今日の横浜北部は朝から小雨でやや気温も低めです。さすがに半袖は無理になってきましたね。
さて、ブログ再開の二回目として、少し古い記事の要約&試訳を。
フクシマは記事の中で、その長年の経験と観察から、
「日本の政治指導層と日本の一般国民の間には、アメリカの政党に対する好みの違いがある」
として、
◯日本の政治指導部→共和党が好き
◯日本の国民→民主党が好き
という大まかな構造を示します。
そして次にその証拠として、日本のいくつかの世論調査ではトランプ再選に関しては否定的な意見が多いことを挙げつつ、その反対に今年の4月に『アメリカン・インタレスト』誌に掲載された「対決的な中国戦略の美点」というタイトルの論文が「YA」という「匿名の日本政府高官」によるもので、その内容が
「オバマ政権は中国を甘やかしすぎた、不安定だが共和党のトランプ政権が再選してくれたほうがマシ」
というもので、フクシマは現在の自民党政権・官僚たちの「共和党好き」の声を代弁してくれているものとして注目しております。
もちろん歴史的に見れば、日本の政治指導層は、民主党のケネディ大統領を尊敬し、裏切って中国に接近した共和党のニクソンを毛嫌いしていた時期もあったわけですが、80年代のレーガン政権のあたりから、日本の指導層の「共和党好き」が固まってきたと主張するのです。
そしてその論拠として、フクシマは9つの理由を挙げております。
いくつか重なっている論拠もあるのですが、興味深いのでその部分だけを以下に訳出してみました。
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第一に、共和党と自民党は1950年代、特に冷戦時代から、イデオロギー的にはソウルメイトであり、両党は反共産主義、反労働組合、親企業、親軍派、親エリート、文化的にも保守的であった。
第二に、1980年のレーガン政権から2008年のバラク・オバマ政権までの28年間、共和党がホワイトハウスを占拠した期間は20年間であったのに対し、民主党はわずか8年間であった。
継続性、安定性、予測可能性を好む日本の指導者たちは、共和党に馴染み、民主党との関係を深める必要性をあまり感じていなかった。実際、日本の自民党は1950年代から事実上の一党支配を享受してきたため、アメリカでは共和党が「政権与党」であり、民主党がホワイトハウスを占拠していても民主党は「野党」であり続けると考えるようになったのである。
第三に、共和党は自分たちを自由貿易主義者、民主党は保護主義者として日本に見せてきた。さらに共和党は、日本に対して「自分たちのほうが中国を重視する民主党よりも中国に厳しいぞ」と言ってきた。
もちろん共和党員の中にも保護主義者は少なからずいるし、民主党員の中にも中国に好意的な人ばかりというわけではないが、日本の指導者たちは、1990年代半ばにクリントン政権が行った枠組み協議の下での日本との対立的な貿易交渉や、1998年6月にビル・クリントン大統領が日本を「迂回」して9日間の訪中を行ったことについて今でも悪夢に悩まされていることもあり、このような語りには説得力があると考えているのだ。
これはクリントン大統領が他のどの大統領よりも多く日本を5回も訪問しているにもかかわらずである。
第四に、共和党がホワイトハウスを占拠すると、民主党は通常、大学やシンクタンク、法律事務所に戻る。しかし、民主党がホワイトハウスに就任すると、多くの共和党員は商売の世界に戻り、ビジネスをしながら日本とのつながりを継続する。これは、日本人にとって重要な人間関係の継続性をもたらし、共和党員と日本の経済界との間に経済的利益の共有が生まれることにつながる。
第五に、日本人は、共和党員は基本的にビジネスに関心があるので、取引契約などの金銭的な報酬を与えておけば共和党員を飽きさせることはないという結論に達している。一方、民主党員は、アイデアや政策対話、知的な議論に興奮し、感銘を受けていると見られており、日本のリーダーには、とりわけ明確で論理的で洗練された英語での議論をする能力がない。
第六に、日本の指導者と共和党員の間には長年にわたって密接な関係が築かれてきたため、日本のジャーナリストや学者の中には共和党の忠実な支持者となった人もいて、マスメディアを通じて日本国民に自分たちの世界観を伝えている人もいる。
第七に、多くの日本人は、共和党員は個人的に寛大で、義理人情や浪花節、そして「ウエット」な日本の伝統的な人間関係や感情を温かく受け入れるのに対し、民主党員は冷たくて傲慢で「ドライ」であることが多いと主張している。
第八に、民主党の多様性と包摂性に不安を覚える日本人もおり、同質で排他的な共和党を好む。
最後に、民主党は普遍的な価値観(人権など)を説き、日本がそれを守ることを期待し、守らないときは非難すると見られている。一方、日本を相手にする共和党は、北朝鮮による日本人拉致問題や日本のクジラ狩りなど、日本特有の問題に理解と共感を示すことが多い。日本人の中には、2013年12月に安倍総理が靖国神社を参拝した際に、オバマ政権とは異なり、共和党政権であれば「失望」を公に表明することはなかっただろうと主張する人もいる。
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いかがでしょうか。
お読みになったみなさんは色々と思うことがあると思いますが、私が一番気になったのは「第五の理由」として挙げられている
「日本のリーダーには、とりわけ明確で論理的で洗練された英語での議論をする能力がない」
と判断されている部分ですかね。
これは表面的には日本のエリート教育の敗北ということも言えそうですが、実際には日本の伝統的な政治文化であるとも言えるので、一概に「日本は情けない!」と判断できない部分もあるのかと。
個人的には、日本人は民主党系の識者や政治家たちに対して、理想や理念に走りがちな分、そこになにか無理をしているというか、悪い言い方をすれば「偽善」を感じてしまう傾向があるのかな、ともとらえております。

(Japan Timesより)
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