戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ISのテロリストも人間である

今日の横浜北部は朝から快晴です。

さて、次に出る新刊の原稿のチェックなどが重なって猛烈に忙しくなっていた間に、中東ではロシアが旅客機をテロで墜落させられたり、ベイルートやフランスではISが関連したとされる連続テロ事件が起こるなど、世界が激変しております。

それを受けて今回はISについて書いてみたいと思うのですが、すでに日本でもとりわけパリの事件についてはニュース番組だけでなく、ワイドショーなどでも大々的に取り上げられておりますので、詳しい事実関係についてはここで触れません。

それよりも私が気になったは「ISが年中無休の24時間対応のテロリスト様ご相談窓口を持っている」というニュースです。

このニュースを私は番組(http://www.nicovideo.jp/watch/1448004727)の中で紹介したのですが、「俺の会社よりも親切だ」とか「うちの行政よりもサービスが充実している」という、ISを褒めているのかよくわからない微妙なコメントをいくつかいただきました(笑

ただし私がこのニュースを見て感じたのは、クラウゼヴィッツ主義者の仲間の中で学んだおかげで気づくことができた、以下の2つのポイントです。

1つ目は、ISのテロリストも人間であるということ。

「当たり前じゃないか」というご意見は当然なのですが、この手のテロ事件が起こると、メディアを騒がせることになるのは、たとえばNYタイムズの外交コラムニストアン・コールターという保守系の識者のような、敵を悪魔化した、感情的かつ扇動的な意見です。

こうなると相手は「人間」ではなくなり、まるで映画「ターミネーター」に出てくるスカイネットやターミネーターのような、顔の見えない存在となってしまうため、これを読んだ人間たちは、冷静にものごとを考えることができなくなってしまいます。

そうなると以前の本ブログのエントリーにもあったように、我々は相手を冷静に判断する手段を失ってしまいます。これは戦略で最も重要な「冷静さ」をわれわれから失わせることにもつながります。

2つ目は、ISのテロリストたちも必死であるということ。

「自爆テロするんだから当たり前だろ」という突っ込みはごもっともなのですが、彼らも所詮は「人の子」なのですから、いざ実行するまでにアジトがバレて警察に踏み込まれたり、現場で自爆する前に射殺されるなどして、自分の命を無駄にすることは我慢できないわけです。

つまり彼らも「命をかけている」わけですから、とっても不安。ビビってます。

だからこそここで紹介したような「ご相談窓口」への需要が出てくるのであり、本部のIS側もそれに答えようとして(CIAやNSAにバレる危険をおかしながら)爆弾の作り方を教えたり、他のイスラム教徒をISの教義に共感させて巻き込むような扇動の仕方を、わざわざオンラインで親切丁寧に教えてあげたりするわけです。

クラウゼヴィッツは戦争を「決闘である」と表現しております。そしてここで重要なのは、テロによって「決闘」を申し込んできたISというテロリストたちも、われわれと同じように不安を抱えながら犯行を実行する、弱さをもった人間であるということです。

テロリストたちはたしかに悪魔的な行為をしております。ただし彼らもわれわれと同じ「摩擦」(フリクション)に取り囲まれた人間です。スーパーマンでも悪魔でもないのです。そしてその違いは、戦略の階層の最上階に位置する「世界観」にあるのです。

彼らが人間であるという当たり前の想定・・・戦略を考える際に、われわれはこの単純な事実を決して忘れてはなりません。






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Commented by 待兼右大臣 at 2015-11-21 23:31 x
私は、リアルで知り合った人間からは、「まともな人間」として扱いされなかった(生物学的には人間だが、一般的な意味で「人間」と言うには疑問があるといわれ続けた。単なる「奇人変人」扱いであれば、その相手に感謝しなければならなかった)。

(奥山さんのように、【ネット経由】で知り合った人物のみ「まともな」人間扱いしてもらえる)私からすれば、このように、「人間扱い」してもらえるISがうらやましく思えます。

エントリの中身には何の見解も無いのですが、表題を見ての感想です。
Commented by 一般人 at 2015-11-22 11:53 x
コメントを一通り見るに、誤解が酷いな。
奥山さんはテロリストも人間だから人道的に扱えなどと書いていないわけで、
相手を悪魔とか機械とか考えると、相手の思考を読み取ろうとする努力が自動的に放棄され、有効なカウンターが出来ないよって書いてるだけなのに。
感情を排して奴らの攻撃手段を潰す、或いは良いやり方は学んでこちらも有効に活用させてもらうべきなのに感情論で否定する。
普段、左翼のお花畑振りを批判している人たちが、五十歩百歩のご同類ってのは悲しくなる。
Commented by hassel at 2015-11-22 12:07 x
タイトルだけみたら、「だから対話を」
的な主張が続くのかと思っちゃう罠。
Commented by 大阪人K at 2015-11-22 23:32 x
お久しぶりです。

>「ISが年中無休の24時間対応のテロリスト様ご相談窓口を持っている」
>「俺の会社よりも親切だ」とか「うちの行政よりもサービスが充実している」

ISが一般社会より親切で充実していると言いたくなる、その気持ちよく分かります。(笑)

>スカイネットやターミネーターのような

正直な話、ISに対して私もこのように思ってしました。
人間の本能なのかどうか知りませんが、薄気味悪い敵というのは、どうしても魑魅魍魎の類に見えてしまうのでしょうか。
彼らが人間であるという事実を忘れてしまう。
まだまだ私も修業が足りません。(笑)

何れにしましても、お化けでなく人間であるが故に彼らを叩きのめさないならないという当たり前のリアリズムから逃げることが出来ないのでしょう。(何せお化けなら人間と違って、お祓いなり妖怪ウォッチなりで解決ができますから(笑))
Commented by sdi at 2015-11-23 00:19 x
記事の内容通りに、育成、ケアした人材は作戦に成功しても失敗しても未帰還となることは確実です。
その点、労力やリスクに見合っているのか、という気もします。
by masa_the_man | 2015-11-21 09:52 | 日記 | Comments(5)