今日のメリーランドは朝から快晴です。
さて、プロービングについてまた少し。
ここまで読んできた方々は、プロービングについて、以下の三点、つまり
1,アメリカのライバルである「現状変更国」であるロシア、中国、イランが、
2,それぞれの地域(リムランド)に存在するアメリカの同盟国に対して、
3,アメリカからの直接的な軍事的反応を起こさないレベルで切り崩しを行う行為
であることはおわかりいただけたかと思います。
もちろん昨日のイランのように、アメリカに対して直接軍事攻撃をしかけては、もはやイラン側の行為はプロービングとは言えません。
ただしイランもわかっていて、攻撃をしかけたのはしょせん「無人機」でありまして、アメリカ側に物理的な被害は出たが、人的被害が出ていないという点ではギリギリのところで事態がエスカレーションするのを抑えた、ともいえます。
そしてトランプ大統領も、それ対して「散漫で間抜けな」関係者によって引き起こされ、「意図的なものではない」として
10分前に攻撃を回避したりしております。
これらを踏まえて判明するのは、プロービングというのは、あくまでも同盟国をめぐるものであり、そこでアメリカのライバルたちが狙っているのは、
「ボスとしてのアメリカの信頼の失墜」
なのです。わかりやすい例でたとえてみましょう
ある大きな暴力団の本部が、東京にあるとします。仮にこれをA組としましょう。
A組は都内では圧倒的な存在ですが、その子分の関係にある下部組織が、大阪や名古屋、それに福岡にあって、彼らは小さな組です。
そして大阪、名古屋、そして福岡に、それぞれ拠点をおく中規模の組があるとしましょう。彼らを仮にB組、C組、D組とします。
このB・C・D組は、東京にあるA組のライバルですが、さすがに強力なA組に対して直接戦いを挑むようなことはしません。
むしろ表向きは「協調だ」、「ウィンウィンだ」と言ったり、たまにA組の批判をこぼすくらい。
ところがB組、C組、D組は、それぞれ拠点を置く大阪、名古屋、そして福岡という地元では圧倒的な存在ですから、たとえ強力なA組の子分である下部組織は怖くありません。
かと言って、東京に本部のあるAの組の下部組織をつぶしてしまえば、A組からの報復は怖い。
なんといっても向こうは全国最大の組織で、改造トカレフやカラシニコフ、さらにはロケットランチャーまで、飛び道具を豊富に備えてますし、資金も豊富です。
つまりB組、C組、D組は、A組と直接めんどうは起こしたくないわけです。
すると彼らは何をするかといえば、地元にあるA組の下部組織に対して、積極的にハラスメントをしたり、シマを横取りしたりするわけです。
こうすることでA組の下部組織はピンチにおちいらせるわけですが、B組、C組、D組は、それでもこれをボスであるA組がわざわざ出てきて介入するほどではないレベルに抑えます。
これでプロービングが成立です。
するとここで深刻なジレンマがA組の下部組織たちに発生します。
「あれ、俺たちってA組に属しているんだけど、どうも上の人たちは俺たちを助ける気がないんじゃないの?」
と感づいて、動揺してしまうからです。
すると全国各地にちらばっているA組の下部組織たちの間に、本部であるA組に対する不信感が巻き起こりますよね。
この「不信感」を起こすことが、B組、C組、D組のプロービングが狙っていることなのです。
つづきはまた明日。
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