戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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アジアで進む潜水艦の軍拡

今日の横浜北部は朝から快晴です。相変わらず寒いですが。

さて、少し前の記事ですが、NYタイムズにアジアでの潜水艦による軍拡についての社説が出ておりましたのでその要約を。日本でもこの記事は多少注目されましたね。

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アジアにおける潜水艦獲得競争
byNYタイムズ論説委員

●近年において、アジアのほとんどの国々は国防費と軍備を拡大しているが、現在では東南アジア諸国で潜水艦の獲得競争が行われており、これは彼らにそれを獲得できるだけの資金力があるからだ。

●今年の正月にはベトナムが6隻獲得する予定のロシアのキロ級の潜水艦の最初の1隻を受け取った。最後の6隻目の受け取りは2016年になると見込まれている。

●ミャンマーは2015年までに潜水艦部隊を創設することを予定しており、タイにはもうすぐ発表予定の10年に渡る潜水艦購入計画がある。タイの高官はすでにドイツと韓国で潜水艦の訓練を受けるために留学しており、この二国は潜水艦を供給することになると見られている

●インドネシア、シンガポール、そしてマレーシアはすでに潜水艦部隊を持っており、さらに購入を計画している。マレーシアはフランスとスペインの企業連合に11億ドルを支払って2007年と2009年にそれぞれ潜水艦を購入している。

●インドネシアは老朽化した2隻の潜水艦を退役させて、あらたに12隻の潜水艦部隊をつくるつもりだ。この計画は2020年までに完成することになっており、韓国、そしておそらくロシアからの購入が予定されているという。

●これらの国々の中で潜水艦部隊を持っていないのはフィリピンだけだ。

●彼らは互いにたいして武装しているわけではない。この軍備拡大はこの地域におけるパワーの分布が不透明さを増していることにたいする反応であり、この不透明さは主に南シナ海やインド洋で、中国の海軍力が拡大していることが原因となっている。

●ところが中国の海軍力の拡大は、これらの東南アジア諸国の潜水艦部隊によって止まるとは見られていない。中国はこれにたいして対潜能力を向上させることになるからだ。それぞれの軍備拡大は、この地域の疑いと緊張を高めるだけである。

●これらの国々がさらに軍備を拡大したところで、中国がその侵略的な主張を抑制するようになるのかどうかというのは全く不透明である。先端的な潜水艦部隊を含む日本の実質的な軍事力でさえ、中国の東シナ海における領土の主張を止めることができていないからだ。

●ASEAN諸国は地域のさらなる不安定化を防ぐために、中国に一国ずつ対処するのではなく、まとまって行動をする必要がある。

●この軍拡のほとんどは東南アジアの国々が豊かになりつつあるために進んでいるものだ。これらの国々の経済は21世紀の世界経済と密接な関わりを持っている。

●これらの国々と中国は軍拡が彼らの経済力の発展を促すための安全と安定を脅かすことになるということに気づくべきである。

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日本のメディアではどうしても自国の関係する東アジアの状況ばかりに目が行きがちですが、われわれのシーレーンが通っている南シナ海からインド洋にかけての状況についても注目しておかないとまずいですね。

また、今回の潜水艦の供給については韓国が積極的に絡んでいることが特徴かと。

最後は互いの軍拡によってどんどん状況が不安定化してくるという、いわゆる「安全保障のディレンマ」の話で締めておりますが、軍拡をしている当事者たちにとってはそんなことを言われても「勝手なこというな」ということで終わりというか。

この辺りの軍拡の様子や背景の政治的な事情については拙訳『自滅する中国』によくまとまっておりますのでぜひ御覧ください、と無理やり宣伝にまとめてみました(笑


Commented by マスオ at 2014-01-23 11:18 x
中国は潜水艦だけでなく水上艦の増強も尋常ではない勢いですね。ちなみに昨年だけで27隻の駆逐艦とフリゲート艦を進水、就役させてます。(ソース:1月17日付中国網日本語版「中国海軍が造船ピークを迎える 2年間で日本を凌駕」1月7日付中国網日本語版「1年間で数十隻の軍艦進水  中国海軍は日本を超える可能性も」)これに対して日本で昨年進水したのは護衛艦いずも1隻のみです。
Commented by 無花果 at 2014-01-24 20:58 x
今後東南アジアへの影響力を守るなら、既に中国に軸足を移した韓国の影響力拡大を阻止するために潜水艦の供給源に日本も加わるべきなのでしょうが…。
インドネシアが鉱石の輸出を禁止して、国内で加工産業を育てようと踏み切ったはいいものの、肝心要の一貫プラント建設で新日鉄を追い出し、ポスコと手を結んだ結果、酷い紛い物を掴んで二日で操業停止に追い込まれたようです。戦闘機開発でも詐欺に遭っていたので何故、と思いますが、途上国にとっては属国化を防ぐために特定の先進国に依存しすぎたくないという当然の心理なのかもしれません。
オーストラリアからの潜水艦の供与依頼の件、奥山さんならどう判断されるのでしょうか。
Commented by name at 2014-01-26 23:39 x
アメリカの後退にあわせてインドとオーストラリアに東南アジアの軍事的抑止力の一端担わせようとしてるのでは?
インドの空母(中国と違って最初から軍用として購入した)を含む大規模軍拡してますから。

しかし日本はいずれにせよ大した影響力はもてませんね
安部首相を含む自民党首脳陣は東南アジア、インドと同盟を強化して、日本を守る軍事的同盟を作りたがっていますが、9条により海外の同盟国が攻められても助けに行けない。それなのに日本が攻められそうになったら助けてくれってのは東南アジアやインドにはふざけた要求です。
by masa_the_man | 2014-01-23 09:11 | 日記 | Comments(3)