2016年 07月 12日
参院選の結果に左右されない日本の安全保障 |
今日の横浜北部は朝方にけっこうやばい雲がかかっておりましたが、昼になると晴れてきました。
さて、久しぶりに書きます。
もちろん本ブログをお読みの皆さんは選挙に行かれた方がほとんどだと思いますが、今回の参院選に関連して、ひとことだけ。
見方は色々あるでしょうが、純粋に数的なところをみれば、やはり今回の選挙では「自民党が勝った」という分析が正しいことになりそうです。
では奥山さんは嬉しいのですか、それとも悔しいのですか、と聞かれるかもしれませんが、私はどちらかと言えば、
「選挙の結果など、どうでもいい」
と冷ややかに見ている部分があります。
「いやいや、選挙の結果が国家の運営にも影響してくるから、やはり選挙は重要なのでは?」
とお感じになるかたもいらっしゃるでしょうが、私はこのような選挙が行われても、常にどこかで虚しさを感じている人間になってしまいました。
その理由は、戦略論を学んでしまったからです。
たしかに世間で言われているように、今回の選挙で自民党が勝ち、与党側が改憲要件となる国会の三分の二の議席を確保できたというのは、日本の安全保障にとってはプラスになることかもしれません。
ただしそれも、しょせんは半分のこと。
なぜなら日本がいくらがんばっても、戦争や紛争に巻き込まれるかどうかというのは、結局はそのもう半分である「相手」がいて成り立つものであるからです。
この場合の「相手」とは、日本の「平和憲法」のようなものを持たない中国かもしれませんし、航行の自由作戦を行っていて、建国以来、ほぼ毎年の割合で戦争を続けているアメリカかもしれません。
さらには突然ミサイルを日本に落としてくる北朝鮮みたいな国もありますし、日本の国土を第二次世界大戦後から占領しつづけているロシアもあります。
ようするに私が言いたいのは、「日本の行動や決断だけで東アジアの安全保障環境が決まるのではない」、ということ。
ところが残念なことに、われわれ一般人(さらにはメディアや学者まで)は、どうも日本という狭い国の狭い言語空間で生きているせいか、
「日本の行動こそが、世界(東アジアの地域だけに限定されない)の安全保障環境に決定的な影響を及ぼす」
という、なんとも誇大妄想的なバイアス(偏見)を無意識的にもっていることが多いのです。
ここであえて言っておきます。日本は(悔しいですが)「大国」ではありません。
安全保障はアメリカに多くを依存しておりますし、自分の国の軍隊をまともに戦闘させることもできないですし、何より「日本には平和憲法がある」と知られているわけでもありません。
つまり周辺の安全保障環境において、日本はカギを握っているプレイヤーではないのです。
戦略には、常に考慮すべき「相手」という存在があります。そしてこの「相手」は、自由意志を持った存在であると同時に、日本の政治面での力をまったく考慮しない存在かもしれないのです。
結論からいえば、日本が国内的に何をしようとも、そして自民党が選挙で圧勝しようとも、それは「相手」のいる戦略がかかわってくる紛争については、(よくても)たった半分のことであり、われわれの力ではどうすることもできない部分が大きい、ということです。
したがって、われわれは日本国内の選挙結果というものに一喜一憂することなく、ただひらすら冷静に、日本の安全と平和と繁栄をいかに守るか考えるべきなのです。
これらのトピックについては今夜の放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv268232726)でも議論します。ぜひご期待ください。
▼~あなたは本当の「孫子」を知らない~
「奥山真司の『真説 孫子解読』CD」

▼~これまでのクラウゼヴィッツ解説本はすべて処分して結構です。~
「奥山真司の現代のクラウゼビッツ『戦争論』講座CD」

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「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!
▼奥山真司の地政学講座
※詳細はこちらから↓
http://www.realist.jp/geopolitics.html



http://ch.nicovideo.jp/strategy2/live

https://www.youtube.com/user/TheStandardJournal
さて、久しぶりに書きます。
もちろん本ブログをお読みの皆さんは選挙に行かれた方がほとんどだと思いますが、今回の参院選に関連して、ひとことだけ。
見方は色々あるでしょうが、純粋に数的なところをみれば、やはり今回の選挙では「自民党が勝った」という分析が正しいことになりそうです。
では奥山さんは嬉しいのですか、それとも悔しいのですか、と聞かれるかもしれませんが、私はどちらかと言えば、
「選挙の結果など、どうでもいい」
と冷ややかに見ている部分があります。
「いやいや、選挙の結果が国家の運営にも影響してくるから、やはり選挙は重要なのでは?」
とお感じになるかたもいらっしゃるでしょうが、私はこのような選挙が行われても、常にどこかで虚しさを感じている人間になってしまいました。
その理由は、戦略論を学んでしまったからです。
たしかに世間で言われているように、今回の選挙で自民党が勝ち、与党側が改憲要件となる国会の三分の二の議席を確保できたというのは、日本の安全保障にとってはプラスになることかもしれません。
ただしそれも、しょせんは半分のこと。
なぜなら日本がいくらがんばっても、戦争や紛争に巻き込まれるかどうかというのは、結局はそのもう半分である「相手」がいて成り立つものであるからです。
この場合の「相手」とは、日本の「平和憲法」のようなものを持たない中国かもしれませんし、航行の自由作戦を行っていて、建国以来、ほぼ毎年の割合で戦争を続けているアメリカかもしれません。
さらには突然ミサイルを日本に落としてくる北朝鮮みたいな国もありますし、日本の国土を第二次世界大戦後から占領しつづけているロシアもあります。
ようするに私が言いたいのは、「日本の行動や決断だけで東アジアの安全保障環境が決まるのではない」、ということ。
ところが残念なことに、われわれ一般人(さらにはメディアや学者まで)は、どうも日本という狭い国の狭い言語空間で生きているせいか、
「日本の行動こそが、世界(東アジアの地域だけに限定されない)の安全保障環境に決定的な影響を及ぼす」
という、なんとも誇大妄想的なバイアス(偏見)を無意識的にもっていることが多いのです。
ここであえて言っておきます。日本は(悔しいですが)「大国」ではありません。
安全保障はアメリカに多くを依存しておりますし、自分の国の軍隊をまともに戦闘させることもできないですし、何より「日本には平和憲法がある」と知られているわけでもありません。
つまり周辺の安全保障環境において、日本はカギを握っているプレイヤーではないのです。
戦略には、常に考慮すべき「相手」という存在があります。そしてこの「相手」は、自由意志を持った存在であると同時に、日本の政治面での力をまったく考慮しない存在かもしれないのです。
結論からいえば、日本が国内的に何をしようとも、そして自民党が選挙で圧勝しようとも、それは「相手」のいる戦略がかかわってくる紛争については、(よくても)たった半分のことであり、われわれの力ではどうすることもできない部分が大きい、ということです。
したがって、われわれは日本国内の選挙結果というものに一喜一憂することなく、ただひらすら冷静に、日本の安全と平和と繁栄をいかに守るか考えるべきなのです。
これらのトピックについては今夜の放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv268232726)でも議論します。ぜひご期待ください。
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by masa_the_man
| 2016-07-12 13:12
| 日記