戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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エネルギー関係者の勉強会で聞いた話

今日の横浜北部はまたしてもよく晴れましたが、風が冷たく、しかも強かったですね。

さて、ようやく体調も回復してきた昨日のことですが、あるエネルギー関係者の集う勉強会で講演してきたのですが、その後の懇親会の時に聞いた話が面白かったので少し。

この勉強会は地方のあるエネルギー関連会社の社長さんが行っているものなのですが、そこでこの社長さんが私に教えてくれた話の中に、以下のようなものがありました。

===

●現在欧州で実用化している海底パイプライン、技術的には2000メートルの海底まで敷くことも可能。

●ところが日本には3500メートルの海底にもパイプラインを施設できる船がまもなく進水する。これは日本海海底にも敷けるという意味になる。

●そうなると、たとえばサハリン2で産出しているガスのパイプラインを樺太の南端までつなげ、それを北海道まで直接海底でつなげて持ってくることも可能になる。

●ただし日本には大口の卸がないので相手の交渉の受け皿なし。東電に話を持っていっても、彼らは基本的に「小売り」業者なので何もできない。

●世界には国策を反映したエネルギーの「卸」の大手が存在するのが当たり前。ドイツだったらエーオン、イギリスだったらブリティッシュガスなど。

●日本にも戦前には日本発送電株式会社(日発)という会社があったが、戦後に解体された。この解体によって労組の働きを抑えるという、いわゆる分断統治的な意味合いもあった。

●しかしこれはまた有害でもあった。なぜなら「卸」の大手がなくなってしまったため、日本では国策を反映した大規模なプロジェクトができなくなってしまい、非効率的なところが残った。

●そうなると、たとえばウラジオからもってきたLNGは、北海道に直接入らず、東京までわざわざ持ってきてから小さな船に載せ替えて、そこからまた小樽まで送り返すということが行われるような事態になる(参考サイト)。

●また、今後はエネルギー産業の小売りのほうも統合化されていく流れだが、最大の障害は地域ごとに独占状態を敷いている地方の小売り業者たち。彼らが地元議員を使って権益確保に邁進しているために、大きなプロジェクトはなかなか動かない、

===

このような話でした。

いたるところに見えたのは、「戦略の階層」でいうところの、「技術レベルでは実現可能なのに大戦略や政策レベルで不可能になっている」という形。

大きな問題に気づいていても、それにたいして音頭をとってものごとを進めていく中心的な人や機関が日本には少ないため、なかなかシステムを変えられないということに。

ただしロシアとパイプラインをわざわざつなげることに意義があるかどうかというのは別問題だと言えますが…

また、今さらながら、シュレーダーは「ハウスホーファーの夢」をパイプラインで実現させているということを実感しました。

以上、興味深いと思いましたので参考まで。


Commented at 2014-01-20 12:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by masa_the_man at 2014-01-20 21:59
jinさんへ

>LNGも石狩→東京

なるほど。

>パイプラインのガス価格とLNG価格は異なる

こういう話は興味深いところです。まだまだこの辺の勉強が足りませんな・・・情報ありがとうございました!
Commented by アートマン at 2014-01-31 07:28 x
かなり勘違いがあるようですが・・・。
宗谷海峡はとても浅いですよ。距離も短いので、北海道とサハリン間のパイプラインならすぐ通せますけど。

パイプラインをつなげる意義は、気体のメタンをそのまま輸入するほうがメリットが高いからです。LNGにすると、エネルギー損失が2割で、価格も高くなります。液化と輸送で6~7ドルのコスト増です。
by masa_the_man | 2014-01-19 23:43 | 日記 | Comments(3)