今日の成田空港は猛暑の快晴です。
さて、引き続き日本では翻訳されないであろう本の中のシナリオの紹介です。
著者のクレピネヴィッチは、中国の経済成長が2015年に止まったという予測をシナリオに組み込んでいるわけですが、これ以外にも中国経済に影響を与える要因として2つ挙げております。
それが以下の
・エネルギー価格
・人口数
ということになります。
まずエネルギー価格ですが、これはこのシナリオの危機の前の時点ですでに原油価格が1バレル130ドルまで上昇しているという設定になっておりまして、本シナリオの目玉である危機が起こったときには180ドル(!)まで上がるという推測がされております。
ご存知の通り、現実は2008年6月の133ドルをピークとして、リーマンショックを経てから100ドル前後に回復しつつも、ここ最近は60ドル前後となっているため、このクレピネヴィッチの推測は完全にハズレてしまったと言えます。
これなどは、まさにこのシナリオの書かれた当時の状況が反映されていると言えるでしょう。
ただし興味深いのは、そのすぐ後に、著者がアメリカからの中国製品の需要が、原油価格の上昇や不動産価格の下落(これはリーマンショック)もあいまって下がったということを指摘していることです。
当然ながら、このシナリオではトランプ政権の誕生や、米中貿易戦争の開始などについて触れられてはいないのですが、経済悪化の結果としての米中関係の悪化を指摘しているのは興味深いところです。
そして中国経済の悪化が判明した翌年の2016年には、(トランプ政権ではなく)アメリカ連邦議会が北京に対して経済制裁を行うことを決定し、それに反発した北京側が「核オプション」として米国債を売却しなければならないという声明を発表することになります。
ちなみに本シナリオにおける北京の米国債保有額は1.3兆ドルですが、
現在の現実の方の保有額は1.1兆ドルと、徐々に減らしている形になっております。
このような緊張状態に陥り、米連邦議会は一度手を引くことになるわけですが、それでも米中間の根本的な問題は解決しないということになります。
なぜならそこには、中国側の人口数問題があるからです。
ここで時間切れです。つづきはまた明日。
(ナショナル・プレスクラブの眺め)