中国大使のカナダ政府への警告 |
今日の恵比寿は快晴で、この時期にしてはそれほど寒くないです。
さて、昨日の番組でも触れましたが、ファーウェイCFOの孟女史がカナダのバンクーバー国際空港で逮捕・拘束された後に、在カナダ中国大使がグローブ&メール紙に掲載した意見記事を要約しましたのでご覧ください。
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2018-12/13
By 廬沙野(LU SHAYE)
在カナダ中国大使
アメリカの要請によってカナダが実行した、ファーウェイ社のCFOである孟晩舟女史の根拠なき勾留を受けて、カナダのメディアでは実に多くのコメントが出てきた。われわれは多くのカナダ国民が、義憤にかられてカナダ政府の不合理な行動を批判しているのを見て喜ばしく思っている。
ところが中にはカナダの行動を擁護する者もおり、ファーウェイは西洋諸国の国家安全保障に脅威となっていることや、カナダが独立した司法体制をもっていて、政府からの政治介入から完全に独立したものであるべきだと論じている。
ファーウェイは世界中の多くのパートナーたちとともに、素晴らしい評価を得ている企業だ。世界で展開する事業はそれぞれ現地の法や規制に厳格に則ったものであることを公的に何度も表明している。ところが「ファイブ・アイズ」に属する国々――アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、そしてカナダ――は、ファーウェイのことを、彼らの国家の安全を脅かす存在であると証拠なしで非難しているのだ。そのような推測をもとに、彼らは恐怖の種を撒き、国民たちに誤ったことを信じさせたのだ。
もしファーウェイの通信機器がセキュリティー上のリスクになるというのであれば、西側の会社の通信機器も同じようなセキュリティーのリスクを抱えていることになる。なぜなら彼らのものも、同じ科学とテクノロジーを使っているからだ。
誰がその他の国々のセキュリティーにとっての最大脅威になっているかを知りたければ、アメリカの「プリズム計画」を調べてみればよい。中国のファーウェイを非難する人々は自分たちの姿を鏡でよく見るべきなのだ。
これは結局のところ、まだ多くの人々が古い「冷戦思考」を持ち続けており、中国――中国共産党に率いられている社会主義国家――のことを「異常な国」だと信じ込んでいる、という事実に行き着くことになる。彼らは中国が西洋諸国にあまりにも急速に追いついてしまい、経済だけでなく、科学やテクノロジーの面でもすぐに追い越すことを恐れているのだ。だからこそ彼らは中国企業を取り締り、国家の安全という名の下に中国の発展を妨害するのだ。
孟女史の拘束は単なる司法案件ではなく、アメリカがその権力を活かして政治的な観点から中国のハイテク企業に対して魔女狩りを行うための、あらかじめ計画していた政治的な行動なのだ。
ところが、アメリカのいわゆる「外まで広がる管轄権」というのは、国際法における基盤を何も持っていない。アメリカのあらゆる「弱い者いじめ」的な行動の最大の理由は、アメリカが自国の圧倒的な国力に頼りながら、他国に対して権力政治を追求しているからだ。
これについては、もしアメリカの企業が外国でこのような不公平な扱いを受けたらアメリカがどのように反応するのかを想像してみればおわかりいただけるはずだ。
カナダ側は孟女史を、カナダの法律にはまったく違反していないのにもかかわらず不合理な形で拘束したが、これは明らかに司法の独立ではなく誤審だ。中国は引き続き司法の独立を強調しているが、アメリカが非合理的な要求をしてきたときに、その独立性を主張できるだろうか?カナダは拘束するという判断を独立して行ったわけではなく、もしそうだとしたらそもそも孟女史を逮捕していなかったはずなのだ。
カナダ政府はアメリカへの国際的な義務を遂行しているだけだと主張したが、中国の一市民の合法的かつ正統な権利と利益を守るという国際的な義務を果たしたのであろうか?孟女史はバンクーバー国際空港で乗り換えをしただけなのに不当に逮捕されたのだ。
中国が孟女史の逮捕の報復として何人かを拘束していることを非難している人々は、まず最初にカナダ側がとった行動についてよく考えてみるべきだ。中国に対して二重規範でののしることは、恥ずべきことであると同時に偽善的でもある。
本紙(グローブ&メール)の読者の一人は「外国企業のリーダーの誘拐・監禁にわれわれの政府が加担していることに恥を感じる」と書いている。ここ数日間には多くのカナダ人が、中国大使館に電話してきたり、ネットに自分たちの意見を書くなかで、ファーウェイに対する不公平な扱い、とりわけ孟女史のカナダ政府による拘束に対して怒りを表明している。
中国国民はカナダに対して以前は好意的な印象をもっていたが、今回のカナダ政府の行動は、彼らの感情を傷つけたのだ。
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カナダの大手メディアではかなりの衝撃をもって受け止められた意見記事です。
もちろんカナダに対してはここまで強く出てもOK、という判断が上層部であったのかもしれませんが、このような激しい書き方というのは、中国の国際的なイメージにとってはマイナスでしかないと思います。
このカナダの案件に対する北京政府の対応というのは、ノーベル賞の時のノルウェーやTHAADの時の韓国、そして尖閣案件の時の日本の時にも見かけたものですね。
とりあえず参考まで。
(NEW113より)
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