今日の横浜北部は朝から晴れております。いよいよ夏日になりそうです。
さて、引き続き競争戦略について。
昨日のエントリーではマーシャルが中国の拡大について質が違うことを警戒していたことに触れました。
すでに述べたように、相手の拡大そのものは、競争戦略のアプローチからすると歓迎すべきことです。
その理由は、その拡大によって破滅のタネが拡大し、それを促すことによって相手に漬け込み自滅に誘い込みやすくなるからです。
ところが「拡大」といっても、一般的にはそれがいくつかのタイプにわかれております。
そして競争戦略を仕掛る側が歓迎すべき「相手側の拡大」とは、以下の2つにある
①物理的な拡大
②心理的な拡大
です。これらは相手の肥大した理想と、それに対する現実(サイフ)との間に、ギャップを発生させてくれるからですね。
そしてそのギャップが、相手を自滅に誘いこむわけです。
ところがマーシャルが警戒していた、とりわけ中国の「拡大」において特徴的なのは、それが
③情報的な拡大
という点にあります。
なぜこれが問題なのか。
その理由はいくつかあるのですが、その最大のものは、なんといっても競争戦略において決定的に重要となる、
「相手の弱点やクセを探る」
というアメリカ側のもっていたアドバンテージが、すでにネットなどを通じて情報をとられていると、まったく活かせなくなってしまうからです。
とりわけアメリカ側にとって厳しいのは、ファーウェをめぐる事案でも明らかになったように、5Gをめぐる攻防です。
もしファーウェイをはじめとする5Gネットワークによってネット上の情報覇権を北京に握られてしまうと、アメリカの弱点に関する情報などは
北京側に筒抜けとなってしまうからです。
もちろん情報がとれたからといって、それを十分精査して「インテリジェンス」として活かせるかどうかという点は別問題としてあります。
それでも「弱者が強者に勝つ」という競争戦略にとって決定的に重要となるのは、やはり
「情報面で優位にあるかどうか」
という点なのです。
他のすべてで相手が「拡大」しても、競争戦略のアプローチを考える側としてはむしろ利用できます。
ところが情報面で拡大されて負けてしまうと、相手につけまれて不利になるばかりなのです。
弱者が強者に勝つには情報しかないわけですが、この点を考えるとアメリカ、そしてその同盟国である日本としては、まだまだやるべき課題が残されていると言えるでしょう。
(バス内のコンパス・システム)