2014年 04月 13日
ジェームス・ホームズ:「中国に沖縄取られたら」論① |
今日の横浜北部は朝からスッキリ晴れております。しかし風は強く、気温も低めでした。
さて、ジェームス・ホームズ海軍大学教授による「中国に沖縄取られたら」論が面白かったので、この要約を。
ちょっと長いので三回分にわけて掲載します。
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中国は日本の南西諸島を奪うかもしれない
BY ジェームス・ホームズ
●4月6日に東京で行ったスピーチの中で、チャック・ヘーゲル国防長官はけっこうあからさまに中国の尖閣に対する侵略的な行動について触れている。
●曰く、国家というものは「強制力、強要、そして脅しなどによって、国境を書き換えたり領土保全を破ったり国家の主権を侵害してはらない」ということであり、これは「太平洋の小さな島であろうが、ヨーロッパの大きな国家であろうと関係ない」というのだ。
●その2日後に、ヘーゲル長官の相手となる中国の常万全国防相はそれに反論して、「中国は尖閣について議論の余地のない主権」を持っていると述べ、同時に「中国軍は招集がかかればすぐにいかなる戦いにも勝つことができる」と言っている。
●北京政府の尖閣に対する立場は明確だ。ところが尖閣は食後の「デザート」なのだろうか?それとも「前菜」なのだろうか?もし中国軍が尖閣を占拠したら、そこから近くの琉球諸島まで手を伸ばすだろうか?
●これは別に荒唐無稽な話ではない。日本の戦略家たちは、この琉球諸島にとっての最悪のシナリオをいかに阻止するのかに頭を悩ませている。
●これについてはアメリカも心配すべきであろう。琉球諸島は尖閣諸島から東へ170キロほどしか離れていないからである。琉球諸島には150万人の日本人が住んでいるだけでなく、アメリカの海兵隊と空軍の基地が東シナ海ににらみを効かせている場所だからだ。
●中国琉球諸島を占拠すれば、アメリカの東アジアにおける戦略的ポジションに亀裂が生じることになり、日本の北にある在日米軍基地と、はるか西のバーレーンまでを引き離して空白地帯を作ってしまうことになる。
●また、少なくとも米軍の艦船と航空機は、中国が占拠している島々や水域、そして空域などを迂回しなければならなくなり、これには長距離移動にこれまで以上にコストがかかることを意味することになる。
●島嶼戦というのは今日の時代にとっては時代遅れに見えるかもしれないが、中国にとっては琉球諸島のいくつか、もしくはすべてを獲得するのは、戦略的にも理にかなっている。
●現在、日米両軍は東シナ海を西太平洋から包囲することができるのであり、この地域を通行する艦船や航空機を攻撃できるような兵器を琉球諸島に備えることによって、中国の艦船がこの海域に出入りするのを阻止できる状態にある。
●ところが近海での人民解放軍の攻勢によって、西太平洋への中国の軍艦や商船にとってのアクセスは確保されることになり、この致命的な海域を遮断しようとする日米側の動きを尻込みさせることになるのだ。
●また、琉球諸島の征服には利益もある。琉球諸島に人民解放軍が海・空・ミサイル部隊を置くことができれば、中国は東シナ海へのプレゼンスを突出させることができるのだ。
●日本の南西方面にある部隊は、アジアの沿岸地域における南北方向の動きや、西太平洋深くまでの動きを脅かすことができる。海洋のコントロール、つまり海上交通と航空ルートを閉鎖する能力は、北京政府に政治的影響力を授けることになる。
●もし人民解放軍が沖縄をコントロールできれば、これはさらに米空軍と海兵隊を撤退させることになり、アジアにおけるアメリカの戦略ポジションを低下させることになる。
●もちろんこれは中国にとってかなりリスクのある動きとなる。沖縄の米空軍は1万8000人おり、中国が沖縄をとろうとすれば、これは多くのアメリカ人の命が犠牲になることを意味するため、全面戦争にならざるを得ない。
●それでも北京政府は迅速かつ強烈な打撃を与えることによって、ワシントン政府に既成事実を突きつけることを計算に入れているかもしれないのだ。
●沖縄が中国の手に落ちれば、それを取り返す義務がアメリカに生じることになるのだが、これは不愉快な展開である。中国側はアメリカのリーダーたちがそこまでして取り返したいとは思わないと信じて賭けに出るかもしれない。
●そして愛国的な中国人たちにとって重要なのは、琉球諸島での動きは東京政府に対して一泡吹かせることにもなる、という点だ。また、これによって「日本が17世紀から19世紀後半まで帝国主義的な日本が琉球を占領した」という彼らが「歴史上の不正行為」だ考えることを正すチャンスが訪れるかもしれないのだ。
●また、これが成功すれば、アジアの序列における中国のトップへの復帰を宣言することにもなる。しかもこれほど目覚ましいやり方はないのだ。
●簡潔にいえば、琉球諸島の奪取は、中国側にとって「非常に大きなリターンがあり、西太平洋におけるアメリカの支配状態の終焉の到来を早めることになるマイナーな作戦」と見られる可能性があるということだ。
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この続きは下のエントリー(↓)にあります。
さて、ジェームス・ホームズ海軍大学教授による「中国に沖縄取られたら」論が面白かったので、この要約を。
ちょっと長いので三回分にわけて掲載します。
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中国は日本の南西諸島を奪うかもしれない
BY ジェームス・ホームズ
●4月6日に東京で行ったスピーチの中で、チャック・ヘーゲル国防長官はけっこうあからさまに中国の尖閣に対する侵略的な行動について触れている。
●曰く、国家というものは「強制力、強要、そして脅しなどによって、国境を書き換えたり領土保全を破ったり国家の主権を侵害してはらない」ということであり、これは「太平洋の小さな島であろうが、ヨーロッパの大きな国家であろうと関係ない」というのだ。
●その2日後に、ヘーゲル長官の相手となる中国の常万全国防相はそれに反論して、「中国は尖閣について議論の余地のない主権」を持っていると述べ、同時に「中国軍は招集がかかればすぐにいかなる戦いにも勝つことができる」と言っている。
●北京政府の尖閣に対する立場は明確だ。ところが尖閣は食後の「デザート」なのだろうか?それとも「前菜」なのだろうか?もし中国軍が尖閣を占拠したら、そこから近くの琉球諸島まで手を伸ばすだろうか?
