中国の国防費増大を批判するNYタイムズの社説 |
さて、NYタイムズの社説で、やや腰の引けた中国批判が展開されておりましたので、さっそくその要約を。
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中国の不穏な国防費
By NYタイムズ論説委員
●中国は合計1320億ドルにものぼる2014年の国防費によって、アジアで新しい不安の種を植えている。これは前年と比較して12.2%の増額だ。
●もちろんこの数値は、アメリカの国防費増額のための論拠として使われるべきではない。しかしこれらは地域の緊張が高まっている時に北京政府が否定する、中国の本当の動機にたいする正当な懸念を引き起こすものだ。
●中国の経済成長率はたしかに減少しているが、新しい国防費はここ三年で最大の伸びを示しており、数十年以上にわたる二桁成長が続いていることを明らかにしている。
●多くの専門家たちが、本当の数値はさらに高いものであると考えている。これが正しかったとしても、この国防予算はアメリカのそれよりも遥かに低いものだ。
●実際のところ、アメリカの2014年度の国防費は5286億ドルであり、これが世界最大で最も効果な最先端の軍を支えている。
●世界第2位の経済規模を誇る中国が、時の経過とともに自国の安全や経済の権益を守るために国防費を増額するようになるのは当然であろう。
●ところが国防予算の増大というのは、まったくの真空状態で発生するものではない。
●この地域にたいする侵略的で新しいアプローチを採用することによって、中国は経済面だけでなく、軍事面でも支配的になることを恐れる周辺国に疑念を植えつけることになったのだ。
●中国は東シナ海で日本が実行支配する島々の領有権を巡って危険な紛争を始めており、これらの島の周辺で頻発している中国の軍事警戒活動と日本の漁船による活動は、紛争を勃発させる可能性をもっている。
●去年の11月に、中国は新たにこの海域の一部を含んだ「防空識別圏」を宣言しており、これによって日本、韓国、そしてアメリカに衝撃を与えている。
●また中国は、東南アジア諸国の南シナ海での漁業権と、推測される石油とガスの埋蔵についての領有権に反対することによって、威圧的な態度を取り続けている。
●もちろん専門家の中には、中国の軍事力がアメリカのそれに追いつくまでには数十年かかると見ている人々もいるが、中国は潜水艦、洋上艦、対艦弾道ミサイルなど、周辺国をさらに脅したりアメリカがアジアの同盟国を守るためにアクセスしてくるのを拒否するための、新しいシステムの開発に投資している。
●中国は世界にたいして「何も恐れることはない」と説明しているが、アメリカが行っているように、なぜそのような強烈な増額が必要で、どこに資金が回されているのかを説明することによって、その懸念を緩和することができるだろう。
●また、アメリカと中国の軍同士の間で協議が進めば、この緩和にも貢献することになるだろう。
●そうなれば、深刻な領海紛争の解決が図れるだろうし、少なくともそれらを管理するための行動指針に合意することもできるかもしれない。
●その合間に、アメリカ連邦議会は国防費の増額は控えるべきだ。
●望ましい対処は、アジアで拡大する経済、政治、そして軍事面でのオバマ大統領の取り組みを支持することであり、同時に中国の能力に注視していくことである。
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倫理面にたいする日本への厳しい視点と、中国にたいするほぼ能力面だけに絞った批判というのは対照的ですね。
それにしても「中国の軍事警戒活動と日本の漁船による活動」というの正しくないような気が。