戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


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米軍予算の削減

今日の横浜北部はよく晴れました。気温もやや上がってきたような。明日から本格的に暖かくなると聞いていますが・・・

さて、すでに日本のメディアでも取り上げられている、米軍予算の削減についての記事の要約です。

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米国防省、第二次大戦前の規模にまで軍備縮小を計画
Byトム・シャンカー&ヘレン・クーパー

●ヘーゲル国防長官は第二次大戦前のレベルにまで米軍を縮小する計画だ。そして新しい予算では米空軍のある攻撃機の部隊全部が消滅し、2001年のテロ事件以降としてははじめて積極的に軍備縮小を進めている。

●月曜日に公開された提案書では、政府の緊縮財政の現実や、二つのコストのかかる地上戦を終わらせることを誓った大統領の意向が反映されている。

●その結果、米軍はどの国の敵でも倒すことはできるが、それでも外国で長期にわたって占領を継続するには小さすぎることになる

●この提案書の初期の段階の草稿を見た関係者が認めるのは、予算削減によって2正面で大規模な戦争を同時に戦うことは難しくなり、もしその段階で命令されたら長期戦となって犠牲者も多くなるという。

●また、彼らは小規模になった米軍のおかげで、将来の敵が冒険主義的になる危険も指摘している。

●ある国防省関係者によれば「軍というのは備えあってものだが、大規模な陸上戦がなくなってしまえば大規模な陸上部隊もいらなくなってしまう」という。

●この予算は政治的な議論を呼ぶことは必至だ。たとえば飛行大隊を退役させようという動きに敏感な連邦議員たちは、さっそくこの提案の進行を阻止しようとしており、州兵協会というロビー団体は、議会に予算削減を阻止するよう働きかけるためのパンフレットを準備している。

●州知事もこの政治に口を出してくることが確実であり、国防産業の幹部や軍港を持つ選挙区選出の議員たちも、艦船の建造を遅らせるようないかなる動きにも反対することが予測される。

●そのような状況でも、国防省関係者によれば、米軍は世界最高の能力を維持するだけの予算は得られるだろうし、ヘーゲル長官の提案は統合参謀本部の了承を得ることになると述べている。

●彼らによれば、人員削減で浮いた額の資金は、現役の人員の訓練や装備の充実のために回されるはずだという。

●「ヘーゲル予算」によって明らかになるのは、米軍が特殊部隊やサイバー関連の予算については守るということであり、海外に派遣されている部隊の中で陸上部隊を伴わないものには優先的に予算がつけられるというものだ。

●そして少なくとも1年間は、空母を現在の11隻体制のまま維持するという。

●関係者によれば、全体的にいってヘーゲル予算はオバマ大統領の意向を取り入れたものであるという。つまり米国の領土と海外の権益を守り、侵略的な動きを抑止し、もし戦争になれば決定的に勝利する、というものだ。

●「それでも米軍の規模は大きいままですよ。でもさらに身軽で、高い能力を持ち、近代化され、しかも練度を上げたものになるでしょう」とはその関係者。

●ヘーゲル氏の計画は、陸軍と州兵、そして予備役などの、陸上部隊にたいする影響が最も高いといわれている。

●とくにイラクやアフガニスタンで激しい戦闘を行っている米陸軍は、911事件後のピークである57万から49万まで縮小することを計画しており、将来的には44万から45万の間に落ち着きそうだ。この数は1940年以降では最少である。

●長年にわたって、国防省は2つ戦争を(たとえばヨーロッパとアジアで)同時に戦えるだけの規模が必要だ(とくに冷戦中に)と論じてきたが、最近の一連の文書では、一正面で決定的に勝利し、もう一正面では動員準備ができるまでもたせ、最終的に勝てればよいという議論がされている。

●実戦投入までには訓練に時間もコストかかる州兵や予備役は、あまり大きな削減には直面しないとされている。しかし州兵のほうは陸軍と、アパッチ攻撃ヘリとブラックホークヘリコプターを交換するという。州兵には災害派遣などで輸送ヘリのほうが必要だからだというのがその理由だ。

