ブレジンスキー:ウクライナを「フィンランド化」せよ
2014年 03月 01日
さて、すでに一部では報じられておりますが、ウクライナに関するブレジンスキーの意見がFT紙に出てましたのでその要約を。
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ロシアには、ウクライナをフィンランドにする選択肢が必要だ
by ズビニェフ・ブレジンスキー
●ウクライナで混乱が勃発し、ロシアの介入の脅しが真実味を帯びてきた現在、西側諸国による建設的な結末の獲得の必要性はさらに高まってきている。
●ロシアは、ウクライナを厳しく破壊的で国際的にも危険な内戦へと導くことができる状態にある。クリミアや東部の工業地帯のいくつかを分離独立させることもできるからだ。
●ところがモスクワの支援を受けたいかなる形の内戦でも、その短期的な結果に関係なく、ウクライナのほとんどの国民をロシアの敵に回すことになってしまう。
●これは実質的に、プーチン大統領自身が進めている「ユーラシア連合」という過去の栄光を求めた夢が、実は脅しや強制をベースにした試みであることを明らかにしてしまうのだ。
●そうなると、これは以前はソ連邦に属していた新しい国々にとって、それほど魅力的なビジョンとはならないのだ。
●ところが西洋諸国側は、暴発する暴力の封じ込めを行う上で建設的な役割を果たすことができる。
●もちろんこのためには、アメリカはEUと協調した行動をとる必要がある。アメリカはプーチン大統領にたいして「アメリカの影響力を使って、本当に独立して領土も分裂していない状態のウクライナを確実にするために、冷戦時のフィンランドのような例を目指す政策をとる」と伝えることができるし、実際にもそうすべきなのだ。
●フィンランドということは、つまりロシアとEUが互いに尊重しながら広範囲にわたる経済関係を維持し、モスクワ自身が支配しているいかなる軍事同盟にも参加しない状態で、ヨーロッパとのつながりも拡大させる、というものだ。
●端的にいえば、フィンランド式のやりかたが、ウクライナだけでなく、EUやロシアにとっても理想的な例なのだ。
●ところがモスクワ政府側の信頼性を高めるには、アメリカ政府はロシア政府にたいして、「もしウクライナで誕生しつつある民主制度を不安定化させて、ウクライナの一部を分離させるようなことをすれば――さらには他国の国内紛争へのロシアの直接・間接の介入を含むが――、アメリカ政府は国際的な影響力をつかってモスクワに経済的なダメージを与える手段をとる」ということを、非公式の場で明確に伝える必要がある。
●このためのオプションには、アメリカ単独、もしくは国際的な協力による金融制裁や、WTO、世銀、そしてG8などにおける、ロシアの立場の見直しまで含まれるべきだ。
●もちろんこの実行の際には、ロシアと貿易を活発に行っているEUが、アメリカの強固なパートナーとなるべきであることは明白だ。
●ところがこれよりも緊急性が高いのは、EUがウクライナにたいして緊急の金融援助を計画することだ。これができないと、ウクライナは金融面での大混乱に陥る可能性がある。
●そのようなEUの行動を主導すべきなのは、ドイツとイギリスだ。とくに後者は、ロシアとウクライナの大物金融関係者の亡命先となっていた事情から、とりわけ大きな役割を果たすことができるはずだ。
●ところがここで重要なのは、すべてのEUの国々が「ウクライナの経済崩壊と」いう潜在的な災害を避けるための努力に参加すべきである、ということだ。
●アメリカとEUは、理想的にはロシアの助けをかりて、キエフ内で支配的な民主制度への流れを支援する必要があり、復讐や報復ではなく、国家の統一と政治の穏健化を守る方向へと後押しすべきなのだ。
●そしてそれは可能だ。なぜなら、マイダン評議会で登場したリーダーたちは穏健派だからだ。
●したがって、短期的なことはさておき、私はウクライナが早期に民主的なヨーロッパの仲間入りを果たすものであると信じている。そしてロシアも、頑なに孤立しようとしたり、時代遅れの帝国主義的なやり方に固執しなければ、長期的にはその動きを追うことになると信じている。
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ロシア嫌いのブレジンスキーが、ウクライナの「フィンランド化」をロシアに迫るという、とても興味深い意見です。
しかしウクライナの新政権が「穏健派」というのは本当なんですかね・・・
とにかくウクライナというのは地政学的にも「アレ」なところです。これについては次回のメルマガで少し書いてみたいと思います。


ここで引っかかるんじゃないかな。金融機関の銭ゲバ業界は地政学的視点なんかより目の前のゼニ以外に興味ないし、そのウォール街のバクチ打ちの影響力はオバマ政権に対して非常に大きい

