なぜ会社の上司はリモートワークが嫌いなのか |
「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!
▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜
「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」
▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜
「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」
▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
カレンダー
連絡先&リンク
ブログ著者の紹介
著者経歴 Twitter アカウント アメリカ通信 FB スタンダード・ジャーナル2 ==関係者リンク== オンザボード 芙蓉書房 Mackinder Forum Exploring Geopolitics RUSI IISS 戦略研究学会 クラウゼヴィッツ学会 国際地政学研究所 国際戦略コラム 軍事板常見問題 ==メディア== BBC FT INT The Times AP News Defense News Salon.com the Huffington Post China Post Today's Zaman The Times of India Moscow Time Daily Beast ==その他== Conversations With History The Atlantic Foreign Policy TAC New Republic National Interest カテゴリ
検索
ブログパーツ
ライフログ
ブログ著者の本
↓地政学おススメ本↓
原著!
特別参加
最新の記事
タグ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2021年 11月 15日
今日の横浜北部は快晴です。
さて、復活第二弾の試訳です。英エコノミスト誌の興味深いコラムから。 === 21-11/6 The Economist オフィスは人々を結びつける場所のはずだ。ところがこれがいまや人々に分裂をもたらす原因となっている。パンデミック後の職場復帰を「家庭と仕事の境界を再構築し、同僚と顔をあわせるチャンスになる」ととらえる人もいれば、逆に「無意味な移動と健康リスクの増大につながる」と見る人もいます。各人の考え方を決める要素はたくさんあるが、その中でも突出しているのが「年功序列」だ。 メッセージングサービスを提供するSlack社は、世界の知識労働者(ナレッジワーカー)たちを対象に、仕事の未来についての調査を定期的に行っている。10月に発表されたその最新の調査では、会社の上司たちは他の従業員に比べてオフィスに戻ることを強く望んでいることが判明した。リモートワークをしている上司たちのうち、75%が週に3日以上オフィスに行きたいと考えているのに対し、従業員たちの場合は34%にとどまっているという。 この意識の差は、いくつかの企業ですでに明白になっている。今年の初め、アップル社の従業員は、同社の最高経営責任者であるティム・クックに公開書簡を送り「社員は職場の机に戻りたがっている」という想定に異議を唱えた。その書簡には「経営陣がリモートワークやロケーション・フレキシビリティ・ワークについての考え方とアップル社の多くの従業員の生の経験との間には断絶があるように感じられる」と書かれている。なぜ重役たちはこれほどまでにオフィスにこだわるのだろうか? ここで思いつくのは「冷笑的」「親切」「潜在意識」というの3つの説明だ。 第一の「冷笑的な説明」では、上司たちはオフィスが与えてくれるステータスを好むというものだ。彼らは従業員たちよりも高層階の良い部屋にいて、良いカーペットを敷いた部屋に鎮座できる。彼らの部屋への出入りは厳密に管理されている。彼らがフロアを歩き回ると社内では一大イベントとなる。ミーティングルームでは最高の椅子が用意される。 ところがZoom会議になると、彼らが発するステータスのシグナルは弱くなる。映る画面のウィンドウの大きさはみんな同じになってしまう。彼らの最大の特権といえば、自分自身の音声をミュートしないことくらいであり、それは会社の幹部のダイニングルームを利用するのと同じ権力はないのだ。 第二の「親切な説明」は、経営者たちは直接従業員と会って話をする方が自分たちが率いる組織にとって良いはずだと考えている、というものだ。 たとえばJPモルガン・チェースのCEOであるジェイミー・ダイモンは、今年の初めに「自宅で仕事をすることは、仕事に打ち込みたい人にとっても、文化的にも、アイデアを生み出すのにも効果的ではない」と述べている。ヘッジファンド、シタデルの社長であるケン・グリフィンは、若者に自宅で仕事をしないように警告しており、「リモートワークの環境では、自分のキャリアを前進させるために必要な管理職としての経験や対人関係の経験を積むことは非常に困難です」と述べている。 このような懸念には理解できる部分もある。リモートワークは「タコ壺」にはまり込んでしまうリスクがあるからだ。つまり従業員はすでに知っている同僚だけとしかつきあわなくなる。企業文化は対面で集まる方が従業員たちに吸収されやすい。 また、ネットの接続速度が遅いと深い人間関係を築くことが難しくなる。たとえば2010年に行われたある研究では、共著者間の物理的な距離が科学論文の影響力を予測するのに適していることがわかったという。つまり共著者間の距離が大きいほど、その共著論文が引用される可能性が低くなるというのだ。 リモートワークの伝道師たちでさえ、物理的な集まりの時間を設けている。Slackで未来の仕事に関する研究を行っているブライアン・エリオット氏も「デジタルファーストは直接会わないという意味ではありません」と言っている。 だが、オフィスの利点が誇張されることもある。1970年代に提唱された「アレンカーブ」とは、コミュニケーションの頻度は同僚の席が離れれば離れるほど下がるという概念だが、今でもその傾向は変わらない。どんな職場にも人が立ち寄ることのない場所があり、別の階で働いている状況ほど大きな溝はないのだ。 また、リモートワークのデメリットは、ちょっとした工夫で克服することができる。たとえばハーバード・ビジネス・スクールの3人の教授の研究によると、ロックダウン時代のインターンが「バーチャル井戸端会議」で上級管理職と一緒に過ごす機会を得た場合、そうでない人に比べてフルタイムの仕事のオファーを受ける確率がはるかに高かったという。 物理的なワークスペースには欠点があり、リモートワークには改善の余地があるにもかかわらず、なぜ会社の上司たちは従業員たちを職場に集めようとしているのだろうか? 第三の「潜在意識による説明」はこうだ。フランスのビジネススクール「インシアード」のジャンピエロ・ペトリグリエリ氏は「若い人にオフィスに行くように勧める人というのは、その環境で自分の道を切り開いた人たちのことだ」と述べる。オフィスで働くことで成功を収めてきた上司たちは、そもそもオフィスの有効性に疑問を抱くことはない、ということだ。 これはやはり問題であろう。というのも、過半数の経営者たちは従業員の意見をほとんど聞かずに職場復帰の方針を決定したと答えているからだ。従業員が家とオフィスを行き来するハイブリッドな未来が到来が待ったなしとなった今、会社の上司たちは、どちらかの環境が明らかに優れていると考えるのではなく、両方の環境を改善する必要がある。 ==== 実に示唆に富むコラムですが、個人的にはやはり「権力」という要因を考慮しないといけないと感じます。 これはまさに「男はなぜセクハラをしてしまうのか」というエントリーでもあったものと同じであり、雇用関係に権力の非対称性が続く限りはなかなか解消されないものではないでしょうか。 ただし同時に問題なのは、やはり世代の意識の違いかと。「職場で集まって成功する」という成功体験というのは、現在管理している上の世代では染み付いているものであり、企業の文化は(西洋の先端企業でも)なかなか変えられないということかも。 (与那国から南方の海上を望む) ▼〜奴隷人生からの脱却のために〜 「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから! ▼〜あなたは本当の北京の工作の手口を知らなかった〜 ▼〜あなたは本当の「孫子」を知らなかった〜 ▼〜あなたは本物の「戦略思考」を持っているか〜 「奧山真司『一発逆転の非常識な成功法則〜クーデター入門に学ぶCD』」 ▼〜あなたは本当の「国際政治の姿」を知らなかった〜 「奧山真司『THE REALISTS リアリスト入門』CD」 ▼〜"危機の時代"を生き抜く戦略がここにある〜
by masa_the_man
| 2021-11-15 14:23
| カルテク
|
ファン申請 |
||