン」能力を誇示した直後のことだった。 米国が現地に部隊を駐留させているときに、危険で目につきやすい状況でこのような重大なターゲティングでの誤りを犯したのであれば、米国の撤退後のドローンキャンペーンを楽観視することはできないだろう。 ▼清く中止せよ アーマディの悲劇を受けて、ホワイトハウスがドローンの使用方法を劇的に変えるかどうかは不明だ。これまでのところ、ホワイトハウスはさまざまなシグナルを発している。CIA長官のウィリアム・バーンズは、IS-Kのような共通の敵を攻撃する許可を得るために、パキスタンやタリバンとも協議しているし、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンに無人機を駐留させることについても議論を進めている。 また、カザフスタン、タジスタン、ウズベキスタンなどでもドローンの拠点化が検討されている。政権は、トランプ大統領の政策とオバマ大統領の政策のハイブリッドで、ドローンの標的ルールを各国の事情に合わせて調整する方向で動いているようだ。例えば、アフガニスタンやソマリアでは現地の司令官は自由にドローン攻撃を行うことができるが、それ以上の地域ではホワイトハウスの許可を得なければならないというものだ。 このようなハイブリッドなアプローチは、トランプ政権時代の最悪の行き過ぎを抑えることはできても、根本的な問題を解決することはできない。バイデン政権が本当に「テロとの戦い」という失敗した政策と決別したいのであれば、無人機の使用を劇的に減らすべきだ。 バイデン政権はまず、オバマ大統領が行ってきた「シグネチャー・ストライク」をやめ、すでに知られていて存在が確認されているターゲットのみを攻撃することから始めるべきだ。アメリカは知らない人を殺すのをやめなければならない。 もしそれを行う場合でも、アメリカ人に差し迫った被害があるという明確な証拠が必要だ。攻撃は、その国の事情に詳しくて政治的背景を見極めることができる現地の米国大使が承認すべきである(それに加えてそのすべての隣国は独自にドローンを持っている)。 アフガニスタンでは、米国は現地の確かな情報源や、中国、パキスタン、ロシア、さらにはイランなどの地域的な関係者と秘密裏に協力するべきである。彼らも自国のすぐ隣にテロリストがいる状態を嫌うからだ。 さらにバイデン大統領は、攻撃の地理的範囲を限定すべきだ。米国は、チャド、リビア、マリ、ニジェールなどの地域で殺傷力のある無人機を使用しているが、これらの地域では、米国本土やアメリカの同盟国に対して武力を行使する能力がない。このような状況が変わらない限り、バイデン氏はこれらの国での無人機攻撃を中止すべきだ。 米軍と情報機関は、民間人の死傷者数を明らかにし、その透明性を高める努力をしなければならない。ドローン攻撃に関する情報を公表し、矛盾が生じた場合には調査して説明するよう各機関に指示したオバマ政権の2016年の指針を復活させるべきだ。 また、ドローン攻撃が失敗した場合、米国政府は賠償金を支払うべきである。(アフガニスタンではタリバンによる占領後に駐留している国連アフガニスタン支援団と連携する必要がある) 。バイデンは、アフマディの家族に、連邦政府の費用で再定住と支援を受ける機会を与えることで、このプロセスを始めることができる。中央司令部の責任者であるフランク・マッケンジー海兵隊大将は、すでに謝罪し、米国は賠償を検討していると述べている。 バイデンは、アフガニスタン撤退に関するスピーチの中で「過去20年間、わが国を導いてきた外交政策のページをめくるにあたり、私たちは過ちから学ばなければなりません」とアメリカ国民に向けて語った。 この言葉を実現するためには、ただ軍を撤退させるだけでは十分ではない。政権は、延々と続く無人機による攻撃を止めなければならない。無人機による攻撃は、あまりにも多くの民間人を殺し、米軍や情報機関を多くの戦いに巻き込み、アメリカ人を守るためにはほとんど貢献していないからだ。 ==== 無人機というエアパワーの一部は使用者側には犠牲者がほとんどでないため「政治的」なコストがかからず、言葉は微妙ですがいわば「クリーン」というか「綺麗な戦い方」ができるために使いやすく、戦術的にも効果があるわけですが、かえってそれが「戦略的」に逆効果になっている事実を指摘している点がこの論文のポイントですね。 リベラルな社会であるアメリカも、実際には中東やアフリカなどで現在も現実的な「汚い戦争」を戦わなければならないわけですが、それを「クリーンな戦争」として社会的に受け入れられるもの、もしくは「見えないもの」として隠せることは、その倫理的な部分も含めて、本来ならば連邦議会などで徹底的に議論しなければならない議題ですね。 (最西端の碑) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2021-11-23 23:42
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