今日の横浜北部は、朝から蒸し暑い雨でした。
さて、いつもと違って競争戦略について書き忘れていたことを一つだけ。
徹底して相手を調査し、いかにダメージを与えて自滅させるかを考える競争戦略ですが、
かなり以前のエントリーで書いたことの続きを書きます。
それは、まさに昨日までのエントリーで書いているように、相手の行動の予測が完全にはつかない、という点にあります。
たとえばソ連は、アメリカが爆撃機の開発を続けたとして、本当に防空網の強化を継続したのでしょうか?
これはルトワックの「パラドキシカル・ロジック」の話にも通じますが、相手のリアクションというのは、それが思いがけず強烈に起こる場合もあれば、思ったよりも少ない時もあります。
もちろん敵がこちらの予測通りの行動をしてくれる信頼性(!)が高ければ、競争戦略を仕掛るだけの価値はあるでしょう。
ところが現在のように国際政治の現状が流動的な場合は、その行動の読み違えが起こる可能性は一気に高まります。
そうすると、競争戦略そのものを仕掛ける意味が消滅してしまいます。
ひどい場合には、その反応が強すぎたために、エスカレーションが一気に高まり(エスカレーション・ラダーを急上昇)、いきなり危機に陥ることもあります。
さらには、こちらが競争戦略の実行を決心して、いざアクション(例:爆撃機開発)を起こしたとしても、こちらが途中でそのアクション自体を忘れてしまったり、資金が続かなくなったり戦略を変更するなどして中止したり、敵がそのリアクションを根気よく続けたらどうでしょう。
そうなると、逆に競争戦略を仕掛けた側が弱くなる、ということも考えうるわけです。
つまりこれは、仕掛ける側の政治的な事情や、その意志の強さなども関わってくるわけですね。
全般的に言えるのは、このような競争戦略にとって最大の難問は、やはりグレイが『
戦略の格言』で何度も強調しているように、人間には未来を見通す力がないという点に集約されてきますね。
そしてその代わりに参考になるのは、過去の経験や、未来のシナリオ、そして競争戦略の場合は相手についてのインテリジェンス、ということにもなりそうです。
明日もこのような話題について書きます。