戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

南シナ海をめぐるフィリピンと中国の紛争

今日の横浜北部は朝から晴れておりまして、これから気温が上がりそうな予感が。

さて、NYタイムズがフィリピンと中国での領有権争いについて社説で触れておりましたのでその要約を。

あまり注目されませんが、ここは日本のシーレーンが通っておりますし、尖閣問題もありますので、実はまったく他人事ではありません。

===

南シナ海の危険なゲーム
By NYタイムズ論説委員

●フィリピンは、中国のアグレッシブな言葉づかいや、南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する拡大主義的な宣言にもひるまずに、ハーグの国際司法裁判所に陳述書を出して提訴している。

●これは大規模な紛争を平和的に解決するための適切なやり方であり、国際的な慣習にも合致したものだ。フィリピンの戦略は中国に対して同様に領有権を争っている他の国々――ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾――にとっても参考になるものであり、国際社会からも支持を受けるべきものだ

●中国とフィリピンの間のライバル関係は厳しく危険な可能性を持つものであり、実際に島や岩礁を巡って頻繁に睨みあいが起こっている。このような衝突が制御不能になるのは想像に難くない。

●最近のエピソード(3月9日)としては、フィリピンの艦船が中国の海警の艦船の制止を振りきって南沙諸島のアユンギン礁(Second Thomas Shoal、仁愛礁)に15年間座礁したままの船に対して、物資の供給を行った時のものがある。

●フィリピンは1999年にここに意図的に船を座礁させてこの礁の領有権を主張し、それ以降は実質的にここを軍事的な前哨基地にしている。中国側の艦船は、今回はここに食糧や兵士を届けるフィリピンの補給船の進行を妨害しようとした。

●アユンギン礁は、今回のハーグの常設仲裁裁判所で争われるケースの焦点となっている。フィリピン側の訴えでは、この場所はフィリピンの沿岸から105海里しかなく、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく排他的経済水域(EEZ)で決められている200海里のはるか内側になるという。裁決が出るのは来年夏ごろだと言われている。

●中国側は、世界貿易にとっても決定的に重要なこの南シナ海の80%の領有を主張している、フィリピン側が国際司法の場に持ち込もうとするのを認めず、そのプロセスにも参加しないことを繰り返し主張している。また、駐北京のフィリピン大使を呼びつけて強い抗議を行っている。

●中国は1982年の国連海洋法条約の批准国でありながら、いくつかの領有権問題では国際的な司法裁決には従っていない。その代わりに中国は2国間協議による解決を長年提案しており、それでも解決には至っていない。

●これらの緊張を考慮すると、両国には国際司法の下で議論を行って裁決を受け入れるべき時が迫ってきたといえるだろう。

アメリカは領有権については中立の立場をとっているが、平和的な解決をするよう主張しており、フィリピン側の国際司法裁判による紛争解決のやり方を支持している。

●それ以外の国々も同じような立場をとるべきであろう。そうでなければ、「ライバルをいじめ続けて従わせてもよい」という誤ったメッセージを中国側に送ってしまうことになる。

===


なんだか構造的には尖閣の事案と似たようなところがありますね。ただし実効支配しているフィリピン側が座礁船に人を載せているのは日本側とちょっと事情が違いますが。

ここで問題なのは、アメリカがUNCLOSの批准国じゃないという点でしょうか。そういう意味で、中国側からツッコまれる心配があるという部分が。

それにしても基本的に「国際法」に訴えるのは弱い国である、というのは昔から相場が決まっておりますね。

日本の新聞で最近この件について一番まともに紙面で報じていたのは読売でしょうか。


by masa_the_man | 2014-04-09 10:24 | 日記 | Comments(0)