戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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中国のエネルギー消費の爆発的な伸び

今日の横浜北部は朝から快晴の気持ちい一日でした。

ここ数日は雪がひどく、うちの近所では電車の追突事故があったりしましたが、私は確定申告の事務処理のために家にこもっており、大事に至らずにすみました。

明日は申告の初日ですが、さっそく書類を提出してこようかと。

さて、中国のエネルギー問題についての記事です。この話題は、個人的にもこの本を翻訳したおかげで気になるものです。

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米中はエネルギー政策で正反対の道へ
By マイケル・フォーサイス

●オバマ大統領は先月米連邦議会で行った一般教書演説で、国内の天然ガスの生産量の増加によって「数十年以内」にアメリカはエネルギー面で独立を果たすことができると宣言している。

●ところが同じことは中国のトップである習近平国家主席の口から聞くことはできない。最近ある研究所によって発表された調査によれば中国の石油の輸入量は急激に伸びているからだ。

●もし何も対策が行われなければ、中国は2030年までには75%もの石油を輸入することになるという。そうなると中国は年間8億トンの原油を輸入する計算になり、これは中国が去年輸入した量にさらに60%を足した量になる。

●アメリカのエネルギー情報庁によれば、中国は今年中にアメリカを抜いて世界最大の輸入国になり、すでに現時点で消費する石油の半分以上を輸入しているという。

●中国のこのレポートによれば、アメリカが中東の石油への依存度を下げつつある中で中国は依存度を高めつつあるという事実は、大きな地政学的な意味を持つことになるという。


●もちろんアメリカは中東への石油権益を手放すことはないはずだが、それでも石油の確保のための中東の国内政治への介入の度合いは下がるだろうし、「その結果として国際石油市場は不安定になる」とその報告書は述べている。

●そのため、中国は中東からの石油の輸入量を下げるべきだとその報告書は勧めている。

●報告書の著者によれば、中国は予測される石油の消費量には耐え切れないとしており、そのためには今よりもさらに原子力発電や再生可能エネルギー、そして天然ガスに集中すべきであると指摘している。

●こうすることによって、2020年までに原油の消費を5億5千万トン、石炭の消費を40億トンから50億トンに抑える必要があるというのだ。現在のトレンドが続けば、大気汚染は「耐え切れないレベル」まで到達するという。

●すでに中国は環境を犠牲とした長年にわたる経済成長のおかげで被害を被っている。去年行われたある調査によれば、中国北部の人々は、熱源や電源としての石炭の使用によって南部の人々よりも平均寿命が5年も短くなっているという。

●北京政府は去年の9月に沿岸部の大都市で、大気汚染の改善を狙った政策を打ち出している。この政策には、この地域における新しい石炭発電所の建設の禁止や、自動車販売の抑制が含まれている。

●ところが中国の貧しい内陸や西部の地域の地方政府は、新しい発電所に伴う雇用と投資を誘致しようと必死なのだ。

●中国で豊富に産出されている石炭は、国内のおよそ75%のエネルギー消費を占めているが、石油は20%以下だ。石炭発電所は汚染物質や温暖化ガスを大気中に撒き散らすのであり、しかも世界最大のエネルギー消費国である中国は、全世界の石炭の半分を消費しているのだ。

●中国では石炭発電所を新しく363箇所建設する計画がある。これは585ギガワットの発電量を誇ることになるという。これらが実現すれば、アメリカのすべての石炭発電所の半分以上の電力を賄うことになるという。

