今日の恵比寿はようやく梅雨が明けたようです。昼過ぎから晴れて暑くなりました。
さて、昨日の話の続きを。
グリギエルらの新刊の世界観や大戦略のベースには、「島国」と「ユーラシア大陸」という関係性があると指摘しましたが、ここで大事なのは、
1,マハン
2,マッキンダー
3,スパイクマン
という、現代の大戦略の議論でも引用されるこの3人の古典地政学の論者たちの議論では、常に共通認識として
「ユーラシア大陸から出てくる脅威にどう対抗すればいいのか」
という問題意識があったことが極めて大事になってきます。
マハンの場合は「シーパワー」という概念の方であまりにも有名ではありますが、彼が古典地政学において本領を発揮するのは、そのあとに海軍をリタイアしたあとに言論誌などに書きまくった時事評論などです。
その中でマハンは、当時ユーラシア大陸で展開されていた英ロによる「グレート・ゲーム」を引き合いに出しつつ、
「アメリカはシーパワー連合としてイギリス(と日本)と組まなければならない」
という趣旨の論文を何度も書いております。
マッキンダーの場合は、ユーラシア大陸で展開されていたドイツとロシアの台頭を、自身のイギリス人という立場から
「ハートランド(大陸中央部)からの脅威に対抗せよ」
と主張しておりました。
そしてスパイクマンは、上記の2人の世界観を元にしつつ、さらにそこに
「旧世界(ユーラシア大陸)と新世界(南北アメリカ=西半球)」
というドヴォルザークのようなネーミングの対立構造というアイディアを加えて、第二次世界大戦だけでなく、その後の世界戦略としても、
「アメリカは西半球だけに引きこもっているだけではダメだ」
という危機感を持ちながら、
「アメリカはユーラシア大陸に足がかりとなる同盟国をもって、戦力投射のためのアクセス権を確保しておくべきだ」
と説くわけです。
ここで気づくのは、その3人の視点はあくまでも「島の大国」であるアメリカやイギリスからのものであること。
そしてその脅威の対象となっているのは、自分とは距離の離れた向こう側のユーラシア大陸の大国、ということになるわけです。
つづきはまた明日。
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