●これは別に荒唐無稽な話ではない。日本の戦略家たちは、この琉球諸島にとっての最悪のシナリオをいかに阻止するのかに頭を悩ませている。
●これについてはアメリカも心配すべきであろう。琉球諸島は尖閣諸島から東へ170キロほどしか離れていないからである。琉球諸島には150万人の日本人が住んでいるだけでなく、アメリカの海兵隊と空軍の基地が東シナ海ににらみを効かせている場所だからだ。
●中国琉球諸島を占拠すれば、アメリカの東アジアにおける戦略的ポジションに亀裂が生じることになり、日本の北にある在日米軍基地と、はるか西のバーレーンまでを引き離して空白地帯を作ってしまうことになる。
●また、少なくとも米軍の艦船と航空機は、中国が占拠している島々や水域、そして空域などを迂回しなければならなくなり、これには長距離移動にこれまで以上にコストがかかることを意味することになる。
●島嶼戦というのは今日の時代にとっては時代遅れに見えるかもしれないが、中国にとっては琉球諸島のいくつか、もしくはすべてを獲得するのは、戦略的にも理にかなっている。
●現在、日米両軍は東シナ海を西太平洋から包囲することができるのであり、この地域を通行する艦船や航空機を攻撃できるような兵器を琉球諸島に備えることによって、中国の艦船がこの海域に出入りするのを阻止できる状態にある。
●ところが近海での人民解放軍の攻勢によって、西太平洋への中国の軍艦や商船にとってのアクセスは確保されることになり、この致命的な海域を遮断しようとする日米側の動きを尻込みさせることになるのだ。
●また、琉球諸島の征服には利益もある。琉球諸島に人民解放軍が海・空・ミサイル部隊を置くことができれば、中国は東シナ海へのプレゼンスを突出させることができるのだ。
●日本の南西方面にある部隊は、アジアの沿岸地域における南北方向の動きや、西太平洋深くまでの動きを脅かすことができる。海洋のコントロール、つまり海上交通と航空ルートを閉鎖する能力は、北京政府に政治的影響力を授けることになる。
●もし人民解放軍が沖縄をコントロールできれば、これはさらに米空軍と海兵隊を撤退させることになり、アジアにおけるアメリカの戦略ポジションを低下させることになる。
●もちろんこれは中国にとってかなりリスクのある動きとなる。沖縄の米空軍は1万8000人おり、中国が沖縄をとろうとすれば、これは多くのアメリカ人の命が犠牲になることを意味するため、全面戦争にならざるを得ない。
●それでも北京政府は迅速かつ強烈な打撃を与えることによって、ワシントン政府に既成事実を突きつけることを計算に入れているかもしれないのだ。
●沖縄が中国の手に落ちれば、それを取り返す義務がアメリカに生じることになるのだが、これは不愉快な展開である。中国側はアメリカのリーダーたちがそこまでして取り返したいとは思わないと信じて賭けに出るかもしれない。
●そして愛国的な中国人たちにとって重要なのは、琉球諸島での動きは東京政府に対して一泡吹かせることにもなる、という点だ。また、これによって「日本が17世紀から19世紀後半まで帝国主義的な日本が琉球を占領した」という彼らが「歴史上の不正行為」だ考えることを正すチャンスが訪れるかもしれないのだ。
●また、これが成功すれば、アジアの序列における中国のトップへの復帰を宣言することにもなる。しかもこれほど目覚ましいやり方はないのだ。
●簡潔にいえば、琉球諸島の奪取は、中国側にとって「非常に大きなリターンがあり、西太平洋におけるアメリカの支配状態の終焉の到来を早めることになるマイナーな作戦」と見られる可能性があるということだ。
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by masa_the_man
| 2014-04-13 10:38