無介入なら、内戦は必至な気がします。


ずっと貿易赤字を垂れ流してきたウクライナには、エネルギーを中心とした経済的な権益(巨額な未払いのガス代金)もロシアはずっと我慢しながら現金化出来ない債務を保有してきた以上、地理的にも経済的にも民族的にも特殊な権益を保持していることを認めろというのがロシアの立場でしょう。今回の革命騒ぎ後の政府がウクライナ人によって作られるとした場合、在留自国民の保護を大義名分に軍事侵攻したとしても、こういう前提条件が揃っている以上。国際法の観点からも一方的に非難される筋合いは無い。という判断がプーチンさんにはあるのかも知れませんね。

よくよく読みましたら全く私とは関係ない世界のブログ・・恥ずかしわ~
でウクライナですがはるか昔ナイチンゲールが赤十字で活躍したり、トルストイがアンナ・カレーニナで最後ウ゛ィロンスキーがクリミア戦争に出かけるのですがあのころと全く事情が変わっていないのでしょうか?
どのみち色々聞くと民族自体が違うとの事・・これじゃ紛争は絶えませんね
EUはお金出す気持ちはあるんでしょうか・・と言うより銭あるのか?
気持ちだけでは助けられません
アメリカのネオコンが裏で助けていると専らの噂セですが、アメリカにもお金ないし・・日本にタカルの止めてね・・とは思いますが、思うそばからどうやらこんな離れた地域の紛争にも日本は金を出すようで・・勘弁してほしい

関係国だけで何とかせい!と言いたいけど、散々日本に靖国云々とほざいて厚かましく奉加帳を出してくるEU諸国やアメリカ・中国の神経のほどがわかりません・・神経なんてないんでしょうね(笑)



ティモシェンコ女史の動向が気に成りますね。
(リプニツカヤさんといい、ティモシェンコさんといい、あの大地には個性的な女性が生まれる風土があるのでしょうか・・・)
今回の件で思ったことを書くと
・クリミア戦争、独ソ戦と印象が重なってしまう。西欧とロシアが激突するポジションは、今も昔も変わりない。
・ロシアの大戦略レベルが上手くいっていないことを露呈しまった。
黒海艦隊、軍需及び宇宙産業といったロシアにとって死活的な資産を不安定なウクライナに置かざる負えない問題をずっと抱え続けている。
・クリミア戦争及び独ソ戦のときのようにこの騒動が日本へ影響が及ぶのか。特に北方領土問題に影響を与えるのか否か。
(ユーラシアの端で起こったことは、もう片方の端にも影響を与えるのは
、いつものことですから。)
以上、こんなことを考えてしまいます。




これを「フィンランド化」と呼んでいいんでしょうかね。フィンランドの場合、政治体制・経済体制は西側のそれを維持しつつ政治・軍事的にはソ連に従属する、という状態でした。有事(第三次欧州大戦想定)の場合はフィンランド軍はワルシャワ条約機構軍に協力することになっていました。フィンランド軍が東側の装備を採用していたのはこのためです。ですから、中立国ではないですね。西側のマスコミも「属国化」の意味で使っていたと記憶しています。
とすると、ブレジンスキーは「ロシアを中心とした軍事同盟には加わらないけど、ウクライナは政治・軍事的にはロシア陣営の一員として行動せよ。アメリカ・EUもウクライナはロシアの縄張りと認めてよけいな介入をするな」と考えて「フィンランド化」という単語を使ったのでしょうか?

これは初耳ですね。この情報源はあなた様の脳内にしか存在しないのでしょうか?ソ連との友好協力条約で、フィンランド国内を通過してソ連に侵入する国がある場合は、フィンランドは防衛義務を負うと定めている程度で、ソ連の関わった紛争に軍事協力をする義務をフィンランドは負っていませんでした。ソ連を刺激するような行動を自制していただけで、最も強力な自主中立政策を取っていたのですけどねえ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Zbigniew_Brzezinski
あそこいらのことよくわかっているはずなのに、あまり役に立たなそうな文章です。

「協力」するのはその通りです。ただし、フィンランドが防衛義務を負うとしても「独力」かどうかです。わたしは「ソ連と共同で防衛すること想定していた」と考えています。少なくとも、兵装や補給品等をワルシャワ条約機構のそれと共通化している時点で、そういう事態を想定しているのでは?。私の考察ですので「脳内」と罵られてもしかないところでは有りますので、言葉足らずで誠に申し訳ないです。確かに、フィンランドが自国が独力で守れるギリギリの線での「自立」を確保していたことはご指摘のとおりかと。フィンランドにしてみれば「西欧諸国が助けくれれば、こんなことにならずに済んだのに」と思うのはもっともです。但し、「中立」という点では、当時のNATOはじめ西側諸国からはどう見えたでしょう。「フィンランド化」という単語が良い意味で使われていたとは思えないのです。欧米の戦略家達(タカ派と呼ばれる人たちは特に)の観点がどこに立脚しているかと思うと、やはり「フィンランド化」という言葉に「属国化」という概念を入ってるんじゃないかと、わたしは考えます。