今日の横浜北部は、一日中なんとな曇りがちのなんとなくすっきりしない月曜日でした。
さて、あるところからリクエストをいただきましたので、オーストラリア関連の記事の試訳です。
おかげさまで6万部の大ヒットとなっている『
目に見えぬ侵略』ですが、その原著者であるクライブ・ハミルトン教授が、なんと突然北京政府から入国禁止となったというニュースが出てきました。
もちろんハミルトン教授にとっては痛くも痒くもないでしょうし、おそらくこれはシンボル的な意味しかないのでしょうが、北京にとっては何が気に入らないのかを教えてくれるという「リトマス試験紙」的な意味では、とてもわかりやすい動きだと思います。
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ABC 24 Sep 2020
by マゾエ・フォード、サミュエル・ヤン、マイケル・ウォルシュ
中国は、オーストラリアが中国の学者2名のビザを取り消したことを受けて、オーストラリアの学者2名の中国入国を禁止した。
中国国営のグローバル・タイムズ(環球時報)紙は、
9月24日の記事で、
クライブ・ハミルトン氏とアレックス・ジョスキ氏が、中華人民共和国の出入国法に基づき入国を拒否されると報じた。
中国外交部の報道官である王文斌(Wang Wenbin)氏は、記者会見でこの2人の入国を禁止する決定は、完全に中国の国家主権において行われたものであったと述べており、この報道の内容が事実であることを確認している。
「中国は、虚偽の情報を広め、意図的に中国の信用を落とし、中国を攻撃し、中国の国家安全保障を危険にさらす行為に断固として反対する」と彼は述べている。
この動きは、オーストラリア連邦警察とオーストラリア安全保障情報局(ASIO)が共同で行った外国からの干渉に関する調査に関して、オーストラリアが中国の学者である陳洪(Chen Hong)氏と李建軍(Li Jianjun)氏のビザを取り消したことを受けてからのものだ。
ハミルトン教授は作家であり、キャンベラのチャールズ・スタート大学の公共倫理学の教授であり、オーストラリアにおける中国の政治的影響力の疑惑を長年にわたって批判してきた。
「事前の通知は何もなく、私が最初にこの事実を聞いたのは、中国共産党の
グローバル・タイムズ紙の記事をある人に教えてもらった時でした」とハミルトン教授はABCニュースチャンネルに語っている。
もちろん彼は現在中国旅行のビザを申請しておらず、彼の入国を拒否する決定は、現在の北京とのキャンベラとの間の緊張した政治関係と関係していると感じたと述べている。
「グローバル・タイムズ紙の記事を読めば、私とアレクサンダー・ジョスキ氏の入国禁止は、オーストラリア政府が中国の学者2人を入国禁止したことへの報復であることは明らかです。これは、『お前たちがそういうことをやるなら、俺たちもやるぞ』という北京の言い方のようです。なんともケチな反応の仕方ですよね」と彼は述べている。
一方のジョスキ氏は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のアナリストであり、ハミルトン教授の著書『目に見えぬ侵略』(Silent Invasion)の調査アシスタントも務めた人物だ。
ジョスキ氏の研究分野は、中国軍と中国共産党の海外での影響工作である。
ツイッターで発表された声明の中で、彼は何年も中国のビザを保持したり申請したりしていないと述べ、この動きは北京が「自分たちの活動の実態を暴こうとした者たちを罰する」ための試みであると述べている。
北京で育ち、北京語に堪能なジョスキ氏は、オーストラリアのトップの大学へ北京政府が浸透工作を行っている疑いがあると長年にわたって主張してきた人物だ。
彼の所属するASPIは、北京がイスラム教徒の少数民族に対する人権侵害で批判に直面している、中国最西部の新疆ウイグル自治区で380箇所の収容施設の存在を割り出して分析したとする、
新たな報告書を発表したばかりだ。
昨年、中国共産党に批判的な豪自由党の政治家2人も入国を拒否された。 西オーストラリア州のアンドリュー・ヘイスティ議員と、ビクトリア州のジェームズ・パターソン上院議員は、視察旅行で中国を訪れる予定だった。
西オーストラリアの大学中国の専門家の准教授Jie Chen氏は、入国禁止措置そのものは象徴的な意味しかないが、仕事、または研究のために中国に旅行する必要があるオーストラリアの学者たちを震え上がらせるには十分な効果があると述べている。
彼はABCに対して、「北京は中国研究、とりわけ中国政治や中国社会を専門分野としている西側の学者たち対して、独自のビザの方針をもっているのです」 と語っている。
「ところが中国政府は通常、誰がブラックリストに載っていて誰が載っていないのかを公表しません。これは実際に入国してみないとわからないのです」
Chen氏は、誰もが入国禁止にされる可能性があると述べた。
「それはあなたが何を言うか、何を教えるか、何を書くのかに左右されますし、これはまさに自己検閲を誘発することになります...なぜならあなたには、常に『第二のクライヴ・ハミルトン』になる可能性が出てくるからです」
キャンベラの「中国政策センター」のアダム・ニー所長は、北京の最近の動きを、オーストラリアとの二国間関係にとって有害であると評している。 同氏は「両国は学問の自由を尊重すべきだ」と述べている。
「研究者としての視点がどうであれ、学問の自由は非常に重要だと思います。オーストラリア政府は何の理由もなく2人の中国人研究者のビザを取り消したので、私たちはまだその回答を待っているところです」
ニー氏は、今回の事件は、北京が「中国の研究者を不当にターゲットにしている」と認識しており、この報復としてオーストラリアの研究者を狙ったと述べている。
「今回の事件は二国間関係にとって、非常に不幸な出来事です。これは私たちに、北京とキャンベラの両政府の二国間関係の扱いについて真剣に考えさせるきっかけとなっています」
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元ネタはやはり環球時報(英語版)の
この記事のようですね。
しかもその記事ではしっかりと「目に見えぬ侵略はあまりに馬鹿げた見解によって書かれていたために何度も出版禁止になった」と丁寧に書いております。
オーストラリアだけでなく、カナダやニュージーランドで行われている北京の影響工作についてご興味のある方は、ぜひ
こちらの方もお試してください。
北京はどこでも同じことをやっているんだなぁ、と関心し(というか呆れ)ます。ご参考まで。
(ABCより)
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