今日の横浜北部は朝から曇っていて寒いです。ちょっと冬に後戻りした感覚。
さて、昨日の続きの話を。
ルトワックがデビュー当時から考えていたのが「大戦略」という概念であり、おそらくそれを書いた時代の影響もあって、博士号論文を元にした『
ローマ帝国の大戦略』では、とりわけ「同盟」(alliance)の重要性に注目するようになります。
そして彼の主著の翻訳である『
エドワード・ルトワックの戦略論』、さらには私が行ったインタビューによって構成されている『
戦争にチャンスを与えよ』でもおわかりの通り、ルトワックの中ではこの「同盟」というものの重要性は、その理論の中核を構成する存在となっていくのです。
まず『ローマ帝国の大戦略』ですが、ここでの最大の関心は、当時のローマ帝国が、そのシステムを維持するためには「従属国」たちをどのように扱ったのか、という点でした。
ルトワックの結論は、ローマにとって重要だったのはやはりその従属国たちの強さである、という点でした。
なぜなら逆に弱いと、辺境に侵入してくる蛮族を掃討するために、ローマ自身が高い費用をかけてわざわざ武力介入する必要が出てくるからです。だから経済的に考えて、従属国、つまり現代のアメリカにとっての同盟国たちは強くある方がよい、ということなのです。
彼の執筆当時の念頭にあったのは、当然ながらベトナム戦争でアメリカが「同盟国」として助けていた「南ベトナム」のなのですが、ルトワック自身はこの同盟国を、(アメリカの)「帝国システム」の維持にとっては無駄な存在と考えておりました。
なぜならそれは、そのシステムの足を引っ張る障害のような存在でしかない、という冷酷な考えがあったからです。
最近のルトワックは、フィリピンや韓国に対してこれと似たような態度をとっておりますね。
さて、同盟国なのですが、ルトワック自身の戦略の理論の中ではとんでもない重要性をもっております。
なぜなら、ある国が良い同盟相手をもっていれば、それ以下のレベルの弱さや失敗は全てキャンセルできるからなのです。
「全てキャンセルとは大げさな」
とお考えの方もいらっしゃるとは思いますが、ルトワック自身はこれを、書籍などではうまく説明できておりません(残念)
ところが、少なくとも
講演会や
インタビューなどでは、なぜキャンセルできるのかについて、実に明確かつ鮮やかに説明しております。
なぜそこまで同盟がすごいのか、という話については、時間もなくなってきましたのでまた明日。
(生姜味の牛乳プリンもある)