戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man

ナポレオンは孫子を読んでいた?!

今日のイギリス南部はよく晴れまして、すでに日本でいえば真冬並の寒さです。

さて、すでにTwitterの方でも少し触れましたが、「ナポレオンが孫子を読んでいたかどうか」という問題について一言。

ナポレオンと孫子といえば、その時代や地域に大きな差はありますが、軍人として後の戦略思想や、さらには人類の歴史においても多大なる影響を与えた人物であります。

もちろん孫子のほうは東洋において大きな影響を与えただけでなく、近代に入ってからは戦略についての古典思想として西洋でもさかんに読まれており、やや古いですがこの本などはその成果の一つ。

それに対してナポレオンといえば、フランスを一時ヨーロッパの雄にしただけでなく、あのクラウゼヴィッツやジョミニにインスピレーションを与えて近代の戦略研究のきっかけをつくった最大の人物となっております。

ところが孫子研究の人々の間で以前から議論となっているのは、このナポレオンが孫子を読んだのかどうか、という点です。というのも、西洋に孫子が最初に紹介されたのはフランス語。解説つきの抄訳という形でイエズス会の宣教師であるアミオによる訳が、フランス革命前の1772年に出版されております。

つまりこれはナポレオン(1769-1821)が生きていた時代にすでにフランス国内では書物として出回っていたことになるわけで、当然ながら軍人ナポレオンも読んでいたのでは、という憶測が絶えません。

ただしこの本の中の伊藤大輔氏による優れた解説などでもわかるように、「読んだことはない」というのが今のところの定説になっております。状況証拠などを含めて、確たる証拠がないからです。

ところが私が博士号をやっていた時にお世話になった先生を久しぶりに訪れると、なぜか話がクラウゼヴィッツの話になり、その流れから「そういえば・・・・」と言って、戦略研究の分野では最近、画期的な発見があったというのです。

それは、ナポレオンの政権時代に戦争大臣までつとめたラザール・カルノー(大カルノー)が、アミオ訳の中の孫子のフレーズをそっくりそのまま引用して自分の書物に書いていたことが判明したということなのです。

もちろんこれだけでは「ナポレオンが孫子を読んだ」ということにはなりませんし、ましてや「ナポレオンが孫子の教えを実践した」という証拠にさえなりません。

ところが状況証拠的に考えれば、「ナポレオンの側近に孫子の言葉をよく知っている人物がいた」ということは言えるのかと。

詳しくは私の先生が編集した本の中の論文にあるそうなので、その本(入手困難)を手に入れるまでしばらくお待ちいただきたいのですが、戦略研究の人間としてはこれは非常に気になるところです。

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by masa_the_man | 2016-11-04 16:20 | 日記 | Comments(0)