今日の横浜北部はまたしてもよく晴れましたが、やけに風が強かったですね。
さて、以前から気になっている国際関係論における論点について一言。
私の訳本を読み込んでいらっしゃる方々はすでにご存知かもしれませんが、一部の国際関係論の学者たちが提唱する大戦略のオプションとして、
「オフショア・バランシング」(Offshore Balancing)
という概念があります。
論者によって想定するキャラは微妙に異なるのですが、これは主に19世紀のイギリスの例を参考にしつつ、
「アメリカのようなユーラシア大陸の沖合に位置している島の大国は、中東、西欧、東亜の3大戦略地域から軍事的に撤退して、地域の揉め事には極力介入するな」
と提唱するものです。
「いやいや、アメリカに撤退されたら日本が困るでしょ」
という意見も出てくるでしょうが、まさにそれがオフショア・バランシング論者(OB論者)たちの狙いです。
というのも、たとえばアメリカが東亜、つまり東アジアから軍事的に手を引けば、そこに展開しておく軍事費は削減できますし、日本や韓国(や台湾)は自立・武装して、互いに軍事費を増強させて、自律的に地域のパワーバランスを維持しようとし、実際に維持できるからです。
「そんなにうまくいくものか?」
という疑念はあるでしょうが、OB論者たちは
「もちろんうまくいくさ、なぜならイギリスが19世紀に欧州大陸に対して実行して成功させていたからさ」
と楽観的に答えるわけです。さらに、
「では現実的に、もし中国のような大国のパワーが増大して東アジアのパワーバランスを崩したらどうするの?」
というツッコミに対しては、
「いやいや、いざ中国のような大国(専門用語で潜在覇権国という)が出てきたら、アメリカは最後にしっかりと助けにきて地域のバランスを修復しますよ」
と、まるでアメリカは最後のピンチにやってくる白馬の王子様のようなことを言うわけです。
ところがOB論者たちに批判的な人々は、ここで
「そんな状態になるまで沖合で待っていることって、そもそもアメリカ自身にとって危険なんじゃないの?」
とツッコミを入れるわけです。
やや長くなりましたので、この話の続きはまた明日。
(空港のすぐ外の風景)