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いやはやなんとも。

日本での「脱原発」などは、このような隣国の急激なエネルギーの激増の前には全く意味ないように思えるのは私だけでしょうか。

アメリカが中東からどこまで手を引くのかというのは、たしかに大きな地政学的意味を含むことになりますね。

明日も中国ネタをやります。


Commented by だむ at 2014-02-16 23:13 x
もう一つ重要な点は、政策やら金利やらでゴマカシ安い経済力の数字で一番ゴマカシが効かないのはエネルギーの消費量という点。例えば1990年代を通じて日本の総発電量は成長率と関係なく増加し続けたし、中国の経済が破綻すると信じたい人がいくらいてもエネルギー量はごまかせない。
Commented by 日置 at 2014-02-17 03:21 x
中東における地政学的変化においてわからない点がいくつかあります。一つ目にまず中国に対するイスラム諸国の感情です。無宗教国の中国がキリスト教国よりも歓迎されるのか、あるいはウイグルでの宗教弾圧の影響として反感を買っているのかは少し難しい点である気がします。
二つ目にロシアの影響です。シェール革命は巨大なエネルギー産出国であるロシアの戦略に大きく関わり、最近の日本への外交的接近の一因であるようにも見えます(ヨーロッパへの輸出に影響が出るためでしょうか?)。 中東諸国に対し軍事技術の提供や外交力で影響を持つロシアは、アメリカと疎遠になった中東をアフリカ諸国のようになびかせようとするであろう中国にどう接するのでしょうか?
三つ目は海運にでるであろう影響です。中東に用がなくなるアメリカの海運は喜望峰ルートにもスエズルートにも関心がなくなってしまうのでは?もしそうなればアフリカに対する介入はますますなくなり、中国の影響が強くなっていくように思えます。ヨーロッパ・南米がかかわる航路の秩序の確保まで中国が行うようになれば、世界中が中国の影響下になる気さえします。影響が出る「中東」はどこまででしょうか?
Commented by Rascal at 2014-02-17 08:57 x
奥山様
確定申告準備ご苦労さまです。大学や研究所に所属しない学者さんは、XX研究者という個人事業主なのですね。それとも講演料を申告する必要がある?
税があってこその国防ですから、納税はきっちりと行いましょう。
Commented by 待兼右大臣 at 2014-02-18 00:41 x
私の友人は、その「ごまかしの効かないエネルギー消費量」で中国のGDPは水増しされている、とマスコミで報道される前に看破していました。

彼の言によれば、中国の「高度成長」は終わったかもしれないとのことです
Commented by sdi at 2014-02-18 22:35 x
電力需要のように「ごまかしが効かないなら公表しなければいい」という手がありますね。数字が中国の高度成長を示しているなら隠したりメイキングする必要はないですから。ただ「プラウダの行間を読む」的な解析手法というのは確かに不正確で憶測も入りがちになるのは確かですね。しかし、内陸の砂漠のど真ん中の都市に巨大建築物を建てまくってるような状況が正常とは思えません。
 たとえ中国の経済が早急に破綻しなくても、中国の側(ランドパワー)に付いたところで必要なエネルギーが手に入ることはないことは上の記事からも自明のことです。なにせ自分の分を囲い込むことが先でしょうから。神戸大学大学院教授の木村幹氏も日経BPの対談記事の中で、韓国がTPPに参加表明した原因の一つに「いくら中国に接近しても原油を分けてくれるわけではない」という分析がありました。中東の原油(軽質油)や天然ガスに対する需要を考えると、今みたいに札束燃やして老朽火発回してる場合ではなくなってきてるのではないでしょうか?
 西側諸国の場合は経済成長してくると同時に効率アップのバイアスも働いたのですが、日本のように石油ショックと公害のダブルパンチがあったから働いたのでしょうか?
Commented by 無花果 at 2014-02-21 23:06 x
今の中国のやり方はワイマールのドーズ計画に似ているような気がします。
Commented by (^o^)風顛老人爺 at 2014-02-22 19:37 x
拝啓、奥山様お久しぶりです。

「 あるうそつきのブログ 」さんに奥山様のブロゴス記事が紹介されております。ご高覧下さい。m(_ _)m乱文にて 敬具。
by masa_the_man | 2014-02-16 20:23 | 日記 | Comments(7)