中国人民解放軍に対してどう備えるべきか
2015年 10月 30日
さて、連日の日本のメディアの報道でもあるように、南シナ海の領有権をめぐって中国と米国がいよいよ本格的に軍事的に対立しそうな雰囲気が続いております。
これに関しては私も番組(http://ch.nicovideo.jp/strategy)のほうで何度も取り上げているトピックですし、これをお読みのみなさんの中には軍事面で非常に興味を持っていられるかたも多いと思います。
このような状況の中で、私が最近興味を持ってその動向をチェックしているのが、主にオーストラリアのシンクタンクを中心に、中国人民解放軍は本当に脅威なのか、それとも脅威ではないのかという議論。
この一連の議論をあえて名付けるならば「張り子の虎論争」とでもいうべきでしょうか?
その代表的なものがこのブログの記事なのですが、私が見る限り、専門家の間では「まだ張り子の虎じゃないの」という意見が(ネット上では)優勢なような気がします。
ところがここでこれをお読みのみなさんに考えてみていただきたいのは、「あなたが国家のリーダーだったらどうするか」ということ。
もちろん中国軍の実態に詳しく、本当に細かいところまですべて把握している専門家でしたら、「張り子の虎なんだから安心しろ」と言えるのかもしれません。
さらには、反中派(というか侮蔑派)の人々の中には、「中国軍なんてしょせん大したことない。たしかに数はすごいかもしれないが、こっちは質で勝てる」と主張するのも全くアリでしょう。
ところが実際にあなたがトップとして現実に戦略を練る立場だったら「どうせ張り子の虎だから・・・」とはいえなくなるのではないでしょうか?なぜなら、もし「張り子の虎」でなかった場合に背負うリスクがあまりにも大きくなるからです。
では「戦略担当者」として最も望ましい態度は何かというと、それは相手の能力を基礎として、そのスペックを額面通りに受け取って、それに対して正面から真面目に備えることです。いわゆるCapability-based Approachというものですな。
相手が「ステルス機を持っている」と言い張るのでしたら、それに対抗するための情報関連の技術を獲得するか、それ以上のスペックのステルス機を購入すべき、ということになります。
「いや、そんなオーバースペックなことして、いざ楽勝したら投資が無駄じゃないの?」
という意見もあるでしょう。
ところが「楽勝」は「多大な被害を出して辛勝」や「敗北」よりも、はるかに望ましいことです。楽勝した側にとって、困ることは何ひとつないのです。
もちろん中国軍の本当の実力を見極めることは非常に大事です。ところがいざ何か起こった場合、備えを充実させておくのに越したことはないのです。
戦略家として相手の戦力にどう備えればいいのか・・・これは歴史が始まって以来のすべての国家や組織のリーダーにとっての難問でしょうが、答えはシンプルです。
それはたとえ相手が「張り子の虎」であろうとも、相手の性能を額面通りにとらえ、そして万一の事態に備えるということです。余計な希望的観測を挟んではいけないんですな。
▼奴隷の人生からの脱却のために
「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!

▼奥山真司の地政学講座
※詳細はこちらから↓
http://www.realist.jp/geopolitics.html



http://ch.nicovideo.jp/strategy

https://www.youtube.com/user/TheStandardJournal

隠すようになったらむしろ怖いですよね。

となれば、「コール」で勝負の権利を維持するというところでしょうか。
ブリッジで言えば
中国:「クラブの1」でも勝って次につなげる
米国:
戦略1:中国側のコントラクトで、それを防ぐのが「ローリスク」
戦略2:「ノートトランプの3」で「ゲーム」としたい
「メジャースートの4」は取れない
(=スラムが可能な状況ではない)
というところでしょうか
わが国は事実上「戦略1」しか選択肢は無いでしょうが

特に中国の戦略思想が「我の摩擦を減らす」ことより「彼の摩擦を増やす」ことに特化しているなら、なおさらです。
付記URL、元警視庁北京語通訳捜査官 坂東忠信氏サイトへ 新刊が出ました「 中韓に食い物にされるニッポン 」文芸社よりm(__)m僭越乍乱文にて 敬具

