オーストラリアは「自制」せよ |
====
「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!
▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜

▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜
「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」

▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜
「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」

▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
カレンダー
連絡先&リンク
ブログ著者の紹介
著者経歴 Twitter アカウント アメリカ通信 FB スタンダード・ジャーナル2 ==関係者リンク== オンザボード 芙蓉書房 Mackinder Forum Exploring Geopolitics RUSI IISS 戦略研究学会 クラウゼヴィッツ学会 国際地政学研究所 国際戦略コラム 軍事板常見問題 ==メディア== BBC FT INT The Times AP News Defense News Salon.com the Huffington Post China Post Today's Zaman The Times of India Moscow Time Daily Beast ==その他== Conversations With History The Atlantic Foreign Policy TAC New Republic National Interest カテゴリ
検索
ブログパーツ
ライフログ
ブログ著者の本
↓地政学おススメ本↓
原著!
特別参加
最新の記事
タグ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2021年 11月 22日
今日の和光市駅前は曇っておりまして、すでに雨が降っていたような形跡もあります。
さて、引き続き試訳を掲載します。意見記事を書いたのはオーストラリアの元外相で「北京ボブ」との別名を持つボブ・カーです。オーストラリアが中国に無用に対立することを諌める内容になっておりますが、北京寄りの視点からの意見であるという前提で読むと色々と見えてきて興味深いものです。 === 21-11/17 SMH by ボブ・カー 自制(Restraint): この言葉こそが台湾に関してオーストラリア外交が唱えるべき「マントラ」だ。 この言葉は、オーストラリアの首相が発するすべての声明の最初と最後に使われるべきものだ。なぜなら70年間外交が抑制してきた神経質な問題をめぐって世界の超大国同士が戦争に突入することは、打ちひしがれ傷ついた地球にとっても最悪のことだからだ。 そしてこれは、オーストラリアが最も議論を避けるべきことでもある。このような衝突で核戦争が行われる可能性は不気味なほど高い。アメリカの施設を豪大陸に設置することで、われわれはオーストラリアを標的にしてしまったのだ。この理由だけでも、オーストラリアは平和の陣営に移るべきであろう。 もう1つの理由は、アメリカはこと中国に関しては常に我々を置き去りにすることができるからだ。たとえばホワイトハウスは習近平との間に交渉に基づく新しい関係を築くと突然言い出している。だからこそ、2つの大国の間での外交に力を入れるべきなのだ。 というのも、アメリカの同盟国の中で唯一オーストラリアだけが「いざ対決となれば(おそらく最初の1週間以内に)加勢する」と言っており、これは危険な状態にさらされることになる。 まるでオーストラリア戦略政策研究所や国防省の廊下で、タカ派の人々が第一次世界大戦の兵隊募集曲である「オーストラリアは共に戦う」( Australia Will Be There)を口ずさんでいるかのようだ。 豪外務貿易省は、オーストラリアがどのように戦争回避に貢献するかについて、厳密な分析を行っているのだろうか?あるいは、オーストラリアの外交官は完全に傍観者となったり左遷されたりしているのではないだろうか?という疑問が湧いてくる。スコット・モリソン首相とピーター・ダットン国防相が賛同できるような、別の外交シナリオを作成することはそれほど困難なことではない。 すべての人に自制を求めることから始めるべきだ。とりわけ非難すべきは、紛争解決のための武力の行使だ。平和と安全を維持するため、国連安全保障理事会に役目を果たすように促すのだ。そして1954年から55年、1958年、1995年から96年の危機において、台湾をめぐる戦争を回避するために外交的な言葉を用いてきた双方の歴史的な「自制」を称賛するのだ。 その上で、中国と米国に、大惨事への偶発的なスライドを回避するために双方が使用すべき「ガードレール」(防護柵)と「オフランプ」(高速道路の出口)を思い出させるための、精力的な水面下の外交を展開すべきだ。 