今日の横浜市北部は久しぶりに朝からよく晴れております。本格的な春到来でしょうか。
さて、すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、私が共訳した新刊が発売されましたのでその告知を。
です。
「あれ?
同じタイトルの本出してませんでしたっけ?」と疑念を持つかたもいらっしゃると思いますが、実はこの本はその同じタイトルの原著の第二版(セカンド・エディション)でして、2017年に出た原著を新たに訳出したものとなります。
前著との違いを簡単に説明しますと、全体的に章の構成が見直しされ、各章に最新情報が書き加えられたこと(私の印象では15%ほどの書き換え)、そして各章の最後に「質問」が加えられて、より「教科書」としての色彩が濃くなったことですが、最大の違いは、なんといっても新たに第6章のPKOの戦略思想が加わったことです。
「PKOに戦略思想などあるのか?」と訝しむ方もいらっしゃるでしょうが、著者スローンの時系列にうまくまとめられた説明を読めば、たしかに平和維持というものをどう実行するかという考え方に戦略的な思想の流れとその変化があることが納得できます。
常日頃から「平和創出」(ピース・メイキング)の考えではなくて、「戦争遂行」(ウォー・ファイティング)の方ばかりに関心のあった自分としては(苦笑)大変に勉強になったと感じております。
ただし私が今回最も勉強になったと思ったのは、やはり著者のスローン教授の本来の専門分野である、第7章の「統合理論と軍事トランスフォーメーション」でした。
とくにこの章の後半にかかれていることは、私が近年関心を持っている「テクノロジー」と「戦略」の関係性について、一つの方向性を示しているものでして、戦うドメインが宇宙やサイバー空間へと拡大している現状において、軍隊がそれに合わせて改革(トランスフォーメーション)をする際に、そのインセンティブとなった最大の要因は何か、ということを論じているからです。
ここでの改革の話は、基本的に軍隊なわけですが、これは国家や社会、さらには個人というレベルで考えてみても当てはまる、極めて示唆に富むものでした。
私がこのような「変革」について常に感じるのは、テクノロジーや社会の様相が変わっても、個人や組織が変わるには考え方そのものから変えなければならない、ということの必要性と、その難しさです。そしてこれは私の好きなラルフ・ピーターズの言葉にある「革命とは、結局のところ人間の頭の中で起こる」ということになります。
ハードやツールを変えても、結局はそれを使う側の人間の考えを変えることが一番大事ですよね、という話です。
ということで今日あたりから大型書店には並ぶものと思います。最近20年間の世界の軍事戦略レベルの思想の考え方の流れを学びたいという方はぜひ!

(アナポリスの学生寮の部屋の様子)