戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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尖閣問題:日本が◯◯したら中国は許してやる?

今日の横浜北部は、昨日ほどではないですが、それでも朝から気温が高めです。夜半からかなり風が強い感じですね。

さて、前回の生放送でも触れた、オバマ訪日中に発表された中国の識者の意見記事です。興味深いものなので要約しました。

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アメリカは東シナ海の領土紛争から手を引くべきだ
By 呉 心伯:復旦大学アメリカ問題研究センター所長
APRIL 23, 2014

●アメリカは、東シナ海の尖閣諸島をめぐる日中間の主権争いを不安定化させる役割を果たしている。

●ワシントン政府は1971年に尖閣の管轄権を勝手に日本に返してしまったただけでなく、「日米安保はこの小さな島々にも適用される」と主張しており、これは結果として、日本政府にさらに侵略的な姿勢を北京に対してとらせることにもつながった

●この問題の平和的な解決法というのは、究極的には日本政府が紛争の存在を認め、中国に対して融和的な政策を採れるかどうかにかかっている

●ところがここで大きな要因となるのは、ワシントン政府がその戦略を改めて日本を抑制するように動き、北京政府の海洋権益と安全保障環境についての懸念を払拭するような合理的な姿勢を採ることができるかどうかという点だ。

●日中関係が1972年のニクソン大統領による訪中の後に正常化に動いた時に、日中両政府は尖閣の領有権の棚上げを合意している。そしてこの状況は、その後の数十年間にわたって忘れられていた。

●ところが前東京知事で右派の石原慎太郎がきっかけとなってはじまった日本政府の2012年9月の国有化決定は、それまでの現状維持状態を大きく変化させることになり、それまでの日中両政府の「寝ている犬を起こさない」という暗黙の了解に違反することになった。

中国には、強く反発するしか選択肢は残されていなかった。北京政府は尖閣諸島周辺の領海に警備艇を派遣し、それ以降は主権を主張することを狙って、定期的な警戒態勢を敷いている。

●2012年12月から政権についているタカ派的なナショナリストである安倍首相は、尖閣の領有権が日本にあることについては全く疑いがないという非妥協的な立場をとっている。

●このような立場や、中国に対するさらに積極的な安全保障政策を合わせて考えると、日本が安倍首相の下でどれだけ独断的な国家に変化したのかは明白だ。中国人にとってこの変化は、第二次大戦次の日本侵略を思い起こさせるものであり、これは中国にとって極めて敏感な問題である。

アメリカは、有害な手助けを日本に対して行うような役割を果たしている。ワシントン政府は東京政府が同盟国と日本の領域外で共に軍事行動を行うことを可能にする、戦後の平和憲法を再解釈する動きを支持している

●ワシントン政府は安倍首相に対して積極的な安全保障政策を追及するよう促しており、この政策にはすでに進化している空・海部隊をさらに強化する、自衛隊の強化も含まれている。

●そしてワシントン政府は「日米安保同盟は東シナ海で争われている尖閣にも適用できる」と主張している。米軍はこの地域で、自衛隊との協力関係をさらに緊密化しているのだ。

●これらの政策が示しているのは、アメリカは領有権に関しては中立であると言いながら、日本の尖閣の立場を支持しているだけでなく、より重要なのは、日本が中国に対してより一層侵略的になるようにけしかけているのだ

●したがって北京政府は日米の共同的な力に対抗するために、東シナ海におけるパトロールを維持するだけなく、これをさらに強化するよう圧力をかけられたと感じている

●長期的な平和状態が達成されるまでの直近の懸念としてあるのは、小規模な衝突が制御不能な状態までエスカレートするのをいかに防ぐのかという問題だ。

●日中両政府は、警備船に対する厳格なガイドラインを設定することによって互いに挑発するのを避けるように努めるべきだ。そして中国の海警と日本の海保はホットラインを開設し、常に連絡を取り合い、アクシデント的な紛争が起こったり、起こりそうになった際に、誤認やエスカレーションを避けるべきなのだ。

●また、両政府は市民が島に上陸することを厳しく制限すべきである。なぜならこのような行動は相手国から同様の行動を誘発することになるからだ。

●長期的な合意――これは最終的には日中の二国間だけで合意すべきことだ――を促す環境づくりをする上でカギとなるのが、米政府である。

この場合、アメリカがすべきことは「何もしない」ということだ。ワシントン政府は紛争へ直接的な介入を避けることで貢献することができるのであり、領有権に関する問題では中立を維持し、しかもその仲介者になろうとしてもいけない

ワシントン政府は、日本に対する軍事的な支援を公約するのは避けるべきである。なぜなら安倍政権はこのような支援を元にして、中国に対してさらに強い姿勢を示してくる可能性が高いからだ。

●アメリカができる最も建設的なことは、その影響力を使って、東京政府に公式に紛争が存在することを認めさせることだ。

●長期的に紛争を解決するための最も効果的かつ現実的なやり方は、単純に「領有権の棚上げに合意する」というものだ。いいかえれば、1970年代初期に行ったように、日中両国は「合意しないことに合意」すればいいのだ。

日本がまず最初にやらなければならないのは、尖閣において領有権争いが存在することを認めることだ。もし日本政府がこの動きを見せることができれば、北京側は棚上げを提案できるかもしれない。

●このやり方を進めるためには、日中両政府は「3つの禁止事項」を提案すべきであろう。それは、係争海域に入らない、上陸しない、上空を飛行しない、というものだ。

●今回のオバマ大統領の日本訪問は、このような合意を進めるためのチャンスである。もしオバマ大統領の口からはあまり好ましい言葉が出てこなければ、東シナ海における日中間の紛争は今後も続きそうであり、地域の安定をそこない、米中関係も制約を受けることになる。

●戦略的にも経済的にもあまり重要性をもたない尖閣諸島(釣魚島)は、世界の三大経済国の関係を悪化させるだけの価値を持つものではない。この問題を棚上げすべき時が来ている

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奥山真司のアメリカ通信LIVE


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by masa_the_man | 2014-05-04 11:22 | 日記 | Comments(0)