今日の横浜北部はまた猛暑の夏日。
昨日のことですが、都内某所でボードゲームを楽しんできましたのでその話題について。
ボードゲームといえば、一般的な日本の家庭では「人生ゲーム」を親戚で楽しむというくらいで、それほど馴染みのあるものと言い切れないもの。
ところが家庭にもよりますが、欧米ではモノポリーをはじめとするボードゲームは日本よりも浸透度が高いという印象があります。
かくいう私も、最初にカナダでお世話になった家庭では、子どもたちがモノポリーだけでなく、世界制覇を目指す「リスク」のようなボードゲームが充実しており、私も一緒に混じってプレイした記憶があります。
さて、そのようなボードゲームですが、その設定やルールの複雑性も相まって、近年ではかなりリアルな現代戦をモチーフにしたものがつくられており、今回私を含む何人かがプレーした「
レッドドラゴン・ライジング」というものは、まさに現代の米中の軍事紛争を想定した優れもの。
基本的には陣営が米中だけの対戦型なので、当然のようにプレイヤーはたった2人となるのですが、今回は奇跡的にその筋の現役の方々が参加してくれまして、それぞれの陣営に数人集うという集団による対決戦に。
この手のゲームは同じボードを使っても、シナリオをいくつか設定して楽しむことができるわけですが、今回はスタンダードに台湾攻略をめぐる争いに設定。
戦場というか、マップは基本的に中国が東シナ海を正面として、日米韓といった同盟国側に対抗し、台湾を主目的、そして南シナ海の占領を目指すというもの(下の写真を参照のこと)。
逆にアメリカ側は、同盟国と連携しながら台湾への人民解放軍による侵攻を阻止しつつ、30日間にわたって決定打を受けずに持ちこたえるのが目標となります。
細かいゲームのルールについての説明ははぶきますが、流れとしては先行が中国で、1ターン目(1日とカウント)にサイコロを振って各種の行動を決定し、後攻であるアメリカもサイコロを振って行動してからターン(1日)を終えるもので、この表と裏の攻防が30回、つまり30日間続くというものです。
私はアメリカ陣営についてゲームに参加したわけですが、初期の段階から朝鮮戦争が勃発し、そこに中国が大量のエアパワーを投入し、運の良さもあって、突如として韓国を陥落してしまいます。
開始早々の段階で中国大陸奥地に配備されている人民解放軍の対艦弾道ミサイル(DF)をB-2やB-52などの長距離爆撃機で叩くことに専念していた米軍側は、そのツケが回って後手に回ってしまい、気がついたときには台湾侵攻の阻止に駆けつけるタイミングを失してしまうことに。
結果的に双方とんでもない損害を出しながら、人民解放軍は海軍艦隊を全滅させつつも台湾軍の陸上部隊を全滅させることに成功し、海上自衛隊も「いずも」「かが」を緒戦で次々と撃破され、最終的には援軍からの支援を満足に受けることができずに台湾占領を阻止できなくなり投了。
プレー時間は合計3時間ほどとなったのですが、終わってからプレイヤー同士でいくつかの課題が出てきました。
まず第一点目は、米中戦争が起こったときに想定される電磁・電子戦やサイバー戦、さらには宇宙分野がからむ要素がほとんど出てこなかったという点。
これはそもそものこのゲームの想定によるところもあると思うのですが、部隊同士の戦闘が始まると、戦闘行為にかかりっきりで、サイバーなどの要素を組み込めなくなります。
仕方のないところなのかもしれませんが、ハードウェア、もしくはプラットフォーム同士の数的優越を巡った戦いになってしまうあまり、第二次大戦を想定したゲームとあまり変わりがなくなってしまい、現代戦的な要素がまったく感じられないのです。
第二点目は、外交的な要素がほとんどない点。
これもすでに戦闘を開始しているという基本設定なために、ゲーム的にもそこまで求めるのは酷なことかもしれませんが、少なくともアクシデント的な同盟への参加(今回は豪とフィリピンが初期にいきなり米連合に自動的に参加)よりは、サイコロを使ってもいいから外交交渉を作業の一環に加えていただければよかったかも感じました。
第三点目は、核戦争が想定されていて、これは知的にも参考になるという点です。
他にも細かいところ(中国側の巡航ミサイルが想定されていないなど)を挙げればキリはないのですが、将来戦には限定的な参考にしかならないものであることを踏まえつつプレイすれば、少なくとも想定外のことを想定するための心の訓練にはなるのではないか、と思った次第です。
チャンスがあれば、私も今後このような催しには積極的に参加していこうと思いました。