●ヘーゲル予算は去年12月にオバマ大統領が議会と合意した超党派の予算強制削減案に沿ったものだ。この案では2015年度の国防予算の上限が4960億ドルに設定されている。その後の法案で2016年にさらなる削減が発動すると、将来的にはさらなる削減が必要になってくる。

●今回の予算ははじめてヘーゲル氏が長官になってから本格的に関わったものだ。まだ長官になってから1年ほどだが、その間はまだ前期から受け継いだ問題に対処していただけであった。

●今回の提案は復員兵たちの団体や防衛産業関係者、それに自分の選挙区の基地の閉鎖を避けたい下院議員たちの反対にあうことは確実だ。

●関係者によれば、最初のステップとして、まずヘーゲル氏は高官レベルの給与レベルを1年間据え置きする。一般兵士は1%の給与増額だ。そして2015年以降では同じように据え置きになるという。

●2015年度の予算では兵士にたいする無税の住宅手当の拡大を抑えることになり、軍の施設の購買部への14億ドルにのぼる直接補助金が減額され、兵士が購入する物品の価格は上がることが見込まれている。

●また、退役兵や現役の家族などの健康保険の掛け金の増額が予定されている。しかしヘーゲル予算では、現在兵役についている人々が退役したあとの年金などは変化しないという。

●ヘーゲル予算では空軍のA-10攻撃機の全機廃棄が予定されている。A-10は西ヨーロッパで侵攻が起こった場合にソ連の戦車を攻撃するためのものとして作られたが、この能力は今日はもう無駄であると見なされている。

●ただしF-35の開発費はカットされていない

●他にも廃棄されるのはU-2偵察機であり、これが無人機のグローバルホークにとってかわることになる。

●海軍は2隻の駆逐艦と2隻の潜水艦を毎年購入することができるが、11隻の巡洋艦は、近代化の過程で待機状態におかれることになる。

●空母を1隻退役させることも考慮されたが、海軍はとりあえず当面は11隻体制を維持することになった。ジョージ・ワシントンはこれからドックに入って数年間にわたって改修されることになり、厳しい予算内ではこのまま退役ということもありえるという。

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実は目に見える形での削減というのはないみたいですね。それでも同盟国にたいする負担を上げるという方向は変わらないわけで。


Commented by だむ at 2014-02-25 21:43 x
>米国の領土と海外の権益を守り、侵略的な動きを抑止し、もし戦争になれば決定的に勝利する

つまり、「同盟国は防衛の対象としない」ってことですな
Commented by エルトリューム at 2014-02-25 23:12 x
好意的に解釈すれば、備えるべきであった中国の軍拡は、バブルの崩壊が決定的になったので、もうこれ以上予算を増やさなくとも後は勝手に向こうが縮小均衡コースに入る事を読みきったということなのかも知れません。ロシアも天然資源価格の値下がりが決定打となり、こちらも国家予算の制約から軍拡はもはや不可能と読んだかも知れませんね。
Commented by sdi at 2014-02-25 23:25 x
これはまた、なんというか。F-35継続は当然かもしれません。なにしろ代替できる機体がありませんから。
ポイントはやはり陸軍についての措置と州兵、州空軍の規模でしょうね。たとえばですが、ごっそり「削減された」A-10の行き先によっては、ただの配属転換になるかもしれません。州空軍のアパッチが陸軍に転属の逆のケースです。
海軍に関しては、まず空母は11隻体制維持ですね。また、この記事にはありませんがLCSの建造計画見直しと巡洋艦を7隻廃艦ではなく11隻モスボール化、というあたりでしょうか。作戦レベルでのエア・シー・バトルのための戦力は確保しておく、というのが私の印象ですね。
by masa_the_man | 2014-02-25 20:14 | 日記 | Comments(3)