トランプ政権を警戒する米国のインテリジェンス関係者 |
さて、すでにご存知かもしれませんが、トランプ政権発足間近な時にイスラエル側からリーク記事が出てきました。
その内容は、アメリカの諜報機関関係者が、イスラエルとの同関係者との非公式会合で「トランプ政権にき情報渡さないほうがいいぞ」と忠告していたというものです。
その元ネタとなるハーレツ紙の記事の要約を。
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米政府のインテリジェンス関係者がイスラエルの同業者に対してトランプ政権と情報共有しないよう警告
イスラエル政府のインテリジェンス関係者は、トランプ政権下の米政府関係者に対して、機密情報を漏らすとロシアやイランにまで情報が広がることを懸念していることを、今週木曜日のイスラエルの日刊紙でロネン・バーグマン記者が報告。
この懸念は最近まで非公開の会合で語られていたものであり、トランプやその関係者とモスクワのプーチン政権との間の密接な関係が噂されていることについての疑いがその背景にあるという。
ロシアの情報はテヘラン政府の情報関係者と関係をもっているため、たとえばイスラエルの隠密オペレーションのような機密度の高い情報がイランに届く可能性もある。ちなみにこのような情報は、過去に米国とも共有されていたものだ。
バーグマンの記事によれば、アメリカのインテリジェンス関係者は、最近のイスラエル側の関係者との会合において、トランプ大統領当選について失望を表していたと報告されている。
彼らによれば、米国のインテリジェンス関係者は(詳しくは述べなかったが)、プーチンがトランプに対して「圧力をかけられるようになった」と考えていたという。
今週水曜日にアメリカのメディアでは、ロシアがトランプ新大統領についての「恥ずかしい情報」を持っているとする情報が流れた。
バーグマンによれば、アメリカの諜報機関関係者はイスラエル側に対して、新政権が就任してから少なくともトランプとロシアとの不適切な関係がないことが明確になるまでは、ホワイトハウスと米国国家安全保障会議(NSC)にインテリジェンスを共有することに「注意すべき」であると述べたという。
イスラエルとアメリカのインテリジェンス関係者同士の協力は過去20年でさらに密接になったのだが、そこで共有される情報のほとんどがイランに関するものであり、とりわけへズボラとハマスがそのターゲットであった。
2008年の公式な包括的協力関係の合意には、情報源や情報のとり方についての開示も含まれており、これによってイラン核開発計画の阻止を含む、目覚ましい効果をあげたと報告されているという。
オバマ大統領は核合意についての秘密会談を始めた2013年に、イランに対する攻撃的な活動を停止している。ところがイスラエルからのアメリカに対する情報提供は継続している。
アメリカ側のインテリジェンス関係者は、内部告発者であるエドワード・スノーデンがロシアに機密情報を渡し、その見返りに政治亡命を受け取ったと信じているという。しかもそのうちのいくつかが、プーチンのイラン取り込みの方針という関係からイラン側にわたされたと考えているという。
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イスラエル側のインテリジェンス機関からのリークということですが、国際的に懸念が広がっているだけでなく、国内からも警戒されているという様子がなんとも。
もちろん自国のインテリジェンス機関と対立した事例は米国史にもけっこうあるわけでして、有名なところはキューバ危機の時のケネディ政権やニクソン政権があるわけですが、トランプの場合はまだ政権が始まっていないわけですから、これがどれだけ異常なことかがよくわかります。
いずれにせよ、トランプ政権自体がリスクになっていると認識されているという点は間違いないですね。
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