戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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TPPに反対する米国内の政治勢力

今日の横浜北部はよく晴れておりまして、気温が低い割には快適にすごせております。

長崎方面への出張などがありまして、ここ数日は落ち着かない日々をすごしておりましたが、ようやく今日から本格的にブログに復帰です。

さて、今日は気になるTPP交渉に関するものを。一週間近く前の記事ですが、米国内のTPPの反対勢力について触れているという意味では面白いかと。

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アジアとの貿易交渉は「中間選挙」という壮大な生涯に直面する
By マーク・ランドラ―&ジョナサン・ウェイズマン

●オバマ大統領の貿易交渉は、今年後半に行われる中間選挙のおかげで難題に直面することになりそうだ。

●これはバイデン副大統領が、「民主党の下院議員たちは、オバマ大統領にアジアとヨーロッパで現在進行中の貿易交渉を締結させないだろう」と明言したことにもあらわれている。バイデン氏のコメントは、12の国々と世界最大規模の貿易圏を作るためのTPPの実現性に疑問を投げかけたものだ。

●TPPは、オバマ氏のアジア重視の戦略転換の中核をなすものであり、ホワイトハウスはこれを去年のうちに締結するつもりであった。

●ところが最近マサチューセッツ州のケンブリッジで行われた民主党下院幹部たちとの会談の席で、バイデン副大統領は、議会における自由貿易協定のいわゆる「早期一括交渉」(fast-track authority)についての立法は現在は考えていないと述べたという。

●この立法は、オバマ大統領にとっては日本やシンガポールのような他のアジア・太平洋の国々との交渉を進める点において必須のものであると見られている。

●TPPは、広範囲な分野の製品やサービスにかかる関税を下げ、規制緩和することを狙ったものだ。そしてこれは、アメリカの輸出と輸入の40%に影響を与えると見られている。オバマ大統領にとっては、この貿易協定は対アジア政策における経済面においての重要な役割を果たすことになるはずだった。

●ところが民主党の議員たちは、今年末の中間選挙で厳しい立場におかれている。そのため、バイデン副大統領はこの政策に反対する勢力(労働団体など)が示している懸念についても敏感にならざるをえず、太平洋地域でアメリカと大規模に貿易を行っている国々にたいして厳しい立場をとっている。

●たとえば彼は、民主党の議員たちにたいして、「俺は日本にたいしてアメリカの車がたった1%のシェアしかない状態ではTPP交渉を続けられないと警告してきたぜ!」と述べている。

多くの民主党議員たちはTPP交渉に反対しており、労働団体や環境保全団体、それに消費者団体なども同調している。なぜなら彼らは自由貿易圏が実現すると、製造業での雇用が失われて環境破壊につながると懸念しているからだ。

●それでもホワイトハウスの関係者たちは、オバマ氏はまだ貿易交渉の締結を諦めていないと主張している。

●たとえばヨーロッパと交渉中のTTIPも早期一括交渉権によって影響を受けるのであり、しかもここだけは共和党と大統領が合意できている分野なのだ。

●バイデン氏は、TPPを締結することによって中国の経済力に対抗することができるようになり、これはその周辺国にとっても重要だと述べている。

●その会合では、バイデン氏の説明の後に、ある民主党議員が「地政学的な優先順位について説明していただきありがとうございます」と言ったという。

●ところがバイデン氏はその後に「それでも地元の選挙区の事情も考慮する必要がありますよね」と述べたという。たしかに民主党のトップたちも、まだオバマ大統領に早期一括交渉権を与えるとは言っていない

●経済学者たちは、アメリカ経済が復調にあり、国際貿易システムがまだオープンな状態にあるため、TPPなどが締結されなくても国際貿易は全体として増加する可能性が高いと言っている。

●「ところがこの交渉に失敗してしまえば、アメリカの貿易政策は完全に暗礁に乗り上げてしまい、それはオバマ政権の残りの期間には何も動かないでしょう」とはメリーランド大学のある教授のコメント。

●バイデン氏の後にしゃべったオバマ大統領は、貿易関連のことについては一言も触れず、最低賃金の上昇や移民法の抜本的改正など、民主党員たちが全般的に同意してくれるようなことしか語っていない。

●もちろん専門家の中には、政府が貿易関連の政策を賢明に推進している点について評価する人もいる。オバマ政府は去年、国際的な経済の専門家であるマイケル・フロマン氏を、米国の貿易交渉の代表に任命したのがそのあらわれだ。

●また、大統領は来月に日本、韓国、マレーシア、フィリピンなどに主に貿易関連の問題について語るために訪問する予定だ。

●貿易関連の問題は、古くから民主党を分裂させてきたテーマであり、親ビジネス系の穏健派と労働団体を中心とする派閥との対立を煽ってきた経緯がある。

●そして11月の中間選挙で民主党支持者の主な層が投票所に足を運ばないことを考えれば、民主党は労働団体の選挙協力が必要になるということだ。

●民主党も共和党も、ともに選挙前の党内の分裂を極力避けようとしている。たとえば共和党の下院議長のジョン・ベイナー氏は「移民法の改正について言及するな」と同党のメンバーに注意されているという。

●その反対に、民主党にとってはこの早期一括交渉権の問題が、ホワイトハウスと民主党上層部を分裂させることになる対立点なのだ。

●共和党のメンバーの中にはこの2週間ほどの間にオバマ大統領にたいして早期一括交渉権の問題を進めるように公式の場でけしかけている。その理由として、この問題は共和党とホワイトハウスが雇用の創出という互いに合意できる点であることを挙げている。

●ケンタッキー州選出の共和党のリーダーの一人であるミッチ・マコンネル上院議員は、「これほど景気の悪い時にアメリカの製品を輸出できるチャンスが来るのが明らかなのだから、これを進めないほうがおかしい」と述べている。

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オバマ大統領自身の民主党はTPP交渉や締結に反対していて、その反対に共和党のほうが推進に賛成しているという「ねじれ」は面白いですね。

何度もいいますが、アメリカだってTPPでも何でも、決して「一枚岩」ではありません。

逆にいえば、その分裂を利用するのが交渉であり、それを見極めて仕掛けていくのが戦略なわけですな。


Commented by だむ at 2014-02-22 16:53 x
TPPてのは、日本国内の自動車販売の一定比率をアメリカ車にすることを義務付けるという「自由貿易」だったんだな
Commented by sdi at 2014-02-22 23:31 x
オバマ大統領はともかく、アメリカとしてはTPP交渉拡大交渉会合という枠組みには意欲をもっていても、TPPという条約そのものについては意欲を失ってきてるのではないでしょうかね。
Commented by masa_the_man at 2014-02-23 10:28
だむさんへ

>TPPてのは、日本国内の自動車販売の一定比率をアメリカ車にすることを義務付けるという「自由貿易」

そういうことで。自由貿易というのは「目指すべき理念」ではありますが、あくまでも建前にすぎないわけですから・・・

コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2014-02-23 10:29
sdi さんへ

>TPPという条約そのものについては意欲を失ってきてるのではないでしょうかね。

自分の属している党に反対されているという意味で、なんだか皮肉ですよね。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2014-02-22 16:44 | 日記 | Comments(4)