今日の横浜は朝からずっと曇りで気温も低めでしたが、午後少しだけ太陽が見えました。
明日午後のクラウゼヴィッツ学会の年次大会の
再告知をしようと思ったのですが、番組の中で触れて非常に気になっていた、少し前のジャパン・タイムズ紙の記事の、抜粋の試訳を紹介します。
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日本は中国に対する否定的な見方が最も多く、好ましくない意見が急増していることが調査で判明 By ジェッセ・ジョンソン 20-10/6
先進国の中で北京が新型コロナの流行をうまく処理できなかったという感情が高まっている中で、中国とその指導者である習近平に対する日本人の否定的な意見が今年も上昇していることが、今回発表された新しい調査で判明した。
ピュー・リサーチ・センターが
火曜日遅くに発表した調査によると、調査対象となった14カ国の過半数が中国に対して好ましくない意見を持っており、オーストラリア、イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、アメリカ、韓国、スペイン、カナダでは、10年以上前に世論調査を開始してから否定的な意見の割合が過去最悪を記録している。
日本では2013年から、中国に対する否定的な見方が比較的横ばいで推移しているが、中国を「非常に好ましくない」と答えた人が52%、「やや好ましくない」と答えた人が34%で、その合計が全14カ国の中で最も高い86%を記録した。
日本の否定的な意見の合計は、昨年よりわずか1ポイント上昇しただけだが、日本は中国に対して一貫して最も否定的な意見を持ち続けている国である。
ピュー研究所の上級研究者であるローラ・シルバー氏は、
「日本の中国に対する見方についての注目すべき点の一つは、何年も前から否定的な見方が非常に高く、変動の余地がほとんどないことだ」
とジャパン・タイムズ紙に語った。
「過去1年間で好ましくない見方が大きく変化したわけではないが、それにもかかわらず、日本人は中国に対して、調査対象となった14カ国の中で、最も好ましくない見方をしている」という。
今回の調査における否定的な意見の急上昇は、北京の新型コロナウイルスのパンデミックに対する対応において、透明性が欠如しているというものや、発生の初期の段階で事態を軽視していたという疑惑など、世界中から批判の声が上がっていた中で発生したものだ。
また、中国は香港への弾圧、最西部の新疆ウイグル自治区での大規模なイスラム系ウイグル人の強制収容、さらには拡大させている海洋面での主張を含む、他の問題でも批判の嵐に直面している。 ただし今回の調査では、これらの問題については言及されていない。
中国の習近平国家主席は、新型コロナウイルスへの中国の対応を擁護しており、オープンな態度で行動し、この危険なウイルスへの断固とした措置が世界の数千万人の命を救うのに役立ったと述べている。
それにもかかわらず、調査では否定的な評価が広がっている事実が反映されており、最も否定的な評価はアジア太平洋地域の3カ国のものであった。
この調査によれば、日本、韓国、オーストラリアの10人のうちの7人以上が「中国はコロナウイルスの対処で悪い仕事をした」と言っており、その中には各国の10人のうちの4人以上が「非常に悪い仕事をした」と言っていることも含まれている。
ピュー研究所によると、この14カ国で中央値となる61%の人々が「中国が新型コロナの対応でまずい仕事をした」と言っており、これは自国や世界保健機関(WHO)の対応についての評価よりもはるかに悪い。
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このピュー研究所の調査なんですが、なぜか日本の大手メディアではまっとく取り上げられておらず、日本語で読めるものは
外国の通信社や外国の
新聞のもの、さらには
大紀元のようなサイトだけ。
個人的にはこれはけっこう大ニュースだと思っているのですが、なぜ日本の大手メディアが扱ってくれないのでしょうか。
この理由としては3つ挙げられると思っていますが、どれが正解かについては、私も決めかねております。
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①日本人の中国嫌いはすでに知られたことなのでわざわざ扱う価値もないという判断。
ピュー研究所の調査結果の通り、すでに「嫌いである」という事実は日本人自身に幅広く知れ渡っていることであり、あえて指摘するほどないほど当然のこと。その証拠に、上の記事でも指摘されているように、昨年からの変化はたった1ポイント(の上昇)。
たとえ調査対象となった14カ国の中でトップとなる86%を記録していても、その数値は高止まりしていてほとんど動きがなく、安定しているというデータなので、いまさら扱っても意味はないという日本メディア各社の判断。
また、中国に対する厳しい意見は、えてして日本人の人種差別的な感情を暴いてしまうもの。だったらニュースにしたくない。
②中国に「忖度」している。
日中記者交換協定などもあるため、日本の大手メディアは中国の印象を悪く与えるような事実は報道できない。
中国は日本にとっての最大の貿易取引相手国であり、このようなマイナスイメージになるようなことをわざわざ報道しても、無駄に北京を挑発するだけで、おとなしくビジネス取引だけしておきたい日本にとってはマイナスでしかない。
他国であるオーストラリアの感情悪化は、前年比で24ポイントアップで、日本に次ぐ全体2位の81%。これは日本の話ではないし、変化率が大きい(急激に悪化した)から、
ニュースとして扱える。
③日本人の平和を求める心。
たしかにビジネス的には日本は中国と密接な関係がある。いくら人権的に問題があるといっても、騒ぎさえしなければ日本人は自分たちが他国のことをこれほど嫌っているということをわざわざ知りたくもない。
なんといっても日本は平和国家。14カ国で中国のイメージが最悪だと知ったところで、平穏な気持ちを乱されるだけ。だったらあえて知らせない方がいい。
※この理由は②と同じであるように見えるが、実際は大手メディアが忖度しているのは中国ではなく、あくまでも日本人側というのがミソ。
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と、このように軽く書いてみましたが、実際は「上の3つのすべて」なのかもしれません。
とにかく私が興味深いと思っているのが、英字新聞であるジャパンタイムズ紙が、日本の大手新聞とは対照的にこのニュースに注目して取り上げたという事実。
一番気がかりなのは、これほど日本人の中で中国のイメージが悪いのに、大手メディアがそのような素振りをまったく見せないで、このような情報をスルーしていること。
こういうことをしていると、私は逆にいつか日本人の鬱積した感情が爆発してしまうのでは、とかなり心配なのですが。
いずれにせよ、北京はピュー研究所のこのような調査結果を受けて、ここ数年で世界を敵に回しことに大成功してしまった「戦狼外交」から方針転換できるのでしょうか?
うーん、しないでしょうね、やっぱり。
(ジャパンタイムズのHPより)
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