キャンベラは、内閣の国家安全保障委員会に文書を提出して、わが国の指導者たちに「ガードレール」と「オフランプ」を提唱するよう要請する必要がある。つまり、戦争への転落を避けるための現実的な対策を、ワシントンと北京に迫るのだ。 オーストラリア国立大学のブレンダン・テイラー教授は、著書『危険な10年』の中で、「両岸の現状維持(cross-strait status quo)と呼ばれる驚くほど単純な取り決めによって平和が保たれてきた」と書いている。テイラーによれば、この言葉こそが北京、台北、ワシントンが海峡の安定を維持するために交わした一連の暗黙の約束を包括したものだという。 たとえば、台湾は正式な独立宣言をさせない。そして北京は台湾を「省」と呼ぶことができる限りこの地方のルールの現実に耐えられる。米国は、台湾が独立宣言をしないように説得し、いかなる侵略に対する反応についても「戦略的曖昧さ」を保つのである。 この現状は意図的に曖昧にされている。そしてこれには、すべての側の行動の「レッドライン」を認めることが含まれる。 わがオーストラリアの国防大臣は、まるでわが国の関与が確実であるかのように語っているが、フリゲート艦と数機の哨戒機を派遣したところでいかなる結果にも微塵も影響を与えないという現実は、ポール・キーティングの言葉を借りれば「山に爪楊枝を投げつける」ようなものであることを忘れている。 しかし、コメンテーターのアラン・デュポンによれば、それがたとえ小規模なものであっても、オーストラリアが軍を派遣すれば、中国はダーウィン港、ティンダル空軍基地、アリス・スプリングス近くのパインギャップにある共同防衛施設など、北部の防衛インフラをミサイルで狙うことになるという。 デュポンは最近ASPIで発表した論文の中で、「北京がオーストラリアを核兵器で脅すことも考えられる。その目的は、台湾側に介入しようとするアメリカとオーストラリアの努力を阻止、あるいは混乱させることであろう」と書いている。 これまで、わが国の外交政策の中心は、わが国の繁栄と安全に対する脅威のためにこのような紛争を防ぐことにあった。しかし今、国防大臣は「オーストラリアの自動的参戦」という新しいドクトリンを暗示しているように見える。 2016年に発表されたランド研究所の研究では、「深刻な」レベルの米中衝突だと、最大で1年続くとシミュレーションされている。そして双方ともに「非常に大きな」軍事的損失を被ることになり、どちらも決定的な軍事的優位性を確立することはできないというのだ。中国の貿易をすべて遮断すれば、世界は不況に陥る。ランド研究所によると、中国がアメリカに報復的なサイバー攻撃を行った場合、アメリカは最大で9,000億ドルの損害を被る可能性があるという。 タカ派の人たちは、中国に対する勝利がどのようなものになると想像しているのだろうか?1900年のように同盟国が北京に進軍し、冬の宮殿を略奪するのか?2003年のバグダッドのように、毛沢東の銅像を打ち倒すのだろうか?アメリカの占領軍は路上爆弾を避けつつ、山東省とその1億人の人口を占領するのだろうか? イラクとアフガンの勝利を計画していたペンタゴンには、そのようなアイディアは存在しない。ASPI をはじめとするオーストラリアのタカ派の人々にも考えはない。なのに「オーストラリアは共に戦う」というのだ。 私たちが必要としているのは、自分たちのリーダーたちに、北京とワシントン(と東京)との間で、口うるさい外交を展開する機会を与えることだ。なぜならオーストラリアは「不可避の紛争」を予言する受動的な予言者ではなく、それを避けるために不可欠となる中堅国だからだ。 それともわれわれは夢遊病者のように戦争への道を歩んでいるだろうか?オーストラリアは共に戦わなければならないし、戦うことになるだろう。なぜなら創造的な中堅国として平和を築く外交官になることはあまりにも難しく、それとは逆に「錆びついた全天候型の同盟国」であることはあまりにも簡単だからだ。 ==== 色々と詩的な表現を使っておりますが、基本的にすべての勢力に「自制」をうながして、少なくともオーストラリアは台湾有事に(無意味だから)介入するなということですね。 残念なのが、このような議論をしても著者本人には立場的にもう信頼性がないという点ですが。 (ロケ地) ==== ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜最新作! 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは米中戦争の時代をどう生き残るのか?〜 ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ![]() ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ![]() ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ![]() ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2021-11-22 14:27
| 戦略学の論文
|
ファン申請 |
||