戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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新刊発売のお知らせ

今日の横浜北部は朝晴れておりましたが午後から小雨気味になりまして気温もぐっと下がりました。

さて、お知らせです。

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、私の指導教官であったColin S. Gray の主著であるModern Strategy (1999)の日本語版が、私自身の手による翻訳で、いよいよ今週末に発売開始となりました!
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タイトルはそのまま直訳風に『現代の戦略』でありまして、著者 コリン・グレイ、訳者 奥山 真司となってます。今回は中央公論の方から出させていただくことになりました。

本書の具体的な内容については、すでに本ブログで何度か紹介しております。かなりネタバレ的になってしまうのですが、興味のある方は以下のエントリーをぜひ参照してみてください。

グレイ著『現代の戦略』を読み解く①
グレイ著『現代の戦略』を読み解く②
グレイ著『現代の戦略』を読み解く③
グレイ著『現代の戦略』を読み解く④
グレイ著『現代の戦略』を読み解く⑤
グレイ著『現代の戦略』を読み解く⑥
グレイ著『現代の戦略』を読み解く⑦
グレイ著『現代の戦略』を読み解く⑧
グレイ著『現代の戦略』を読み解く⑨

訳し終えた私のほうからこれからお読みになる皆さんに対して何か付け加えることがあるとすれば、以下の何点かに集約されるかと思われます。

まず第一に、この本は「分厚い専門書」であります。価格は5,000円越えですし、文章もミアシャイマーほど読みやすくなく、私の書いたあとがきや索引を除いても520ページを越えており、1ページの中の文字数も多い肉厚のハードカバー(!)の本です。

ただし深く読み込むと、その極端なクラウゼヴィッツ主義者ぶりや戦略普遍主義、それに実体験から出てきた不確実性についての知見などは、読みば読むほど味が出るというか、何かしらの示唆が得られるという意味ではとても貴重なものであると感じます。

それに加えて学術的な面からいえば、90年代までに行われてきた戦略研究の文献についての紹介が充実している点が挙げられます。とりわけ脚注で展開される議論は、本文よりも面白い場合がありますので、お好きな方はかなり堪能できるかと。

第二として、本書の中の全13章の中の最もオススメの章として私が挙げるとすれば、それは「核兵器を再び考える」というタイトルの第11章

ここでグレイは自身の「核戦略アドバイザー」としての立場を振り返りながら、戦略家はどのように考えるべきであり、何が困難なのかをかなり正直に書いております。とりわけ現在も日本のメディアに出てくる「抑止(力)」という概念について、とても参考になることが書かれておりますのでここは必読箇所かと。

もちろんクラウゼヴィッツについて議論した第3章や第4章などは、英語圏におけるクラウゼヴィッツ活用のスタンダード的な部分を知る上でとても参考になりますが、やはりその本領は専門であった核戦略についての議論で発揮されていると私は感じました。

第三は、その複雑な議論にもかかわらず、本書が訴えているメッセージは極めてシンプルであるということです。それを一言でいうと、「すべての時代のあらゆる戦争と戦略には統一性がある」というものです。

これだけだと意味がわからないかもしれませんが、この統一性というものを証明するために、グレイは主に20世紀の戦争を振り返りながら「結局のところ、戦争は政治目的のために行われるんでしょ」という身も蓋もないことをズバズバと指摘していくわけです。

政治のツールとしての戦争というのは、まさにクラウゼヴィッツが『戦争論』で展開していた議論。グレイはこれに習う形で「"新しい戦争"が出てきたっていうアホがいるけど、戦争はいつの時代も戦争なんだからそこで機能を果たしている戦略も一緒だよ」と主張するわけです。

私は本ブログを最初に始めた2004年のイギリス留学で本書が副読書として教科書代わりに戦略学のクラスで使われていたために、このような議論については十分知っているつもりでしたが、自分でその本を一字一句訳してみて、あらためて非常に勉強になったと感じております。

とりわけこの本を仕上げていた時に、ルトワックの本(その内容の一部は文藝春秋スペシャルの最新号でも読めます)と孫子のCDの制作に関わっていたために、戦略についての考え方を多様に見ることができて、戦略の理解がますます深まったというところが正直な感想です。
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ということで高い本ですが、グレイの入門編となる『戦略の格言』と併せてぜひ積極的に挑戦していただければと思います。

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https://www.youtube.com/user/TheStandardJournal



by masa_the_man | 2015-12-18 00:24 | 日記 | Comments(0)