2015年 08月 24日
北朝鮮の瀬戸際外交のポイントはどこに? |
今日の横浜北部は朝から曇っておりまして涼しいです。秋の気配がようやく訪れております。
さて、この週末に起こった北朝鮮と韓国の、国境付近での砲撃を含んだ瀬戸際外交については、日本のメディアでも「もしかしたら第二次朝鮮戦争勃発?!」ということで注目されましたが、直前になって板門店で軍の高官たちによる会議を開催することで、今のところはひとまず収束中です。
この件に関してはさまざまな意見があると思いますが、ブロマガ(http://ch.nicovideo.jp/strategy/blomaga/ar858952)にも書いた通り、私が面白いと思ったのは、韓国の大学で南北問題を研究している西洋人の教授の以下のような意見です。
一番最後の分析の部分だけを要訳です。
===
North Korea Is Mobilizing for War
By Franz-Stefan Gady
15-8/21 The Diplomat
http://thediplomat.com/2015/08/north-korea-is-mobilizing-for-war/
●金正恩は危機を盛り上げてから一気に手を引くような、いわゆる「瀬戸際外交」をまだやり慣れていない。さらに加えて、彼がどこまで目まぐるしく入れ替わっている北朝鮮の軍や党の内部を掌握できているのかについても疑問がある。
●また、ソウル側の危機の扱い方にも懸念があり、韓国は、2010年の延坪島砲撃事件の後から、不釣合いな反応による抑止理論を採用している。これはつまり、北が1発撃ってきたらその3倍から5倍の量を撃ち返すというものだ。
●この原則は、海の国境だけでなく、非武装地帯にも当てはまっているように見える。だからこそ北から4発の砲撃に対して、韓国は30発以上も撃ち返したのだ。
●では今後の動きはどうなるのだろうか?両国の首脳とも安全保障会議を開いたのは当然であり、朴槿恵大統領は疲れた顔をして前線を視察した。おそらく金正恩も視察するだろう。
●北は8月始めの地雷事件への韓国からの謝罪要求を拒否しており、韓国も北の高官級協議を拒否した。北は48時間以内の南の宣伝スピーカーの遮断を要求しており、これが守られなければ、砲撃を再開するものと見られている。
●韓国はスピーカーを止めるつもりはないし、不釣合いな反応も止める気はない。そうなるとどこに落とし所があるのかが不明確になる。
●現在のところは、通常兵力の面で圧倒的に劣っている北朝鮮は、韓国とアメリカに対して全面戦争を仕掛け、国をほろぼすようなリスクをかけてくるようには見えない。
●ところが、ここで重要なのは、金正恩が自軍をどこまで掌握できているのかという点だ。北の軍の高官たちは南からの挑発(と彼らが感じている)に対してトップが生ぬるい反応しかしていないことに不満を感じており、勝手に積極的な行動を起こすこともありえるからだ。
===
たしかに今回は金正恩にとって、「喪」が明けてからの初めての瀬戸際外交デビュー。果たして上手くやれるんでしょうかね?
「出来レースだ」という指摘もありますが、現場の暴走という可能性もありますので、実際何が起こるのかは誰にもわかりません。
▼奴隷の人生からの脱却のために
「戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!
▼奥山真司の地政学講座
※詳細はこちらから↓
http://www.realist.jp/geopolitics.html



http://ch.nicovideo.jp/strategy

https://www.youtube.com/user/TheStandardJournal
さて、この週末に起こった北朝鮮と韓国の、国境付近での砲撃を含んだ瀬戸際外交については、日本のメディアでも「もしかしたら第二次朝鮮戦争勃発?!」ということで注目されましたが、直前になって板門店で軍の高官たちによる会議を開催することで、今のところはひとまず収束中です。
この件に関してはさまざまな意見があると思いますが、ブロマガ(http://ch.nicovideo.jp/strategy/blomaga/ar858952)にも書いた通り、私が面白いと思ったのは、韓国の大学で南北問題を研究している西洋人の教授の以下のような意見です。
一番最後の分析の部分だけを要訳です。
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North Korea Is Mobilizing for War
By Franz-Stefan Gady
15-8/21 The Diplomat
http://thediplomat.com/2015/08/north-korea-is-mobilizing-for-war/
●金正恩は危機を盛り上げてから一気に手を引くような、いわゆる「瀬戸際外交」をまだやり慣れていない。さらに加えて、彼がどこまで目まぐるしく入れ替わっている北朝鮮の軍や党の内部を掌握できているのかについても疑問がある。
●また、ソウル側の危機の扱い方にも懸念があり、韓国は、2010年の延坪島砲撃事件の後から、不釣合いな反応による抑止理論を採用している。これはつまり、北が1発撃ってきたらその3倍から5倍の量を撃ち返すというものだ。
●この原則は、海の国境だけでなく、非武装地帯にも当てはまっているように見える。だからこそ北から4発の砲撃に対して、韓国は30発以上も撃ち返したのだ。
●では今後の動きはどうなるのだろうか?両国の首脳とも安全保障会議を開いたのは当然であり、朴槿恵大統領は疲れた顔をして前線を視察した。おそらく金正恩も視察するだろう。
●北は8月始めの地雷事件への韓国からの謝罪要求を拒否しており、韓国も北の高官級協議を拒否した。北は48時間以内の南の宣伝スピーカーの遮断を要求しており、これが守られなければ、砲撃を再開するものと見られている。
●韓国はスピーカーを止めるつもりはないし、不釣合いな反応も止める気はない。そうなるとどこに落とし所があるのかが不明確になる。
●現在のところは、通常兵力の面で圧倒的に劣っている北朝鮮は、韓国とアメリカに対して全面戦争を仕掛け、国をほろぼすようなリスクをかけてくるようには見えない。
●ところが、ここで重要なのは、金正恩が自軍をどこまで掌握できているのかという点だ。北の軍の高官たちは南からの挑発(と彼らが感じている)に対してトップが生ぬるい反応しかしていないことに不満を感じており、勝手に積極的な行動を起こすこともありえるからだ。

たしかに今回は金正恩にとって、「喪」が明けてからの初めての瀬戸際外交デビュー。果たして上手くやれるんでしょうかね?
「出来レースだ」という指摘もありますが、現場の暴走という可能性もありますので、実際何が起こるのかは誰にもわかりません。
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by masa_the_man
| 2015-08-24 11:22
| 日記